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3 短答式試験の勉強方法(総論)

(1)学習計画を立てる

• 実力がもっとも伸びるのは試験前の2∼3ヶ月(ラストスパート期間)

この期間にどれだけ効率的な「質の高い」学習ができるかが合否を分ける。ラストスパ

ート期間はみんな追い込んで勉強をするので、勉強時間で差をつけることはできない。言

い換えれば、ラストスパート期間に突入する前に、どれだけラストスパートをかける「準

備」ができているかで大きな差がつくことになる。

ラストスパート期間に実力を一気に合格レベルに持っていくための「準備」とは、つま

るところ、今まで学習した情報を何らかの有形的な方法で「蓄積」し、さらにそれをいつ

でも確認できるように「一元化」しておくことである。

スローガン的に言うなら、年明けまでにしておくべき学習とは、
「試験本番につながる勉

強」ではなく(今知識を完璧にしたところでどうせ忘れる)、「試験本番の3ヶ月前につな

がる勉強(=準備)を」ということ。

• 長期→短期→一日というふうに大きな枠から逆算して計画を立てる

ラストスパート期間との関係で年明けまでの期間(約70日)をどのような期間と位置

づけるのか?何を「準備」する期間か?を考える。

年明けまでにやるべきこと(タスク)をリストアップして短期計画を立てたら、それぞ

れのタスクを完了するのに何日かけるかを決める。そして、それらを一日ベースのスケジ

ュールとして具体的に落としこんでいく。

(2)過去問は3回以上回す(手を広げるよりも同じ教材を何度も回すことが重要)

① 1 周 目 :夏休み前半の約1ヶ月間

過去問を解いて解説を読み、出題された条文・判例は判例六法にチェックを入れる。

一日50問∼60問ペースで、午前中に終わらせる。ほぼ一ヶ月で1周できる。

② 2 周 目 :11月はじめから12月終わりまでの約2ヶ月間

過去問で間違えた箇所や知識が曖昧な部分に関する「間違いノート」を作成する。

午前中に一日25問ペース。12月下旬の TKC 模試までに終わらせるイメージで。

③ 3 周 目 :2月中の1ヶ月間

ダメ押しの3週目。確認程度にサクサクと回し、どちらかと言えば間違いノートを読み

込んでいくイメージ。終わったら、直近の過去問(平成24年)を解いてみる。

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【平成21年 刑事系 第38問】

求す 起し, 却 決 確定し 後 白地 を 充して,再度 対


手 を
はない。
. X Yに する 000万円 金返還請求訴 に
続財産 度 払えと 決 確定 , に 続 産 匿 たと
改め 任 な 訴えを提 た。 場 ,X 訴 求

4 XがY会 に対して有する金銭債 についてそ 支 を命 る 確定し 後,当該 務


の支払を免 ためZ会社 設立された。これ 法 格濫用に当 る場 ,法人格否
,Y会

【 平 成いたか否かにかかわ
1 8 年 民 事 系 ず,当該調書
第59問】

〔第59問〕(配点:2)
次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちど
れか。(解答欄は,[№72])
ア. 準備的口頭弁論においては,いわゆる電話会議システムの方法を利用することはできない。
イ. 弁論準備手続は,当事者双方が立ち会うことができる期日において行う。
ウ. 弁論準備手続において,文書の証拠調べをすることはできない。
エ. 書面による準備手続においては,いわゆる電話会議システムの方法を利用することはできな
い。
オ. 進行協議期日において,証拠調べと争点との関係の確認の協議を行った後に,新たな攻撃防
御方法を提出した当事者は,相手方の求めがあるときは,相手方に対して,その協議前に提出
することができなかった理由を説明しなければならない。
1. ア イ 2. ア エ 3. イ ウ 4. ウ オ 5. エ オ


このようなピンポイント型の問題は、単純に知識の有無で差がつく上、頻繁に出題され
ま うち か ( 欄 [№7
. 裁判所は 文書提出命令の申立てに係る文書 挙証者の のために作成されたか否かを
るので、確実に得点できるようにしておきたい。もっとも、各テーマの守備範囲(知識量)

は小さく、聞かれることがある程度決まっているので、対策はしやすい。その対策とはズ
イ 作 よ 名 は,押 な も, 上,真
バリ、「暗記ツールを作っておいて、試験直前に叩き込む」である。

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ex 民 事 訴 訟 法 : 争 点 及 び 証 拠 の 整 理 手 続 ( 1 6 4 条 ∼ 1 7 8 条 )

(5)条文素読(判例六法素読)

民事系(特に会社法)は必須。刑訴法、行政法でも極めて重要。論文対策としても効果

あり。最初はしんどいが、何度もやれば確実に力がつき、しんどいがゆえに大きな差とな

って現れる。一日何時間もできる勉強法ではないので、計画を立てて毎日コツコツとやる

ことが重要。

具体的な方法としては、ただ読んでも眠くなるだけなので、重要な文言にはマーカーで

チェックを入れたり、定義やキーワード等を書き加えたりして六法をカスタマイズしてい

く。条文の横に小さく書いてある参照条文は非常に便利。

民訴法・刑訴法については、『民事訴訟第一審手続の解説』『入門刑事手続法』等を参照

し、手続の流れに沿って条文を読むことも極めて有益だろう。

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(7)まだインプットに自信のない人は…

「まだインプットに自信がないから択一の過去問はできそうにない…」という思いもあ

るかも知れないが、だからといって択一対策を後回しにするのは得策でない。経験上、知

識のインプット・ブラッシュアップは問題演習を通してやるのが最も効率がよい。過去問

をとりあえず何問かやってみて、正解はできないが解説を読めば理解できるというレベル

なら、過去問演習に取り組むべきである。

この場合、一日10問∼20問程度のペースでもよいから、時間をかけてじっくりと理

解するように心がけよう。体系別になっている過去問集(ex 辰已の過去問パーフェクト)

を使用して、基本書(薄めのものがよい)の読み込みと同時並行で進めるのも有益だろう。

4 短答式試験の勉強方法(各論)
(1)民法

• 全範囲からまんべんなく出題されるので、とにかく穴を作らないよう対策する必要がある。

• 知識量が膨大なので、基本書を読み込むよりは判例六法や市販の条文・判例本(択一六法)

を用いたほうが効率がよい。

• ピンポイント型問題も多いが、制度横断的な知識を問う問題も出題される。

• 判例については、判例そのものを問うというよりは判例の立場を前提に事例処理をさせる

問題が多く見られるため、時間配分に注意する。

(2)商法

• 会社法は条文からの出題が8∼9割を占める。判例も出題されるが百選レベルにとどまり、

正答率が高いので差がつかない。

• 条文素読が極めて重要。単純に条文を読んだ回数で差がつくといっても過言ではない。

全条文を素読するのはかなり骨が折れるが、最低でも『リーガルクエスト会社法』
(有斐閣)

巻末の条文索引に掲載されている条文は確実に押さえておく必要がある。

• 会社の機関設計や、各機関の選任手続・任期・権限等の相違点に関するピンポイント型の

問題については、図表にまとめるなどして直前期に確認できるようにしておく。

• 商法や手形小切手法に関する問題も相当数出題されるので、手を抜かずに対策をしておく

必要がある。商法はかなり細かいところまで問われるが、あまり深追いはせず、過去問を

確実に潰しておく程度でよいと思われる。手形小切手法に関しては論文での出題も予想さ

れるため、早川徹『基本講義手形小切手法』
(新世社)等を用いて全体を回しておくとよい。

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(3)民事訴訟法

• 条文知識に関するピンポイント型問題が多いので、条文素読のほか、各制度の相違点など

を図表にまとめておくことが有効な対策となる。

• 択一対策としては『民事訴訟第一審手続の解説』
(法曹会)がオススメ。民事訴訟規則につ

いては、差し当たりこの本で触れられているものだけ押さえておけば十分だろう。

(4)憲法

• 人権分野に関しては、判例のかなり細かい知識が問われるため、判例の読み込みが極めて

重要(結論を知っているだけでは正解できない)。

• 判例は比較的新しいものが出題されやすい(ただし、超直近の判例は出題されない)。

• 判例対策としては、戸松・初宿『憲法判例』
(有斐閣)が質・量共にベスト。ただし、百選

が改訂されるので(11月下旬刊行予定)、そちらにも目を通しておくとよい。

• 統治分野はピンポイント型問題が多いため、暗記ツールを用意しておいて直前期に一気に

仕上げる。基本書よりも市販の条文・判例本(択一六法)を用いた方が効率的。

(5)行政法

• 行政手続法・行政代執行・行政不服審査法・行政事件訴訟法の条文素読が重要。

• 類似制度の相違点(申請に対する処分と不利益処分、行政不服審査法と行政事件訴訟法、

申請型義務付け訴訟と非申請型義務付け訴訟など)を問うピンポイント型の問題が多いた

め、図表にまとめるなどして直前期に確認できるようにしておく。

• 処分性や原告適格、国賠訴訟分野については判例知識が問われるため、事案(問題となっ

た行為)と結論を簡潔に押さえておくとよい。判例集としては、百選よりも橋本博之『行

政判例ノート』(弘文堂)がオススメ。

(6)刑法

• 判例からの出題が多い。刑法判例は膨大なようにも思えるが、実は今までの判例問題のほ

ぼ全てが判例六法掲載判例からの出題であり、複数回出題されている判例も多い。したが

って、まずは判例六法掲載判例を確実に押さえるようにする。

• 論理パズル系の問題は時間配分に注意(時間をかければ誰でも解ける)。判例・通説に対す

る主な反対説とその根拠を知っていれば時間を節約できるが、必須ではない。

• 執行猶予や刑の加重減軽に関するピンポイント型問題については、暗記ツールを用意して

おいて直前期に一気に仕上げる。

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