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ジュニア専門員海外研修/

最終総合報告書

平成 16 年 7 月

独立行政法人国際協力機構

ジュニア専門員

中山 嘉人
(平成 14 年 11 月~平成 16 年 6 月)
- 目次 -
I.海外研修の目的..............................................................................................................................2

II.海外研修開始における前提/環境 ................................................................................................2

1.配属先及び職務タイトル:..........................................................................................................2
2.期間: ..........................................................................................................................................2
3.配属先のプロセス・マネジメント分析 .........................................................................................2
(1) 配属先の状況分析 ..............................................................................................................3
(2)活動の特徴 ...........................................................................................................................4
(3)効果的なプロセス・マネジメント ............................................................................................4
(4)具体的な専門家活動 ...........................................................................................................4
III.海外研修の概要 ..........................................................................................................................6

1.ワークプランの作成 ....................................................................................................................6
2.活動進捗報告 ............................................................................................................................7

IV.海外研修の成果・課題・自己評価...............................................................................................7

1.活動計画と実施による成果及び課題 .......................................................................................7
目標 1: 中等理数科現職教員制度確立のための環境整備支援 (SMASSE Malawi) .........7
目標 2:教育セクター地方分権化プロセスへの促進支援 .......................................................10
目標 3: 教育省全体のキャパシティ・ビルディング ................................................................. 11
目標 4: 教育セクター支援を行っている他開発パートナー(ドナー)間の援助協調・調整 ..12
目標 5: 教育開発に係る案件形成 .........................................................................................13
2.プロセス・マネジメントに基づく各活動評価.............................................................................14
3.評価のまとめ.............................................................................................................................17

V.ジュニア専門員制度による国内/海外研修を通して................................................................18

別添:
1. ワークプラン
2. プログレス・レポート I
3. プログレス・レポート II
4. プログレス・レポート III
5. プログレス・レポート IV
6. 提案書『Knowledge Management System in the Department of Planning, Ministry of Education』
7. 教育省計画局データベース
8. 南部州現状調査報告書
9. 北部州現状調査報告書
10. SMASSE INSET MALAWI 関連レポート
-SMASSE INSET MALAWI システム構築に係るパイロット・プロジェクト(2002 年 12 月:和文)
-プログレス・レポート I :第 1・2 回関係者会議/ニーズ・アセスメント調査結果 (2003 年 2 月:英文)
-プログレス・レポート II :Trainers’ Training ワークショップ及び今後の方向性 (2003 年 5 月:英文)
-プログレス・レポート III :Trial INSET 実施とその評価 (2003 年 9 月:和英文)
-プログレス・レポート IV :Activity Review Meeting for 2002/2003 と今後の計画 (2004 年 3 月:英文)

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I.海外研修の目的
ジュニア専門員として海外研修を始めるにあたり、今後、国際的に通用する開発援助の専門家となるに必要
な能力について自己分析を行った。今後、向上すべき能力は大別して以下の5分野である。
構想力/企画運営能力
コミュニケーション能力
組織牽引能力
担当者(プレイヤー)としての能力
専門分野運用能力

そこで、それぞれの分野における自己能力の問題分析とこの海外研修期間中に習得すべき項目及びその目
標を設定した(表1参照)。
▼ 表1:分野別能力の自己分析と海外研修期間中の目標
分野 目標とする能力
戦略的なプランによって課題をクリアする能力
全体に利するための仕事の方法(アプローチ)を変える立案・実行能力
構想力/企画運営能力
チームのあるべき姿/仕事のやり方を具体的にイメージできて、それに基づ
いて自分の行動を決める能力
ポイントが理解・納得されるコミュニケーション能力
コミュニケーション能力 一対一また複数の相手を共感させて動かす能力
困難な状況でも他部門等の人を納得させられる能力
チームを見渡して自分の役割・動き方を考える能力
組織牽引能力 目標を達成するために他部門やチームの力を利用する能力
コスト・パフォーマンスを成立させる能力
担当として優れた結果を出す能力
担当者(プレイヤー)
所属外に人脈を広げて仕事力を向上させる能力
としての能力
完成品を出す能力
教育セクターを包括的に分析する能力
専門分野運用能力 地域横断的な教育開発協力の現状把握と問題分析能力
先行研究と実務をリンクさせる能力
これらの個人の能力開発達成目標とともに、先方政府の要請に基づいたワークプランに沿って専門家業務を
遂行することを海外研修の目的とした。

II.海外研修開始における前提/環境
1.配属先及び職務タイトル:
マラウィ共和国教育科学技術省計画局/JICA マラウィ事務所: 教育行政アドバイザー

2.期間:

平成 14 年 6 月 24 日~平成 16 年 6 月 23 日

3.配属先のプロセス・マネジメント分析
マラウィ国(以下「マ国」)教育省に「アドバイザー型」個別派遣専門家としてその活動を行う際、その技術協力
の効果を上げていく過程においては、援助される側が主体的に問題解決を行う能力を高めて行く事が必要にな
る。例えば、マ国教育省側の問題認識や当事者意識の強化、組織体制の強化、自立発展性の確保などである。
2
すなわち、これら技術協力のプロセスを効果的にマネジメントする「プロセス・マネジメント」が重要になる。
(1) 配属先の状況分析
まず、赴任当初、専門家が配属されている教育省の現状分析を行った。分析軸は、① 問題認識の高さ、②
当事者意識の高さ、を用いる(国際協力事業団(2001)個別派遣専門家のためのプロセス・マネージメント・ハン
ドブック~技術協力の効果を高めるために~P18~19 参照)

① 問題認識の高さ:教育省の要請に関わる問題認識が高く(明瞭で)、技術協力の内容が明確?専門家要請
の目的は大きく分けて 3 つある。
教育省を含む教育セクターの Capacity Building 支援、
そのための教育セクター開発プログラムの発掘、計画、実施促進とそれに関わる助言、
教育セクター支援に関わるドナー協議の調整、である。
カウンターパートである教育省計画局長、他中等教育局長、初等教育局長、教授法助言局局長、教育省事
務次官と協議をする中で、これら要請目的、マ国教育セクターの現状、問題認識は比較的明瞭であることが確
認された。それは、1998 年から進んでいた教育開発政策書である「Policy and Investment Framework (PIF)」の
策定が終了し、その策定過程で現状分析及び今後の教育開発方針が検討されており、その作業を通して、問
題認識の醸成が進んだものと考えられる。

② 当事者意識の高さ:専門家の助力を得て、自ら問題を分析したり、必要な対策を講じたりする用意が教育省
にあるか?上述のように、配属先の問題認識は比較的高いと言えるものの、その問題解決のために組織全体と
して何をすべきか、構成メンバーとしての役割は何なのか、その当事者意識は決して高いとはいえない。教育開
発計画は存在するものの、それを実施する段階でどのような手順でどのようなスケジュールで行っていくべきか、
組織を整備して自力で対応していこうという意欲に欠けている。

すなわち、配属先の現状をその「問題認識の高さ」と「当事者意識の高さ」で表すならば、下図のように第 3 座標
の位置にあるといえる。望ましい位置は、問題認識も高く、当事者意識も高い状態であるから、専門家活動の方
向性は、下図に矢印の方向となるべきである。
問題認識が高い

第3座標
問題解決のために何をなすべきかがある程度わか <望ましい姿>
っているものの、組織を整備して自力で対応してい *配属先の問題意識は明瞭
こうという意識に欠ける。 *配属先に専門家の助力を
得て自らの問題を分析し、
必要な対策を講じる意欲が
ある。

当事者意識が低い
当事者意識が高い

問題認識が低い

3
<専門家がおかれた環境>をまとめると、
配属先の問題認識は高く明瞭である、配属先は問題解決のために何をすべきか、ある程度わかっているもの
の、組織を整備して自力で対応していこうという意欲に欠ける、前任者がいる場合や他の援助スキームのフォロ
ーアップというケースが多い、扱う課題の具体的手法が確立している場合が多く、相手側のそれら手法に対する
理解も高い、となる。

(2)活動の特徴
このような環境下で専門家活動を進める際の活動の特徴としては以下のことが考えられる。
専門家自身の専門知識を用いて、解決策を提示することにより、影響力や技術的な信頼関係を確保すること
で業務を円滑に進める。専門家主導である程度活動することによって、相手側の自主性を活性化することがで
きるという判断が重要になる。(役務提供的行動を伴いながら、動機づけを行っていく活動)

(3)効果的なプロセス・マネジメント
赴任当初専門家は、まず得意の専門技術を提示し、目に見える具体的な問題解決を実践して見せ(役務提
供的な働き)、相手側を引き込むことにことに成功してから徐々に相手側主導型にアプローチを変える。このよう
なプロセスを経て当事者意識を育成しつつ、当該技術の向上を図る。

(4)具体的な専門家活動
上述の配属先の職場環境分析及びプロセス・マネジメント分析に基づき、今後、効果的かつ効率的な専門家
活動を実施するために、以下のような活動を実施していくことを設定した。

1.問題認識の共有
1-1. 相手側が抱えている問題を把握する
他開発パートナー(ドナー)とのネットワークを活用する。
専門家主導でインタビューやセミナーを実施する。
開発調査現地踏査などの機会を利用して現場訪問・調査する。
対象セクターにおける開発計画や援助案件の実施状況を把握する。

1-2.相手側への情報提供
専門家側からまず積極的に問題を提供するとともに、問題分析の手法等の技術移転を積極的に図る。 ニュ
ースレターやメモ、レポートなど定期的なレポートを回覧し、問題認識の共有を図る。 配属先である計画局のと
どまらず、教育省内の各局と協議の場を持ちながら、行政能力改善のための具体策についての提言を「プロポ
ーザル」として積極的に提示していく。

1-3.相手側と一緒に問題を検討する
C/P との定期的な Meeting の機会を持つ。
参加型のワークショップを開催する。
C/P やスタッフと共同で現場や関係機関を視察する。

2.参加型による課題設定

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2-1.共同作業による課題の設定
相手側の関心の高いものから取り組む。
ワークショップ(PCM 等)やセミナー等で共同で計画策定を行う。
まず専門家主導で始め、だんだん相手側を巻き込んでいく。

2-2.課題の見直し
ワークプランの進捗状況を相手側と共同で定期的にチェックする。

3.動機づけ
3-1.相手側へのメリットの供与
研修員受け入れ制度、技術交換制度などの有効活用。
相手側の立場を全面的に出すように配慮する。

3-2.成果への理解を深めるための働き
まず、技術が活用されている現場を見せる。(ケニア SMASSE 等との技術交換事業)
相手が「われわれの成果」という認識を持てるように興味を引く工夫をする。
成果の発表の機会を設ける。
マスコミなどの発表や外部の反応を活用する

4.相手側との適切な関係性の選択
C/P との適切な関係を選ぶ。
組織内に専門家の業務に対応する部署またはワーキンググループを設置する。
組織の運営改善を働きかける。
開発事業における関係者の役割を理解してもらう。

5.経験と学習の統合
相手側に事業を体験させて学ばせる
配属機関側に事業を実際に体験できる機会を与える。
配属機関のイニシアティブによる業務の改善を自ら体験させる。
配属機関が経験を積み重ね、援助機関への依存を減らしていくような指導法をとる。
配属先の職員が、自ら教えることによって、更に理解を深めてもらうようにする。

6.専門家の影響力の行使
国際協力に関連する諸制度の利用
専門化派遣事業関連の諸制度(現地業務費、短期専門家の派遣、研修制度、機材供与等)を利用し
て、配属機関の自助努力を促進する。
日本の援助スキームについての情報を提供する。

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III.海外研修の概要
1.ワークプランの作成
教育省計画局に配属になり、支援のためのニーズ・アセスメントも兼ね、カウンターパートに当たる計画局長と
今後のワークプランについて協議を繰り返し行った。そして、赴任から約 1 ヵ月後の 2002 年 7 月 24 日に、下表
のとおり今後 2 年間の活動内容について合意し、それについてのタイムフレームも作成した(別添1参照)。

▼活動内容(2002 年 6 月~2004 年 6 月)
MoEST Modified Plan
A1 Form (original)
(Jun. 2002) (Jun. 24 2002 to Jun. 23 2004)

(1) Improvement (1) Improvement (1) Establishment of the INSET System (SMASSE
of Quality of of Quality of Malawi)
Secondary Secondary 1-1: Coordination of the pre-condition for launching the
Education Education pilot project
through 1-2: Coordination and advisory role on needs assessment
development of 1-3: Planning and Coordinating the Workshop for
teacher strengthening the collaborative activities
in-service 1-4: Promotion for smooth implementation of the project
training 1-5: Monitoring and evaluating the project
1-6: Technical advice for planning, implementing,
monitoring and evaluating the INSET system
(2) The (2) The (2) The Promotion of the Decentralisation in the Education
Promotion of the Promotion of the Sector
Decentralisation Decentralisation 2-1: Supporting the development of micro-planning
in the Education in the Education 2-2: Supporting of the On the Job Training for the local
Sector Sector education officer
2-3: Promoting the Information & Communication Sharing

(3) Capacity (3) Capacity (3) Capacity Building in the Ministry of Education, Science
Building in the Building in the and Technology
Ministry of Ministry of 3-1: Status quo Analysis
Education, Education, 3-2: Training Needs Analysis
Science and Science and 3-3: Strengthening the management of planning department
Technology Technology 3-4: Technical Advice on planning and Implementation of
and Capacity school mapping and EMAS
building-promoti 3-5: Strengthening the Information & Communication
on of Sharing
implementing
PIF and PRSP in
education sector

(4)Coordination (4) The (4) The Coordination with other development partners in
of Donors-the Coordination the Education Sector
officer will with other 4-1: Contribution to Education Sector Meeting
coordinate on development 4-2: Coordination and development of the possibility on
sector support partners in the collaborative activities with other development partners
program Education Sector 4-3: Follow-up the Sector Wide Approach

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MoEST Modified Plan
A1 Form (original)
(Jun. 2002) (Jun. 24 2002 to Jun. 23 2004)

(5) The Project (5) The Project (5) The Project Formulation for the Education
Formulation for Formulation for Development
the Education the Education 5-1: Status-quo Analysis (Information gathering on
Development Development activities in education sector)
5-2: Needs Assessment
5-3: Developing the new activities and project formulation
5-4: Coordinating on-going JICA&ODA projects
5-5: Monitoring & Technical Advice on completed
JICA&ODA projects

2.活動進捗報告
上述、ワークプランに基づき教育セクター支援活動を実施しつつ、四半期ごとに進捗についてチャートを示し
(プログレス・レポート)、それをたたき台にカウンターパートである計画局長と、期間中に達成した項目、課題に
ついて協議の場を設け、必要に応じて微調整を行った。プログレス・レポートの詳細は別添 2,3,4,5 を参照

IV.海外研修の成果・課題・自己評価
1.活動計画と実施による成果及び課題

目標 1: 中等理数科現職教員制度確立のための環境整備支援 (SMASSE Malawi)

戦略的活動項目:

1-1: 現職教員再訓練制度確立のためのパイロット・プロジェクト立ち上げに環境整備とそれに必要な技術
的支援;
1-2: ニーズ・アセスメント調査に係る業務調整及び技術的支援;
1-3: ワークショップ/関係者会議等の計画立案・運営支援・業務調整;
1-4: 円滑な活動実施に必要な技術的支援;
1-5: 活動のモニタリング・評価に係る技術的支援;
1-6: 現職教員再訓練(INSET)制度確立のための計画、実施運営、モニタリング評価に係る技術的支援

達成点 1: SMASSE Kenya への第三国研修機会の提供 (2002 年 8-11 月)


アウトプット:
INSET 計画運営を担う人材育成を目的とし、教育省本省及び州教育事務所から各 1 名ずつ計 2 名がケニ
ア SMASSE の第三国研修に参加した。
その 2 名の研修生により、ニーズ・アセスメント調査のためのクエショネイアー(質問表)が開発された。
SMASSE INSET MALAW(2002-04)活動計画書(案)が作成された。.

課題(2002 年 11 月時点):
マ国教育省から 2 名が研修を受けたが、両名とも INSET の体制作りを技術的に担う人材であるものの、本
省の中で意思決定に大きく関わるポジションについていいないことから、INSET 制度化を政策的に強く推
進していくには不十分な点が残った;
INSET プログラムについて教育省各局内で十分な共通認識を形成していく必要がある;
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ケニア SMASSE の体制と比較しても、マ国教員養成大学の人材不足から専任で INSET プログラムを担当
するスタッフがいない;
カナダ開発庁(CIDA)が、ドマシ教員養成大学を中心に未資格教員の資格向上のために遠隔教育で進
めている SSTEP(Secondary School Teacher Project)プロジェクトや他ドナーとの連携協調の枠組み、方法
については今後も議論の継続が必要

達成点 2: 関係者会議の実施 (2002 年 10、12 月)


成果:
SMASSE INSET MALAWI に関する日本側の基本方針が関係者に正式に伝えられ、理解を求めて協議
が行われた;
4 つの重要分野、1)財政面、2)組織運営、3)INSET 実施方針、4)参加型、のそれぞれについて関係者
で協議が行われ、今後の活動について提案がなされた;
中等理数科教育の課題についてニーズ・アセスメント調査が実施され、その結果が関係者に報告された;
関係者の役割分担について書かれた Terms of References (TOR)案について関係者間で協議され、マ国
側のオーナーシップとコミットメントが促進された。.

課題:
教育省は、SMASSE INSET の運営費用のための予算を確保し、国家予算に内部化する必要がある;
学校、州教育事務所、教育省本省とのコスト分担についてその役割が不明確である;
ワークショップ参加による「手当(アローワンス)」が参加の最大の動機づけになっている「アローワンス・シン
ドローム」問題の解決には時間がかかり、現時点ではその具体的な方策についても見つかっていない;
INSET の方向づけがなされていない。すなわち、SMASSE は基本的に理数科教員を対象としているが、
中等現職教員向けの INSET として他の教科の教員も対象としていくのか、理数科教育に限定していくの
かの合意形成が行われていない;
マ国側と JICA 側の役割分担や Steering Committee, Technical Committee などの機能ついて定めた TOR
(Terms of Reference)を関係者間で合意することを目指したが、本省からの参加者が政策レベルの意思決
定をその場で行う事ができないとし、合意までは至らなかった。

達成点 3: ニーズ・アセスメント調査の実施 (2002 年 11-12 月)


成果:
ドマシ教員養成大学のほとんどスタッフにとっては本調査のような調査事業を実施することは初めてのこと
であり、本ニーズ・アセスメント調査を通じ、調査能力向上の機会が提供された;
調査結果のデータ分析のために、SMASSE-WECSA 域内協力を通じケニア SMASSE から技術支援を受け、
域内協力が促進された;
教員の基礎ファイル(資格、教員経験、専門分野)及び理数科教育に対する教員と生徒の態度、新カリキ
ュラムに対する姿勢、教授法、指導の難しい理数科トピック、生徒間にある理数科目の積極的/消極的姿
勢の要因等についてのデータを収集することできた。

課題:
上述のような理数科教育に関する基礎データを収集することは出来たが、そこから INSET のためのカリキュ
ラム開発を行うには不十分なデータである;

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データの分析方法、その結果を活動につなげていくためのロジカル・フレームワークを改善する必要があ
る。

達成点 4: 現職教員再訓練制度構築に必要な政策レベルでのコンセンサス作りに関する調整 (2003 年 1 月~


現在)
成果:
2002 年 8 月に作詞制された TOR の第一案のドラフトが 2002 年 10 月及び 2003 年 2 月の 2 回にわたり
教育省との協議を通じ改訂された。
Steering Committee と Technical Committee のメンバー案が提示された;

課題:
TOR(改訂版)が教育省から正式に承認されていない。

達成点 5: SMASSE-WECSA の下でのアフリカ域内協力の強化


成果:
南アフリカで行われた持続可能な開発サミットのフォローアップ会議に参加。その機会を使い、先のニー
ズ・アセスメント調査についての報告と今後の活動について参加者から助言をもらった;
先の TOR に基づき、SMASSE-WECSA、マラウィ側各関係者の活動を開始することで合意した;
ケニア SMASSE と協同して、合同ワークショップを開催した。(2003 年 4 月、9 月)

課題:
SMASSE-WECSA による域内協力を更に促進すると共に、INSET Malawi の制度化に向けた国内体制作
りを確実なものにしていく必要がある。

達成点 6: SAMASE INSET Malawi のコア・メンバー育成の促進


成果:
ケニア SMASSE との連携で、Trainers’ Training Workshop (コア・メンバーの理数科教授法能力開発を目
的としたワークショップ)と Trial INSET workshop (試行的 INSET:コア・メンバーの INSET 計画運営能力
向上を目的としたワークショップ)を実施した;
SMASSE の目的は、「持続性のある INSET システム作り」であることが、コア・メンバー間に浸透し、合意形
成が為された;
コア・メンバーの当事者意識(オーナーシップ)が醸成された;
ワークショップ実施の際の役割分担とシステムが構築され始めた;
ワークショップ実施のために準備された INSET カリキュラムの有効性が実証されるとともに、更なる改善の
ためのデータ収集の必要性が明らかにされた;
「試行的 INSET」実施の際、マ国側と日本側で小額であったがコスト・シェアリングが実現した;
ドマシ教員養成大学の慢性的なスタッフ不足を補うべく、対象地域の有資格かつ関心と意識の高い中等
教員を SMASSE コア・メンバーとして取り込み、活動に必要な人的資源を補強した;
ドマシ教員養成大学で実施されている CIDA の SSTEP プロジェクト(遠隔教育による未資格教員の資格
向上)との援助協調枠組が構築された。
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課題:
ドマシ教員養成大学が担っている役割や学校行事数から、INSET 運営能力について再検討をする必要
がある。すなわち、3 学期の毎休みごとにドマシを会場とした INSET 実施は現実的に困難であること踏ま
え、代替案を検討する必要がある;
INSET 計画・運営・実施のための専任スタッフがいないことから、円滑な実施に困難を伴う状況である;
ワークショップの単なる実施だけでなく、その質についても更なる向上が必要である;
INSET システムの持続性確保に必要な財源確保策を検討し、教員訓練への資金供給力を強化する必要
がある;
INSET 修了証とキャリア開発へのリンク等、INSET 参加のためのインセンティブ作りの仕組みを構築する
必要がある。

目標 2:教育セクター地方分権化プロセスへの促進支援
戦略的活動項目:
2-1: マイクロプラニング開発支援
2-2: 地方教育行政官への OJT による能力開発支援
2-3: 情報とコミュニケーション共有促進支援

達成点 1: 地方教育行政官/教員の能力開発のための本邦カウンターパート集団研修の提供(ICT、地方教
育行政、中等理数科教育等):
成果:
1) 中等理数科教育実技; 2) ICT と中等教員; 3) 地方教育行政セミナー; 4) 女子教育促進、等の集
団研修へ、研修の機会が限られている地方教育行政官を主に推薦し、その機会を提供した;

課題:
マ国教育省側が、カウンターパート研修の案内についての認識が低く、人選についてこちらから働きかけ
ないと、そのまま応募期限が過ぎるようなことにもなりかねない状況も散見される。

達成点 2: 開発調査マイクロプラニング/NIPDEP への技術的支援:


成果:
開発調査フェーズ1(マイクロプランニング)からフェーズ 2(NIPDEP)への円滑な移行 (2002 年 7 月~
2003 年 1 月);
6 つのパイロット県で教室建設や INSET 実施支援、等 41 のコンポーネントの開始支援;
NIPDEP を通しての地方分権化セミナー実施支援。

課題:
パイロット県のいくつかの活動においては(学校収入源養殖池、活動のモニタリング・プロセスが不十分で
あった;
開発調査フェーズ2の成果品として想定している NDEP: National District Education Plan の内容について
の理解が教育省内で必ずしも十分なされておらず、将来の活用方法に不明確な点がある。

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達成点 3: 情報共有の促進 Promoting Information Sharing
成果:
教育省計画局内に存在する資料の整理とデータ・ベース化により情報・経験を共有するシステム作りを進
めた(別添 6:”Building Knowledge Management System in the Department of Planning, Ministry of
Education” 及び別添 7:データ・ベース参照);
毎週始め、その週の活動計画表を計画局のスタッフに配布し、お互いの活動状況を把握するように促進
した;

課題:
計画局のみならず教育省全体内で、情報共有のための仕組みづくりを更に進め、チームとして業務を進め
るような職場の雰囲気を作り上げていく必要がある。

目標 3: 教育省全体のキャパシティ・ビルディング
戦略的活動項目:
3-1: 現状調査
3-2: 人材育成のためのニーズ分析
3-3: 計画局のキャパシティ・ビルディング
3-4: スクールマッピング/EMIS (Education Management Information System)の能力強化
3-5: 省内における情報共有の強化

達成点 1: ニーズ・アセスメントと現状分析の実施:
成果:
中央州(2003 年 3 月)、南部州(2003 年 5 月)、北部州(2003 年 7 月)に教育セクターキャパシティ・ビル
ディングに関する現地調査を行った;
現地調査に基づき、現状把握及び問題分析を行い、レポートを行った(別添 8、9 参照)。

課題:
地方レベルにおけるキャパシティ・ビルディングに関するニーズの概観は把握できたが、実際の支援を実
施する場合には更に詳細なニーズ・アセスメントを行い、個々と組織の能力向上がリンクするようなプログ
ラム計画を立てる必要がある;
教育本省におけるスタッフの高い離職率に関する調査を実施する必要がある;
調査の結果を省内におけるスタッフのキャパシティ・ビルディング計画に反映させるような仕組みづくりを
促進する必要がある。

達成点 2: EMIS との連携:


成果:
計画局の新規採用スタッフに基本的なコンピューター活用の指導を行った;
ピース・コー(米)による教育セクター支援活動の評価レポート作成に係る技術支援を行った;
他開発パートナー(ドナー)支援によるプロジェクト/プログラムの活動進捗、データ等の情報・資料を

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EMIS 強化の過程で提供した;
計画局内の情報共有システム改善のために“Building Knowledge Management System in the Department
of Education Planning を提案し、計画局長及び事務次官に認められ 2004 年 2 月から試行的に実施して
いる。

課題:
省内にあるコンピューターは全て孤立しており、ネットワーク化されていない。LAN 等を構築することによ
って、情報共有の効率と質を向上させる必要がある;
USAID の技術協力として計画局に配属されている、政策アドバイザー及び EMIS 専門家との連携を更に
深めて効果的な支援を実施する必要がある。

達成点 3: 情報共有システムの促進:
成果:
基本的な情報共有の場である掲示板を教育省の各階に設置し、スタッフ全員が活用できる環境を整備し
た;

課題:
各スタッフの業務内容、所在などについて掲示板を活用して共有する習慣・文化が教育省の中では薄く、
同僚がどこで何をしているのさえも把握できない状態である。職業倫理の向上のための組織・制度文化作
りのための支援とあわせて情報共有の促進を行う必要がある。

目標 4: 教育セクター支援を行っている他開発パートナー(ドナー)間の援助協調・調整
戦略的活動項目:
4-1: 教育セクターに関する会議における技術的貢献;
4-2: 他開発パートナーとの連携活動の調整;
4-3: セクター・ワイド・アプローチ(SWAP)の参画と進捗における技術的支援及びフォローアップ

達成点 1: 開発パートナー会議(ドナー会議)とサブ・セクター会議への積極的参画と技術的支援:
成果:
原則、毎月 1 回開催されている開発パートナー会議への参加と技術的支援を行った;
第 3、4 回ジョイント・セクター会議への財政的及び技術的支援(地方分権化に関する現状分析)の提供を
行った(2002 年 11 月、2004 年 2 月);
開発パートナー間で本国からの調査団の特定時期への訪マ集中を防ぐために、スケジュール調整のため
の標準フォーマットを作成し、ドナー間での調整を行った。

課題:
生産性の高い業務を実施していくためには、行政・援助手続きの簡素化、共通化など他開発パートナー
との更なる連携強化が必要である;
各開発パートナーの調査団訪問日程の効率的な調整は、限られた人的資源の中で対応しなければなら

12
ないマ国教育省にとって非常に重要であり、今後も継続して実施していく必要があるが、そのような体制
が教育省側に未だ整備されていない。

達成点 2: セクター・ワイド・アプローチ(SWAP)の促進:
成果:
他開発パートナーと協働して、教育セクター支援に係る Code of Conduct (CoC)案作成の技術支援を行
った;
他開発パートナーとの援助協調を積極的に形成した:1)ドマシ教員養成大学における CIDA 及び
USAID、2)セント・ジョーンズ小学校における UNICEF、3)HIV/AIDS 戦略書作成における USAID、4)
NIPDEP パイロット県(Nchisi)における DFID。
課題:
他開発パートナーとの連携は、効率的資源と効果的支援実施のためにも更に広げていく必要がある。

目標 5: 教育開発に係る案件形成
戦略的活動項目:
5-1: 現状分析
5-2: ニーズ・アセスメント調査/分析
5-3: 新規活動/支援プロジェクトの形成
5-4: 現在進行中の我が国支援実施プロジェクトの調整及びモニタリング活動
5-5: 実施済みの我が国支援プロジェクトのモニタリング及び技術的フォローアップ支援

達成点 1: 無償資金協力によるドマシ教員養成大学案件に関する基本設計調査のための事前準備作業及び
調査期間中の調整・技術的支援:
成果:
基本設計調査準備のための事前資料作成に係る技術的支援を行った;
基本設計調査が円滑に実施された(2003 年 2 月、6 月)。

達成点 2: 専門家現地適用化事業(現地業務費)によるセント・ジョーンズ小学校施設改善案件形成:
成果:
学校運営委員会と緊密に連携しつつ、委員会から提出されたプロジェクト提案書に関する技術テ敵アド
バイス及び迅速な案件開始のための調整作業を実施した;
案件実施準備、実施のためのサイト調査等のプロセスにおいて調整業務を行った;
教育省の施設部門担当局である EDMU: Education Development Management Unit 及び PIU: Project
Implementation Unit と協働し、モニタリング活動を実施した。

課題:
現地コントラクターの建設業務の質は当初予定していたものよりも低く、学校レベルのイニシアティブによる
教室建設について、コントラクターの選定等見直す必要がある。

達成点 3: 要望調査に沿った案件形成:

13
成果:
毎年 8 月の要望調査取りまとめに際し、教育省及び JICA マラウィ事務所との間で調整を行うと共に、Aid
Talk においてマ国教育省側代表に対する技術支援を行った;
SMASSE INSET Malawi 及び NIPDEP についてのプロジェクト・ドキュメント作成を行った。

課題:
優良案件の発掘と形成を更に積極的に行う事が望まれる。

達成点 4: JOCV 理数科教師分科会と教育本省との橋渡し的役割 (行政と現場の効果的なリンク)


成果:
2002 年 12 月から毎年一度、JOCV 理数科教師分科会と教育省の中等教育担当局を中心とした各部局と
の合同協議の場を設け、学校現場と行政を結ぶことを目指している;
JOCV 理数科教師分科会に定期的に参加し、研究授業や補助教材作成、数学模擬試験実施など彼らの
活動に関する技術的支援を行った;

課題:
JOCV 理数科教師分科会の活動を励まし、個人の活動レベルから組織として、活動の裨益が点から面へ
と効果的に広がるように支援していく必要がある。

2.プロセス・マネジメントに基づく各活動評価
上述活動目標・計画と実施成果・課題について、プロセス・マネジメントによる7つの評価基準: 1)問題認識
の共有、2)参加型による課題設定、3)進捗のモニタリング、4)動機づけ、5)成果への理解を深めるための働き
かけ、6)相手側との適正な関係性の選択、7)経験と学習の統合、7)専門家の影響力の行使、に沿って自己評
価を行った(次ページ表)。

14
プロセス・マネジメントによる専門家活動の自己評価
5: 100% 達成, 4: 100<X≦75% 達成, 3: 75<X≦50% 達成, 2: 50<X≦20% 達成, 1: Less than 20% 達成,
0: 何も実施されなかった。
参加型 成果への理 相手側との 専門家の
プロセス 問題認識 進捗のモニタ 動機づ 経験と学習 平均値
による課 解を深めるた 良好な人間 影響の行
活動項目(ワークプラン の共有 リング け の統合 (%)
題設定 めの働きかけ 関係 使
原文のまま:上述と対応)
1-1: Coordination of the
2.63
pre-condition for launching the 3 1 3 2 2 4 3 3
(52.5)
pilot project
1-2: Coordination and
3.00
advisory role on needs 3 2 3 2 4 3 4 3
(60.0)
assessment
(1) 1-3: Planning and
Establishment Coordinating the Workshop 2.75
3 3 3 2 1 4 3 3
of the INSET for strengthening the (55.0)
System collaborative activities
(SMASSE 1-4: Promotion for smooth 2.75
3 3 3 2 2 2 3 4
Malawi) implementation of the project (55.0)
1-5: Monitoring and 2.75
3 1 3 1 4 4 2 4
evaluating the project (55.0)
1-6: Technical advice for
planning, implementing, 2.75
4 3 2 2 2 4 2 3
monitoring and evaluating the (55.0)
INSET system
2-1: Supporting the
2.63
(2) The development of 3 2 4 2 2 3 2 3
(52.5)
Promotion of micro-planning
the 2-2: Supporting of the On the
2.13
Decentralisatio Job Training for the local 2 2 2 2 2 2 2 3
(42.5)
n in the education officer
Education 2-3: Promoting the
Sector 3.25
Information & 4 3 3 2 2 4 4 4
(65.0)
Communication Sharing
(3) Capacity 3-1: Status quo Analysis 2.50
Building in the 4 2 2 2 2 3 2 3
(50.0)
Ministry of 3-2: Training Needs Analysis 2.63
Education, 3 2 2 2 2 4 3 3
(52.5)
Science and 3-3: Strengthening the
Technology 3.13
management of planning 4 3 3 2 3 4 2 4
(62.5)
department
3-4: Technical Advice on
2.88
planning and Implementation 4 3 3 1 2 3 3 4
(57.5)
of school mapping and EMAS
3-5: Strengthening the
3.25
Information & 4 3 3 3 2 4 3 4
(65.0)
Communication Sharing
4-1: Contribution to Education 3.38
(4) The 4 4 4 2 2 4 3 4
Sector Meeting (67.5)
Coordination
4-2: Coordination and
with other
development of the possibility 2.88
development 3 2 3 3 1 4 3 4
on collaborative activities with (57.5)
partners in the
other development partners
Education
Sector 4-3: Follow-up the Sector Wide 2.88
3 3 4 1 2 4 3 3
Approach (57.5)
5-1: Status-quo Analysis
3.00
(Information gathering on 4 2 3 2 3 4 3 3
(60.0)
activities in education sector)
5-2: Needs Assessment 2.00
1 1 2 2 2 3 2 3
(5) The Project (40.0)
Formulation 5-3: Developing the new
2.75
for the activities and project 3 3 2 2 4 2 3 3
(55.0)
Educational formulation
Development 5-4: Coordinating on-going 2.25
3 2 2 2 2 3 2 2
JICA&ODA projects (45.0)
5-5: Monitoring & Technical
2.00
Advice on completed 3 2 2 1 1 3 2 2
(40.0)
JICA&ODA projects
1-1.
5-5. 3.50 1-2.
5-4. 3.00 1-3.
5-3. 2.50 1-4.
2.00
5-2. 1.50 1-5.
1.00
5-1. 0.50 1-6.
0.00
4-3. 2-1.

4-2. 2-2.

4-1. 2-3.
3-5. 3-1.
3-4. 3-2.
3-3.

▲ 各活動の評価

2002 年 6 月~2004 年 6 月までの専門家活動期間中、比較的技術協力で弱いのは、以下の 2 分野と特定でき


る。
1. 教育開発に関するプロジェクト案件形成
ニーズ・アセスメント;
現在進行中の我が国支援実施プロジェクトの調整及びモニタリング活動;
実施済みの我が国支援プロジェクトのモニタリング及び技術的フォローアップ支援

2. 教育省全体のキャパシティ・ビルディング
現状分析;
スクールマッピング/EMIS の能力強化

成果への理 相手側との
問題認識の 参加型によ 進捗のモニ 経験と学習 専門家の影
動機づけ 解を深めるた 良好な人間
共有 る課題設定 タリング の統合 響の行使
めの働きかけ 関係

平均値 3.23 2.36 2.77 1.91 2.23 3.41 2.68 3.27

% 64.55 47.27 55.45 38.18 44.55 68.18 53.64 65.45

▲ プロセス・マネジメント基準項目の評価

3.評価のまとめ
マ国教育セクターのキャパシティ・ビルディング支援において、プロセス・マネジメントの効果的活用によるアド
バイザー型専門家業務を実施するためには、まず、全ての項目について活動の質の向上を図る必要があった。
その中でも特に, 1) 参加型による課題設定, 2) 動機づけ, そして 3) 成果への理解を深めるための働きかけ、
の分野については、評価点が 50%を下回り、今後、意識的に強化していかなければいけない分野であることを
認識した。

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また、I.海外研修の目的で述べた 5 つの能力強化分野、1)構想力/企画運営能力、2)コミュニケーション能
力、3)組織牽引能力、4)担当者としての能力、5)専門分野運用能力、については、エクセル・ファイルで日々
の業務開始前に項目を確認し、業務終了時にその評価を行えるようなプログラムを作成し、その進捗を確認でき
るように務めてきた。しかし、「業務を通じての個人の能力開発」、またその逆である、「個人の能力開発を通して
の業務能力の向上」について、長期目標からブレークダウンした中・短期目標、そして日々の計画→実行→評
価→フィードバックという一連の流れの中で、必ずしも毎日実行できたとは言えず、意志と常に理由づけを持っ
た業務を行うよう更に自己研鑽に務める必要がある。

V.ジュニア専門員制度による国内/海外研修を通して
2000 年 11 月から 2004 年 6 月まで約 3 年半(国内 1.5 年、海外 2 年)にわたるジュニア専門員制度を通して、
下表の通り国内、海外のそれぞれの研修場所ごとに目標を立て、業務及び個人の能力開発に努めることができ

国内研修期間中での目標(詳細は、『国内総合研修報告書:2002 年 6 月提出分』参照)
分野 不足している能力 研修中の目標
JICA の各事業及び方向性につ 無償資金協力のスキーム・業務の流れについて習
いての知識と経験 得する。
効率的かつ効果的な文書作成能 無償資金協力の基本設計調査の調査手法の課題
力 と今後の方向性について理解する。
説得力のあるレポート作成能力 無償資金協力とプロ技との関係、連携のあり方につ
実務能力 正確かつ迅速な英文作成能力 いて理解する。
開発調査等の他事業についての理解及び無償資
金協力との関係、連携のあり方について理解する。
業務を効率的かつ効果的に遂行するに必要な業
務文書及びレポート作成能力を習得する。
英文の公文書作成能力を習得する。
教育セクター全体を視野に入れ 教育セクター・プログラムに関する知識を習得す
て問題分析を行える知識と経験 る。
「職業訓練教育」と「初等教育」レ 各教育レベルの教育開発に関する先行研究をレビ
専門分野運用能力
ベルにおける実務経験 ューする。
地域横断的な教育開発協力の現 実務を通して各教育レベルの協力アプローチを習
状と課題の把握 得する。
効果的なプレゼンテーション能力 社会人対象ディベートセミナーに参加する。
(英語及び日本語) 勉強会や講演会等を通してプレゼンテーションの
コミュニケーション能力
第2外国語の習得(フランス語) 方法実践を通して習得する。
実用フランス語検定3級を取得する。

海外研修期間中での目標
分野 目標とする能力
戦略的なプランによって課題をクリアする能力
全体に利するための仕事の方法(アプローチ)を変える立案・実行能力
構想力/企画運営能力
チームのあるべき姿/仕事のやり方を具体的にイメージできて、それに基づい
て自分の行動を決める能力
ポイントが理解・納得されるコミュニケーション能力
コミュニケーション能力 一対一また複数の相手を共感させて動かす能力
困難な状況でも他部門等の人を納得させられる能力
チームを見渡して自分の役割・動き方を考える能力
組織牽引能力 目標を達成するために他部門やチームの力を利用する能力
コスト・パフォーマンスを成立させる能力
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担当として優れた結果を出す能力
担当者(プレイヤー)
所属外に人脈を広げて仕事力を向上させる能力
としての能力
完成品を出す能力
教育セクターを包括的に分析する能力
専門分野運用能力 地域横断的な教育開発協力の現状把握と問題分析能力
先行研究と実務をリンクさせる能力

しかし、これらの能力開発は 2,3 年で十分に達成できるものではなく、今後の国際協力業務に従事する中で


長期的な視野と、常に新たな課題を設定しそれに応じて行動計画とその実行力に関する評価を日々繰り返すこ
とで到達できるものである。今後もこれまでの評価と反省を真摯に受け止め、国際協力実務者として努力してい
きたいと考えている。
最後に、本制度によって我が国、国際協力活動の貴重な実務経験の場をいただくとともに、各部署の上司、
同僚の方々から御指導、御鞭撻いただいたことに対して心からお礼を申し上げます。

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