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環境学習拠点 『環境共生の森』 (平成 22 年春オープン予定)

「サポート・ボランティア」 を募集します

平成 20年 3月
国営海の中道海浜公園
はじめに

国営海の中道海浜公園では、北部九州における環境学習の拠点として「環境共生の森」を平成 22 年春の
開園に向けて整備しています。
「環境共生の森」は森づくりから広がる様々な実体験を通して身近な自然に
興味を持ち、国土の自然や身近な地域への愛着を育て、自ら行動をおこせる人材の育成を目的としています。

これまでの検討の中では、
「環境共生の森」を環境学習のフィールドとして活用していくための手法や仕
組みづくりに取り組んできました。その取り組みの一つとして、検討会・ヒアリング等を開催し、有識者や
福岡市教育委員会、福岡県教育庁等の意見を計画・設計に反映させています。

●「環境共生の森」とは?

「環境共生の森」は、博多湾周辺の自然植生と人との共生によって育まれてきた植生を再現し、実際に
森の管理や利用を体験してもらうことにより、人と環境とのつながりを考えてもらうための施設です。
「環境共生の森」は、苗木(また
は種)からスタートします。森は
すぐには出来ませんが、苗木(ま
たは種)から育て、この場所にな
じんだ生長をさせることにより
安定した森をつくり、その過程で
は自然の雄大な時間の流れを体
験することができます。また、森
づくりだけではなく、水辺や果
樹・畑・水田等を整備し、里山的
な環境を利用した観察やクラフ
ト・農体験等の様々なプログラム
を実施していく予定です。
」「環境共生の森」における、環境学習プログラムとは……

「環境共生の森」における環境学習プログラムは、以下の目標・基本方針に沿って企画・運営
していくことを検討しています。

●環境学習事業の目標

1.森の育成・管理と、その生長を通じた環境学習プログラムであること
今後、徐々に進められていく植林やその後の育成管理など、
「環境共生の森」そのものの育
成活動と環境学習プログラムに関する諸活動が、常に一体的に計画・実施されることを目指し
ます。また、森の育成段階、および「環境共生の森」の環境特性の変化・成長に応じ、環境学
習プログラムの内容も、常に進化・多様化させていくものとし、そこに蓄積されていくプログ
ラムや運営ノウハウは、地域・および北部九州地区の環境学習活動に広く還元していくことを
目指します。

○「博多湾周辺の自然植生の再現」という整備方針に則り、
「環境共生の森」のためにカス
タマイズされた、数々の環境学習プログラムを作成、運営していきます。
○森の育成段階を「植栽・育成管理期」
、「環境充実期」
、「資源利用期」
、「文化的利用期」に
分け、それぞれに応じた学習目標の設定、および、それに対応した各種プログラムを作成、
運営していきます。

2.学校教育、特に小学生による学習活動との連携を意識した環境学習プログラムであること
上記のような育成管理を絡めた環境学習プログラムを広く一般市民の皆さんに利用して頂
くことを前提としながらも、特に小学校における総合的な学習の時間や学習遠足、あるいは理
科、生活科、社会科、国語等の教科内容に対応したプログラム内容を目指します。これまでの
国営公園における環境学習事業としては、一般来場者への自然ガイドや体験教室等が主であり、
長期的・継続的な学校教育との連携や、森林の育成管理との連携を前提にした環境学習プログ
ラムを整備することは、新たな試みとなります。

○国営公園ではまだ例のない、森林育成活動と学校教科との連携を前提とした新たな取り組
みとして、長期にわたる環境学習プログラムを企画、運営していきます。
○その第一歩として、平成 18 年度秋より、マテバシイのドングリ拾いおよび苗木を育てる
プログラムを、福岡市内4小学校で試行的に実施中です。
3.市民との協働によって運営されていく環境学習プログラムであること
運営者側が計画したプログラムを一方的に展開するのではなく、広く市民との協働によって
検討・実施されていく環境学習プログラムの運営を行っていきます。開園当初は、運営者側が
中心になって計画を進めていくとしても、その後の「環境共生の森」の成長に従って、徐々に
市民の参画の機会やその責任の比重を大きくし、やがては市民の主体的な活動が、運営活動の
中核を担うようになることを目指します。
そのための仕組みとして現在検討されているのが、
「サポート・ボランティア」制度です。

○希望登録制による「サポート・ボランティア」を創設します。

○サポート活動の経験や研修を通じてステップアップし、運営への関与度も向上していきま
す。当初は、補助的な業務を担当する形でサポート活動を開始するとしても、ご希望され
る方には、いずれは自らリーダーとしてプログラムを実施し、かつ自身でプログラム企
画・運営もできるようになることを目指して頂きたいと考えています。そのための各種研
修講座を準備しています。

・国営公園における環境学習とは ・グループワークとコミュニケーション
・環境学習について ・インタープリテーションについて
・生態学、植物学等について ・施設の管理運営について
・プログラム運営について ・市民参加と地域活動について

・各種ミニ研修会(自然観察会、植物・動物の基礎知識、類似活動の見学会等)

・各種実習、OJTなど

○ぜひご応募いただきたい皆様
・学 生:環境、教育、農学、理学、造園等の学生個人、ゼミ、サークル等の皆様
・社会人:環境教育活動、森林育成活動、公園でのボランティア活動などに興味のある方、
生涯学習、自己実現、キャリアアップ等を求める方、子どもたちとの触れ合い
を求める方等
・その他
「サポート・ボランティア」に関しての基本事項

以下に、
「サポート・ボランティア」についての、現在、検討・構想中の基本原則、基本ルール等をま
とめます。これらの基本事項に対する是非・希望なども含め、ご意見を頂ければ幸いです。

●「サポート・ボランティア」の皆様に、「環境共生の森」運営のすべてをお任せできるわけでは
ありません。
・国営海の中道海浜公園全体を統括している「国土交通省九州地方整備局国営海の中道海浜公園事
務所」、そして公園全体の管理運営業務を行っている「財団法人公園緑地管理財団海の中道管理セ
ンター」
。「サポート・ボランティア」は、これらの組織の元で、
「環境共生の森」における環境学
習プログラムの実施業務のサポートをして頂くことを目指すもので、サポート・ボランティアの皆
様、あるいはその他の団体・NPO 等に、
「環境共生の森」の運営そのものをお任せするわけではあ
りません。

●「サポート・ボランティア」への参加は、「個人」が前提になります。

「サポート・ボランティア」への登録は、あくまでも「個人」として行っていただく予定です。
すでに活動中の特定の団体・NPO 等が、そのままの形で登録されることはありません。

※今回のアンケートのお願いは、一部、環境関連の団体・NPO 等にもお送りさせて頂いておりますが、環境関連
分野において先進的な活動をされている方々に、広くご意見を伺うことが目的であり、団体としてのご参加の意思
を確認するものではありません。ご了承ください。

●「サポート・ボランティア」への参加は、「無償」が前提になります。
・「サポート・ボランティア」への登録、およびサポート活動への参加に際しては、あくまでもボラ
ンティアシップを前提とし、対価としての人件費等はお支払いできない予定です。

●「スキルアップ研修制度」の受講は、「無料」となります。
・無償でサポート活動にご参加していただく代わりに、各種研修講座の受講料等は、原則無料とな
ります(ただし、一部の研修では、教材費等が実費となる場合があります)
。受講内容もボランティ
ア登録者の希望に沿う形で検討し、
「環境共生の森」における環境学習プログラムの質の向上だけで
なく、既に環境学習に関して活動されている方、そうした活動を目指す学生の方などのスキルアッ
プや、退職者の方の生涯学習活動としてご活用いただくなど、様々な広がりの中でこの制度を育て
ていきたいと考えています。
」まずは、「参加説明会」にご参加ください!

「環境共生の森」自体は、まだ出来ていませんが、そこに植える苗木を育てるプログラム「タネからは
じめる森づくり」は既に平成 18 年度からスタートしています(次頁以降をご参照ください)

●今後のスケジュール(予定)

平成 18 年 平成20年 平成20年 この間は… 平成 22 年


11 月 3 月~ 6 月(予定) 春頃 開園後は…
●「環境共生の森」

●「参加説明会」実施
●「初級研修」実施
●試行プログラム実施

●「 環境共生の 森」

●「環境共生の森」園内で、
●苗木の育成と連動した

●自然観察会などのミニ研修、
募集開始
サポート・ボランティア
「タネからはじめる

サポート
各種環境学習プログラムを
森の育成と連動した
サポート(各地の学校等で)
各種環境学習プログラムを

・サポートなど
環境学習関連イベントへの参加
海の中道海浜公園内での

開園予定
森づくり」開始

現在

つきましては、小学校児童などを対象にした環境学習プログラムへの平成 20 年度春からサポート参加し
ていただける方を募集します。ご興味のある方は……

別紙の応募要項をご確認、応募用紙にご記入の上、まずは「参加説明会」にお申し込みく
ださい。

参加説明会にご参加いただいた後、参加登録を希望される方は、「初級研修」へとお進み
いただきます。環境共生の森や環境学習プログラムに関する基本的な事項を習得していただ
く研修で、必修となります

「初級研修」は、その後も 3~4 ヶ月に一度、開催予定です。ご都合のよい


※「参加説明会」
時期にご参加ください。

『環境共生の森づくり』にぜひご参加ください。

■お問い合わせ&応募先

国土交通省 九州地方整備局 国営海の中道海浜公園事務所


きしよしのり とみどころひろみつ かきうちかずや
調査設計課 岸 功規 ・ 富所 弘充 ・ 柿内 和哉

〒811-0321 福岡県福岡市東区大字西戸崎 18 番 25 号
TEL: 092-603-1111 FAX: 092-603-1114

E-MAIL: volunteer@uminaka.go.jp
参考資料

試行プログラム 「タネからはじめる森づくり」 ダイジェスト

「環境共生の森」づくりの第一歩として、そこに植える苗木を育てるプログラム「タネからはじめる森づ
くり」が、平成 18 年秋にスタートしています。このプログラムでは植樹をするだけではなく、タネ拾いか
ら苗木を育て、植樹するといった一連の作業に参加してもらうことによって、植物やそれを取り巻く環境・
生きものの生態などへの知識を深め、身近な自然への興味・感心、そして愛着心を育くむことを目的として
います。
実施に際しては、福岡市教育委員会を通じて、福岡市内の全小学校に募集を行い、福岡市環境教育研究会
でも参加を呼びかける機会をいただいた結果、福岡市内の小学校4校が参加してくださいました。

① 導入
概 要: ・スタッフの自己紹介と今日することの紹介
・アイスブレイク ・紙芝居
ねらい:・初対面のスタッフに対する緊張をほぐし、スムーズに
学習に入れるようにする。
・ドングリの種類や特徴について学び、活動への興味を
育てる。
子どもたちの様子:
ドングリにいろいろな種類があることや、遊びやクラフ
トの材料だと思っていたドングリから芽がでて大き
な木になることを、クイズを交えた紙芝居で知り、驚
いていた。興味津々。

② ドングリ拾い
概 要: ・ドングリを拾い集める。
・芽が出たドングリや大きく生長した木を観察する。
ねらい: ・自然の恵であるタネ(=ドングリ)拾いを通して、秋
の森を楽しむ。
・森の中でドングリが木になることを実感する。
子どもたちの様子:
「ドングリが実っているよ。」「大きな木!」「落ち葉
をめくるとドングリが隠れてる!」などの声が飛び交
う。競争のように拾い集める子もいれば、なかなか見
つからない子もいたが、助け合ったり、ゆずり合った
りする姿も見られ、目標の1人30個を無事達成した。
③ ドングリの森の観察と自然体験
概 要:・自然遊びやゲーム、観察を通して、ドングリ以外の森
の要素にも目を向ける。
ねらい:・森の土の柔らかさ、フカフカの落ち葉、こもれび、風
の香りを感じ、そこに生息する生きものの観察などを
通して、自分たちがつくる「環境共生の森」の未来の
イメージをふくらます。
子どもたちの様子:
コゲラ(キツツキ)が木をつつく様子を観察したり、
モグラ穴を見つけてきたり、ドングリを拾いながら気
づいたことをどんどんスタッフに質問してくれた。ス
タッフもそれを受けて解説をしたり、自然遊びを促し、
子どもたちの興味や発見を次のステップにつなげた。

④ タネの健康診断

概 要:・ドングリを食べるネズミ・虫の写真や、食べられた跡
のあるドングリを観察しながら、ドングリと生きもの
の関係を知る。
・虫に中身を食べられているドングリを、水に入れたと
きの浮き沈みで確認し、浮くもの(=食べられている
もの)は取り除く。
ねらい:・木にとって赤ちゃんであるドングリも他の生きものに
とっては食べ物であることを知る。
子どもたちの様子:
食べられた跡のあるドングリは「特別なもの」として
大人気。嫌なイメージのあるネズミや虫も写真を見て
「かわいいね」「ご飯なら仕方ないね」などの声があ
がった。健康診断は「そんなに簡単にわかるの?!」
と半信半疑だった子も、やるときは真剣!自分のドン
グリの結果に一喜一憂していた。

⑤ タネまきの説明
概 要:・タネまきの方法を、イラストを使ってわかりやすく説
明する。
・ポットなどの道具を配布する。
ねらい: ・タネまきの方法とポイント、その意味を理解する。
子どもたちの様子:
配られた道具を大切そうに受け取る。1つのボットに
3個ずつドングリを入れ、1人6ポット作成すること
を告げると、昨日先生に習ったばかりの計算式「3×
6=18」を、声を合わせて発表するクラスも!
⑥ いよいよタネをまくぞ!
概 要: ・ポットに土を入れ、ドングリを埋める。
・あらかじめ自分の名前を書いておいた名札をポッドの
1つにたてる。
ねらい: ・タネまきを体験する。
・土や落ち葉とふれあう。
子どもたちの様子:
「球根を植えたときは上向きだけど、ドングリは横向
きなんだね。」
「ここから根と芽が出るんでしょ。くっ
つきすぎると困るかな?」など、ドングリの将来を預
かって真剣な様子。途中、飽きる子も見られたがスタ
ッフのフォローにより全員無事に終了した。

⑦ タネにベッドをつくってあげよう
概 要: ・ポットを園芸用のトレイにならべる。
・トレイの上に土をかけ、落ち葉のマルチングをする。
・スタッフは落ち葉や土の感触・匂いを楽しんでもらえ
るような声かけやドングリが乾燥しないためには適
度な湿度をもった環境が大切であることを伝える。
ねらい:・落ち葉や土でドングリが乾燥から守られていることを
知る。
子どもたちの様子:
「落ち葉をたくさんかけてあげるんだ!」「ずいぶん
たくさんお水がいるんだね。」などの声があがる。自
分のポットに、たくさん落ち葉をかぶせる子もあり、
愛着と責任感が感じられた。

⑧ まとめ
概 要: ・今日の体験を振り返り、これからドングリが生長し、
森になり、ネズミや鳥・昆虫などの生きものたちのす
みかになっていくというストーリーの紙芝居をよむ。
今日はそのための大切なお手伝いをしたことを伝え、
最後にドングリシールをプレゼントする。
ねらい:・ドングリ→芽生え→生長、森の豊かさのお話をし、今
後のプログラムへの動機付けを行う。
子どもたちの様子:
「大きくなってほしいね。世話してあげるんだ。」「こ
のドングリが大きくなるとまたドングリをつけて、ま
た大きな木になるんだよね!」「カブトムシもくる
の?!」などの声があがる。ドングリシールは大人気。
学習効果 ~子どもたちの日記から~

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体験! 気づき! 学び!

●じめんがふわふわでした。 ●じめんの下をのぞいたらドングリを ●うえたあと、おちばをたくさんかけて


みつけました。 あげました。

●ねっこがはえているどんぐりを見ま ●木からどんぐりができてそのどんぐ
●どんぐりをうえました。まずカップの
した。 りからめが出て、また木になるのが
あなにおちばをしいて、つぎに土を
ずっとつづくといいと思いました。
はんぶんぐらいいれます。つぎにど
んぐりを3こいれます。
・・・大きく
そだってほしいと思います。

体験することによって、自ら気づき、学びにつながっています。
学びから、さらに新しい疑問や考えが生まれていることが読みとれる発言もありました。

この4校に引き続き、今後も続々と環境学習プログラム参加団体は増えていく予定です。
「サポート・ボ
ランティア」に登録して頂いた皆様には、まずは、これらの開園準備期における園外での環境学習プログラ
ムからサポート活動から、ご参加いただきたいと考えています。

ドングリを拾って種を蒔き、じっくりと苗木を育て、2 年後には「環境共生の森」に植樹、その後、数年
から数十年に渡って森を育てていく…… という、この壮大なプログラムに「はじめの一歩」から参加して
みませんか……?

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