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「生産システムのリエンジニアリング」抜粋
∼ひ弱な日本的生産技術からの脱却∼
2010年1月10日作成
著者 江口一海
Author Kazumi Eguchi
1994年 日本能率協会マネジメントセンターより出版
「生産システムのリエンジニアリング」
-ひ弱な日本的生産技術からの脱皮-
1.製造業の環境変化と取り巻く状況
2.生産システムと再構築の考え方
・生産システムとは
・企業の全体プロセスを通した生産システムの再設計
・製造業における生産システムの変遷
・生産システム再構築のキーワード
3.生産システムのリエンジニアリングとは
・生産システム・リエンジニアリングのコンセプト
4.生産システム・リエンジニアリングの活動展開
・生産システムのリデザインとは
・新しい価値をつくるバリュー・クリエーションの考え方
・価値とコストの両立
・徹底した効率化を追求するリーン・プロセスの考え方と取組み
5.生産システム・リエンジニアリングの活動軸
6.商品開発でつくり込む生産システムの最適化
・製品構造簡素化技法
・つくり易さの追求
7.規模に依存しない変種変量に耐える効率的な生産方式の追求
8.自主技術に立った投資効率の高い自動化の推進
9.生産機能に立った品質、信頼性の革新化計画と推進
10.人と機械の最適な生産方式の追求
11.製造支援情報システム
12.生産システム・リエンジニアリングの取組みと計画の立て方(要約)
13.生産技術への期待(最後に)
1.製造業の環境変化と取り巻く状況
徹底したコストダウン 価値とコストの両立
量が伸びない時代
差別化(独創技術、製品開発) 技術イノベーション
価格破壊
スピード(CS、環境変化対応) 真の多品種化対応
<従来の取組みと活動>
●従来型のムダ・ロスによる積み上げ型の改善活動
●部門、個人レベルでの部分的な課題解決への取り組み
●戦略と事業の競争条件が不鮮明な中での活動
●実態に合わせた目標設定で、必要性からの目標設定でない
●手法、運動ありきの改善活動
2.生産システムと再構築の考え方
<生産システムとは>
◆生産システムとは:
顧客のニーズ・条件を満足する「生産プロセス(付加価値を生む製品の交換プロセス)」と「生産情報
(生産に必要な技術/管理)」の機能を創り統合化し、「人」、「物」、「設備」、「情報」を有機的に結合
した「ものづくり」の体系的な活動の全体を意味する。
◆これからの競争優位な生産システムの再構築は:
生産を軸に営業から企画/開発、生産技術、生産までの全ての範囲についてその際設計の対象とする。
再構築により、経営力の向上につなげていかねばならない。
企業の全体プロセスを通した生産システムの再設計
POS CAD/CAE
営 業 企画/
IN
設計
流 通 *変種変量に耐える生産方式、体制
*プロセス(物づくり)の高機能、高度化
*フレキシビリティと生産性を両立する自動化
生産管理 生産
*人、機械、環境の調和
技術
*人、物、設備、時間の最適管理
協力会社
・外注
FA
OUT
受入 加工 サブ組立 本組立 試験 出荷
<生産システム再構築のキーワード>
◆量がスローダウンし、固定費負担増大、収益圧迫、円高進行等の1990年代の経営環境の変化を考
えると、1980年代の改善の延長としての自動化、情報化によるシステム・アップだけでは不十分
である。これからの生産システムに求められることは、効果的、効率的に販売、開発、生産を統合し
ていく上で、
①経営資源の効率的な適正化と「人」
、「物」
、「設備」、「情報」の最適な生産システムをつくること。
(Total Efficiency の追求)
②更に、新たな価値の創出(商品及び生産機能)と技術イノベーションによる課題解決を通して、よ
り高度な生産システムをつくること(Effectiveness の追求)を通して、企業環境変化に応え、競争
優位の企業づくりを行なうことを位置づけて捉えていきたい。
生産システム再構築のキーワード
高機能、高付加価値化 ○ 価格破壊
○ 市場創造商品
技術
イノベーション
高度化、最適化
*商品価格の高度化
*生産機能の高度化
*経営資源の適正化(スリム化)
*投資効率の向上
変革
価 値 コスト
1990 年代
スピード 効 率
*自動化
*情報システム化
*生産性向上
*品質向上
FA、CIM
1980 年代
○ 多品種化(量産)
○ 短サイクル、短納期
3.生産システム・リエンジニアリングとは
<生産システム・リエンジニアリングのコンセプト>
Re-Engineering は環境変化と競争優位な条件をつくる生産システムをつくるために、
・白紙に戻って生産資源の再構築を図ること
・新たな価値と競争力を生む機能の開発と強化を行うこと
・徹底したムダのないプロセスの構築を図ること
が必要とされる。常に進化し、自己変革を通した価値と効率の両立が狙いである。
コンセプトと活動軸
製品、組織、プロセスを白
Re-Design 紙に戻って見直し、あるべ
生産方式
価値/CS
き姿、条件への再設計を行
う
製 品
顧客主導に立って、常に新
生産プロセス
たな価値と競争力を生む製
(機能)
Value-Creation 品及び生産プロセス(機能)
の高度化を行う 設 備
効率/生産性
業務及び生産プロセスの徹
Lean-process 情 報
底したムダの排除、効率化
と整流化された仕事及び生
産の仕組みをつくる
リエンジニアリングのコンセプト提唱者であるM.ハマー、J.チャンピーによると、リエンジニア
リングの定義を以下のようにしている。
「リエンジニアリングとは、コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォー
マンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザ
インし直すこと」… リエンジニアリング革命 日経新聞社 P57.
4.生産システム・リエンジニアリングの活動展開
<①生産システムのリデザインとは>
●生産システム・リデザインの展開にあたり、環境変化と競合条件に応えるために白紙に戻って、こ
れからの生産システムのあるべき姿(Vision)を策定することが肝要である。一方、従来の生産資
源を見直し、改めてどのように最適に構築し直していくかを明確に指針化しなければならない。
そのことにより、FA、CIMを含めて既存の生産システム基盤の改善軸が明らかになるし、付加、
強化すべき活動が顕在化できることになる。
生産システム・リデザインの概念
■ 経営全体の効率の向上と環境変化に強い企業体質づくり
*商品開発の高機能化、高付加価値化
*プロセス(物づくり)そのものの工法開発、生産機能の高度化
*フレキシビリティと生産効率の両立化を図る投資効率の高い自動化
■ 受注から企画・設計~生産・出荷の統合管理
*受注から出荷までの一貫した管理
*営業・設計情報と製造ラインを直結
*製造プロセス・自動化を含めたトータル管理・制御
*マン、マシンインターフェイスの向上
■ フレキシブルな高品質・高生産性の生産ライン
*整流化された混流に耐える自動化
*ストレックス、短納期を実現する生産ライン
●生産システム・リデザインの範囲は、生産を軸に営業から企画/開発、生産技術、生産までの全て
の範囲についてその再設計の対象とする。生産システムを生産分野の1機能として位置づけるので
はなく、事業経営の立場から生産システムを全ての範囲との関連で捉えなければならない。
<②新しい価値をつくるバリュー・クリエーションの考え方と取組み>
●生産システム・バリュー・クリエーションは、生産における物づくりのプロセス、条件と仕事の仕
方をその機能に立ってみ直すことにより、環境変化と競争条件に強い生産システムをつくる所にそ
の狙いがある。
●生産システムの高度、高機能により圧倒的なQ、C、D、サービスの向上と高付加価値の物づくり、
商品開発を行うことが製造業の優位化のポイントである。このために生産機能に立って、生産機能
そのものの高度化と改良により、競争優位な物づくりの条件をつくり出すことが期待される。
生産機能に立ったバリュー・クリエーションの取組み
製品機能の高度化
ワーク
工 法 作り易さ
生産機能
設 備 操業条件
品質設計
標準化、共有化
圧倒的なQ、C、Dの (ノウハウ、スキル継承化)
向上
<価値とコストの両立>
顧客ニーズ
欲しい物しか 量が伸びない
買わない
価 値 コスト
顧客に価値 コストを
を提供する 発生する
製 品 生 産
コストを 製品機能
決定する を作り込む
製品機能 生産プロセス
価値を生み出す製品の 付加価値を生む製品の
目的、働き 変換プロセス
・材質 ・工法、製法、処方
・製品構造 ・設備
・部品形状 ・金型、治工具
・諸元 ・操業条件
●商品が成熟した時代は、生産機能を総合的に見直すことによる、商品価値とコ
ストの両立した取組みが必要である。
●そして、生産プロセスの見直しにより、商品開発にドライブがかかる。
<③徹底した効率化を追求するリーン・プロセスの考え方と取組み>
●生産システム・リーン・プロセスとは、企画、開発から生産、販売までの業務プロセス及び生産に
おける物づくりのプロセスにおいて、徹底してムダ、ムリ、ムラを排除し、改善することにより生
産性の高い効率的な業務及び物づくりを実現することになる。
リーン・プロセスの考え方と範囲
顧 客
新製品
IN 企画/開発
営業
オーダー → ○
・コンカレントな
企画/開発~生産体制
○ ○
・顧客ニーズにタイムリーな
引合い/営業~設計/生産
生産管理 生産技術
体制
・ムダのない整流化された受 生産
入から生産・出荷の流れ
OUT
受入 加工 サブ組立 本組立 試験 出荷 商品
→
供給
顧 客
5.生産システム・リエンジニアリングの活動軸
1990年代を勝ち抜くためには、生産方式、製品、生産プロセス、設備、人、情報の生産資源を見
直し、再設計することにより、価値と効率を両立させて環境変化と競争条件(Q、C、D、サービス)
に優位な生産システムをつくりだすことが求められる。
相互に深耕化し、総合化し、伸長を図る活動軸
規模に依存しない変種変量に耐える
Re-Design 生産方式 ⇒
生産方式
開発システムにシフトする高度、最適生産シス
製 品 ⇒
テム
生産プロセス 工法の見直しに立った生産機能、品質
⇒
(機能) の向上、改良化
Value-Design
自主生産技術に立った投資効率の高い
設 備 ⇒
自動化
人 ⇒ 人と機械の最適な生産方式
Lean-Process
情 報 ⇒ 製造支援情報システムの構築
6.商品システムでつくり込む生産システムの最適化
生産システムの高度化、高水準に伴い、商品企画、開発から生産までの一元化設計(コンカレントエ
ンジニアリング)との関連が極めて大きくなっている。開発システムでつくり込む最適な生産化設計
の追求により、品質、コスト、生産性、投入資源の極小化が図られる。
そのポイントは次の通りである。
◆商品全体のシリーズ企画、標準化
◆製品製造の簡素化と共用化の推進
◆つくり易さの追求と最適設計
商品開発でつくり込む生産システムの最適化
時間
商品企画 機能設計
◇ 生産体制、戦略
業務ステージ
シリーズ企画 ◇ 生産工順、生産方式
開 発
◇ 生産機能の限界設計
◇ 工法開発
難技術課題解決
◇ 新設備開発
製品設計
信頼性設計 ◇ 生産ライン、設備編成
◇ 治具、金型設計
VR 企画
◇ 自動化設計
生産設計
◇ 作業性設計
つくり易い設計
◇ S.O.P.
生産化
<製品構造簡素化技法>
製品の多多様化要求に応えながら、効率的に製品と生産システムの再構築を行い、コストダウンを図
らねばならない。
そのために開発された手法が「バラエティ・リダクション(VR)」である。これは製品の多様化要求
を損なうことなく、必要な部品構成のみに部品の半減化を図るもので、製品に対する多様化の要求と
生産側の標準化要求の対立矛盾を克復して、しかも複雑化した製品、生産システムを簡素化するもの
である。
バラエティ・リダクションの展開と関連
顧客からみると必然ニーズ 顧客のニーズを満足させる製品群構造
構造のバラエティを
多品種 ④系列化
増やして多様化
一品化 変動要素 ⑤レンジ化
に対応
最大限の
固定要素 ● 構造の簡素化
製品反復
*バラエティの圧縮
~多機能化
対応
①
固定/変動 ③
不要な 多機能化 ②
バラエティ ユニット
を排除 モジュール化
<つくり易さの追求>
つくり易さを追求する製品設計の見直しのポイント
・部材の加工精度が安定していること
・位置決め(ロケーション)が容易であること
・把持(ハンドリング)が確実かつ正確に行えること
・共通化、共用化等による部品点数の削減が十分なされていること
・1方向からの組み付けができること
・品種変更への切替が容易であること
・部材のセット(配膳)が容易になること(識別、ハンドリング、方法)
・インラインで品質チェックができること
etc.
製品仕様、部品構造の見直し、標準化によるつくり易さの追求
・小さな部品、ブラケットは位置決めや把持が困難なものが多く、製品仕様も含めたこれらの容易化
が必要である。
・樹脂取付部分の共用化、共通化等は一般に見直しの余地は大きい。設計部門と共に部品点数の削減
を推進する必要がある。
・樹脂成形での加工品質レベル(寸法、バリ処理)の向上、維持による組立時のトラブル回避を図る
必要がある。
(内外作見直し、外注指導の強化)
・自社内、協力会社も含めた部材運搬方法(荷姿、通い箱等)の見直しにより、人作業(配膳、オー
ダー変更時の入れ替え等)の容易化を図る必要がある。
etc.
7.規模に依存しない変種変動に耐える効率的な生産方式の追求
●販売量が伸びず、又は減り、一方で品種が減っていない現状(真の多品種少量生産)では、従来の
量の拡大に立った生産方式は、かえって問題が大きく、見直しの時期に来ている。
◆変化、変動に即座に答えられない。
◆量のスローダウンに人を減らせない。
◆ライン内の変動ロスそのものが大きい。
というように、むしろコスト、品質、スピードの全体に対して、デメリットが顕在化するのが実情
である。
●生産方式がどうあるべきかは、各企業の特性により論じなければならないが、従来の直ライン型か
ら、モジュール型、セル型にシフトしている。
<求められる生産方式の具備すべき要件>
①市場の仕様の拡大、変化及び需要の特性(受注変動/新製品立ち上げ)に連動した生産方式
②モデルチェンジに対して変更、改造の容易なライフサイクルミニマムの生産方式
③操業のスローダウンに対して、製造コストの追随が可能な生産方式
④Q、C、Dの保証と管理が工程完結してリアルタイムに把握される生産方式
⑤協力会社、外注の操業、物流効率を合せて重視した生産方式
⑥人作業ネックを排除し、人主導で進められる生産方式
⑦テクノロジートランスファーを容易とするために、プロダクションユニット化できる生産方式
8.自主生産技術に立った投資効率の高い自動化の推進
<投資効率の高い自動化を実現するための要件と条件>
(1) 設備技術から生産技術へ
・ユーザー主導によるつくり易さ、機能品質の与条件確定による自動化の展開
・「工法開発」に展開できる生産技術力の育成
(2) 自主開発による設備の内製化・低コスト化
・ライフサイクルでみた投資効率の高い設備の自主設計
(3) 事前に生産技術課題を顕在化し、設計と改善の同時化を図る
・生産技術課題の層別
・自動化構想の体系づくり
・仕様とコストの適正評価
(4)エンジニアリングイノベーションの推進
<従来の自動化推進の取組み>
●従来から量の増大に合せてコストパフォーマンスの重視の自動化が支配的であったため、残された
自動化工程の作業が3K的でありかつ極めて人依存であるため、自動化そのものが経済的に難しい。
●主加工の自動化は進んでいるが、補助作業・準備作業の人依存度が高く、工程完結した自動化にな
っていない。
●一般的に設備メーカーへの依存度が高く、自社仕様に対する最適性が明確でないため、過剰な仕様
になったり、メーカーの得意技術範囲に甘んじてしまい、ユーザーの期待値とかけ離れてしまう。
(機能/コスト)
●ユーザー側で事前に目的の明確化、及び技術課題の層別ができないため、導入運用後のトラブルが
多発し、追加仕様が多くなる。
●単体での自動化は出来ているが、工場全体の人・物・設備・時間に最適な効率・効果を追求した自
動化システムになっていない。
●需要の変種・変量・変動に合せた設備のフレキシビリティが不足しているため、経済的な運転が出
来ない。
●生産技術イノベーションの戦略的な取組みが不足しているため、社内技術の蓄積・開発力の強化・
人材の育成が進んでいない。
9.生産機能に立った品質、信頼性の革新計画と推進
<革新的な品質、信頼性向上の要件と条件 → 工学的解決法への展開>
(1) 生産機能に立った条件の適正化
●生産機能とは、生産対象(ワーク)を目的状態に交換する働きを意味する。目的状態に変化するた
めには、生産対象(ワーク)に必ず入出力(物質、力、エネルギー)が関与している。
●生産機能まで戻すことにより、生産プロセスの機能の拡大と条件の最適化を、大きく見直すことが
できる。
(2) 自然法則の上に立った課題の構築
●生産機能の成立は、必ず自然法則の上に立っている。一見、複雑化した事象も例外ではない。生産
機能の単位で、自然法則に還元した見方と抽象化を通して、生産機能を再組立することができる。
(3) 知の組織化
●バラバラな知識、経験を集めて、生産機能の再構築の視点で、捉えていくことにより、熟練技術を
含めて、物づくりに携わる者の知識、知恵の組織的な体系化を図ることが出来る。
上記の生産機能に戻して、難技術課題を含めて、幅広く生産プロセスの改良から開発を行う
考え方、方法を工学的解決法と呼んでいる。
<限界にきた従来型の品質・信頼性改善>
①発生型の問題を中心に取り組んできた。
これは、元々設計段階で仕様を落としてしまったとか、劣化を見落としてしまっていたなどという
ように、本来、正しい設計で仕様化されて手が打たれていたら問題が起きなかったものを中心に改
善を進めてきた。
②要因が見えやすく、現場のスキルで対策が打てた。
問題の所在が、誰でも顕在化されているので、正しく問題の発生の原因を探索していけば、いくつ
かの対策の組み合せで解決が出来た。
③上記を推進していく優秀な作業者がいた。
①、②を中心に現場の優秀な作業者を中心に進めていくことが出来た。しかし、生産プロセスその
ものは制御の高度化に伴い、目に見えるところがどんどん狭くなっているし、それをやれる優秀な
作業者が減ってきている。
10.人と機械の最適な生産方式の追求
<人と機械の最適な生産方式とは>
①効率ベースの最適生産方式
*現在の生産方式の考え方は効率(投資効率、生産性)を高めることが基本理念。
→規模の拡大、マスマーケティング、競合の価格競争、多品種、モデルチェンジ競争。
人作業は機械化、自動化できないところを保証。
②人重視の最適生産
*人重視の最適生産は、人作業の能力の最大化、創造性の発揮を基本理念に、将来の製造業の環境
変化に適合させる生産方式とする。
<人と機械のバランスある分担/インターフェイス>
広域・創造的
* システム改良
工程完結保証
* システム条件変更
* システムメンテナンス
* 異常処理
人作業系
*インテリジェント
監 視
* データ処理(品質、設備他)
CIM
* 計画/実績管理
*適応制御
* FA
*AI、エキスパー
* トラブル処理(不安定)
機械維持作業 トシステム
* 生産準備. * 配膳、
部品物流
* FMS
* ハンドリング のシステム化
* 物流
(ローティング、アンローディング)
補助作業
* インライン
* 切粉処理、工具変換
チェッキング
* 段取り
単位(部分)的
* 組付け *MC
手加工・組立 * 手加工 *セル
* 検査
* 単位自動化
上位管理システム
最適条件化
ライン保証
変更処理・
加工・組立
との統合・制御
単位機能
サイクル化
機械化 インテリジェント化
機械系
11.製造支援情報システム
多品種の中での市場の需要変動及び計画変更に仕様・量と納期を保証するために
●変化する販売情報に対応した生産計画変更及び工程内の異常処理に対してのタイムリーに的確な指
示、アクションを行なう。
●設備、物流系の生産システムをリアルタイムに制御・管理する。
●設備のインテリジェント化の推進により、作業者の支援と人本来の作業へのシフトを図る。
<製造支援情報システムの役割と機能>
材支配計画、外注委託計 月~日
画
売
*デーリーの注文情報にもとづ
く出荷指示/納入指示管 ホスト バッチ
理及びデーリーの生産品指 月~日
示、場内実績管理
製造管理システム
*デーリーの生産指示にもとづ ミニコン リアル
く加工、サブ組立、本組立 タイム
の投入順序計画、最適化ス
ケジューリング、実績、進捗管
理 EWS (~時間)
*各制御システムへの生産情報
の指示と実績の確認によ
工
る計画サイクルの完結と計画
変更の全工程指示と確認
場
*各工程の操業、運転管理、
セル リアル
製造支援情報システム DNC 制御、及び設備 NC
タイム
制御実績、品質管理 コントローラ
(~数秒)
(制御システム) *切替条件、品種変更条件
に伴うライン設備のデー
タ処理と制御
*物流制御と資材、原料の
供給指示、次工程指示 PC,NC リアル
*操作、オペレーターの判断処理 タイム
シーケンサー
生 産・物 流 の自動化、ペーパーレス (~秒)
12.生産システム・リエンジニアリングへの取組みと計画の立て方
(要約)
●経営資源をどう組み立て直し、経営競争力につなげていくかの活動であり、
●事業の全体プロセスを通した生産システムの戦略的な再設計が必要である。
●このため、事業単位でまず構想計画を立て、
●やるべき事のしっかりしたマスタープランづくりを行なうことが重要である。
●この際に、環境変化、競争条件を正しく捉えて、
●そのために何をすべきかを白紙に戻って検討する。
●やる事をしっかり共有化、共通化すること。
●コンセプトをしっかり設計して仕組み、構造からして何を変革すべきかを明確にする。
●変革に対して、段階的な活動をどう行なうか。
●段階的な活動に対し、経営期待効果と投入すべき投資はどうあるべきか。
●期待成果の最大化と投資の極小化を行なうために探究すべき課題は何か。
●推進体制はどうあるべきか、について構想し、計画を策定する。
<競争優位な条件をつくるイノベーションの進展>
(競争優位な企業づくり)
・戦略、競争条件 ありたい姿 (世界トップクラスの企業)
経 営 期 待 水 準
・基盤の確立 ・生産技術の高度化・高
水準化
現状の水準
・技術イノベーションの伸長
時 間
13.生産技術の期待(最後に)
●製造業を伸ばすドライビング・フォースが生産技術であり、ものづくりにこだわり、ものづくりを
深耕化し、ものづくりを進化させていくことが製造業の要である。
●そのためには、生産技術者は経営期待、競争条件にこだわり、それに応える物の見方、考え方、行
動が求められる。(戦略的思考)
●これからの生産技術の鍵は、イノベーションにある。特に生産機能に立って、つくり方(工法、方
式、加工条件、操業条件)を白紙に戻して、再組立することが必要であり、このためには、技術者、
技術スタッフ自らが生産現場に立ち、生産機能の高度化を指針化、対策化していかねばならない。
(プロセスイノベーション)
●イノベーションとは、的確な目的づくりと機能に戻した見方から生まれてくる。正しく問題を設定
し、仮説をつくり、構想化し、実証していくプロセスが生産技術者に大事である。
●また、イノベーションとは、相克する矛盾の顕在化により生まれる。価値とコストの両立、生産性
とフレキシビリティの両立、環境とコストの両立など、相克する矛盾を顕在化し、要求条件を事前
に明らかにして、正しく課題化する考え方と姿勢が大事である。(エンジニアリング・イノベーショ
ン)
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