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考える

その導入計画を

不可欠な技術、

インフラ構築に

今後の

特集3

102 IT アーキテクト Vol.17

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その利点、使いどころから、導入時の留意点、
そして導入スキームの立て方まで
サーバを集約し、コスト削減や運用管理の効率化を図るサーバ仮想化。
今日、多くの企業がその導入に踏み切りつつあるようだ。
また、その他のストレージ、ネットワークといったITインフラの各分野でも、
仮想化技術が注目を集めている。
これらの仮想化技術によって構成されるシステム基盤、
すなわち“仮想化プラットフォーム”の整備が、
システム運用の効率化や柔軟性の向上、
さらにはサービス提供の迅速化を実現するうえで、
今後は重要な鍵を握るとされている。
そこで本特集では、仮想化技術の現状を俯瞰したうえで、
特にサーバ仮想化に焦点を当て、
これを企業システムに導入するためのアプローチを紹介する。

小池 和雄 Kazuo Koike

NEC ニューソリューション開発本部 シニアエキスパート

IT アーキテクト Vol.17 103

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の その現状を知り、サーバ仮想化のメリッ
トと導入パターン、そして今後の方向性を探る

Pa r t 1

一口に仮想化と言っても、それが対象とする領域にはさまざまなものがある。
本パートでは、初めに今日、仮想化技術の適用が進められている主な領域について、
それぞれの技術動向を解説する。
そのうえで、マシンの仮想化(主にサーバ仮想化)に焦点を絞り、
そのメリットや導入パターン、今後の課題などについて説明しよう。

注目を集める仮想化技術 の領域でも使われている。例えば、ネットワーク・ハブ上
で複数の論理セグメントを実装する
「仮想 LAN」は古く
 仮想化とは、コンピュータ・システムを構成する各コン から存在し、また近年においては、複数のストレージを
ポーネントの関係を抽象化することにより、何らかの価値 統合的に扱えるようにする
「ストレージの仮想化」
も登場
を得るための技術を指す。今日、この仮想化に多くの関 している。
心が集まっていることは読者もご存じだろう。  これらの仮想化技術の体系をまとめると、図 1のように
 特に現在注目されているのは、マシンとOSの関係を なる。以降、この図に示した各仮想化技術について説
仮想化する
「マシンの仮想化」だが、仮想化はその他 明していこう。

図1:さまざまな仮想化技術

コンピュータ内部の物理構成

CPU

内部バス
マシンの I/Oの
仮想化 仮想化
メモリ ストレージI/O ネットワークI/O

SAN LAN&WAN

ストレージの ネットワークの
仮想化 他の 仮想化
ストレージ
コンピュータ

特集3

104 IT アーキテクト Vol.17

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マシンの仮想化 ーバーヘッドが一切ない高速性がその利点となる。しか
し、ボードが最小の分割単位となるため、システム構成
 マシンの仮想化とは、ソフトウェアの動作環境である の柔軟性に欠けるという課題がある。
OSに対して、マシン
(コンピュータ)
そのものを仮想化す  一方、論理パーティションとは、上記の課題を解決す
る技術である。サーバ・マシンとクライアント・マシンの両 べく、ファームウェアの機能も使って1 枚のボード上で複
方で使えるが、現在はサーバ統合を目的に、サーバ・ 数のマシン環境を構築する方式だ。ファームウェアで処
マシンの仮想化への適用が進んでいる。 理するためにオーバーヘッドは非常に小さいが、CPUも
 マシンの仮想化技術には、パーティショニング技術とし しくはI/Oポートは各環境で共有することができず、分割
てハードウェア/ファームウェアで仮想化を実現するもの 単位ごとに必要になるという制約がある。物理パーティシ
もあれば、VMWare 社の「VMWare」やオープンソー ョンと比べれば構成の柔軟性は高いものの、I/Oの本
ス・ソフトウェア
(OSS)
の「Xen」のように、純粋にソフトウ 数が不足するといった問題が生じやすい。
ェアだけで仮想化を実現するものもある。これらのうち、ま
ずは前者のパーティショニング技術によるマシンの仮想 ソフトウェアを使ったマシンの仮想化
化について説明する。  ハードウェア/ファームウェアを使った仮想化と並ぶ
マシンの仮想化方式が、ソフトウェアによる仮想化だ。こ
物理パーティションと論理パーティション れには、主に4つの方式がある
(次ページの図 3)。それ
 パーティショニング技術を用いてマシンの仮想化を実 ぞれの概要は次のとおりだ。
現する方式には、
「物理パーティション」
と「論理パーティ ●単一カーネル型
ション」の2種類がある
(図2)。  「単一カーネル型」
とは、カーネルのOS空間上に「ゾ
 このうち、物理パーティションでは、CPUとメモリを複 ーン」
と呼ばれる複数の仮想 OS 環境を実現する方式
数搭載したボードを電気的に切り離し、別々のコンピュ である。各仮想OS環境には、個別の資源(CPUやメモ
ータとして動作させる。この方式では、分離された各サ リ)
を割り当てることになるが、I/Oについては共有すること
ーバは基本的に独立することとなり、動作時の性能のオ もできるため、上記のハードウェア/ファームウェアによる

図2:物理パーティションと論理パーティション
物理パーティション 論理パーティション

パーティション1 パーティション2 パーティション3 パーティション4


アプリケーション アプリケーション アプリケーション アプリケーション
ミドルウェア ミドルウェア ミドルウェア ミドルウェア

OS OS OS OS

ファームウェア
(仮想化層)

セル1 セル2 セル3 セル4 セル5


CPU CPU CPU CPU CPU

メモリ メモリ メモリ メモリ メモリ

I/O I/O I/O I/O I/O

ハードウェア

セル単位で構成 セルをまたがって構成(I/Oは分割)

Pa r t 1

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