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【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 併合100年記念の温
度差
2010.5.15 07:42
日韓の歴史では今年が「日韓併合100年」にあたるといって、韓国では何かと動き
が目につく。10日には両国の知識人による記者会見と「併合は無効」とする共同声明
の発表があった。
すでに65年前の1945年に終わっている 併合 を、今さら有効か無効かなどといっ
てもはじまらない話だ。無効だったからといって、併合による日本の韓国支配(35年
間)という歴史的事実が変わるわけでもないが、声明はそれをあらためて日本政府に認
めさせ、留飲を下げよう(?)というわけだ。
この声明発表を韓国マスコミは大々的に報道している。そして日本ではほとんど報道
されないことに不満を表明している。
しかしこの違いは当然だろう。まず日本人の大多数は「今なぜ100年前の話なの?」
とピンとこない。日本での近年の韓国のイメージは、韓流人気のほか経済や文化、ス
ポーツなど元気いっぱいの発展イメージが強いからだ。
100年前の併合(条約)の有・無効など、学者の研究、議論にまかせればいいという
のが正直なところだろう。学問次元の歴史研究での話というわけだ。
今回の知識人声明(日本側104人、韓国側109人)で日本側は、和田春樹東大名誉教
授や大江健三郎氏ら、韓国マスコミも指摘し残念がっているように、ほとんどが左派な
いし進歩的文化人だ。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100515/kor1005150745001-c.htm Page 1 of 2
【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 併合100年記念の温度差 - MSN産経ニュース 10-07-28 2:38 PM
見立てやご託宣が大いにありがたがられ、影響を持つのだ。
歴史的に見て、日本のような武家支配ではなく、韓国では書斎人ともいうべき 文民
エリート が支配階級を形成してきた。その社会的伝統の違いからきているのかもしれ
ないが、韓国の知識人は政治的な発言を活発に行い、相当な影響力がある。
たとえば「第1期日韓歴史共同研究委員会」では、韓国側の学者は途中で平気で国会
議員になっている。先ごろ終わった「第2期共同研究委員会」でも、韓国側メンバーは
今回の声明に堂々と加わっている。
日韓併合条約(1910年)については「第1期共同研究委員会」で研究対象になってい
る。その報告書に詳しい研究、議論が紹介されているが、日本側は「強制性があっても
国際法的には合法・有効で国際社会も認めていた」というのに対し、韓国側は「帝国主
義の植民地支配は悪」という「歴史意識」を強調し、無効・不法を主張している。
学問的にはいまなお、研究者の間で当時の資料や文献研究が続いており、結論など出
ていない。
韓国側で一定の評価を受けてきた戦後50周年の「村山談話」(1995年)は、学者の
間では「併合は合法・有効だが支配は不当」という 中間論 とされている。今回の知
識人声明は「併合そのものが最初から不法・無効」として、あらたに日本政府に「鳩山
談話」を出させようという作戦である。
それにしても今回の日韓知識人たちは何ともノンビリしている。この地域の焦眉の課
題は、100年前の話などではなく、現在の北朝鮮のことではないのか。
過去の韓国の政治状況にはあれだけ「独裁打倒、自由と人権、民主主義を」と叫んだ
り、声明を発表したりした人たちが、現在進行中の北朝鮮の不幸な 実態 には何も言
わないのだ。これでは知識人はうとまれる。
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