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2010/08/27 【デイリー No.

644】最近の指標から見る…

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【デイ リー No.644】最近の指標から見る中国経済(2010年7月)

平成22年8月19日

 平素は弊社をお引き立て賜り、厚く御礼申し上げます。中国国家統計局が11日に発表した7月の各種経済指標などに基づき、弊
社の見方をご報告申し上げます。

<ポイント>
●生産、消費の増加ペースはやや落ち着いたものとなってきましたが、なお高水準です。
●先行きでは輸出額の増加ペース鈍化が見込まれますが、鈍化は緩やかなものとなりそうです。
●物価上昇は前年の反動による押し上げや食品価格が要因で、上昇圧力は次第に収まりそうです。
⇒2010年年初から予想されていた成長ペースの鈍化が見られますが、なお高水準を保っています。

1 .生産、消費の増加ペー ス はなお高水準

①鉱工業生産
 7月の鉱工業生産指数は前年同月比13.4%増と、6月の同
13.7%増から増加ペースは小幅に鈍化しました。鈍化は4カ月連
続です。背景として、自動車生産が同17.1%増と、3月をピークに
増加ペースが一服してきたことに加え、政府の指導による生産調
整が影響してきたことが挙げられます。
 政府方針による生産調整が目立つ分野として、過剰な生産能
力を持ち、エネルギー消費も大きい鉄鋼業が挙げられます。7月
の粗鋼生産は前年同月比で2.2%増の5,174万トンとなりました。
前年同月比から見たピークは4月で同27.0%増、生産量から見た
ピークは5月の5,614万トンでしたが、これらと比較すると大幅な
調整となっています。
 また、一時的な生産活動の鈍化要因として、中国国内では6~
7月に多くの地域で洪水の被害があったことなども指摘されてい
ます。

②小売売上高
 7月の小売売上高も前年同月比17.9%増と、6月の同18.3%増
から増加ペースは小幅に鈍化しました。鈍化は2カ月連続です。
背景としては、都市部における消費活動が小幅に鈍化したことな
どが挙げられます。
 消費活動の主力である都市部の小売売上高は7月に同18.2%
増と、6月の同18.7%増から鈍化しました。全体ではなお高い水
準ですが、内訳を見ると家具や建築材料、娯楽用品、宝石類な
どの伸び率がやや低下しています。大都市では不動産の取引量
が大きく低下し、一部の地域では販売価格に調整が見られるた
め、住宅購入に伴う商品の需要が抑えられた可能性がありま
す。また、不動産価格の調整に対する懸念や世界的な景気回復
ペースの鈍化傾向を受け、消費者の消費意欲も6月までと比較
すると、やや落ち着いています。 (出所)中国国家統計局
 ただし、最低賃金の引き上げなども背景に、家電や自動車など グラフはBloombergのデータを基に
耐久消費財に対する需要は堅調であり、今後も全体では高い成 三井住友アセットマネジメント作成
長ペースを維持し、景気を支えそうです。

2 .輸出額の今後の減少は緩やか、物価は安定

smam-jp.com/…/1211697_1951.html 1/2
2010/08/27 【デイリー No.644】最近の指標から見る…
①貿易統計
 7月の輸出額は前年同月比38.1%増の1,455億ドルと、8カ月
連続で前年同月を上回り、前月に続いて単月の輸出額として
は過去最大を更新しました。その一方で、輸入額は同22.7%増
の1,167億ドルと、6月の同34.1%増から増加ペースは大幅に鈍
化しました。この結果、7月の貿易収支(輸出額-輸入額)は
287億ドルの黒字と、2009年1月以来の高い水準となりました。
 輸入額が鈍化したのは、中国国内で6~7月に多くの地域で
洪水の被害があったことで生産活動が冷え込んだことや、原油
などの商品価格が下落したことが主な要因と思われます。加
工貿易が中心の中国では、輸入が輸出の先行指標とみられる
場合があります。ただし、洪水などの特殊な要因の影響が一巡
すれば、生産活動の回復も見込まれるほか、東南アジアなど
新興国向けの輸出は堅調で、減少幅は限定的なものに留まる
可能性があります。

②消費者物価指数
 7月の消費者物価指数は前年同月比3.3%上昇と6月の同
2.9%上昇から、上昇ペースは加速しました。政府が示している
2010年通年の目標3.0%上昇を超えたものの、3.3%の上昇幅
のうち、2.2%分は比較する前年同月が低かった影響によるも
のです。また、残り1.1%分の上昇の7割程度は食品価格の上
昇が影響したものです。
 2010年後半にかけて、前年実績の低さによる押し上げ効果
は薄れるほか、7月にはエネルギー価格の一服などを受けて生
産者物価の上昇ペースが鈍化していること、洪水など一時的な
要因の影響が一巡すれば食料の供給状況もより改善すると思
われることなどから、物価は2010年を通じて安定的に推移しそ
うです。 (出所)中国税関
中国国家統計局
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成

3 .今後の市場見通し

 経済指標の伸びは2010年の年初から見込まれていたように、徐々に緩やかになってきました。ただし、賃金の大幅な上昇など
が、中長期にわたり国内の消費活動を後押しすることで、中国の成長ペースはなお高水準を保つと思われます。また、世界経済
の回復ペースが鈍化していることもあり、中国政府は人民元の上昇や、政策金利の引き上げなど本格的な金融引き締めについて
は、一層慎重になると思われます。従来から方針を発表していた鉄鋼業などでの生産調整は引き続き行うものの、2010年後半の
中国景気の減速は緩やかなものに留まりそうです。
 中国の株式市場は、大型の増資案件による需給悪化への懸念は一服しましたが、不動産市場の規制強化、世界経済の回復
ペースの鈍化、中国経済の成長ペースの一服などから、短期的には政策動向を見ながら一進一退となりそうです。ただし、中長
期では中国経済の成長力や企業業績の評価に伴い、上昇基調に戻ると思われます。

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2010年08月12日 【デイリー No.640】中国の貿易統計(7月) ~単月の輸出額は過去最大~


2010年08月16日 【ウィークリー No.115】先週のマーケットの振り返り(8/9-8/13)
2010年08月02日 【マンスリー No.23】先月のマーケットの振り返り(2010年7月)
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