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教育方法の変化

 言語教育に限らないが、一般に教育の構図を考える場合に大きくなるのが、図1にも見ら
れるような『生徒―教師―目的』の3つの軸からの考え方である。この3つの軸がどのよう
に関係しているかは従来の考え方、そして現在の考え方は若干変化しているように思われ
る。ここではこの3つの軸の関わりを見てみたい。
 これまで一般的に考えられてきたものが、図2のような関係の考え方である。これは、ま
ず目的が教育の中心におかれ、教師はその仲介者として生徒にはっきりと明示させるもの
である。それに対し、それに変わる新しい考え方が図3のような関係である。これは、生徒が
教師から、または言語資料からもインプットを受け、言語とその使い方や分析、習得の方法
などが相互作用を持つのである。以前の考え方と比べればわかることだが、教師から生徒へ
の片方のベクトルだけだったが、そこから生徒が教師や第2言語へ接すると言う双方のベ
クトルが生まれていることが非常に興味深い。

言語教育の大まかな流れ
 一般的に、言語教育についての大きな流れとして言われているものが、
『全体の把握』

『 細
かな分析』
『分析の統合』といった一連の流れである。これは、言語教育における客観的な 1
つの流れとして一般に知られている。
.1 基本的なイタリア語教育
ここで基本的なイタリア語教育の流れの1例を挙げて見よう。
a. 一般的な動機づけ、テキストへの接近
b. 家出の宿題の訂正からテキストへ接触する
c. 『文法』の面からの『分析>統合>考察』
d. 新しいテキストから動機を新たにする。また、文化的なテーマも導入し、
『書き』につ い
ても意識を持つ
e. 文章を正確に構成する
f. 『書き』の能力の発達
g. 日常の言葉とそうでない言葉の区別。また、文学作品を読み、地理や歴史なども学ぶ。

教授の第1段階
 動機づけ
 言語習得における最初の、そして重要な要素が動機づけである。この動機づけは習得の個
人性の部分で説明したが、心的には『必要』
『嗜好』
『義務』というように分けることができ る
だろう。そして、この動機づけに大きく影響を与えるのが、母語と第2言語との距離であろ
う。一般に学習者は自分を取り巻く環境や、はっきりした過程を持つ学校の授業など、その
他にもテレビや普段のコミュニケーションなどから、学習者は、母語と第2言語の似た部分
と異なる部分を発見し、そこから母語と第2言語の心的な距離を自覚する。こうした心的な
距離の接近が第2言語の習得において大きく影響するのである。

テキストとの接触
 一般にテキストには、
『テキスト』
『コンテキスト』
『パラテキスト』の3つの要素が含ま れ
ている。パラテキストは、タイトルや写真、カットなど社会的な状況を示す言葉や、状況の動
きを示し、コンテキストは、
『いつ』
『どこで』
『誰が』
『何を』
『どのように』
『何のために』とい っ
た具体的な内容の状況を示す。そして、コンテキストのデータではっきりとされ、パラテキ
ストのデータで生徒に示されたコミュニケーションの言葉の構成要素がテキストである。
こうした、テキストを理解する上の前提として、教師と生徒によるお互いの情報の引き出
しといった相互引用や、教師のはっきりした言葉による説明、宿題による理解のガイドが有
効であることを知っておきたい。
具体的に、こうしたテキストの接触において、いくつかのストラテジーが考えられる。例
えば、状況によっては言葉よりもイラストの説明の方がよいといった選択肢の複合性や、
『いつ』
『どこで』
『誰が』
『何を』
『どのように』
『何のために』といった状況を理解するための 質
問の重要性、リスニングや読みの反復や、過剰な強調も挙げられるだろう。

7.教授の第2段階
 テキストからイタリア語の言語構造へ
 ここでは、第1段階から具体的なイタリア語の言語構造理解への流れを見ていきたい。こ
の流れは大きく『注意の喚起』
『コミュニケーションや語彙構造などの表現の固定』
『シミ ュ
レーション行動での再使用』『反復』となっている 。
機能面での分析、統合、考察の技術
実際の機能における技術は次のようになる。
a. 脚色
b. 役割を決めてのトーク
c. 役割を作る
d. 役割を決めてのシミュレーション
e. 一部のせりふからの会話

文法面での分析、統合、考察
a. 文法においての具体的な技術は次のようになる
b. 仮説を立てる
c. 評価する
d. メカニズムの定着に発展する

言語能力の発展
言語能力の発達へ向けて、次の点を注意すべきだろう。
a. リスニングの強化
b. 読みの強化
c. テキストの調合能力の強化
d. 書きの能力の強化
e. モダリティの通過能力

文化的な分析、統合、考察
言語習得において文化面の知識もまた重要な要素である。一般的にはあまり重要視され
ない部分ではあるが、決して軽視してはいけないだろう。

教授の第3段階:評価と自己観察
 言語の評価
 言語的な評価についてまず知っておかなければならないことは、ある人間の言語能力を
完全に評価することはできないということである。例えば、ある言葉を知らなくてもその概
念を知っている場合があるように、学習者のデータからは心理言語学的な性質は不明瞭な
のである。

 テスト
 一般的な評価方法はテストを行うということになるが、どういったものを見ていけばよ
いのか、具体的に見てみよう。
a. コミュニケーション能力の下にあるプロセスのコントロール
ある単元についての深い理解や、テキストを論理的に一貫して見ることができる能
力、重要な情報を選び、その重要度がわかる能力、テキストを分析する能力、翻訳の能力
などが挙げられる。
b. イタリア語の概念、機能、能力、理解、メタ理解の特殊なコントロール
これは、一般的なものだけではなく、教師への助けとなるものである
 それでは、テストの評価について、詳しく見てみよう。
a. 理解能力
これは、語用的なまた『教育的な』意味での理解となる。
b. 書き取りの問題
文法的に正しければいいので、表現のよしあしは見ない。ただ、気をつけたいところ
は、誤りがあった場合、うっかりミスなのか、誤った理解なのかがわからない部分であ
る。
c. 口頭の相互作用の能力
会話に質問などを設けて話す。
d. 書き
要求されたテキストが鮮明であることや、受け手の様子、評価のパラメータをはっき
りすることに注意すべきである。
e. コミュニケーションとは別の部分、副次的な部分を示すもの
f. 社会・文化的な能力の評価
敬語、語彙、声のトーン、ジェスチャー、などが挙げられる。
g. メタ(言語の仕組みを理解する)能力の役割
叙述が正確かどうか示す要求を判断することができる。
 そして、最も重要なことが、学習者がこういった評価を分析し、復習と言う形で得意な部
分をより延ばし、苦手な部分を克服していくことである。
これまで、習得の有効なプロセス・ストラテジーや、イタリア語習得での有効な方法をみ
てきたが、ここで、イタリア語の勉強が人間の一般的な発達をも助ける可能性もあるのでは
ないかといったことも考えられるのではないだろうか。

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