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資料3-1

「資源エネルギー政策の見直しの基本方針」(案)
(エネルギー基本計画見直しに向けて)

平成22年4月19日
経済産業省
目 次
Ⅰ.基本的視点 Ⅲ.目標実現のための取組(続き)
1.はじめに 3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需給構造の実現(続き)
2.総合的なエネルギー安全保障の強化 (3)次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及
3.地球温暖化対策の強化 (運輸部門対策)
4.エネルギーを基軸とした経済成長の実現 (4)高効率給湯器の普及促進(家庭・業務部門対策)
5.安全と国民理解の確保 (5)省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)
6.市場機能の活用による効率性の確保 (6)高効率照明(LED照明、有機EL照明)の普及促進
7.エネルギー産業構造の改革 (家庭・業務部門対策)
(7)モーダルシフトの促進(運輸部門対策)
(8)天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性 (9)環境配慮型建設機械の普及(産業部門対策)
(10)エネルギー需要面の横断的対策
1.2030年に向けた目標
2.エネルギー・ミックスのあり方
4.次世代エネルギー・社会システムの構築
3.政策手法のあり方
(1)次世代エネルギー・社会システムの構築
(2)スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシス
テムの推進
Ⅲ.目標実現のための取組 (3)水素エネルギー社会の実現に向けた取組
1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略
(1)エネルギーの安定供給源確保 5.革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組
(2)国内における石油製品サプライチェーンの維持
6.エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進
(3)緊急時対応の推進
(1)低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
(2)エネルギー国際協力の強化
2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現
(1)原子力発電の推進
7.エネルギー産業構造の改革に向けて
(2)再生可能エネルギーの導入拡大
(1)エネルギー産業を取り巻く環境変化
(3)化石燃料の高度利用
(4)電力・ガスの供給システムの強化 (2)今後のエネルギー産業構造のあり方

8.国民理解と人材の育成
3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現 (1)国民からの理解の促進
(1)世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化(産業部門対策) (2)人材の育成
(2)住宅・建築物のネット・ゼロエネルギー化の推進
(家庭・業務部門対策) 2
Ⅰ.基本的視点

1.はじめに
2.総合的なエネルギー安全保障の強化
3.地球温暖化対策の強化
4.エネルギーを基軸とした経済成長の実現
5.安全と国民理解の確保
6.市場機能の活用による効率性の確保
7.エネルギー産業構造の改革

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Ⅰ.基本的視点

1.はじめに

○ エネルギーは国民生活・経済活動に不可欠な財であり、エネルギー政策の基本は、エネルギーの安定供給
(energy security)、環境への適合(environment)、市場機能を活用した効率性(efficiency)の3Eの実現。
○ エネルギー政策と経済成長戦略との一体的推進が最重要課題。
○ 安全と国民理解を確保しつつ、社会システムや産業構造の改革を中長期的に実現していく視点が不可欠。

経済成長

安全と国民理解の確保 社会システム、産業構造の転換

エネルギー政策

エネルギー 地球温暖化
の安定供給確保 問題の解決

効率性の確保

4
Ⅰ.基本的視点

2.総合的なエネルギー安全保障の強化

○ 資源小国である我が国にとって「エネルギー安全保障」は国民生活・経済活動の根幹を支える重要課題であり、こ
れを官民挙げて確保することがエネルギー政策の基本。

○ 「エネルギー安全保障」とは、資源生産地から国内の最終消費者に至るまで、安定的にエネルギーが供給される
体制を構築するとともに、それが脅かされるリスクを最小化すること。

○ 「エネルギー安全保障」の確立のためには、(1)自給率の向上、(2)省エネルギー、(3)エネルギー源多様化/供給源
の多様化、(4)サプライチェーンの維持・強化、(5)緊急時対応力の確保、の5要素がトータルに確保される必要。

○ 「エネルギー安全保障」を確保していくため、特に諸外国に劣後している自給率については、数値目標を掲げて、
中長期的に向上を目指すべき。資源に恵まれない状況を勘案すれば、自給率とともに、自主開発資源※の調達比
率についても目標を掲げ、我が国のエネルギー供給の自立性を総合的に向上させるべき。

※ 我が国企業による資源自主開発は、その生産・操業に携わっていることから、長期安定的に一定量の資源を確保することができ
る可能性が高く、また、物理的供給途絶のリスク低減、我が国企業の上流開発競争力の向上等にも資する効果がある。

【参考:安定供給をめぐる制約要因】
○ アジアを中心とした海外エネルギー需要の急拡大

○ 新興国も含めた資源確保競争の熾烈化と相対的な日本の資源獲得力の相対的な低下

○ 資源ナショナリズムの高揚と投機資金による資源価格の上昇トレンドと乱高下等、資源獲得に
向けての環境変化

○ 国内における「新たなセキュリティ課題」の顕在化(インフラ老朽化、需要減退下における供給
設備・ネットワークの維持、再生可能エネルギーの導入拡大等)
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Ⅰ.基本的視点

3.地球温暖化対策の強化
○ 温室効果ガスの約9割をエネルギー起源のCO2が占める我が国において、エネルギー政策と地球温暖化対策は
表裏一体。

○ 我が国の地球温暖化対策については、公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意等を前
提として、中長期的に温室効果ガスの大幅削減を行うことが目標。

○ この目標達成のためには、企業、国民、地域におけるエネルギー需給構造の転換を促すとともに、民生・運輸部
門でのCO2削減が急務であることを踏まえれば、社会システム、国民の暮らしにまで踏み込んだ中長期的なエネル
ギー政策を講じていくことが不可欠。

○ エネルギー需給構造の大幅な変革には、電力設備の形成、革新的技術の開発などに相当のリードタイムが必要
となるため、「2030年に向けた時間軸」の中で政策措置を講じていくことが必要。

○ 同時に、国内で世界最先端の省エネ・低炭素技術等の開発・普及を図りつつ、その国際展開を促すことが、地球
温暖化問題の解決と我が国の経済成長を両立させるために極めて重要であることを認識すべき。
【我が国の温室効果ガス削減目標】 【各部門別エネルギー起源CO2排出量(実績)】
中期目標(2020年) エネルギー起源CO2排出量の推移
(百万t-CO2)
→ 全ての主要国が参加する公平かつ 1400.0
2008年度
家庭部門
前年度比 ▲4.9%
実効性ある国際枠組みの構築と各国 1200.0
1990年度
1,138百万
t-CO2
90年度比 +34.2%
1,059百万
の意欲的な目標の合意を前提として、 t-CO2
家庭部門
2008年度
シェア: 15.0%
業務その他部門
前年度比 ▲3.3%
25%削減(1990年比) 1000.0 1990年度 シェア: 12.0%
2008年度
90年度比 +43.0%
1990年度 業務その他部門 シェア: 20.6%
800.0 シェア: 15.5% 運輸部門
前年度比 ▲4.1%
長期目標(2050年) 1990年度
シェア: 20.5%
運輸部門 2008年度 90年度比 +8.3%
600.0 シェア: 20.7%
→ 世界全体の温室効果ガスの排出量 産業部門
前年度比 ▲10.4%
を尐なくとも半減する目標を全ての国 400.0
90年度比 ▲13.2%
1990年度 産業部門
と共有しつつ、80%削減(1990年比) 200.0
シェア: 45.5% 2008年度
シェア: 36.8% エネルギー転換部門
前年度比 ▲5.7%
90年度比 +15.2%
0.0
1990 1995 2000 2005 2008 (年度) 6
Ⅰ.基本的視点

4.エネルギーを基軸とした経済成長の実現

○ 今後、エネルギー分野は、我が国が中長期的に低炭素社会に移行していく中で、新たな技術・製品・システムの
積極的な開発・普及が全国レベルで期待され、我が国の将来の内需の中心的役割の一翼を担う。

○ 海外においても、アジア地域や新興国におけるエネルギー需要の急増に伴うエネルギー・インフラ等への大規模
な投資が見込まれ、我が国の省エネ製品や技術、システムの輸出や現地生産などにより、こうした国の外需を我が
国企業が積極的に獲得していくことが期待される。

○ 新成長戦略においても「環境・エネルギー大国」の実現が目標として掲げられており、エネルギー分野を我が国の
経済成長の中核セクターとしていくため、以下の取組が不可欠。

① 国内において、エネルギー産業構造や社会システムの変革を積極的に推進し、国際競争力のある技術や製
品の市場を拡大しつつ、雇用機会の創出を図ること。

② 競争力のある我が国のエネルギー産業や省エネ製品・技術の海外展開の加速化により、我が国の経済成長
と海外のCO2削減の同時達成を図ること。

○ 他方で、今後、エネルギー分野においては、企業同士はもとより、政府の支援策においても国際競争の激化が予
想されることから、エネルギー分野を真に成長セクターとするためには、エネルギー分野に内外の投資と人材が集
まるような魅力ある環境の整備と投資減税などの大胆な政策措置の導入や、我が国のエネルギー産業や技術・シ
ステムの海外展開を支援する枠組みの強化が必要。

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Ⅰ.基本的視点

5.安全と国民理解の確保
○ エネルギー需給構造が変化する中で安全の確保、エネルギー安全保障強化に向けた取組、地球温暖化対策等
による相応の負担について、国民や産業界の理解と信頼を得るための一層の努力が必要。

○ とりわけ、原子力の安全確保は最優先課題であり、その一義的な責任を負う事業者は、安全規制法令を遵守する
のみでなく、安全文化の浸透や向上、品質保証体制の充実強化、職場で働く者の安全と健康の確保等が重要。

○ 国は、事業者が的確に安全を確保するよう、その事業活動を科学的・合理的に規制していくとともに、その実効性
を確保するため、安全規制に係る技術的、人的な基盤を強化し、安全規制の質の向上に努めるべき。また、原子力
安全規制・安全確保を一層確たるものとしていくため、安全規制の現状を見据えた上で、新たな課題へ不断に対応
していくことが必要。

○ 国及び事業者は、安全確保に向けた取組の透明性を確保するとともに、国民への説明を十分に行うことにより、
安全に対する国民の信頼を確保。さらに、立地地域の住民や国民の保護のため、防災訓練や緊急時の情報提供
機能の向上等、万一に備えた原子力防災対策を実施。

6.市場機能の活用による効率性の確保
○ 国民生活の安定や我が国産業の競争力を強化するためには、効率的かつ透明な市場の整備を通じ、経済効率
的なエネルギー供給の確保が重要。また、資源制約に伴うエネルギー価格の構造的上昇や政策措置の強化に伴
い、エネルギー供給の効率性について国民や産業界の関心が一層高まっていくことを踏まえた対応が必要。

7.エネルギー産業構造の改革
○ 市場の縮小と同時に新技術の普及等に伴い、異業種からの参入や新たな合従連衡が拡がる可能性が高い。

○ 国際市場においては、資源確保を巡る競争の熾烈化に加え、新興国等のエネルギー・インフラ市場を巡って、先
進国の企業間のみならず、技術力をつけてきた新興国企業との競争も激化していく見込み。

○ こうした「エネルギー大競争時代」の到来を踏まえ、従来の業種や事業領域の枠組みにとらわれず、国際競争力
を有し、安定供給とエネルギー効率向上が図られるような産業構造への改革を促すことが重要。
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Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

1.2030年に向けた目標
2.エネルギー・ミックスのあり方
3.政策手法のあり方

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Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

1.2030年に向けた目標
エネルギー需給構造の改革を進めるためには、電力設備等の形成、革新的技術の開発、産業構造や社会システ
ムの転換などの効果を織り込む必要があり、長期的な「時間軸」を意識した政策展開が重要。また、地球温暖化防止
から掲げている2050年に温室効果ガスを世界で半減、先進国は8割削減するという目標と整合的な形で取組を進め
ていく必要がある。
このため、2030年という目標年次を設定し、これに向けエネルギー需給の改革や経済成長の観点から重要な事項
について、政府・事業者・国民が一丸となって目指していくべき目標を掲げる。

(1)エネルギー供給面
○ 従来のエネルギー自給率(現状18%)及び自主開発権益下の化石燃料の引取量(現状約26%)をそれぞれ倍
増させる。これらにより、自主エネルギー比率(注1)を約70%(現状38%)とする。
(注1) 我が国の状況を見つつ、エネルギー安全保障の強化を図るため、従来のエネルギー自給率(国産エネルギー+原子力)に、
自主開発権益からの資源調達を加えた指標。なお、OECD諸国のエネルギー自給率の平均値は約70%。

○ 一層の省エネや電力供給システムの低炭素化の徹底を前提に、ゼロ・エミッション電源比率を約70%とする。
(現状34%)
(注2) 大幅な省エネルギーや、安全の確保を大前提とし、立地地域を始めとした国民の理解及び信頼を得つつ、原子力の新増設
(尐なくとも14基以上)、設備利用率の引き上げ(約90%)、再生可能エネルギーの最大導入が前提であり、電力系統の安定度に
ついては別途検討が必要。

(2)エネルギー需要面
○ 「暮らし」のエネルギー消費から発生するCO2を半減させる。

○ 産業部門では世界最高のエネルギー利用効率の維持・強化を図る。

(3)我が国のエネルギー・環境製品や技術の国際展開
○ 我が国に優位性があり、かつ今後も市場拡大が見込まれるエネルギー関連の製品・システムの国際市場にお
いて、我が国企業群がトップクラスのシェアを維持・獲得することを目指す。
(注3) 上記の目標設定に当たっては、一定のマクロフレームを想定(経済成長率:約2%(2010-2020年)(新成長戦略の姿と同程度)、
1.2%(2020-2030年)。原油価格:約$120/bbl(2020年)、約$170/bbl(2030年)(IEA「World Energy Outlook 2009」より)等。) 10
Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

2.エネルギー・ミックスのあり方
エネルギー安定供給、地球温暖化対策、経済効率性の確保の3Eを実現していくため、以下の基本方針に従い、エネ
ルギー源のベストミックスを確保していくこととする。

【非化石エネルギー】
原子力と再生可能エネルギーについて、最大限の推進を図る。
○「原子力」
供給安定性、環境適合性、経済効率性を同時に満たす基幹エネルギーとして、安全の確保を大前提として、国民
の理解と信頼を得つつ、積極的な利用拡大を図る。

○「再生可能エネルギー」
コストや供給安定性の面で課題はあるが、環境負荷が小さく、多くが国内で調達可能なエネルギーであり、また
新たな市場や雇用機会の創出効果も期待できることから、利用拡大を推進。

【化石燃料】
非化石エネルギーの導入や省エネルギーを最大限進めても中長期的にエネルギー供給の相当部分を化石燃料
に依存せざるを得ず、新興経済国を中心に需要が拡大し、資源獲得競争が激化する中で、安定供給の確保や高度
利用の推進が必要。

○「石油」
国内需要は減尐するものの、輸送が容易でインフラの活用が可能であることから、引き続き基幹エネルギーとの
位置づけ。上流権益獲得の強化、精製部門の競争力強化、全国の需要家への供給網の維持や備蓄の着実な推
進を通じた安定供給確保が必須。

○「天然ガス」
化石燃料の中で最もCO2排出が尐なく、シェールガスなどの新規供給源も立ち上がってきていることを踏まえると、
低炭素社会の実現に向けて、重要なエネルギー源。産業部門の燃料転換、コジェネレーション利用、燃料電池の
技術開発の促進と内外への普及拡大など、天然ガスシフトを推進すべき。
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Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

2.エネルギー・ミックスのあり方(続き)
○「石炭」
環境負荷は大きいものの、コスト・供給安定性の面で優れたエネルギー源であり、CCSやIGCC等地球環境と調
和した石炭利用を確立し、今後も適切に活用が見込まれる中、現時点で世界最高水準にある我が国の石炭利用
技術の競争力を維持し、世界各国に普及させることが重要。

○「LPガス」
分散型エネルギー供給源であり、災害時対応にも優れ、クリーンなガス体エネルギーであり、引き続き活用。そ
の際、家庭用等小口需要に対する配送の低炭素化を進めることが重要。

【水素エネルギー】
あらゆる化石燃料や原理的には原子力、バイオマス等からも製造可能で、利用段階ではゼロ・エミッションのエネル
ギー媒体。技術、コスト、インフラの課題を克服する必要があるが、家庭用燃料電池の更なる普及と、将来は燃料電
池車への活用が期待。

【その他国産エネルギー】
我が国は世界第六位の領海・排他的経済水域(EEZ)・大陸棚を誇り、これらの海域には石油・天然ガスに加え、メ
タンハイドレート資源や海底熱水鉱床等の資源の存在が確認されている。安定的な自らの新たな資源供給源を持ち、
資源・エネルギーの自給率を向上させていくための戦略的取組として、こうした我が国近海にある資源の開発・利用
を促進していくことが必要。

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Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

2.エネルギー・ミックスのあり方(続き) ~今後の電源ベストミックスのあり方

○ 安定供給の確保、環境への適合、経済性の確保と整合した電源のベストミックスを追求。資源・環境制約を克服
し、国民生活の安定、経済成長の基盤となる電力供給システムを構築。可能な限りゼロ・エミッション電源の積極
的導入を図り、電力供給システム全体の低炭素化を促進。

○ 原子力発電
安全確保を大前提に、新増設の推進及び設備利用率の向上等に取り組み、将来にわたる基幹電源として着実
に推進。

○ 再生可能エネルギー
国民負担を勘案しつつ、最大限の導入拡大を図るための政策を総動員する。その際、必要に応じ、出力抑制や
蓄電池の設置等の電力系統安定化対策を実施。更に、将来的には、双方向通信をも活用した電力需給の最適制
御を実現。今後は、スマートグリッドや再生可能エネルギーの導入が進む中、大規模電源と分散型電源のバラン
スの視点も重要。

○ 火力発電
安定供給及び経済性の確保の観点に加え、再生可能エネルギー由来の電気の大量導入時の系統安定化対策
において必要であることから、今後とも不可欠な電源。しかし、発電時に温室効果ガスを排出することから、高効率
化技術等による低炭素化を徹底的に進め、その排出を極力抑制しつつ、適切な活用を図る。

○ 電力需要の伸び率が低下するなかで、電力供給システムの低炭素化を進めるための電源開発は、これまで以
上の説明責任と多大な負担を伴う。そのため、中長期的な電源開発を推進し、安定供給を確保する観点から、事
業者の経営の自主性を尊重しつつ、広域電源の開発や共同開発等を進めていく重要性が高まることが想定され
るため、そのあり方について検討を実施。

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Ⅱ.2030年に目指すべき姿と政策の方向性

3.政策手法のあり方

○ 2030年の政策目標の実現に向け、安定供給の確保、環境への適合、経済性の確保を基本としつつ、規制・予算・
税制・金融措置などの政策を総動員し、最小の国民負担で最大の効果と全体最適が確保されるポリシーミックスを
構築していくことが基本。

○ 特に、本格的な低炭素社会への移行に向けたポリシーミックス構築に当たっては、「規制の強化・見直し」と「支援
の拡大」は不可避であるとの基本認識に立ち、必要な規制的措置の強化の可能性を極力追求しつつ、必要な部分
については大胆な政策支援措置を組み合わせて講じるべき。

○ 厳しい規制措置や大規模な国民負担を伴う施策については、国際的な中期目標の設定の動向や各国との公平
性、各国の政策措置等を踏まえ、産業の国際競争力に配慮するとともに、景気の状況も勘案しつつ、適切なタイミ
ングで段階的に導入することが必要。また、規制の強化に加えて、新たなエネルギー技術等の普及の障害となって
いる規制の見直しも重要。

○ また、政策支援を強化していくための適切な財源のあり方についても真摯に検討していくことが必要。

○ 政策の実施に伴う受益と負担の関係について、国民に分かりやすい透明な形で示しつつ、国民や産業界の理解
と信頼を確保することが重要。

○ 検討中の固定価格買取制度、地球温暖化対策のための税、排出量取引制度については、相互に関連するもので
あり、全体像を明らかにしながら、産業の国際競争力等にも配慮しつつ、整合的なものとなるような制度設計が重
要。

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Ⅲ.目標実現のための取組

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1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(1)エネルギーの安定供給源確保
(2)国内における石油製品サプライチェーンの維持
(3)緊急時対応の推進

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Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(1)エネルギーの安定供給源確保
目指すべき姿
○ エネルギー自給率や自主開発資源比率の向上に向け、以下の政策目標に基づき、中長期的な取組を促進。

○ 化石燃料の自主開発資源比率は2030年に約50%以上(現状約26%)とする。
※ 化石燃料(石油、天然ガス、石炭)の輸入量に占める我が国企業の権益下にあるものの引取量の割合(国産を含む)。これを実現
するためには、石油及び天然ガスを合わせた自主開発比率を40%以上、石炭の自主開発比率を60%以上に引き上げることを目安
とする。

○ ベースメタル(銅・亜鉛)の自給率は2030年に80%以上とする。

○ レアメタルについては、需要拡大の見込みや特定国への依存度、供給障害リスク等を踏まえ、政策資源の集中
投入が必要と考える「戦略レアメタル」(レアアース、リチウム、タングステン等)について、リサイクルによる供給源
確保(『都市鉱山』)や代替材料開発も加味した上で自給率を2030年に50%以上とする。また、こうした条件を満た
さないものの、戦略レアメタルとなる可能性の高いレアメタルを「準戦略レアメタル」(ニオブ、タンタル、白金族等)
として、常にその動向を注視。

○ また、原子力の利用拡大に伴って重要となるウラン燃料については、オーストラリアやカザフスタン等の賦存量
が多い国々との協力関係の強化を図るなど、安定供給に向けた取組を強化。

○ 資源開発プロジェクトは、巨額かつ長期の投資を必要とするもの。資源価格の不安定化は、潜在的投資家の投
資判断を困難にするものであり、資源価格の安定化に向けた取組が必要。

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Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(1)エネルギーの安定供給源確保
実現に向けた基本戦略

①資源国との二国間関係の強化
・ 新興経済国における需要増や、新たな資源国の登場により、石油・天然ガス、レアメタルなどの資源は国際的な戦
略物資となり、資源確保をめぐる競争は「国」対「国」の総力戦になっており、より高いレベルの資源国との戦略的二
国間関係の構築(資源外交の推進)が必要。
・ このため、戦略的に重要な資源国との関係では、エネルギー分野を超えた相手国側のニーズを踏まえ、資源開発
分野におけるJOGMECのリスクマネー供給支援はもとより、ODA・政策金融・貿易保険などの様々なツールの戦略的
な活用を通じて、政府が一体となって取り組むとともに、我が国の『魅力』の最大限の発揮を目指して、官民の連携を
深化。

②我が国企業による上流権益獲得に向けた支援
・ 新興国を始めとする資源国において資源ナショナリズムが台頭する中、我が国が資源を獲得するためには、政府
が最前線に立った取組が必要。また、我が国資源開発企業は、元国営企業の資源メジャーや新興経済国の国営企
業との比較で財務基盤が20分の1から30分の1のレベルにあり、政府による権益獲得支援が必要。
・ また、こうした観点から、専門家集団として資源開発の豊富な経験と技術力を有するJOGMECを通じた、技術支援
やリスクマネー供給等のサポートを行うことで、我が国民間企業による権益取得の取組を積極的に支援。

③レアメタル等鉱物資源の確保
・ レアメタル等の資源保有国には発展途上国が多いこと等を踏まえ、資源国のニーズが高い産業振興、人材育成、
地域インフラ整備等の協力も、官民の様々なリソースを投入して強力に推進。
・ 我が国の鉱物資源開発の強みである環境保全や優れた探査・回収・製錬技術等を最大限活用するとともに、我が
国企業の国内需要を戦略的に活用し、製造業等の最終需要家も巻き込んで我が国のサプライチェーン全体での権
益確保や長期安定需要の実現に向けた取組を開始。

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Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(1)エネルギーの安定供給源確保

実現に向けた基本戦略

④海洋エネルギー・鉱物資源開発の強化、及びレアメタル・リサイクルや代替材料開発の推進
・ 日本近海では、石油・天然ガスに加え、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などのエネルギー・鉱物資源の存在が確
認されてきており、我が国にとっての新しい安定的な供給源となるポテンシャルを秘めている。
・ 石油・天然ガスについては、三次元物理探査船「資源」を活用しつつ、我が国近海における資源探査の拡充を図る。
また、探査の結果有望なエリアが発見された場合には、試掘の実施等新たな供給源の確保に向けて取り組む。
・ メタンハイドレート資源及び海底熱水鉱床については、今後10年程度での商業化実現に向けて、陸上・海洋での産出
試験の実施等、技術開発、実証に積極的に取り組む。
・ また、複数の重要なレアメタルを多く含むコバルトリッチクラストについては、排他的経済水域内及び公海域の有望海
山における資源量把握調査や採掘に伴う環境影響調査を加速することにより、早期の鉱区取得を目指す。
・ これら我が国近海での資源開発を円滑かつ戦略的に推進するため、探査・開発に係る制度を整備。
・ 携帯電話や小型家電をはじめとしたレアメタル等を高濃度に含む製品等のリサイクルを推進するために、資源有効
利用促進法の活用等を含めた、回収システムの構築に必要な制度的措置の検討や技術開発の支援など、総合的な対
策を講じるとともに、レアメタル代替材料開発プロジェクトを実施。

⑤石炭の安定供給確保
・ 世界的に希尐で、鉄鋼原料として不可欠な原料炭を中心に、石炭の安定供給確保のため、モンゴル、ロシア、南部ア
フリカ等のフロンティア国を含め、産炭国との重層的な協力関係を強化。
・ 我が国の優れたクリーンコール技術の更なる革新を図るとともに、自国内でも多量の石炭を消費する産炭国への技
術協力を実施することにより、産炭国との関係を強化。
・ 産炭国において未利用な低品位炭について、我が国のガス化技術等により有効利用を進め、産炭国におけるエネル
ギー需給を緩和させるとともに、将来的に我が国への新たなエネルギー供給源とすることを目指す。

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Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(1)エネルギーの安定供給源確保

実現に向けた基本戦略

⑥ウラン燃料の安定供給確保
・ 国内向け原子力エネルギーの調達という狭義の安定供給のみならず、我が国原子力産業の国際展開に伴う海外
向け供給も視野に入れた安定供給との観点から、ウラン鉱山開発から濃縮・再転換に至るまでの我が国のフロント
エンド全体の脆弱な部分を把握し、総合的なリスク分析と対応方針を検討。具体的には以下の政策措置を検討。

「ウラン鉱石」:鉱山開発・権益確保に向けた国内体制強化や、JOGMEC等公的ファイナンスツールの強化。
「濃縮」:国内濃縮設備の増強、国外濃縮企業との戦略的提携(資本参加)、調達先の多様化。
「備蓄」:濃縮ウラン備蓄の実現。国際的議論(核燃料供給保証)への積極的貢献。
「輸送」:輸送リスク軽減のためのルートの複線化に向け、FSやトライアルの実施。

⑦市場安定化に向けた取組
・ 金融市場からの資金流入により、資源価格が過度に変動するようになっており、安定的な開発投資・将来の安定
供給の阻害要因となっているため、先物取引の透明性向上等、市場の安定化に向けた取組を推進。

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Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(2)国内における石油製品サプライチェーンの維持
目指すべき姿
エネルギー安全保障を強化していくためには、石油製品の「サプライチェーンの維持」は重要な課題。原油の重質化
や需要減退等の構造的変化を踏まえ、石油事業者が行う重質油分解能力の向上、精製機能の集約強化等の抜本的
な構造調整等を促進し、競争力を強化。

実現に向けた基本戦略
①国内における石油の安定供給を担いうる石油精製業の構築
新興国を中心とした世界的な石油需要の増加、供給される原油の重質化・国内需要の白油化及び構造的な減尐、
海外における大規模かつ最新鋭の製油所の新増設など、石油をめぐる諸情勢を踏まえ、以下の取組を実施。
1) 重質油分解能力の向上や、石油化学等の異業種との戦略的連携による石油コンビナート全体の競争力強化・精
製機能の集約強化による経営基盤の強化。
2) 国内石油製品需要の変化(白油化)及び構造的需要減等に対応した競争力のある精製能力の確保。
3) 低品位な石油留分から付加価値の高い石油留分を製造する技術や、重質油やオイルサンド等非在来型原油の利
用性を高めるための技術等、革新的な石油精製技術の開発。
②全国をカバーした石油製品・LPガス流通網の維持
・ 石油製品は、構造的な需要減退が見込まれる一方で、引き続き、経済活動や社会生活に不可欠な物資として、安
定供給確保が必要。石油販売業は、年間2,000件程度のSSが減尐するなど、過当競争が激化し、経営基盤が脆弱
化している中で、今後とも石油製品を消費者に供給するサプライチェーンの一翼を担う役割が求められる。このため、
品質や価格等に関する公正・透明な競争環境の整備を図るとともに、政府の適切な支援の下、流通合理化やEV対
応等の新たなビジネスモデルの構築を通じた経営基盤強化、地域社会と共生していくための環境対応、SS過疎地・
離島対策などを推進。
・ LPガスは、配送の低炭素化を進めるとともに、取引適正化等を通じた流通網を維持。
③石油産業の設備等を活用した水素の供給インフラ整備
・ 製油所の水素製造装置(装置余力だけでFCV500万台分の水素生産が可能)を活かし、安定・安価な水素製造を可
能とするため、高効率・高品質の水素製造技術の開発やCCSと組み合わせたカーボンフリー化の検討を促進。
・ 2015年の燃料電池自動車の普及開始に向け、水素ステーション等の供給インフラのコスト低減のための規制見直
し、技術開発を積極的に進め、将来的には石油燃料に加え、水素、電気も供給するマルチステーションを整備。
21
Ⅲ-1.資源確保・安定供給強化への総合的戦略

(3)緊急時対応の推進
取組の方向性
○ 中東依存度の高止まり等、我が国の脆弱な石油供給構造を踏まえれば、石油・石油ガス備蓄は国家エネルギー
セキュリティの最後の砦。また、我が国の備蓄はIEA(※)による国際協調の下で行われており、我が国はその恩恵を
最も享受する可能性があることから、今後とも、IEAの枠組みの実効性確保のため、率先して石油・石油ガスの国家
備蓄を着実に実施していくことが必要。
(※) IEAは、加盟国に対し、90日分の緊急備蓄を義務づけ。これを公的備蓄で保有することを原則。また、緊急時初期対応のため
90日を越える備蓄水準の確保を推奨。

○ 具体的には、我が国のエネルギー安全保障を確保する観点から、今後ともIEAが求める90日+α (過去3年間の純
輸入量の平均を基礎に、IEA換算方式で算定。α は緊急時初期対応用として10日程度)に相当する国家石油・石油ガス備蓄量
を確保するとともに、その安全かつ効率的な維持・管理に努める。

○ アジア地域全体において十分な備蓄が確保されていないことから、アジア地域全体としてのセキュリティの向上を
目指し、ASEANにおける石油備蓄ロードマップの策定を通じた、ASEAN各国の備蓄を促進。また、産油国との関係
(※)
強化と我が国の緊急時対応能力強化とが同時に達成可能な、国内原油タンクを活用した産油国共同事業 も推
進。
(※) IEAの備蓄日数にはカウントされないものの、緊急時に優先供給される産油国原油が貯蔵されるため、一定量(常に産油国に
提供したタンク容量全量の原油が貯蔵されているわけではないことから、例えば提供したタンク容量の半分程度)については、
「事実上の国の備蓄」と認識可能と考えられる。

○ レアメタルのうち、偏在性が高く、我が国産業界のハイテク製品製造に不可欠な物資となっているものについては、
緊急時に備え、その対応能力を確保しておくことが、これまでにも増して重要。このため、中期的な需要動向等を踏
まえ、供給障害に備える必要があるものについて、備蓄目標を設定し、機動的な積み増しや放出が可能な国家備
蓄制度を構築。

22
2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(1)原子力発電の推進
(2)再生可能エネルギーの導入拡大
(3)化石燃料の高度利用
(4)電力・ガスの供給システムの強化

23
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(1)原子力発電の推進
目指すべき姿
○ 原子力は供給安定性と経済性に優れた準国産エネルギー。発電過程においてCO2を排出しない低炭素電源とし
て、我が国の中長期的な基幹電源を担うものであり、安全の確保を大前提とし、立地地域をはじめとする国民の理
解・信頼を得つつ、需要動向を踏まえた新増設の推進、設備利用率の向上及び原子力発電の優位性をさらに高め
る核燃料サイクルの確立など、原子力利用を着実に推進することが必要。
○ 今後の原子力推進に向け、供給計画を踏まえつつ、以下の目標の実現を目指す。
 2020年までに、9基の原子力発電所の新増設(設備利用率約85%)
(現状:54基稼働、 2008年度:設備利用率約60%、1998年度:設備利用率約84%)
 2030年までに、尐なくとも14基以上の原子力発電所の新増設(設備利用率約90%)
 水力等に加え、原子力を含むゼロエミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%とする。

実現に向けた基本戦略
○ エネルギー供給構造高度化法を活用した、ゼロエミッション電源比率目標達成(2020年まで)に向けた電気事業者
の取組の促進

○ 新増設・リプレース、設備利用率向上等を着実に推進するための基本的取組
 既設炉の廃止措置等も踏まえた計画的な新増設・リプレースのための投資環境の整備に努める。
 設備利用率の向上については、安全安定運転の実現・継続と立地地域等の理解が基本。事業者は、自主保
安活動等の取組を強化しつつ、新検査制度の導入や運転中保全の実施・拡大を着実に推進。
 事業者の取組を後押しするために必要な支援を行うとともに、エネルギー供給構造高度化法に定める判断基
準を通じ、設備利用率向上や新増設等を推進することを検討。
 日本原子力技術協会による発電所の運営実績評価や国による保安活動の総合評価等を踏まえ、ベストプラク
ティスの共有や運転管理等の改善を促進。
 原子力人材育成プログラムを拡充し、大学等の教育の質的向上を図るとともに、熟練の技術を有するシニア
人材も活用。
 以上の取組等により、安全安定運転の実現・継続の結果として、2030年には、平均18か月以上の長期サイク
ル運転を達成し、定期検査による発電停止期間が平均2か月程度以内となることを目指す。
24
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(1)原子力発電の推進
実現に向けた基本戦略(続き)
○ 新増設・リプレース、設備利用率向上等に向けた立地地域との相互理解の促進
 国及び事業者は、立地地域住民との「信頼関係の構築」により重きを置き、立地地域に向けた広聴・広報の充
実を図る。
 事業者は、原子力施設運営の将来ビジョンを持ち、地方自治体等との相互理解を得るよう努める。
 国と地方自治体との間で、原子力が有する国家レベルでの政策的重要性について認識の共有に努める。国や
地方自治体と事業者との関係について、不断の取組により、より望ましい関係の構築を目指す。
 国及び事業者は、地元のオピニオンリーダーの活動支援、立地市町村だけでなく立地道県の他地域も視野に
入れた立地地域向け広聴・広報、新たな政策課題についての説明資料の充実等を行う。
○ 電源立地交付金制度の更なる改善等
 原子力発電所の新増設やリプレースを促進するための方策を検討。
 原子力発電所の運転段階における交付金額の算定にあたり発電電力量に傾斜配分する見直しを検討。
○ 最新の知見やデータを活用した科学的・合理的な安全規制の充実に向けた対応
 設計・建設・製造段階における品質保証の考え方の導入や、大きな地震動を受けたプラントの点検方法に関す
る学協会規格の整備推進や、トピカルレポート制度の対象分野の拡充、リスク情報の活用等について検討。
 運転中保全について、リスク情報の活用の考え方等の整理を含め、速やかに検討。
○ 安全規制に関する国と事業者等との対話の深化
 安全規制の効果的な実施、規制課題への取組の推進等のため、規制当局と産業界との対話を開始し、継続
的に深化。
○ 情報の受け手に応じたきめ細かな広聴・広報活動の実施
 国は、一般国民向けの広聴・広報について事業者等との連携を強化し、そのPR効果がより高まるよう工夫。ま
た、次世代層への原子力教育を重点的に推進。
○ リプレース需要の本格化に対応するための次世代軽水炉等の技術開発
 次世代軽水炉開発に関する中間的な総合評価を踏まえ、国、事業者、メーカーが連携し、新技術の具体的な導
入計画を2010年度中に明らかにする。国、事業者、メーカーは、中間的な総合評価において魅力的なプラント概
念であること等を条件に、次世代軽水炉を有力な候補と位置づけた導入見通しを2010年度中に明らかにする。
25
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(1)原子力発電の推進
実現に向けた基本戦略(続き)
○ ウラン鉱山開発、濃縮、輸送等、ウラン燃料の安定供給に向けた取組の強化
 ウラン鉱山開発については、生産開始遅延、事業中断等の事業リスクを軽減するため、JOGMEC等の公的資
金を活用する。NEXIについては投資先国政府等の政策変更のリスクまでてん補範囲を拡大することを検討。
 ウラン濃縮について、国は、事業者による海外の濃縮事業者との連携など濃縮分野の取組みの強化を、NEXI
等を活用して積極的に支援。
 国と事業者は、ウラン燃料の輸送リスクを軽減するため、経済性・安全性の観点から新たな輸送ルートの確立
等に向けた議論を実施。

○ プルサーマルを含む核燃料サイクルの早期確立
 六ヶ所再処理工場の円滑な竣工・操業開始に向けて、国、研究機関、事業者等の関係者が連携し、残された技
術的課題の解決に一体となって取り組む。
 使用済燃料の貯蔵容量拡大は、中長期的に各発電所共通の課題であり、国、事業者等の関係者は、貯蔵事業
としての中間貯蔵という形態に限らず、広く対応策を検討。
 プルサーマルの計画どおりの実施のため、国及び事業者が連携して、地元申入れに向けた理解促進活動など
の取組を推進。
 高速増殖炉サイクル実用化に関するこれまでの研究開発の成果を踏まえ、2010年度に革新技術の採否判断等
を行う。また、実用化を一層円滑に進めるため、進捗に応じたプロジェクトの進め方、役割分担等を検討。

○ 高レベル放射性廃棄物等の処分事業の推進に向けた取組の強化
 放射性廃棄物の処理・処分対策について、早期の文献調査着手に向けて、全国レベル及び地域レベルの双方
で、国民との相互理解を進めるため、原子力発電環境整備機構(NUMO)や事業者等と連携しながら、広聴・広
報活動を充実化(双方向シンポジウムの開催、地域での勉強のための専門家招聘支援の創設など)。
 高レベル放射性廃棄物等の処分事業が円滑に実施できるよう、国は必要な研究開発に取り組んでいく。また、
海外の処分事業関係者を招聘して意見交換を行い、相互理解を深める取組、地域共生のあり方等を共有。

26
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(2)再生可能エネルギーの導入拡大
目指すべき姿

○ 再生可能エネルギーは、地球温暖化対策、自給率向上、エネルギー源多様化、環境関連産業育成等の観点か
ら重要であり、立地地域の理解の下で、固定価格買取制度の構築等により導入を図るもの。

○ そのため、再生可能エネルギーの導入拡大に当たっては、全量固定価格買取制度の構築、導入設備の設置促
進、電力系統の整備、規制の適切な見直しその他必要な施策を実施。導入見通しの設定及び具体的な施策につ
いては、今後、全量固定価格買取制度等に関する検討を踏まえつつ、更に議論を実施。
(平成22年3月24日「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」の試算において、制度開始後
10年目に導入量を3,102万kW~3,773万kW、必要な負担額を世帯当たり月159~522円とするオプションを提示。)

○ バイオ燃料について、LCAでの温室効果ガス削減効果等の持続可能性基準を導入。同基準を踏まえ、十分な温
室効果ガス削減効果や安定供給、経済性の確保を前提に、2020年に全国のガソリンの3%相当の導入を目指す。
さらに、セルロース、藻類等の次世代バイオ燃料の技術を確立することにより、2030年に最大限の導入拡大を目
指す。

○ ゼロ・エミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%とする。(再掲)

27
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(2)再生可能エネルギーの導入拡大
実現に向けた基本戦略
(1)再生可能エネルギー毎の特性と普及に向けた課題
○太陽光発電:大幅な発電コスト低下が期待。住宅・非住宅とも潜在的な導入量が大きい。産業の裾野が広い。
(課題)発電原価が他の発電方式に比べ高い。

○風力発電:相対的に発電コストが低く、事業採算性が高い。洋上風力などの新技術も登場。
(課題)立地制約(風況・自然公園・景観・バードストライク・騒音問題等)、発電コストの逓増。

○地熱発電:安定的な発電が可能であり、技術的にも成熟。国内に豊富に存在。
(課題)立地制約(自然公園、温泉地域等)が大きく、今後発電コストが逓増する可能性が高い。

○水力発電:安定的な発電が可能であり、技術的にも成熟。中小水力発電への関心の高まり。
(課題)立地制約が大きく、今後発電コストが逓増する可能性が高い。

○バイオマス発電、熱利用:種類・利用方法によりコストが大きく異なる。
(課題)今後の支援制度如何によって、輸入原料の導入が増え、国内のバイオマス産業に影響を及ぼす。発電・
熱利用・マテリアル利用などと競合する可能性あり。

○空気熱利用・地中熱利用等:給湯器・空調等に利用されるヒートポンプ技術は国際的に優位。
(課題)燃焼式暖房・給湯に比べて初期コストが高い。

○太陽熱利用:エネルギー変換効率が高い。
(課題)給湯器や空調と組み合わせたシステムの初期コストが高い。

(2)固定価格買取制度の構築
現行制度の実績や諸外国に動向を踏まえた、我が国の実情に即した固定価格買取制度を構築。
(再生可能エネルギーの全量買取制度については現在プロジェクトチームにおいて検討中)
28
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(2)再生可能エネルギーの導入拡大
実現に向けた基本戦略
(3)系統安定化対策
再生可能エネルギーが大量に電力系統へ接続されると、余剰電力の発生や周波数変動等の安定供給上の問題
が生じる可能性がある。よって、再生可能エネルギーの導入状況を見ながら、出力抑制や蓄電池の設置、系統運
用ルールの見直し、送配電系統の強化及び高度化等の系統安定化対策を実施。
(4)導入支援策
初期コスト低減による普及拡大のための措置、導入可能性調査等の実施。
(5)技術開発・実証事業の推進
太陽光発電、洋上風力発電、バイオガス、海洋エネルギー、蓄電技術等の技術シーズの発掘、研究開発及び、
実証事業を強化することで、我が国における再生可能エネルギー技術が不断に生み出され国内外での普及につな
がる一貫した施策体系を整備。
(6)規制緩和の推進
自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の設置許可の早期化・柔軟化、河川水の取水許可の柔軟化等に
よる小水力発電の導入円滑化等の実施。
(7)再生可能エネルギー熱の利用
太陽熱やバイオマス熱利用等の導入拡大に向けた取組、グリーン熱証書の更なる利用拡大に向けた証書対象範
囲の拡大や認証基準の作成等の取組の実施。
<バイオ燃料>
(8)2020年に向けて、 LCAでの温室効果ガス排出削減効果等の持続可能性基準を導入し、十分な排出削減効果、エ
ネルギーセキュリティの確保、経済性の3点等を前提に、既に利用可能なバイオ燃料を活用して、段階的な導入拡
大を図る。そのために、必要となるバイオ燃料の製造・混合設備等のインフラ整備を図る。
(9)2030年に向けては、草木のセルロース系バイオエタノール、藻類系バイオ燃料等の次世代バイオ燃料の技術開
発を促進するとともに、国産の増産・開発輸入の促進により、安定的な調達源を確保するべく取り組む。
<ガス分野におけるバイオガス利用>
(10)エネルギー供給構造高度化法によるガス事業者へのバイオガス利用目標を設定。下水処理場や地方自治体と
も連携しつつ、都市ガス導管注入実証事業、精製設備の高効率化技術の開発等を通じ、これらの成果等について
事業者等に情報提供を実施。また、グリーン熱証書の活用等を通じ、バイオガスのオンサイト利用を促進。また、LP
ガスについて、バイオガスとの混合利用等により非化石エネルギー源の利用に取り組む。 29
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ 太陽光発電の買取制度 ○ 家庭・公共施設への太陽 ○ 再生可能エネルギーの大
開始 (09.11.1~) 光パネルの飛躍的な導入 幅導入拡大措置
○ 再生可能エネルギー全量 拡大支援 ○ 洋上風力発電等の技術
買取制度実施のための法 ○ 再生可能エネルギー全量 開発・実証研究を進め、実
制度整備 買取制度実施のための法 用化
○ 太陽光発電等の導入拡 制度整備 ○ 次世代太陽電池の研究・
普 大支援 ○ 洋上風力等の技術開発・ 開発による抜本的高性能・
及 ○ 非化石エネルギー法に基 実証研究を進め、実用化 低コスト化の実現
拡 づく非化石エネルギー供給 ○ 次世代太陽電池の技術 ○ 革新型太陽光発電等の
大 技術開発の実施
の 目標の設定 開発・実証研究を進め、実
た ○ 洋上風力等の技術開発・ 用化
め 実証研究の実施

措 ○ 次世代太陽電池の研究
置 開発による抜本的高性能・
低コスト化を実現
○ エネルギー供給構造高度
化法を活用した、ゼロ・エ
ミッション電源比率目標達
成(2020年まで)に向けた
電気事業者の取組の促進

○ 再生可能エネルギー導入 ○ 再生可能エネルギー導入 ○ 太陽光発電の普及拡大を ○ 通信機能による再生可能


促進のための諸規制の見 促進のための諸規制の継 前提とした新築住宅におけ エネルギー等の出力抑制の
直し(自然公園法等) 続的な見直し(自然公園法 るネット・ゼロ・エネルギー・ 導入and/or蓄電池等の設
そ ○ 太陽光発電の出力抑制 等) ハウスの標準化の検討 置

他 に向けた具体的な制度設 ○ 太陽光パネル施工者に係 ○ 太陽光発電の出力抑制
の 計and/or蓄電池による系 る資格制度創設 の開始and/or蓄電池の設

置 統安定化対策の検討 ○ カレンダー方式による太 置
○ 系統運用ルールの見直し 陽光発電の出力抑制を行
○ グリーン熱証書の更なる うための機器の仕様の確
利用拡大に向けた取組 定・普及and/or蓄電池設置 30
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

施策アクションプラン(バイオ燃料)
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ エネルギー供給構造高度 ○ 国産バイオ燃料の増産、 ○ 全国のガソリン3%相当の ○ LCAでの十分な温室効
化法に基づく導入利用目 開発輸入の促進 導入 果ガス排出削減効果、エネ
標の設定 ○ セルロース系バイオエタ ○ 国産及び開発輸入の比 ルギーセキュリティ、コスト
○ LCAで50 %以上の温室 ノールの技術の確立 率50%以上の達成 低減の3点の確保の状況を
効果ガス排出削減効果等 ○ アジア域等でのセルロー ○ セルロース系バイオエタ 見極めつつ、導入拡大
の持続可能性基準の導入 ス系バイオエタノールの生 ノールの本格増産 ○ BTL及び微細藻類による
○ セルロース系バイオエタ 産プロジェクトの展開 ○ BTL及び微細藻類の研 バイオ燃料の本格的増産
ノールや藻類等の次世代 ○ バイオマスのガス化、液 究開発の本格化
バイオ燃料の技術開発の 体化(BTL)及び微細藻類
推進 の研究開発の推進

施策アクションプラン(バイオガス)
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ エネルギー供給構造高度 ○ 都市ガス導管直接注入実 ○ 都市ガス事業者によるバ ○ バイオガスの導管注入の
化法に基づくガス事業者に 証事業の成果の普及 イオガスの導管注入の実 拡大
よるバイオガスの利用目標 (下水汚泥の高効率バイオガ 施
の設定 ス化等に適用可能な新技術 ○ 高効率メタン発酵技術、
○ 都市ガス導管直接注入実 開発、実証、評価、導入加速 高効率精製設備の開発の
証事業の本格実施 のためのガイドライン策定) 確立
○ バイオガス有効利用に向 ○ 実用化技術開発の本格
けた導入補助、研究開発 開始(精製技術、小規模メ
等支援 タン発酵装置の低コスト
○ 関係省庁と連携した導入 化)
事例等情報提供の実施 ○ バイオガスのオンサイト利
○ グリーン熱証書を活用し 用の拡大
た制度の構築 ○ LPガスの非化石エネル
○ LPガスの非化石エネル ギー源利用に向けた導入
ギー源利用に向けた研究 等支援
等支援 31
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(3)化石燃料の高度利用 ①火力発電の高度化
目指すべき姿
火力発電は、エネルギーセキュリティ上の重要な位置づけを持つほか、再生可能エネルギー由来の電気の大量導入
時の系統安定化対策に不可欠な存在である等、今後も極めて重要。引き続き、最新設備の導入やリプレース等により
火力発電の高効率化等に努める。

実現に向けた基本戦略
○ IGCC(ガス化複合発電)やA-USC(先進的超々臨界圧発電)といった高効率技術の開発・実証を推進。2020年代初
頭までに実用化するとともに、最新設備の導入・バイオマス混焼や老朽石炭火力のリプレース等により石炭火力の高
効率化・低炭素化を促進し、その間の新増設・更新は、原則としてIGCC並みのCO2排出量に抑制。
○ このような高効率石炭火力の開発・実証・導入を国内で進めつつ、将来に向けたゼロエミッション石炭火力発電実現
のため、CCSの早期の商用化(2020年頃)のための技術開発の加速化、今後計画される石炭火力の新増設に当たっ

ては、CCS Ready を導入。また、商用化を前提に、2030年までに石炭火力にCCSを導入することを検討。
※ 具体的なCCS Readyのあり方についてはEU指令も参考にしつつ今後検討。2009年6月のEU指令では、30万kW以上の火力発電所の新設に係る
許認可要件について、CCS Readyとして、①適切なCO2貯留地点が存在すること、②CO2輸送が技術的かつ経済的に可能なこと、③将来のCO2
回収・圧縮設備の建設が技術的かつ経済的に可能であることについての調査を要求。調査の結果、技術的かつ経済的に実行可能である場合に
は、CO2回収及び圧縮に必要な施設のためのスペースを確保することを要求。

○ その他火力発電については、新増設・更新の際には、原則としてその時点における最先端の効率を有する設備の
導入を行うこととすべき。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ 空気吹きIGCCの実証プラ ○ バイオマス混焼を促進し、 ○ A-USC、 1,700℃級ガス ○ IGCCの商用機の普及
ントにおける5,000時間耐久 既存石炭火力からのCO2 タービン、AHAT等の技術
運転試験を実施 排出を低減 開発を推進 ○ 商用化を前提とした石炭
火力へのCCSの導入
○ 老朽石炭火力の最新設備 ○ 空気吹きIGCCの早期の
へのリプレース 商用化を図る
32
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(3)化石燃料の高度利用 ②石油の高度利用
目指すべき姿
石油の安定供給確保を確保するため、原油の重質化や国内石油製品需要の白油化等に対応しつつ、石油残渣等の
高度利用の取組を推進。

実現に向けた基本戦略
○ 新興国を中心とした世界的な石油需要の増加、原油の重質化・石油需要の白油化等、石油をめぐる諸情勢を踏ま
え、抜本的な重質油分解能力の向上を図る。
○ 各石油コンビナートの特長を活かした連携を促すことで、国際競争力・経営基盤を強化。
○ 低品位な石油留分から付加価値の高い石油留分を製造する技術や、重質油やオイルサンド等非在来型原油の利
用性を高めるための技術等、革新的な石油精製技術の開発を実施。
○ 高度利用に必要な設備の運転管理の改善(触媒等)や石油残渣ガス化複合発電(IGCC)の導入を促進。
○ 石油から安定・安価な水素製造を可能とするため、高品質・高効率の水素製造技術の開発やCCSと組み合わせた
カーボンフリー化の検討を促進。

(3)化石燃料の高度利用 ③クリーンコールテクノロジーの開発と海外展開支援
目指すべき姿
○ 国内での更なる技術開発の推進により、我が国の石炭利用技術の競争力を将来にわたって維持。

実現に向けた基本戦略

○ IGCC等の高効率化とCCSの技術開発を推進するとともに、これらの技術を合わせ、石炭火力発電等からのCO2を
分離し、回収し、輸送、貯留するゼロエミッション石炭火力発電の実現を目指す。
○ 現時点において世界最高水準である我が国の石炭利用技術の海外展開を進めつつ、国内での更なる技術開発・
実証を推進することにより、我が国の石炭利用技術の競争力を将来にわたって維持。また、石炭利用技術の海外展
開を通じて、我が国企業による地球温暖化問題への貢献を図りつつ、我が国経済全体の成長に寄与。

33
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

(4)電力・ガスの供給システムの強化
目指すべき姿
○ 再生可能エネルギーや原子力の利用が中長期的に大幅に拡大する中で、電力の安定供給を維持しつつ、社会
的コストが最小となるような需給マネジメントが可能となるよう、2020年代の可能な限り早い時期に、原則全ての電
源や需要家と双方向通信が可能な世界最先端の次世代型送配電ネットワークの構築を目指す。
○ 今後、全国規模で電力の供給力を確保しつつ、効率的な電力供給を実現していくために、卸電力市場の更なる活
性化を目指す。
○ ガスについては、天然ガスへの燃料転換の加速、低廉かつ安定的な天然ガスの供給を拡大するため、ガスインフ
ラネットワークの拡大、連携強化を目指す。

実現に向けた基本戦略
(1)世界最先端の次世代型送配電ネットワークの構築
○ 太陽光発電の出力抑制の可能性を含めた詳細制度の検討や再生可能エネルギーの導入拡大に向けた系統運
用ルールのあり方の検討、電力系統における双方向通信の導入に向けた課題整理等を行い、再生可能エネル
ギーの大量導入に対応した強靱な電力供給システムを構築。
○ 社会的コストが最小となるような需給マネジメントの構築に資するため、スマートメーターに必要な機能の標準化、
セキュリティ確保を前提とした需要サイドのエネルギー需給情報の活用促進。
○ 系統安定化対策において重要な役割を果たす蓄電池技術の開発を支援し、導入を促進。
○ 情報セキュリティ確保や通信プロトコル標準化等の双方向通信の導入に向けた技術的課題を解決。
○ 双方向通信の実現可能性を検討した上で、通信制御にも対応したパワーコンディショナー(PCS)の開発、実証
等を実施。
(2)卸電力市場の活性化
○ 年間約30億kWh(2009年)に留まる取引実績を、常時バックアップからの移行も含め、3年以内に2倍程度に引き
上げるための具体策を検討。
(3)ガスの供給ネットワークの強化
セキュリティの向上や燃料転換に資するガス導管網等に係る投資インセンティブの付与、関係行政機関の連携に
よる投資促進環境整備、ガスの託送供給制度の改善等によるガス導管網等の第三者利用の促進、パイプラインの
相互連結の促進等を図る。
34
Ⅲ-2.自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ 太陽光発電の出力抑制 ○ カレンダー方式による太 ○ 太陽光発電の出力抑制 ○ 通信機能による再生可能
に向けた具体的な制度設 陽光発電の出力抑制を行 の開始and/or蓄電池の設 エネルギー等の出力抑制の
計and/or蓄電池による系 うための機器の仕様の確 置(再掲) 導入and/or蓄電池等の設
統安定化対策の検討(再 定・普及and/or蓄電池設置 置(再掲)
掲) (再掲)
○ (2020年代の可能な限り
電 ○ 系統運用ルールの見直し ○ PCSや蓄電池等の技術 早い時期に)需要家と双方
力 (再掲) 開発・実証 向通信が可能な次世代型
供 送配電ネットワークの構築

シ ○ スマートメーターに求めら ○ スマートメーターについて、
ス れる機能の標準化を検討 実証事業の検証等を踏ま

ム えた対応
○ 実証事業により、スマート
メーターの省エネ・負荷平
準化効果の検証を実施

○ 卸電力市場の活性化の
具体策検討

○ ガス導管網等に係る投資 ○ ガスパイプラインの未敷 ○ ガスパイプラインの未敷


インセンティブの付与、関 設地域のうち、需要密度が 設地域のうち、需要密度が
係行政機関の連携による 高い地域において、インフ 高い地域にインフラを整備
ガ 投資促進環境整備 ラ整備を促進 することにより、ガス転換

供 比率を倍増
給 ○ ガスの託送供給制度の改
シ 善等によるガス導管網等

テ の第三者利用の促進、パ
ム イプラインの相互連結の促
進等

35
3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(1)世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化(産業部門対策)
(2)住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化の推進(家庭・業務部門対策)
(3)次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及(運輸部門対策)
(4)高効率給湯器の普及促進(家庭・業務部門対策)
(5)省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)
(6)高効率照明(LED照明、有機EL照明)の普及促進(家庭・業務部門対策)
(7)モーダルシフトの促進(運輸部門対策)
(8)天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
(9)環境配慮型建設機械の普及(産業部門対策)
(10)エネルギーの需要面の横断的対策

36
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

目指すべき将来像
○ エネルギー安全保障の強化、地球温暖化への対応を図りつつ、我が国のエネルギー産業に国内外の投資を集め、
新たな市場・雇用を拡大することにより、経済成長にも繋げていくため、各需要セクターの特性を踏まえ、エネルギー
需要構造の改革を推進。
【産業部門】
設備更新時には全て現在の最先端技術を導入促進するとともに、省エネ法の運用強化、革新的技術(環境調和型
製鉄プロセス等)の実用化、高効率設備によるガスへの燃料転換、コジェネレーションの利用、次世代型ヒートポンプ
システムの開発・導入等を推進することにより、世界最高水準の省エネ・低炭素技術の維持・強化。
【家庭部門】
家電の増加や世帯数の増加等により、1990年以降、エネルギー起源CO2が35%増加。省エネ機器の研究開発、省
エネ法トップランナー規制等により、世界最先端の省エネ機器を実用化していくとともに、家庭への省エネ機器の導入
のインセンティブ付与等により、高効率家電・照明や高効率給湯器、太陽光発電の利用等によるZEH(ネット・ゼロ・エ
ネルギー・ハウス)の普及を推進。また、住宅の省エネ基準の適合を義務化。さらに、スマートメーターの普及等による
国民の「意識」改革やライフスタイルの転換といった国民運動を活発化し、2030年までに「暮らし」のCO2半減を目指す。
【業務部門】
オフィスのIT化等により、1990年以降、エネルギー起源CO2が約40%増加。IT機器や照明の高効率化を実現する研
究開発、建築物の省エネ基準の強化、省エネ機器の導入へのインセンティブ付与等により、ZEB(ネット・ゼロ・エネル
ギー・ビル)の普及を推進し、エネルギー起源CO2の大幅な削減を目指す。また、建築物の省エネ基準の適合を義務
化。
【運輸部門】
自動車単体対策のみならず、充電器等のインフラ整備、ITSなどの交通流対策、燃料対策、エコドライブなど国民の
努力等も含めた統合的アプローチを推進するとともに、供給サイドへの施策(研究開発支援、燃費規制等)と需要サイ
ドへの施策(補助金、税制等)の総合的な施策展開によって、次世代自動車や先進環境対応車(ポスト・エコカー)の普
及を目指す。また、モーダルシフトの推進等により、化石燃料消費量を削減。
【横断的措置】
さらに、単体対策のみならず、エネルギーの面的利用や再生可能エネルギー等を活用するため、都市・交通政策や
街づくりと連携し、スマートグリットを始めとした次世代エネルギー・社会システムの構築を進める。
37
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(1)世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化(産業部門対策)

目指すべき将来像
○ 産業部門においては、国際競争力の強化を図りつつ、世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化を推進。

○ また、省エネ製品やそれらの生産に必要となる素材・部材等に関する技術開発や設備投資等を重点的に推進
し、低炭素型製品等のものづくり力を強化。

実現に向けた基本戦略

○ 産業部門においては、設備更新時には全て現在の最先端技術を導入促進するとともに、省エネ法の運用強化、
革新的技術(環境調和型製鉄プロセス、革新的セメント製造プロセス等)の実用化、高効率設備によるガスへの
燃料転換、コジェネレーションの利用等を推進。

○ 鉄鋼については、革新的製銑プロセス(フェロコークス)や環境調和型製鉄プロセス(水素還元製鉄、高炉ガス
CO2分離回収)について研究開発を推進し、2030年までの実用化を図る。

○ 化学については、2020年までに、熱併給発電装置(CHP)の高効率化技術の普及を図る。

○ セメントについては、革新的セメント製造プロセスの基盤技術開発を推進し、早期の実用化を図る。

○ 紙・パルプについては、2020年に向けて、高温高圧型黒液回収ボイラによる熱利用等、高効率古紙パルプ製造
技術等の導入拡大を図る。

38
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度

共 省エネ法ベンチマークの設定、省エネ法の運用強化
現在の最先端技術及び次世代革新技術の導入促進(設備更新時には全て)
省エネ設備・FEMSの導入、廃プラスチック利用

現在の最先端製鉄技術
新型コークス炉等の導入促進
次世代革新技術(2020年~)

革新的製銑プロセス(フェロコークス)研究開発支援 革新的製銑プロセス 革新的製銑プロセス導入促進
鋼 実用化支援
次々世代革新技術(2030年~)
環境調和型製鉄プロセス(水素還元製鉄・高炉ガスCO2分離回収)研究開発支援

熱併給発電装置(CHP)の高効率化技術の普及

学 高効率熱併給発電装置(CHP)の開発・普及


メ 革新的セメント製造プロセスの基盤技術に関する研究を推進し、早期の実用化を図る

紙 ・黒液回収ボイラーの高効率化 ・パルプ化工程の省エネ
・パ ・抄紙方法の効率化

・バイオマスボイラの導入拡大 ・高効率古紙パルプ製造技術の導入拡大
プ ・高温高圧型黒液回収ボイラによる熱利用等高効率化技術の導入拡大

※なお、上記のアクションプランの実現のためには、以下のような課題を克服する必要がある
○ 次世代機器・技術の設置スペース等の物理的制約の克服。
○ 次世代機器・技術のランニングコスト等の経済性の確保。
○ CO2分離回収に関しては、CO2貯留に関するインフラの整備。
○ 廃プラスチックの利用に関しては、産業部門が大量に利用できるような集荷システムの確立と利用拡大に伴う
技術的課題の克服。
39
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(2)住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化の推進(家庭・業務部門対策)
目指すべき将来像
【住宅】
○ 2020年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準的な新築住宅とする。既築住宅の省エネリフォームは
現在の2倍程度まで増加。
○ 2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現。
【建築物】
○ 2020年までに新築公共建築物等でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現。
○ 2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現。

実現に向けた基本戦略
【共通】
○ 経済産業省と国土交通省は、住宅・建築物の省エネ基準の達成に向けて、義務化の対象、時期、必要な支援策
などについて、2010年内を目途にとりまとめ。

【住宅】
○ 当面、省エネ法の執行強化を行い、新築住宅における平成11年基準の達成率の向上を図る。
○ 断熱のみならず、設備(高効率給湯器、照明、太陽光発電等)も含めた住戸全体のエネルギー消費の基準を検討。
○ 上記の規制強化とパッケージとした予算上の支援、税制上のインセンティブなどを強化。

【建築物】
○ 現行の平成11年基準を強化すべく、建築物全体でのエネルギー消費量を総合化した新基準を策定し、2年後に施
行。
○ 建築物の省エネ性能の「見える化」、不動産価値への反映を図るため、ビルの省エネ性能を評価するラベリング
制度を導入。
○ 上記の規制強化とパッケージとした予算上の支援、税制上のインセンティブなどを強化。
○ 中小ビルにおける照明、空調設備などの制御のインターフェースや省エネ評価用データ仕様の標準化・普及促進。
40
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

施策アクションプラン ~ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
ZEHを標準的な新築住宅とする 新築住宅の平均でZEHを実現
住宅の省エネ基準の達成に向けて、 基準達成義務化
義務化の対象、時期、必要な支援策
などについて、2010年内を目途にと
りまとめる
断熱のみならず、設備(高効率給湯器、照明、太陽光発電
等)も含めた住戸全体のエネルギー消費の基準の検討
省エネ法の執行強化
(現在では1~2割の基準達成率の向上)
住宅版エコポイントの活用による省エネ化の推進

技術面のイノベーションを支援
規制強化とパッケージとした、予算上の支援、税制上のインセンティブなどの強化

施策アクションプラン ~ネット・ゼロ・エネルギー・ビル
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
新築公共建築物(学校など)で 新築建築物の平均でZEBを実現
ZEBを実現
建築物の省エネ基準の達成に向けて、義 基準達成義務化
務化の対象、時期、必要な支援策などにつ
いて、2010年内を目途にとりまとめ

省エネ法における建築物の省エネ基準の強化(2012年初施行)

ビルの省エネ性能を評価するラベリング制度の整備

技術面のイノベーションを支援

規制強化とパッケージとした、予算上の支援、税制上のインセンティブなどの強化

エネルギーの面的利用の促進
中小ビルにおける、照明や空調設備などの制御のインターフェースや省エネ評価用データ仕様の標準化・普及促進
41
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(3)次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及(運輸部門対策)
目指すべき姿
○ 積極的な政策支援を前提に、乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を、2020年までに最大で50%、
2030年までに最大で70%とすることを目指す※1。

○ 先進環境対応車(ポスト・エコカー)※2について、積極的な政策支援を前提として、 2020年において乗用車の新
車販売に占める割合を80%とすることを目指す。 ※3
※1: 「次世代自動車戦略2010」において、2020年において20~50%、2030年において50~70%との政府目標を掲げていることを踏まえたもの。
※2: 「先進環境対応車(ポスト・エコカー)」=「次世代自動車」+「将来において、その時点の技術水準に照らして環境性能に特に優れた従来車」
※3: なお、エコカー補助金・減税という積極的な支援策により、両制度の対象車の新車販売割合が平成21年4月の42.5%(うち次世代自動車5.7%)から、
平成22年2月:73.1%(うち次世代自動車9.3%)まで拡大。

実現に向けた基本戦略
○ 自動車単体の開発努力のみならず、交通流対策、燃料対策、エコドライブ等も含めた統合的アプローチを推進す
ることにより、運輸部門全体のエネルギー・環境対策を図る。
○ 次のような実態において競争力を確保する観点から、次世代自動車のみならず従来車も併せて対策を実施。
-国際市場は多様化しており、特に成長が期待される新興国においては引き続き従来車が主流となることが予想される。
-既にメーカーの人員はフル稼働、モデルチェンジにも時間が必要。ハイペースな開発・市場投入には人的・時間的制約が大きい。
-次世代自動車の普及見通しには大きな幅があり、特定の技術に集中することはリスクも大きい。

○ 次世代自動車の加速的普及に当たっては、政府による積極的なインセンティブ施策(開発・購入補助、税制、イン
フラ整備等)が不可欠。特に、市場化が始まり世界的な競争が激化している電気自動車、プラグインハイブリッド自
動車については、2020年までに普通充電器を200万基、急速充電器を5,000基設置することを目指すなど、電池、
資源、インフラ、システム、国際標準化の各分野に戦略的に取り組む。
○ 従来車対策としては、技術的議論の下、メーカーが最大限の努力をした場合に自らの責任で到達できる適切な
2020年度燃費基準を策定し、民間の開発努力を最大限に促す。その上で、将来において、その時点の技術水準
に照らして環境性能に特に優れた従来車の普及拡大を図るため、経済的手法による積極的な政策支援を実施。
○ 上記や次に示す施策アクションプランも含め、「次世代自動車戦略2010」においてとりまとめられた施策のアク
ションプラン・ロードマップを踏まえ、官民が一体となって取り組む。 42
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

施策アクションプラン

~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度

○我が国を次世代自動車及び次世代自動車キーコンポーネント(蓄電池等)の世界的な開発・
製造拠点化
○電気自動車等補助金: 5倍増
(22年度の対前年度当初予算比) ○環境性能に優れた自動車の
○予算や税制の活用による次世代自動車など 大幅普及(次世代自動車の
環境性能に優れた自動車の導入拡大 新車販売比率最大50%
程度など)

○車載用蓄電池の性能向上・価格低下に向けた研究開発推進 ○革新的車載用蓄電池の実現
○戦略的レアメタル確保・レアメタルフリーの (2006年比性能7倍 コスト1/40)
バッテリー・モーター開発
○電気自動車の本格普及に向けた計画的・集中的な ○普通充電器200万基、
充電インフラ整備 急速充電器5,000基の設置
○段階的・戦略的な標準化・規格化の推進

○車のバリューチェーンでの新たな付加価値や
ネットワーク化による新たなビジネス(V2G等)を
実証事業等で検証

○水素インフラに係る技術実証、規制等への対応を推進
○燃料電池自動車の普及状況をにらんだ水素供給インフラ整備
○2020年度自動車燃費基準策定

43
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(4)高効率給湯器の普及促進(家庭・業務部門対策)
目指すべき姿
○ 高効率給湯器の販売台数を今後3年で2倍(200万台程度)、5年で3倍とする(300万台程度)(現状90万台)。5年後
には、高効率給湯器を標準装備とする。
○ 2020年までに家庭用高効率給湯器を単身世帯を除くほぼ全世帯、2030年までに全世帯の8~9割に普及。

実現に向けた基本戦略
○ ヒートポンプ給湯器のトップランナー基準の対象機器への追加や次世代型ヒートポンプシステム(超高効率ヒート
ポンプ)の研究開発を通じて、導入促進を図る。
○ 家庭用燃料電池について、レアメタルの使用低減や劣化メカニズム解明等係る基礎研究の支援、補助金等の導
入支援策を通じて市場の自立化を促進。また、海外市場への展開を支援するため、国際標準化を推進。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度



ポ トップランナー基準の対象機器の追加(ヒートポンプ給湯器)


次世代型ヒートポンプシステム研究開発 次世代型ヒートポンプシステムの導入促進

P 導入支援
E 技術開発の支援(低コスト化、耐久性・信頼性向上等)
F ・白金量低減・白金代替技術開発
C ・高温・低加湿対応MEA(膜・電極接合体)の開発

料 S 導入支援
電 O 技術開発の支援(低コスト化、耐久性・信頼性向上等)
池 ・セルスタック原料・部材の低コスト化
F ・インターコネクタの耐久性向上
・劣化メカニズムの解明 ・次世代スタックに向けての
C
・加速劣化試験方法の開発 高性能・高耐久化


通 海外展開へ対応するため、国際標準化を推進
44
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(5)省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)
目指すべき将来像
○ 省エネIT機器について、2015年までに実用化し、2020年までに100%普及させる。(現状:0%)

実現に向けた基本戦略
○ トップランナー基準の対象機器の追加や基準の強化を進めることにより、家庭・業務部門における家電・設備等の
省エネ性能の向上を図る。さらに、省エネ家電について、省エネ基準の強化のみならず、消費者のライフスタイルに
応じた省エネの進捗状況のフォローアップを実施。
○ 省エネIT機器(ルータ、ストレージ、サーバ等)について、研究開発の加速やトップランナー基準の強化等により、
更なる普及拡大を図る。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度

省 TR基準の対象拡大・強化 導入支援策の実施


家 消費者のライフスタイルに応じた省エネの進捗状況のフォローアップ

・設
ディスプレイ等の省エネ技術開発 成果を実用化 導入支援策を実施

照明器具のインバータ化の推進

省 CPUの超高効率冷却、流量予測に応じたルー 成果を実用化 導入支援策を実施


エ ター制御、HDDの超高記録密度化等、グリー
ネ ンITによる革新的技術開発で、ルータ、スト
IT

機 レージ、サーバの効率を約2割、5割、8割向上

トップランナー基準の対象拡大・強化 導入支援策を実施 45
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(6)高効率照明(LED照明、有機EL照明)の普及促進(家庭・業務部門対策)
目指すべき姿
○ 高効率照明(LED照明、有機EL照明)を、2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%とする。(現
状:1%未満)

実現に向けた基本戦略
○ 高効率照明(LED照明、有機EL照明)について、研究開発の加速、導入支援策、省エネ基準の強化等を通じて、
普及拡大を図る。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
LED照明器具の省エネ性能 総合効率で従来型照明の2倍 高効率次世代照明(LED、有 ストックベースの高効率次世
の評価に必要な測光方法の (消費電力半分で同じ明るさ) 機EL照明)の100%化の実現 代照明化の継続的推進
国際標準化 を実現する高効率次世代照 (フローベース)
明(LED、有機EL照明)の実用
第三者機関による客観的な 化
性能評価実施のための基盤
整備

高効率次世代照明(LED、有機EL照明)の 高効率次世代照明に対す
実現に向けた基盤技術開発を集中実施 る導入支援策を実施

白熱電球の2012年までの省エネラン トップランナー基準の強化
プへの生産切替えの推進

公衆街路灯(業務部門)などに
おける高効率照明の普及に向
けた電気料金での対応
46
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(7)モーダルシフトの促進(運輸部門対策)
目指すべき姿
○ モーダルシフト化率(中長距離輸送(300km以上)における鉄道・内航海運分担率)を2020年に7割、2030年に8割を
超える水準まで向上。(現状:55%)

実現に向けた基本戦略
○ 貨物鉄道輸送のリードタイム・コスト低減に向け、31ftコンテナの普及や40/45ftコンテナ対応設備・インフラ投資へ
の支援、JR 旅客各社・JR貨物・政府等の官民協力による貨物鉄道ダイヤ・輸送能力の増強・定時運行性確保等を
推進。
○ 内航海運のコスト低減に向け、船腹調整暫定措置事業の解消、航行区域や海技士定員等の規制の見直し、日本
人船員育成と外国人船員活用、アジアの内航海運相互乗り入れ等を推進。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度

貨 31ftコンテナの普及促進
物 31ftコンテナや40/45ftコンテナ対応の荷役設備・インフラ強化

道 貨物鉄道ダイヤ・輸送能力増強・定時運行性確保等に向けた行動計画の策定・実施

「内航海運船腹調整暫定措置事業」の解消

アジアの内航海運相互乗り入れ

海 日本人船員育成・外国人船員の技術研修による活用

航行区域や海技士定員等の規制見直し

47
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(8)天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
目指すべき姿
○ 石油・石炭系のボイラー及び工業炉について天然ガスへの燃料転換を促進。
-2020年度までに燃料消費に占めるガス比率の5割以上の増加を目指す。
-2030年度までに燃料消費に占めるガス比率の倍増を目指す。

○ 天然ガスコジェネレーションの導入促進を図り、2020年度までに現状から5割以上の増加(計800万kW)、2030年度
までに倍増(計1,100万kW)導入を目指す。

実現に向けた基本戦略

○ 産業用・業務用の需要家において、より省エネ・省CO2効果の高い天然ガスボイラーや天然ガス工業炉等の導入
を促進するため、支援を強化。

○ 熱需要に対するエネルギー供給の効率化を図るため、高効率コジェネレーションの導入促進を図る。特に、年間
を通じて高負荷運転ができ効率の高い産業用大規模コジェネレーションや、高い省エネ効果が期待される面的な熱
の有効利用に資するコジェネレーションの導入を促進するため、支援を強化。

○ 天然ガスへの燃料転換の加速、低廉かつ安定的な天然ガスの供給を拡大するため、ガスインフラネットワークの
拡大、連携強化を目指す。具体的には、セキュリティの向上や燃料転換に資するガス導管網等に係る投資インセン
ティブの付与、関係行政機関の連携による投資促進環境整備、ガスの託送供給制度の改善等によるガス導管網等
の第三者利用の促進、パイプラインの相互連結の促進等を図る。

48
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(8)天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
施策アクションプラン

~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度

○ 高効率の天然ガスボイ ○ 燃料消費に占めるガス比 ○ 燃料消費に占めるガス比


ラーや天然ガス工業炉等 率を5割以上増加 率を倍増
の導入支援の拡充

○ 高効率コジェネや面的活
用に資するコジェネの導入 ○ 天然ガスコジェネを5割以 ○ 天然ガスコジェネを倍増
を促進するための支援の 上増加
強化

○ コジェネと再生可能エネ
ルギーを組み合わせて熱
と電気の最適な運転制御
技術確立等のための研究
開発支援の実施

○ ガス導管網等に係る投資
インセンティブの付与、関
係行政機関の連携による
投資促進環境整備

○ ガスの託送供給制度の改
善等によるガス導管網等
の第三者利用の促進、パ
イプラインの相互連結の促
進等

49
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現
(9)環境配慮型建設機械の普及(産業部門対策)
目指すべき姿
○ ハイブリッド建機等について、政策支援を前提として、2030年において全建機の販売に占める割合を4割とするこ
とを目指す。(現状:0.4%。ハイブリッド化等が有効な建機(効果的なエネルギー回生活用)は全建機の7割(台数ベース))
・ 建設機械から排出されるCO2の量は年間約1,100万トン(日本全体排出量の約0.8%)
・ ハイブリッド建機等は通常の建設機械に比べ、燃費消費量25~40%減、CO2排出量7~20t/年・台減
・ 建設機械は製品のライフサイクル全体のエネルギー消費量のうち90%程度が使用時に消費されることから、総合的な視点でエネ
ルギー消費量の低減を進めることが重要
○ 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(以下「オフロード法」)規制に対応した建機の開発・導入。
※特定特殊自動車とは公道を走行しない特殊な構造の作業車(油圧ショベル、ブルドーザ、フォークリフトなど)
・ (PMやNOXなどの)排出ガスの排出量、黒煙汚染度等の規制値を強化

実現に向けた基本戦略
○ ハイブリッド建機等について、経済産業省と国土交通省が連携して、導入支援策、公共事業への導入促進等を通
じて普及拡大を図る。
○ オフロード法規制の円滑な運用を図るとともに、支援策を併せて検討することにより、建機メーカーの技術開発の
取組をより一層推奨。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
ハイブリッド建機等の普及支援、公共事業への導入促進 等
(2008年6月~ ハイブリッド建機等販売開始)
(2010年4月 低炭素型建設機械(ハイブリッド建機)融資制度創設)

ハイブリッド建機等の機種・方式の拡大(技術開発の推奨)

次世代省エネ建機の開発・普及(革新的リチウムイオン電池の活用等)
オフロード法2006年規制対応
固定資産税減免(税制支援) 次期オフロード法第1段階(2011年)規制対応
支援策を検討 次期オフロード法第2段階(2014年)規制対応
支援策を検討 50
Ⅲ-3.低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

(10)エネルギーの需要面の横断的対策

○ 都市や街区レベルでのエネルギー利用最適化
都市計画や地域開発と連携しつつ、地域冷暖房、工場・ビル等の未利用熱の利用、再生可能エネルギーの活用、
交通手段の低炭素化などの複合的な取組により、都市や街区レベルでのエネルギー利用の最適化を促進するた
めの政策措置について、世界の先進的事例を参考にしつつ、検討。

○ 低炭素エネルギーや省エネルギーの経済価値化
グリーン電力証書やグリーン熱証書など、低炭素エネルギー等の経済価値化を促進するとともに、これらが相互
に流通可能となるような環境の整備を促進。また、欧米で広く活用されている省エネルギー証書の導入可能性につ
いて検討を実施。

51
4.次世代エネルギー・社会システムの構築

(1)次世代エネルギー・社会システムの構築
(2)スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシステムの推進
(3)水素エネルギー社会の実現に向けた取組

52
Ⅲ-4.次世代エネルギー・社会システムの構築

(1)次世代エネルギー・社会システムの構築
目指すべき姿
○ エネルギー自給率の向上や大幅なCO2削減のためには、国民の「意識」改革やライフスタイルの転換といった国民
運動と再生可能エネルギーの大量の導入が不可欠。
○ 出力不安定な再生可能エネルギーの大量導入のためには、ITを活用しつつ、電力の需給をバランスさせ、安定的
な電気の供給を維持する「スマートグリッド」が必要。これにより、再生可能エネルギーの大量導入と電力安定供給の
両立を実現することが可能に。
○ スマートグリッド・スマートコミュニティへの移行を契機として、これにつながる機器も次世代型に移行させ、我が国の
技術を強みとし、先進国にはサブシステムやエネルギー関連機器を、インフラ需要が旺盛なアジアを中心とした新興
国にはメインコントラクターとしてスマートコミュニティシステム全体の受注、構築、運用を目指す。

実現に向けた基本戦略
○ 次世代エネルギー・社会システム実証地域(横浜市・豊田市・けいはんな学研都市(京都府)・北九州市)において、
次世代エネルギー・社会システム協議会ロードマップに基づき、2020年、2030年の次世代エネルギー・社会システム
の構築に向けた各種の実証を実施。
 地域レベルでのエネルギーマネジメントシステム(EMS)と電力ネットワークの補完関係の構築
 大規模なデマンドレスポンスやデマンドコントロール、きめ細やかなエネルギーマネジメント
 HEMSやVtoG(Vehicle-to-Grid)
○ 国土交通省、環境省、総務省、農林水産省と一体となって、関連施策を集中投入。大幅なCO2削減のために必要な
財政支援や規制見直しも含めた特区的対応も検討。
○ 各国に共通する汎用的な技術は、高いクオリティが要求される国内市場で強化。地域特有の技術ノウハウ蓄積が
必要なものは海外実証を積み重ね、世界へ展開。
○ スマートコミュニティ・アライアンスを中核として、国際展開戦略、ロードマップの深化、戦略的な標準化を促進。
○ 官民一体となった戦略的なトップ外交やファイナンスの支援により、アジアを中心としたエネルギーインフラのメイン
コントラクターを獲得。

53
Ⅲ-4.次世代エネルギー・社会システムの構築

施策アクションプラン
~2011年度 ~2020年度 ~2030年度 2030年度~
○ 遠隔検針や消費電力量 ○ 住宅用だけでなく、コスト ○ 太陽光パネルの価格低 ○ 化石燃料の価格が現在
次 の確認を可能とするスマー 負担余力のある事業者に 下が進む。これを受け、家 の2倍以上に上昇、再生可

代 トメーターの導入開始 よる太陽光発電の導入が 庭で発電した再生可能エ 能エネルギーが相対的に
エ 大幅に進む。これにより太 ネルギーを有効活用する コスト競争力を有する
ネ 陽光パネルの価格が次第 地域EMSの必要性が増大
ル ○ 原子力をベースとしつつ、
ギ に低下 ○ 実証を踏まえ、地域での 再生可能エネルギーを最
ー ○ 実証を踏まえ、系統との エネルギーマネジメントシ 大限に活用。集中電源と
・社
相互補完関係のあり方な ステムの技術の普及 分散電源の最適ミックスを
会 どを含め、技術の確立、ノ 実現
シ ○ 需要家と双方向の通信が
ス ウハウの蓄積により地域 可能な送配電ネットワーク
テ EMSが実現可能に の構築

GE

GE

の ○ 蓄電池の劣化メカニズム ○ 電気と熱の総合的な有効 GE GE

姿 等の技術開発・実証が進 活用も進む
GE

み低コスト化が進む
○ 国内外のスマートコミュニ ○ 熱を含めたエネルギーの ○ 実証の成果を踏まえた地
ティ実証。予算の重点化や 面的利用など、スマートコ 域EMSの他地域への展開
各省連携により、施策を集 ミュニティにおける特区的 を進める
中的に実施 枠組みの検討

内 ○ スマートコミュニティアライ ○ 地域レベルでのEMSと電
展 アンスの立ち上げ。次世代 力ネットワークの補完関係
開 エネルギー・社会システム 構築のための技術的実証
のロードマップ策定 ○ EV・PHVタウンにおける
EV等の実証実験を通じた
普及モデル確立と横展開

○ 米・印などでの技術実証 ○ 海外プロジェクトに積極的 ○ マスタープランの策定、


海 ○ スマートコミュニティアライ に参加。地域特有のEMSノ 個々の機器や技術の選定
外 アンスの設立 ウハウを蓄積 プロダクトサポート等を組
展 ○ 日本の優れた技術を生か み込んだシステム全体で日
開 ○ 重要26アイテムにつき、国
際標準の推進 し、アジアのシステム需要 本のプレゼンスを発揮、世
を獲得 界シェアを獲得 54
Ⅲ-4.次世代エネルギー・社会システムの構築

(2)スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシステムの推進
目指すべき姿
○ 適切な経済的インセンティブとあわせ、需要家が自らのエネルギー需給情報を詳細に把握することで、需要家サイ
ドの機器制御や主体的な行動の変化を促す。これにより、更なる省エネの進展や社会的コストの最小化を目指す。
○ 電力やガス等のエネルギーの別にとらわれず、需要家が最適なエネルギーサービスを選択できる環境を整備。
○ 市場を最大限活用しながら、再生可能エネルギーの導入、住宅・オフィス等のネット・ゼロ・エネルギー化等を実現す
るとともに、エネルギー需要情報を活用した様々なサービスを新産業として創出。
実現に向けた基本戦略
○ スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシステム(エネルギー需給情報の詳細な把握・様々な
機器の制御が可能なシステム)の開発及び整備、関連する規格の標準化を推進するとともに、費用対効果等を十分
考慮しつつ、2020年代の可能な限り早い時期に、原則全ての需要家にスマートメーターの導入を目指す。
○ 上記の機器・システムの開発及び整備に当たっては、需要家が自らの電気・ガス・水道等の需給情報を一元的に把
握・管理することが可能となるよう留意する。これらを通じて、民生部門を始めとしたエネルギーの使用実態を的確に
把握し、省エネルギー、低炭素エネルギーの活用に向けた国民の意識・ライフスタイルの改革を促し、国民的運動に
つなげる。
○ エネルギー需要情報については、セキュリティの確保を前提としつつ、第三者が利用できるような環境を整備。
○ また、エネルギー需要情報を活用した様々なサービスを創出し、内需の喚起及び外需の獲得を図ることとし、関連
機器・システムの標準化、海外展開の支援策等について検討。

施策アクションプラン
~2011年度 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度
○ 大規模普及させるべき需 ○ 新たな機器・システムを大 ○ 新たな機器・システムの ○ 費用対効果を十分考慮しつ
要家側の新たな機器・シス 規模普及 大規模な普及 つ、2020年代の可能な限り早
テムの仕様や規格等を検 ○ 需要家の多様なニーズを 期にスマートメーターを原則
討 満たすエネルギーサービス 全ての需要家に普及
の実現 ○ エネルギー需要情報を活用
した様々なサービスの創出
○ 関連機器・システムの海外
展開 55
Ⅲ-4.次世代エネルギー・社会システムの構築

(3)水素エネルギー社会の実現に向けた取組
目指すべき姿
○ エネルギー効率が高く、CO2排出抑制に貢献し得るエネルギーキャリアとしての水素エネルギーを活用した社会
システムを中長期的に構築。

○ 当面は、化石エネルギー由来の水素を活用し、化石エネルギーの有効利用を図るとともに、将来的には化石エネ
ルギー由来水素にCCSを組み合わせたカーボンフリー化や非化石エネルギー由来水素の開発・利用を推進。

○ 世界に先駆けて実用化された家庭用燃料電池の市場拡大を図るとともに、今後は分散型電源としての利用や業
務用などの大規模需要への展開を促す。また、2015年からの燃料電池自動車の普及開始に向け、水素ステーショ
ン等の供給インフラの整備支援を推進。

○ 燃料電池の国内での普及とともに、国際標準化を含めた積極的な海外展開を図る。

実現に向けた基本戦略
○燃料電池(定置用・自動車用)の最大の課題であるコストの低減に向け、導入支援を行うとともに、燃料電池の機構
解明、白金の使用量低減や水素製造・輸送・貯蔵のための基礎的な部分も含めた技術開発を推進。

○定置用燃料電池の海外展開を促進するため、各国の燃料の成分構成に対応したシステム開発を推進するとともに、
燃料電池自動車については、燃料電池の信頼性・耐久性やタンクの貯蔵能力向上などに向けた研究開発を推進。
(注)
○燃料電池自動車用水素ステーション等の供給インフラの整備コスト を大幅に下げるため、圧力容器の設計基準、
使用可能鋼材の制約等の規制への対応が課題。国際動向も踏まえ、解決に向けてデータに基づく安全性の検証、
技術開発を推進。
(注)現状、 商用ベースで1基当たり約10億円(700気圧)~約5億円(350気圧)程度。

○燃料電池自動車(バス等大型車を含む)についての技術・社会実証や、大規模生産された水素をパイプラインで供
給する実証等を行うとともに、2015年の燃料電池自動車の導入開始に向け、日米欧、関連地域、民間企業とも協
力・連携し、供給インフラを含めた実証的取組を強化。
56
5.革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組

57
Ⅲ-5.革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組

目指すべき姿
○ 既存技術の延長上にはない革新的なエネルギー技術を開発することにより、世界のエネルギー安全保障及び地
球環境問題の解決に大きく貢献。

○ 世界最先端のエネルギー技術を維持し、我が国産業の国際競争力を維持。

施策アクションプラン
○ エネルギー革新技術開発の推進
 CO2の長期的な大幅削減に資する技術のうち、今後飛躍的な性能向上等が期待される技術について、2050
年に向けた技術ロードマップに沿って、重点的かつ計画的に技術開発を推進。

<エネルギー革新技術の重点分野>

• 高効率天然ガス発電 • 革新的材料・製造・加工技術(革新的ガラス溶融プロセス、
• 高効率石炭火力発電(A-USC、IGCC等) 高機能チタン合金創製プロセス、革新的分離膜装置によ
• 二酸化炭素回収・貯留(CCS) る水処理、航空機等の輸送機器の省エネ材料等)
• 革新的太陽光発電(薄膜シリコン、薄型結晶 • 環境調和型製鉄プロセス
シリコン、化合物系薄膜、有機系等) • 省エネ住宅・ビル(高断熱・遮熱、室内空気質改善技術)
• 先進的原子力発電(高速炉、次世代軽水炉、 • 次世代高効率照明(高効率LED照明、有機EL照明等)
中小型炉等) • 定置用燃料電池(PEFC、SOFC等)
• 超電導高効率送電 • 超高効率ヒートポンプ
• 高度道路交通システム(ITS) • 省エネ型情報機器・システム
• 燃料電池自動車(FCV) • HEMS・BEMS
• プラグインハイブリッド自動車(PHEV)・電気 • 高性能電力貯蔵(先進型リチウムイオン電池等)
自動車(EV) • パワーエレクトロニクス
• バイオマスからの輸送用代替燃料製造 • 水素製造・輸送・貯蔵 等

58
Ⅲ-5.革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組

施策アクションプラン
○ 新たなエネルギー革新技術ロードマップの策定
 今後、エネルギー技術開発を一層推進するべく、我が国の技術優位性や海外における様々な分析(欧米の技
術戦略やIEAのETP※等)の動向等を踏まえながら、新たなエネルギー革新技術ロードマップを本年中に策定。
今後重点的に取り組むべき革新技術を精査するとともに、詳細な目標設定を含めた技術開発ロードマップを策
定。
※ IEAの「Energy Technology Perspective 2008」では、高効率石炭火力や洋上風力、太陽光、原子力、CCS、ヒートポンプと
いった17の技術を特定し、それぞれについてロードマップを策定。現在、IEAにおいて最新の知見に基づき見直しが行われて
おり、2010年中にも改訂版が出される予定。

 地理的条件等により国内での普及には一定の制約があるものの、今後世界において大幅な普及拡大が予測
される風力発電等の革新技術についても、重点的に取り組むべき技術として計画に追記。

 また、高効率照明や環境調和型製鉄プロセス(水素還元製鉄、高炉ガスCO2分離回収)、省エネ型情報機器・
システム等、従来の予定より開発の前倒しが可能な革新技術については、支援強化等を通じて技術開発の前
倒しを実施。

○ CCS等の普及拡大に向けた取組
 革新技術の普及拡大のためには、単なる技術開発目標の設定等にとどまるのではなく、その後の実証や普
及、商業化に向けた取組、国内外市場の動向等を総合的に分析し、それらを有機的に連携させることが重要。

 特にCO2削減効果の高いCCS等の革新技術については、コストの大幅低減や安全性向上のための技術開発
の加速、大規模実証による実用化の実現、安全・環境面も含めた実用化促進のための制度・環境整備など
2020年代後半の本格的導入に向けた具体的なアクションプランを早急に策定するとともに、国際協力を強化。

○ 研究開発拠点の強化による人材育成強化、研究開発成果の市場導入の円滑化に向けた国際標準化の推進等。

○ IEA等の国際機関や内外の研究機関、民間企業等と密接に連携しながら、国として世界最先端の技術動向を収
集・分析する取組を強化するとともに、当該分析をエネルギー政策の立案に反映。
59
6.エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進

(1)低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
(2)エネルギー国際協力の強化

60
Ⅲ-6.エネルギー・環境分野における国際展開の推進

(1)低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
目指すべき姿
○ 2030年に向け、我が国に優位性があり、かつ今後も市場拡大が見込まれるエネルギー関連の製品・システム
(高効率火力発電、原子力発電、送配電・スマートグリッド、再生エネルギー、省エネ機器・輸送機械等)の国際市
場において、我が国企業群がトップクラスのシェアを獲得、維持することを目指す。
<参考> 太陽光パネルの世界シェア(2008年): 1位中国(25.8%)、2位日本(17.6%)、3位ドイツ(17.4%)

○ 我が国が強みを有する低炭素エネルギー技術を活用し、アジアをはじめ、世界のエネルギー技術や関連インフ
ラ市場を我が国産業が牽引し、我が国の経済成長と世界の温室効果ガス削減を同時に達成。
実現に向けた基本戦略
○ 特に高効率火力発電(CCSを含む)、原子力発電、スマートグリッド、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネ
ルギー、燃料電池、省エネ型産業プロセス・機器等の分野について、日本の技術の優位性を最大限活用するた
め、産業界のニーズも踏まえつつ、官民一体となった戦略的な海外展開支援体制を整備。
○ 具体的には、既に日本では普及が進んでいる技術であっても、途上国等においては大幅な需要拡大が見込まれ
ること等も踏まえ、先進国や新興国等における「市場」の特性やニーズと、供給すべき「技術」とのマッチングを、
各技術の特性を踏まえた上で適切に行い、システム輸出への支援、金融支援、リスク補完機能の拡充、FSを含
む現地調査の強化、制度設計段階からの相手国との協力、国際ルール構築等の官民支援体制の強化を推進。

施策アクションプラン
○ 技術力の維持・強化
 NEDO等を通じた、低炭素エネルギー技術の開発・実証の強化。また、相手方のニーズ等を踏まえた技術改
良の支援。
○ 官民連携を核とした推進体制の強化
 技術・システムの海外展開を推進するための体制整備を官民一体となって支援。原子力については、国の一
定の関与のもと、電力会社を中心とした一元的な体制を構築する他、他の重点分野においても同様の取組を
展開。
 さらに進出国の企業(エンジニアリングや建設業)や新興国企業と我が国企業との戦略的アライアンスを含む、
我が国企業にとって最適な体制の構築に向けた支援(政府間のバイ協力の場の活用等)を実施。 61
Ⅲ-6.エネルギー・環境分野における国際展開の推進
(1)低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
施策アクションプラン
○ プロジェクトの獲得・推進に向けた支援策の強化
 相手国のニーズに応じたパッケージ提案能力の強化(システム輸出)。
 NEDO、JETRO等の公的機関を以下の内容に対応するため最大限活用。
 日本が有する技術や相手方のニーズ等を踏まえた、質の高いプロジェクトの構築・組成を図るため、技術の
マッチング・案件の具体化・事業リスク軽減等に対する支援策を強化するとともに、プロジェクトのトータルコー
ディネーターとしての機能を強化。
 海外における情報収集体制の強化、案件につながるシーズ発掘、我が国企業と相手国企業との連携の可能
性を追求する場の提供等を実施。
 政府間のバイ協力等において、世界トップレベルの我が国省エネ政策等の共有を通じ、案件や制度設計の計画
段階から関与することで、将来我が国企業が受注しやすい環境を整備。
 国を挙げて取り組むべき重要案件について、首脳・閣僚レベルでのトップセールスを実施。

○ 金融面からの海外展開支援
 プロジェクトを金融面から支援するため、JBICの先進国向け投融資の拡充(現在は原子力発電のみ対象)や
NEXIの貿易保険の拡充等を実施。
 OECD輸出信用アレンジメントの改定を働きかけ、気候変動関連技術(高効率石炭火力発電等)に対して、償還
期間の延長など緩やかな条件での融資及び保険を付与するための国際ルールを構築。

○ 我が国企業の貢献を適切に評価する新たなメカニズムの構築
 我が国産業界が技術や製品、システム等の普及により貢献した温室効果ガスの排出削減を適切に評価するこ
とを通じて、我が国技術等の海外展開と相手国における排出削減を一層推進すべく、バイやマルチの枠組みの
下で、新たなメカニズムを構築。
 IEA、APEC、APP、MEF、IPEEC、IRENA等の戦略的活用による世界規模の排出削減に資する取組を支援。

○ 地球温暖化交渉の進展を踏まえた支援の具体化
 CCS及び原子力のクレジット化等の実現に向け、引き続き、地球温暖化交渉を進めるとともに、我が国の低炭素
エネルギー技術・製品・システムの国際展開に向け、国際交渉の進展を踏まえ、技術メカニズムの構築や鳩山
イニシアティブの具体化等を推進。
62
Ⅲ-6.エネルギー・環境分野における国際展開の推進

<主要分野における取組>
石炭火力発電
原子力発電 <我が国企業の強みと課題>
<我が国企業の強みと課題> ・ 日本が得意とする超々臨界発電・石炭ガス化複合発電(IGCC)、CO2
・ 継続的な原発建設により、原子炉メーカーは高い技術力を有する。 分離技術は、世界最高レベルの発電効率、低炭素化を実現。
・ 運営までの一元受注体制が未確立なため、顧客ニーズ対応が困難。 ・ 予防保全等運転・管理ノウハウによる高効率・高稼働の長期的確保。
・ 競合相手に比べ、長期的なリスクテイクできる能力の限界性。 ・ 途上国市場における低コストを武器とする新興国企業への苦戦。
・ 途上国でも資源制約や環境問題から高効率技術等を評価する動き。
<目標>
新興国では運営・管理含めた受注、先進国では高い技術を <目標>
活かした新規プラント・製品を受注。 日本が得意とする超々臨界等高効率技術、高度運転・管理
技術に重点を置いた海外展開の推進。
<アクションプラン>
○受注体制の整備。 <アクションプラン>
○人材育成や経済協力等のパッケージでの提案力強化。 ○ 相手国のマスタープラン作成支援による日本企業が受注しや
○公的機関によるリスクテイク範囲拡大の検討。 すい環境を整備。
○原子力協定の締結。 ○ モデル・プラント等を推進し、標準化を促進。
○価格競争力のあるプラント設計の検討 ○ 公的金融支援。 ○インフラの運転管理人材の育成。
○ 公的機関によるリスクテイク範囲の拡大を検討。
スマートコミュニティ
送配電 <我が国企業の強みと課題>
<我が国企業の強みと課題> ・ 省エネ・新エネ関連の技術力の高さ、エネルギーマネジメント技術、
・ 低送電ロス。高効率・大容量の超高圧送電技術。変圧器の小規模化。 系統運用ノウハウ。
・ 低い送電機器シェア。日本製機器の海外市場開拓促進のための官 ・ 再生可能エネルギーの制御や蓄電システムの開発・実証等技術的
民一体となった取組が必要。 課題や、エネルギーの効率的利用に向けた新サービス導入等の課題。

<目標> <目標>
供給信頼性の高い技術の活用によるアジア及び先進国のリ アジアを中心に、スマートコミュニティのシステム全体で我が
プレース需要の獲得。 国のプレゼンスを発揮し、世界におけるシェアを獲得。

<アクションプラン> <アクションプラン>
○ 相手国のマスタープラン作成支援による日本企業が受注しや ○ 官民連携組織(スマートコミュニティ・アライアンス)の設置
すい環境を整備。 ○ 国内外での実証実施(米(ニューメキシコ、ハワイ)、印等)
○ 公的金融支援 ○コスト競争力の強化 ○ 競争力に直結する標準化の策定
63
Ⅲ-6.エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進

(2)エネルギー国際協力の強化
目指すべき姿
○ 新興国の台頭等の国際情勢の変化に対応した多国間協力枠組みの再構築。

○ エネルギー需要が急増するアジア太平洋地域において、先進的なエネルギー協力を推進。

○ 資源確保にとどまらない多様な戦略的パートナーシップを重要国との間で構築。
1.多国間協力枠組みの再構築(マルチ)
実現に向けた基本戦略 中印等の新興国の台頭や産消対立構造の緩和等の国際情勢の変化に
対応した多国間協力枠組みの再構築を図り、世界のエネルギー安全保障
IEF の強化、低炭素化を推進。
・ 緊急時対応や省エネ分野で豊富な蓄積を有するIEAの諸活動に中印
IEA 産油国 等の新興国を取り込む。
・ 産油国と消費国が参加する唯一の国際エネルギー枠組みであるIEFに
サウジ ついて、活動内容や事務局の強化を図る。
欧州諸国 UAE ・ IRENAの活動を通じ、新興国・資源国における再生可能エネルギーの
イラク 普及を図る。
クウェート
日本 2.アジア太平洋協力の強化(リージョナル)
イラン
米国 APECの非拘束的な枠組みとしての特徴を活用し、将来のグローバルな協
ベネズエラ 力のモデルとなるような先進的なエネルギー協力を推進。(緊急時対応、省
豪州
APEC エネ、ゼロエミッションエネルギー導入促進)
韓国 インドネシア
3.資源確保にとどまらない戦略的パートナーシップ(バイ)
ロシア
海外権益獲得を目的とした資源国へのアプローチにとどまらず、先進国と
中国
の共同研究、新興国との省エネ協力等、総合的な二国間協力を推進。
・ 海外権益・調達確保: 資源国(イラク、UAE、ロシア、ベネズエラ等)
インド
・ 革新的な技術開発 : 米国、欧州
・ 省エネ・新エネ・原子力協力: 中、印、産油国、原子力新規導入国 64
Ⅲ-6.エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進

(2)エネルギー国際協力の強化
施策アクションプラン
~2011年度 中長期目標

<IEA>
・ IPEEC設立 → タスクの充実
中印等新興国とIEAの関係の一層の深化
・ 非加盟国向け訓練プログラム (IEAと中印の協力強化)
<新興国>
(中印との信頼関係強化)
・ 日中省エネ・環境総合フォーラムを通じた協力案件の積み上げ

・ 日印エネルギー対話を通じた協力案件積み上げ
<APEC> アジア太平洋地域での低
炭素技術の開発・導入、
・ APECエネルギー大臣会合(2010年、日本主催) 省エネの推進、セキュリ
<先進国> ティの強化
・ 日米クリーンエネルギー技術協力

・ 日EUエネルギー技術協力
<IEF>
・ 新憲章の制定(2011年) 産油国を含む国
<資源国> 際エネルギー体
(サウジ、米国等との連携) 制の構築
・ 資源国のニーズに応じた重層的な関係強化
<IRENA> (IRENAの積極的な活用) 参加国における再生可能エネルギー
・ IRENA設立→キャパビル等のプログラムの始動 の普及、我が国産業の国際展開促進
65
7.エネルギー産業構造の改革に向けて

(1)エネルギー産業を取り巻く環境変化
(2)今後のエネルギー産業構造のあり方

66
Ⅲ-7.新たなエネルギー産業構造の実現に向けた課題

(1)エネルギー産業を取り巻く環境変化
①2030年に向けた内外の市場の展望
○ 今後、中国やインドを始めとする新興国でのエネルギー需要の拡大に伴い、電力システム、原子力、再生可能エ
ネルギーなどのエネルギー供給や省エネ型の製品・輸送機器などの国外市場は急速に拡大する見込み。

○ 更なる省エネの推進や技術開発等によるエネルギー利用の効率化、人口減尐等に伴い、国内のエネルギー需要
は減尐する見込み。(エネルギー市場そのものは縮小)

○ 他方で、低炭素エネルギーの拡大やエネルギーの有効活用に資する製品やシステムに関する市場は、国内でも
最もダイナミックなイノベーションや市場拡大が見込まれる分野。(エネルギー関連機器・サービス市場は拡大の余
地も大きい。)
<急拡大する新興国市場>

出典:国際エネルギー機関 世界エネルギー展望2009

67
Ⅲ-7.新たなエネルギー産業構造の実現に向けた課題

(1)エネルギー産業を取り巻く環境変化
②エネルギー産業が直面する課題
<共通の課題>
● 国内市場の成熟化に伴う資源獲得におけるバーゲニングパワーの相対的低下
● 燃料価格の上昇トレンド・変動拡大 ビジネスモデルの再構築と
● 技術革新(燃料電池、ヒートポンプ等)によるエネルギー間競争の激化 新たな成長戦略が不可欠
● 低炭素かつ効率的なエネルギー供給への顧客や社会からの要請の高まり
(電気と熱、大規模電源と分散電源、需要と供給の部分最適から全体最適へ)
● 国内市場が縮小する中での安定供給責務の遂行

<業種毎の主要課題>
電力(市場規模:18兆円) ガス(市場規模:3兆円) 石油(市場規模:29兆円) 開発
一般電気事業者(10)、卸電気事業者(2)、 一般事業者(211)、簡易ガス事業者 元売会社(9)、揮発油販売業者(22,041) 石油・天然ガス上流開発
PPS(35)、特定電気事業者(5) (1,567)、ガス導管事業者(18)、大口ガ 上場会社(2)
ス事業者(17)、LPガス事業者(23,101)
○ 資源調達力の強化 ○ 上流開発競争力
○ 資源調達力の強化 ○ 資源調達力の強化 ○ 競争力のある精製 の向上
○ 原子力推進、送配電網強化 ○ 燃料転換の拡大 能力の確保・経営基盤 ○ 財務基盤の強化
の投資のための経営基盤強化 ○ コジェネ等の新規需 の強化
○ ヒートポンプ等の電化の推進 ○ リスクテイク能力
要開拓 ○ 石油の有効利用 の向上
○ SSネットワークの維持
<事業モデル再構築に向けた最近の動向>

○ エネルギー間相互参入(電力→ガス、ガス→電力、石油→ガス、石油→再生エネルギー等)
○ 収益力強化のためのアライアンス拡大
○ 経営基盤強化のための既存の業の枠を超えた成長分野へのシフト
(関連業種(石油精製業による新エネ事業、石炭開発等)、海外(電力等)、他業種間(石油精製業による石油
化学との連携等) )
○ エネルギー関連業種との連携拡大(自動車、家電、建築(ガス事業と不動産)等)
○ 顧客のエネルギー需要情報を活用した最適エネルギーサービスの提供
68
Ⅲ-7.新たなエネルギー産業構造の実現に向けた課題

(2)今後のエネルギー産業構造のあり方
①基本的視点

① 2030年に向けて、以下のようなエネルギー産業の構造変化が予想される。
 電気:民生部門を中心に電化の更なる進展が見込まれ、エネルギー供給の中心を担う。
 ガス:民生部門の競争激化と産業向けの需要拡大が見込まれ、コジェネが分散型エネルギーの一部を担う。
 石油:輸送用燃料の需要減尐が見込まれる中、原料としての重要度が増す。
 その他:家電や電気自動車やスマートコミュニティなどエネルギー需給両面で様々なプレイヤーが参入し、需
要家のニーズを満たす競争が活発化。

② こうした中、3Eを確保しつつ、経済成長を実現するためには、国際エネルギービジネスを勝ち抜ける商品力、経営
力を備えた強靱な企業の育成を図ることが重要であり、グローバルな事業基盤の構築は国内での安定的かつ低廉
なエネルギー供給にも資する。また、今後大幅な利用拡大が求められている低炭素エネルギーの供給を担う企業
の育成・基盤強化を図っていく必要がある。さらに、エネルギー需給に係る情報やノウハウを活用して付加価値を提
供する企業や省エネ型の製品・システム等を提供する企業の参入やイノベーションを加速させることも重要。

③ 加えて、エネルギー利用の最適化に対する顧客や社会の要請が強まっていることに対応するためには、複数のエ
ネルギーを扱い、顧客や地域の特性に応じて、最適に組み合わせて供給できる総合エネルギー企業体(ガス・アン
ド・パワー、オイル・アンド・ガス等)の形成を促していくことも重要。

④ 国内のエネルギー需要が縮小し、競争環境は激化していく中、安定的かつ低廉な原燃料の調達を前提とした安
定供給の確保、低炭素化への強力な対応、設備の有効活用等を通じたエネルギー供給の効率性・経済性の追求、
これらの対応の基盤となるべき新技術開発やノウハウ獲得の迅速化・効率化等を進めるためには、エネルギー供
給に従事する企業の集約化、事業エリアの広域化についても、視野に入れることが必要。

⑤ こうした産業構造改革を進めるに当たっては、健全な競争環境、安定供給とユニバーサルサービス、雇用、経営
の自主性には十分な配慮を行うことが前提。

69
Ⅲ-7.新たなエネルギー産業構造の実現に向けた課題

<参考>エネルギー関連企業による新たな事業展開例

海外展開・新たな連携による成長フロンティアの拡大

石油・天然ガス・石炭 関連産業
バイオエタノール・ウラン等 (レアメタル、省エネ
機器、蓄電池、素材、
バイオマス
デバイス、プラント)
バイオガス
:エネルギーの流れ 世界レベルの
上流開発企業 水素
グローバル展開型
エネルギー事業

地域エネルギー
分散型・独立 供給事業
海外展開 発電事業 (電気and/or熱、 小規模 海
(大規模太陽光発電、
風力等)
石油、将来は水素等) エネルギー事業 外
(僻地・過疎地 展
・ニッチ等)
中小水力 開
・逆
太陽光
エネルギーソリューション事業 エネルギー融合型
(需要アグリゲーター、 サービス事業 輸
風力
需給平準化、ESCO等) (住宅、家電、介護等) 入
IT等の活用 EV

スマートメーター・エネルギー需要管理機器
需要家(ニーズ:電気・熱・燃料等の最適利用) 70
Ⅲ-7.新たなエネルギー産業構造の実現に向けた課題

(2)今後のエネルギー産業構造のあり方
②今後の対応

①「エネルギー産業政策」の強力な推進
我が国の経済成長を牽引するエネルギー関連企業の創出、海外展開、新分野への進出等を支援するため、政
策資源を集中投入していく必要がある。このため、エネルギー関連分野に内外の人材や投資が集まるような事業
環境の整備や投資減税などの大胆な政策措置、産業政策上の支援措置の利活用・拡充等を推進。
また、今後の事業環境の大きな変化に伴い、設備の縮小・有効利用などの構造調整を支援する政策も併せて講
じていくことが必要。

②制度的課題の検討
安定供給、低炭素化に対応しつつ、今後の我が国の経済成長の原動力となる新しいエネルギー産業構造の実
現に向け、諸外国のエネルギー産業構造や制度的枠組みについての調査を行うとともに、事業法や独占禁止法等
の制度面での論点などについて整理を行い、必要に応じて競争当局との議論を実施。

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8.国民理解と人材の育成

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Ⅲ-8.国民理解と人材育成

(1)国民からの理解の促進

○ 2030年に向けた新たなエネルギー需給構造や社会システムは、エネルギーを利用する国民や事業者の意識や
行動様式の変革なくして進まない。また、原子力発電の推進や低炭素社会実現に向けた様々な政策措置について
は、我が国のエネルギー安全保障や地球温暖化問題の現状や施策の効果等について、積極的に国民に情報を提
供し、理解と信頼を獲得しながら進めていくことが不可欠。

○ この際、国のみならず、地方公共団体、NPO、地域コミュニティ等における様々な関係者による創意工夫、イニシ
アティブが発揮され、地域の総力が結集されていく視点も重要。

○ このため、政府としては、国民各層との間で様々なレベルできめ細かい対話やコミュニケーションを強化するととも
に、エネルギー政策に関する広報活動についても、国民の目線に立ち、エネルギー問題に対し国民一人一人が参
画の意識を持ちながら実際の意識や行動の変化につながる効果的な取組を強化していく必要がある。

○ また、日本の明日を担う次世代層(児童、生徒)が、将来においてエネルギーに関する適切な判断と行動を行うた
めの基礎を育む観点から、学校教育の現場において、エネルギー問題に対する理解を一層促進することが重要で
ある。このため、「エネルギー教育推進会議」(大学の教育学部の教員、小・中・高等学校の教員、教育委員会、エネルギー産
業、NPO等の連携によるエネルギー教育の推進母体。全国組織及び地域組織(全国5地域)から構成)、「エネルギー教育実践
校」(エネルギー教育に意欲的に取り組む小・中・高を支援)、文部科学省と連携したエネルギーに関する教科内容の充実
や副読本の活用等の活動の一層の活性化を図り、エネルギー問題に関する理解の裾野を拡げることが重要。

○ さらに、生涯学習としてのエネルギー教育について、再生可能エネルギーの導入促進や面的な省エネの推進など、
将来のスマートコミュニティの形成もにらみながら、都市・地域レベルでのエネルギー利用の効率化・高度化を図る
ことが重要であることにかんがみ、地元企業やまちづくり活動等とも緊密に連携した取組も併せて推進することが重
要。

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Ⅲ-8.国民理解と人材育成

(2)人材の育成
○ 尐子化が進む一方で、資源エネルギーを巡るグローバル競争は激化。我が国の経済成長の重要な一翼を担う、
エネルギー環境ビジネスを担う人材を戦略的に確保・育成していくため、産学官連携による取組の一層の強化が重
要。

○ 資源確保、原子力等の分野において、専門的な人材の育成が重要。
・ 石油・天然ガス分野では、資源開発上流部門の教育の場を整備するための枠組み、育成プログラム等の検討
を、産学官連携により推進。
・ 石炭分野については、海外の石炭資源開発に係るビジネス・ノウハウを有する人材や我が国の革新的石炭利
用技術の研究開発・実証さらに運用を担う、多様な専門分野の科学的知見を有する人材の育成を推進。
・ 鉱物資源分野においては、資源関連業界による、資源分野の実務家人材の育成を積極的に支援するとともに、
中長期的視点からの資源分野の人材育成につながる大学での研究等に対する支援を強化。
・ 原子力発電に係るエンジニアリング、プラント建設、運転・管理を担う人材を育成するため、「原子力人材育成プ
ログラム」を通じて、カリキュラムの再構築、教材の見直し、インターンシップなど大学等の教育の質の向上を図
るとともに、熟練の技術を有するシニア人材の活用についても検討。

○ さらに、我が国の低炭素技術の国際展開や資源確保を進める観点からは、海外人材の育成に積極的に取り組む
ことが重要。

○ 高齢化が進む中、エネルギー産業の現場における高度な技術や技能の承継を図ることは、エネルギー安定供給
の観点からも重要な課題であり、適切な政策的支援を講じる必要がある。

※ 本基本方針については、今後のエネルギー情勢の変化や気候変動に関する国際交渉の動向等を踏
まえ、必要に応じて見直しを行う。

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