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勤医協中央病院看護技術マニュアル 2008 版

2-1 資料:心肺蘇生法・気管内挿管 1/11

2-1 資料:心肺蘇生法の手順(CPR)

BLS A Airway【気道確保】 A⇒B⇒C⇒Dと進んで行き、


B Breathing【人工呼吸】
C Circulation【循環・心臓マッサージ】 C(循環)が回復したら
D defibrillation
ALS A Airway【確実な気道確保:気管内挿管】 B(呼吸)を確認
B Breathing【挿管の確認・人工呼吸】 BがOKなら
C Circulation【静脈路確保】 意識の確認(Aをしながら)
D Differential diagnosis【鑑別疾患】 A⇒B⇒C⇒D 蘇生
この順で進んでいく! A←B←C←↓ 確認

Ⅰ.意識の確認

状態のおかしい人を発見した場合は、まず意識の確認から行う。
・軽く肩を叩き、「大丈夫ですか?」と大きな声で呼びかけ、意識があるか数回確かめる

「AHA テキスト 2005」から引用

意識がないと判断した場合、必ず助けを呼ぶ。
・心肺蘇生の際の助けとは人、もの、除細動器であり、
院内であれば、「Drコール、AED,救急カート」
院外であれば、「救急車、AED、人をよんで」

勤医協中央病院ACLSチーム監修 2007 年 2 月改訂


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Ⅱ.気道確保

気道確保の方法(1)頭部後屈顎先挙上法
下図のAの状態では舌根が沈下しており、空気の通り道がありません。Bの状態にして空気の通
り道を作ります。

「AHA テキスト 2005」から引用

1:片手を患者の額に置いて掌で頭部を後屈させる
2:逆の手の指で患者の下顎の骨を引き上げ、顎先を挙上させる

気道確保の方法(2):下顎挙上法
この方法は最も確実に気道を確保できる方法である。救助者は傷病者の頭側に位置して,下顎
を両手で挙上し,頭部を後屈させることにより気道を確保する。親指を両口角のやや下に置き,
下唇を下方に下げて口から空気の出入りをよくし,他の 4 指は(下顎角よりも耳側の下顎部)に
おき,下顎骨を挙上して下部歯列が上部歯列より前になるようにする。

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Ⅲ. 呼吸の確認

『見て』 患者の胸が動いているかどうか。
『聞いて』患者の鼻や口に耳を近づけて呼吸音が聞こえるかどうか。
『感じて』患者の吐く息を頬に感じるかどうかを確かめる。

気道確保した状態で、患者に自発呼吸があるのかを確認します

「AHA テキスト 2005」から引用

1:自分の耳を患者の口元へ持っていく
2:「見て、聞いて、感じて」自発呼吸の有無を10秒以内で確認する

Ⅳ.呼吸をしていなければ人工呼吸

「AHA テキスト 2005」から引用


1:頭部後屈顎先挙上法で気道確保を続ける
2:人差し指と親指で鼻をつまむ(額に置いた手を用いて)
3:普通に息を吸い(深呼吸ではない!)、患者の唇を包むように密着させ、息が漏れないように
する
4:一秒以内で息を吹き込む。この時、息の吹き込みで患者の胸が上がることを目で確認する
5:胸が上がるのを確認したら、もう一度胸の上がりを見ながら一度息を吹き込む

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Ⅴ.循環のサインの確認

ポイント
● 確認するのは脈拍のみでOK。
● 5 秒から 10 秒の間で確認する。それ以上でもそれ以下でもダメ。
手順
1 片方の手で気道確保の状態を保つ。(頭部後屈あご先挙上)
2 2 本または 3 本の指を気管に置く。
3 その指を手前に引き、気管と筋肉の間の溝に合わせる。そこで脈拍を感じる。
4 5 秒以上 10 秒以内で脈があるかどうか判断する。セリフは「脈の確認をします。」

「AHA テキスト 2005」から引用

Ⅵ.心臓マッサージ(Chest compression)

ポイント
● 強く、速く、深く胸を押す。
● 1 分間に 100 回のペースで押す
● 1 回押すたびに確実に胸郭が元にもどる(recoil)ことに気をつける。
→心臓の拡張期をつくるため。こうすることで圧迫と圧迫の間に血液が心臓にたまり、次の圧迫の効
果が高くなる。
● できるだけ心マの中断時間を短くする。
→心マと換気の割合は 30:2 。心マ 30 回やったら人工呼吸を 2 回。
循環のサインの確認は 5 秒以上 10 秒以内で。
心マを交代するときには 5 秒以内で。
心マと心マの間の換気は 5 秒から 10 秒の間で行う。

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手順
1 患者の横から行う。
2 患者が固く平らな場所に仰向けになっていることを確認する。必要であれば背板を入れたり、
場所を移したりすることを検討する。
3 胸が見えるように衣服を脱がせる。
4 手のひらの手首寄りの部分を使って押す。手を置く場所は正中で、乳首と乳首の中間。
(Figure1)
5 もう一方の手を胸に置いた手の上に重ねる。
6 肘をまっすぐ伸ばし、肩が手の真上にくるように体を前に乗り出すようにする。(Figure2)
7 強く、速く胸を押し下げる。押す幅は4-5cm。真下に押すようにする。
8 一回一回の圧迫の後、胸郭が完全に元に戻る(recoil)ことを意識する。
9 1 分間に 100 回のペースで行う。心マ:換気=30:2

「AHA テキスト 2005」から引用

Ⅶ.除細動及び、AED(Automated External Defibrillator)の使い方


除細動とは
心室細動=VF(Ventiricular Fibrillation)や心室頻拍=VT(Venticular Tachycardia)が起こ
っている場合に電気刺激により、洞調律に戻すものである。
AED は講習を受けた者は使用できるが、DC は医師でなければ使用できないため、看護
師は介助にあたる。

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【AED の使い方】
~ CPR を継続中に、二人目の救助者が AED を持ってきたら ~

1. AED の電源を入れる
すべて AED の指示に従う
AED に“離れてください”と指示されるまで CPR はひたすら続ける!

2. パッドを患者の胸に装着する
パッドに書いてある場所どおりに貼り付ける
コネクタを接続する
パッドを貼っている間も CPR は継続する

3. AED に“離れてください“と指示されたら、全員を患者から離れさせる
AED は心電図を解析する

4. AED が“ショックの適応”と判断したら、全員を患者から離れさせる
→ ショックボタンを押す

AED が“ショックの適応はありません“と判断した場合
→ すぐに CPR を再開する

5. ショックを行ったらすぐに CPR を再開する

ショックは 1 回 ショック後すぐ心マ再開
これまで心マをやっていなかった人が行う
(心マは 2 分おきに交代する)
6. 2 分(心マ・換気 5 クール)後に AED は心電図を再解析する(3 へ戻る)
「AHA テキスト 2005」から引用
※患者が動くか、ACLS の可能な人が到着するまでこれを継続する

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【AED が推奨される理由】
目撃される心停止の原因で一番多いもの ・・・ 心室細動(VF)
VF に対して最も効果的な治療法 ・・・ 電気的除細動 心臓にショックを与え、VF を止め

VF に対する除細動の成功率は、時間が経つほど急激に低下する(下図)
心電図を判断する必要なしで、一般市民でも使えるようにした除細動器 ・・・それが AED

【早期除細動の重要性】
~ VF の症例を集めた報告では ~
倒れてから CPR 開始までの時間が短いほど
倒れてから除細動までの時間が短いほど
→ 生存退院率が高い

VF に対しては一刻も早い除細動が有用
CPR を早期に開始し、続けることで除細動までの時間を稼げる

【AED 使用に注意が必要な 5 つの状況】


1. 患者が 1 歳未満
AED には成人用パッド、小児用パッドがある
8 歳以上の成人 : 成人用パッドを使用(小児用パッドを使ってはいけない!)
1 歳から 8 歳 : 小児用パッドがあれば使用 なければ成人用パッドで可
1 歳未満の乳児 : AED の使用は推奨されていない

2. 患者の胸毛が濃い
体毛によりパッドの接着が悪い場合、もう一度しっかりと押しつける
それでもだめなら、一度パッドを剥がす
体毛除去できるもの(はさみ・カミソリなど)があれば体毛を除去する
新しいパッドを貼り付ける

3. 患者の胸が濡れている もしくは 患者が水の中にいる


水中で AED を使ってはいけない 患者が水中にいる場合、水の外へ出す
患者の胸が濡れている場合、パッドとパッドの間の水分を拭き取る

4. 植え込み型除細動器 もしくは 人工ペースメーカが植え込まれている


パッドを 2.5cm 以上離して貼り付ける

5. AED のパッドを張ろうとする場所に、経皮吸収剤を使用している
経皮吸収剤を剥がし、薬品を拭き取ってからパッドを貼り付ける

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Ⅷ. FBAO(Foreign Body Airway Obstruction)の方法


FBAOとは、「異物による気道閉塞・気道異物」のこと
手順:
①のどが詰まっている人を見つける
のどを詰まらせている人の世界共通のジェスチャーが右図。
(Universal choking sign)
②声をかける
確認の言葉は一つだけ「喉が詰まったんですか?」
・「はい」と声を出せる人には → そばにいて咳をうながし見守る。
・うなずくだけで声が出せない人には → ③以降の手順に進む。
③意識のある人に対して
「今助けますから大丈夫ですよ。後ろに回りますからね。

と声をかけ患者の後方へ。
「立位」「座位」「臥位」
→ そのままの姿勢にてハイムリック法(右図)
・異物が外に出る→一緒に病院へ
・異物が出なくて意識がなくなる→④以降の手順へ進む。
④意識のなくなってしまった人に対して(患者を横たえて)
ⅰ)救急車を呼ぶ(院内であれば救急コール)
ⅱ)気道確保(頭部後屈顎先挙上法)して口の中を観察する。
・異物が見えたら → 手を入れて取る → ⅲ)以降の手順へ進む
・異物が見えなかったら → ⅲ)以降へ進む
ⅲ)呼気を吹き込む(手技は通常の人工呼吸と同様)
・胸が上がったら → 気道異物は解除されてる → ⅴ)進みます
・胸が上がらなかったら →(気道異物)or(気道確保が不十分) 「AHA テキスト 2005」から引用
→ 気道確保をし直して再度呼気吹き込み
2 回吹き込んで胸が上がらなかったら → ⅳ)以降の手順へ進む。
ⅳ)心臓マッサージ 30 回、人工呼吸 2 回を通常のCPRと同様に繰り返す。
・人工呼吸時は毎回気道確保したときに口の中の観察をする。
・「異物が出る」「胸がちゃんと上がる」「明らかな呼吸が確認される」→ⅴ)へ進む。
ⅴ)通常のCPRと同様に
2回の人工呼吸 →「頸動脈の脈確認(Check pulse)」→
1.脈無し → CPR 継続
2.脈あり → 「呼吸の確認」 → 呼吸無し → 補助換気へ(CPRと同様)
3.脈あり → 「呼吸の確認」 → 呼吸あり → 回復体位

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Ⅸ.バックマスクを使用しての換気

一人で行う場合は,左手でマスクを持ち,下顎挙上法で気道を確保しながら右手でバッグを
圧縮する。バッグマスクを使う場合には1回換気量は 4-6mL/kg(400~600mL)とする。
片手で下顎挙上を行い,マスクを保持するのはある程度のトレーニングが必要であり,気道
確保が不十分になることが多い。したがって,自信がない場合には一人が両手をつかい、下
顎挙上法で気道を確保しつつマスクを保持し,もう一人がバッグを圧縮し二人で行うべきで
ある。

図1 1 人で行なうバック・マスク人工呼吸 図2 2 人で行なうバック・マスク人口呼吸

救助者はマスクの上部両端を親指と人差し 疾病者の頭部に位置する救助者は両手の親指と

指で輪をつくるようにして持つ。残り 3 本の指 人差し指でマスクの周囲をしっかりと疾病者の顔

で下顎を挙上する。漏れないようにマスクを密 に密着し、残りの指で下顎骨を挙上させるととも

着させることがバック・マスク人工呼吸の成功 に、頚部を進展させ胸があがるのを観察する。も

の鍵である。 う 1 人の救助者は 1 秒間胸が挙上するまでバック


を加圧する。

呼気の吹き込み量は 500mL(普段の呼気と同量)
1秒間かけて吹き込む(胸郭挙上を確認する)
まずは2回人工呼吸をする

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Ⅹ.ACLS:Advanced Cardiovascular Life Support(二次救命処置)

Ⅹ-1 気管内挿管
気管内挿管は気道を確保し適切な酸素化を
行なうことを目的として行なわれる。

気管内挿管に必要な道具
・スタイレット,
・気管内チューブ,・バイド
ブロック,・10cc の押子シリンジ,・キシロカ
インゼリー,・喉頭鏡,・固定用シルクテー
プ,・熟練した術者

1)挿管チューブのサイズを確認しカフに異常がないか 10mlのシリンジでエアーを入れて確認
する。喉頭鏡が確実に点灯することを確認する。
2)挿管しやすい位置に患者を寝かせる。患者の寝衣をゆるめ胸部を開く。
3)挿管チューブのカフ部分にキシロカインゼリーを塗布する。喉頭鏡をドクターに渡しスタイレ
ットをセットした挿管チューブを渡す。(スタイレットは挿管チューブより出ないようにする。
4)挿管できたら、医師の指示のもとスタイレットを抜く。
5)挿管できたらカフに空気を 10cc 注入する(緊急時は 10cc で OK)
6)医師が心窩部の聴診→ 左右の胸郭の動き→ 5 ポイント聴診(左右の前胸部、中腋窩、心窩部)
→ チューブ内の曇り→ 酸素・リザーバーの確認
7)バイドブロックを挿入する
8)挿管チューブとバイドブロックをシルクテープでしっかりと固定する
9)挿管された時点で適宜、吸痰する
10)必要時、酸素吸入、バックマスクでの呼吸補助、人工呼吸器との接続をする
11)全体を通して患者の状態を観察する
(バイタルサイン、呼吸状態、肺音、SPO2 モニター、その他)
12)後片付け、整理整頓を行う

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Ⅹ-2 DC(除細動器)使用時の介助方法

1.医師がDCの適応と判断したら下図のようにパットを貼る。

2.医師の指示のエネルギーレベルに合わせる。
3.自分が感電しないように離れる。

Ⅹ-3 除細動の手順
VF/pulselessVT と診断

「VF/pulselessVT です。除細動を行ないます。」

「エネルギーレベルを 360J にセットしてください。」

パドルに DC 用のジェルを塗る。あるいは除細動パ
ッドをパドルを当てる位置に貼る。

充電「充電します。みなさん離れてください。

安全確認「私 OK、あなた OK、みなさん OK、モニ


ター確認、放電します。

放電 左右のボタンを同時に押す。

すぐに CPR を再開

2 分後にリズムチェック+パルスチェック

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