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教育思潮の変遷を探る資料としての 学習指導案(6)

授業公開の行事名:校内国語研究会 授業年月日: 1981(昭和56)年6月19日 授業者:新行内 隆(教職3年目) 学校名:銚子市立船木小学校 学級名:5年1組 教科領域:国語 教材名:サロマ湖の変化 [解題]  初めての国語の授業研究。講師指導は次の3 点。「①カード操作だけで段落構成を理解させ るのは片手落ち/②教師は児童の思考代行業で はなく助言者/③要約文の書かせ方を個人研究 として勉強するとよい」教職3年目、国語研究 の大切さと面白さを知った。 [備考]  学習指導案原版はB5版の更紙に謄写版印刷 したものであるが、損傷が激しく、A4版とし てデジタル化したが、表現等はできる限り原版 に従った。

   第5学年1組   国語科学習指導案         指導者  新行内 隆 1 教材名   サロマ湖の変化 2 教材について  ○ この教材は、単元「原因をさぐる」の中に含まれる。「原因をさぐる」は、(1)   本教材「サロマ湖の変化」(説明文)と、(2)「カナリヤのいる駅」(児童作文)   の2教材で構成されている。    この単元は、原因と結果の関係をよく考えながら、文章を読んだり書いたりする力   を養うことを目標としている。そこで、(1)「サロマ湖の変化」を、「理解---   読むことの単元」と捉え、(2)「カナリヤのいる駅」を「表現---作文の単元」   と捉え、2教材を独立させて授業を展開しようと考えている。  ○ 「サロマ湖の変化」の文章構成は、昭和4年のサロマ湖岸の騒ぎの紹介に始まり、   以下、サロマ湖とトウフツの説明・サロマ湖の変化の原因・サロマ湖と湖岸の変化・   サロマ湖と人々とのかかわりと説明が続き、最後に、自然と人間とのかかわりに触れ   て終わっている。    文章の大半が、原因と結果の関係で叙述されているため、かなり明確に説明の論理   を捉えさせることができると思われる。  ○ 表現に即して、文章の細かい点まで読み取ることができるように、「ので「から」   「それで」「ですから」「---ことによって」「そのため」といった、原因・結果   を表す表現に留意して指導していきたい。  ○ 文と文との接続の関係や、文章における段落相互の関係を理解させるために、各形   式段落の要点を捉える指導を徹底させたい。そして、最終的には、文章全体の構成の   あり方について理解を深めさせたい。  ○ 本学級の児童は、前単元として「自然をさぐる」を学習し、説明的文章(記録文)   に接している。前単元における形式段落の要点を捉える能力について、実態調査を   行った結果を下表にまとめた。       在籍 28名(男子17名 女子11名) 段階 5 4 3 2 1 評価 自分の言葉で的確にまとめられる。 正確な要約ができる。 何とか重要語句を抑えられる。 ピントのずれた要約をしてしまう。 まったくできない。 人数 11 15  2  0  0 % 39 54  7  0  0

   また、段落相互の関係を図式する作業は、グループ学習として経験済みである。 3 ねらい  ○ サロマ湖の変化について、原因と結果の関係をよく考えながら、表現に即して読み   取れるようにする。  ○理解   ・表現に即して、文章の細かい点まで読み取ること。        ・内容を理解し、文章全体の組み立てを理解すること。  ○言語事項 ・文と文との接続の関係や文章における段落相互の関係を理解すること。

 ○表現   ・各段落について、要点を捉えた要約文を書くこと。 4 指導計画  総時数(9時間)

ねらい

学習活動

言語事項 ○新出漢字  雪解け 境 限る 災害  複雑 直接 増す 損害

 営む 減る 逆 ○新出語句 ○新出漢字を正確に読 ○新出漢字や新出語句の読  周囲 水位 えぐる  むことができるとと  み方や意味を調べる。  そうこうする 一角  もに、学習国語辞典  ほりわり きっかけ 2/9  を自在に使うことが  とうとうと いたる所  できる。  よどみがち ○サロマ湖・トウフツ ○形式段落ごとの要点 ○各形式段落を要約し、要 ○原因と結果を表す表現  ---ので ---から  を、正確に捉えるこ  点を捉える。  とができる。 ○各形式段落の要点を発表  それで これが そこで 4/9  し合う。  ですから そのため ○段落別要点一覧表を作成  ---ことによって 5/9  する。 3/9 ○全体を5つの意味段 ○全体を意味段落に分割す ○段落相互の接続を表す言 6/9  落に分割することが  る。  葉  できる。  ところが そこで ○段落相互の関係を正 ○第1~6段落の段落相互  まず第一に 7/9  第二(三・四・五・六)には  しく理解できる。  の関係を作図する。  このように 本時 ○文章全体の組み立て ○第7~14段落の段落相 8/9  を理解できる。  互の関係を作図する。 ○自然と人間のつなが ○第15段落~文章全体を 9/9  りについて考えるこ  振り返り、まとめをする。  とができる。

○本教材に対して関心 ○全文を通読する。  を高めることができ 1/9  る。 ○形式段落を確かめながら ○大筋の内容を捉える  番号を振る。  ことができる。

5 本時の学習  (1)ねらい     第7~14段落を読み、接続語を捉えて段落相互の関係を作図し、理解すること    ができる。  (2)展開

時配

学習活動と内容 1 本時の学習問題をつかむ。

指導上の留意点

資料

○段落別要点一覧表を提示する。 一覧表 カード 第7~14段落の関係を調べ、図に表そう。 ○机間巡視を行い、個別指導を  する。 ○各段落の書き出しの言葉に注  意させる。

2 ノートに作図し、理由もまとめ  る。 15

3 自分の考えを発表し合う。 ○第8~13段落が、直列的な  関係ではなく、並列的な関係  であることに気づかせる。 ○発表者を前に出して、黒板に  カードを並べさせて説明させ  る。

7 20 13 12 11 10 9 8

12 14 4 まとめる。 3 ○第14段落の書き出しの「こ  のように」が、まとめの言葉  になっていることに着目させ  る。 ○次時への関心・期待を高める。

5 次時のめあてをつかむ。 2

【講師指導メモ】 ○ 本時のねらいは、技能目標よりも教材の内容的価値(内容目標)を書く。 ○ 段落別要点一覧表は、個人用のコピーを切り刻んで構造図を作るとよい。 ○ 教師は助言者であり、児童の思考を代行する者ではない。 ○ 個人研究のテーマとして、要約文の書かせ方を学んではどうか。 ○ カードだけの操作では抽象的になってしまう。 ○ 能力差を考慮しよう。“「見ながら」の質”を検討する。 ○ 教師の思考レベルと児童の思考レベルを同じには考えられない。 ○ 段落別要点一覧表と重ね合わせる。つまり、説明しながらカードの脇に、但し書きを  書くとよい。 ○ カードから短冊へ。「中身」の裏づけのあるカード操作になるようにしたい。   (ひと目見て、わかりやすい形)

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