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Vol. 1 No.

TM

分子自己組織化

Molecular Self-Assembly
Introduction to
Molecular Self-Assembly

Self-Assembled
Monolayers (SAMs)

Microdisplacement
Printing

Self-Assembly in
Flexible Electronics

High Affinity Polyvalent


NanotethersTM

Biotechnology
Biosensor Program

Protocol for SAMs


Preparation

Spontaneously assemble a computer


chip....Fact or Fiction?

sigma-aldrich.com

②マテリアルマター5-11修正書式変更.indd 1 2007/05/16 12:10:56


2

はじめに
TM

Material MattersTMの第2号へようこそ。今号では自己組織化と、そのナノデバイス
生産への応用を特集しています。シグマ アルドリッチ材料科学部門のJasty博士が
「はじめに」でご紹介している通り、自己組織化膜(SAM)を利用して材料を構築 Vol. 1 No. 2
する技術は「分子の自己組織化」という広範なアプローチの一部です。
Asemblon社の科学者たちは、SAM形成の完全性および速度を向上させる上での純
度の重要性について考察します。ペンシルベニア州立大学のWeissグループは、ナ
ノスケールの高精度で複雑なパターンを加工するためのSAM技術であるマイクロ転
写印刷の原理を説明します。スタンフォード大学のBao教授は、有機薄膜トランジ 目 次
スタ加工を目的としたSAMの応用における最新の開発状況を概説します。また、
分子自己組織化
Sensopath Technologies社のチームが生体分子認識の基本的概念、すなわち多価相
互作用の概念を借りて、バイオセンサーなどの用途のためのSAM分子として設計し はじめに _______________  2
はじめに

た頑強なNanotethersTMを紹介します。また、シグマ アルドリッチではバイオセン
分子自己組織化の概要 _________  3
サー関連プログラムへの参加を募集しています。今号の巻末には、テクニカルガ
イドのテーマに合わせて、SAM作製のための段階的プロトコールを掲載していま 自己組織化膜:
す。今号では併せて、SAMの基礎科学研究ならびにナノデバイス加工を目的とした 純粋なアルカンチオールの利点 _____  3
SAMの応用を支援するための製品を特集しています。製品の詳しい情報については
ウェブサイトsigma-aldrich.com/matsciをご覧ください。 転写可能な単分子膜とマイクロ
転写印刷:アダマンタンチオール
Material MattersTMおよびご興味をお持ちの材料に関するご意見、ご質問、ご要望に の自己組織化と用途 __________  8
ついてはmatsci@sial.comまでお寄せください。
フレキシブル電子デバイスのための
有機薄膜トランジスタにおける自己

材料科学関連ウェブサイト
組織化 _______________ 11

弊社ウェブサイトsigma-aldrich.com/matsciをご覧ください。 高親和性多価NanotetherTM金表面上
のSAM:なぜ「より多きことはより
良きこと」なのか __________ 15

リサーチ・バイオテクノロジー 
バイオセンサー関連プログラムの
ご案内 __________________ 17

溶液からの自己組織化に関する
実験手順ガイド ___________ 18

表紙について

コンピュータチップなどの複雑な構造物が自発的に組み上がるには何が必要でしょ
うか?表紙に描かれた(11-メルカプトウンデシル)トリ(エチレングリコール)
のような構成分子や、マイクロスケールおよびナノスケールの科学における最近の
進展に端を発して、化学、物理学、生物学、工学、数学といったさまざまな学問分
野の科学者が、自己組織化システムの創出や設計、制御の理解を目指して自己組織
化プロセスの研究を開始しています。
s i g m a - a l d r i c h . c o m

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分子自己組織化の概要 自己組織化膜:純粋なアルカンチオールの
利点
Dr. Shashi Jasty, Sigma-Aldrich Materials Science
分子自己組織化とは、外部からの誘導や支配によらない分
子の組織化のことです。自己組織化は、例えば細胞内にお Dr. Maxi Boeckl and
ける脂質二分子膜の自己組織化のように、天然の状態で自 Dr. Daniel Graham,
発的に起こることもあります。その結果、通常は系の内部
Senior Scientists,
秩序が高まります。多くの生体系では自己組織化を用いて Asemblon, Inc
さまざまな分子や構造を組織化しています。こうした戦略
を模倣し、超分子会合体への自己組織化能を有する新しい 自己組織化:天然からラボへ
分子を創造することは、ナノテクノロジーにおける重要な 1980年代、アルカンチオール類が貴金属表面上で自発的に
技術です。 組織化することが見いだされました。この新たな科学分野が
自己組織化の場合、最終的な(目的とする)構造は、用い 開いた扉から、ミリモル濃度のアルカンチオールエタノール
る分子の形状および特性の中に「符号化」されています。 溶液に金の基板を浸漬することで事実上すべての化学的性質

分子自己組織化の概要
一方、リソグラフィーなどの従来技術では、目的とする最 を自在に持たせた表面を作り出す方法が生まれました。その
終構造は材料の大きな塊から切り出さなければなりませ 結果、金属表面には結晶に似た単分子膜が形成され、これが
ん。そのような理由で、リソグラフィーのような「トップ 自己組織化膜(SAM)と呼ばれます1。
ダウン型」技術との比較において、自己組織化は「ボトム 長年にわたり、自己組織化プロセスのメカニズムは詳細に研
アップ型」の製造技術と呼ばれています。 究され、解明されてきました。研究の結果、典型的なアル
分子スケールでは、高精度かつ制御された分子間力を利用 カンチオール単分子膜は金表面上で(√3 × √3)R30°構造2
することで、以前は実現できなかった新しいナノ構造が得 を形成し、チオール鎖は平面に対する垂線から約30度傾い
られるようになります。これこそが、今日のナノテクノロ て配向していることがわかっています3-6。単分子膜の厳密な
ジーにおいて分子自己組織化(MSA)が話題を集め有望な 構造は鎖部分の化学的性質に依存します。
研究分野とされている理由なのです。MSAは広く見られる 自己組織化は、タンパク質のフォールディング、DNAの転
現象であり、自然界では至る所(私たち自身を含めて)に 写とハイブリダイゼーション、細胞膜の形成といった自然界
MSAの複雑な例が多数存在しますが、まだ完全には理解 の数多くのプロセスの基礎をなしています。天然における自
されていません。生体分子の会合体は精巧で、単離が困難 己組織化プロセスを支配するのは、分子を安定な低エネルギ
なことが多いため、その基礎科学を系統的かつ段階的に解 ー状態へと向かわせる分子間力および分子内力です。こうし
析することは非常に困難です。現実に必要とされているの た力には、水素結合や静電相互作用、疎水性相互作用ファン
は、より単純なMSA、すなわち化学者が容易に合成できる デルワールス力などがあります。
ような構成分子からなるMSAです。 そのような分子であれ
天然の自己組織化の場合と同様に、アルカンチオール類を貴
ば自己組織化で生じる構造物も単純で、現在の実験技術で
金属表面上で組織化させるドライビングフォースは複数あり
も容易に解析できることでしょう。
ます。第一は金表面に対する硫黄の親和力です。硫黄-金間
分子自己組織化に向けたアプローチとしてさまざまなもの の相互作用は45kcal/molのオーダーで3、準共有結合レベル
が考えられますが、中でも「静電相互作用による自己組織 (参考:C‐C結合の強さは約83 kcal/mol)の安定な結合を
化(交互積層法)」および「自己組織化膜(Self-Assembled 形成することが見いだされています。
Monolayer)」(SAM)という2つの戦略が研究上の注目
次の組織化ドライビングフォースは、アルカン鎖のメチレン
を集めてきました。静電相互作用による自己組織化では、
炭素の間に働くファンデルワールス力による疎水性相互作用
適切な基板の上に陰イオン性の電解質と陽イオン性の電解
です。アルカンチオールの単分子膜の場合、この相互作用は
質を交互に吸着させます。多くの場合、活性のある層はそ
チオール鎖を表面に対して傾けることで鎖間の相互作用を最
れらのうち1層だけであり、他の層は静電相互作用によっ
大化し、全体的な表面エネルギーを低下させています。秩序
てこの複合多層膜を結びつける役割を果たしています。こ
性の高い単分子膜は炭素数10以上のアルカン鎖から生じま
のMaterial MattersTM第2号では、後者の戦略、すなわちチ
す。この長さの炭素鎖であれば、鎖間の疎水性相互作用が分
オールやシランなどの構成分子を利用した自己組織化膜(
子の回転自由度に打ち勝つことができます6,7。
SAM)を特集します。SAMの場合、合成化学は基本的なビ
ルディングブロック(つまり構成分子)の構築に用いられ 単純なアルカンチオール分子の例を図1に示します(次ペー
るだけで、そのブロックを配置・結合させて1つの構造へと ジ)。アルカンチオールは、貴金属表面に結合する硫黄を含
まとめ上げる際にはファンデルワールス結合などの弱い分 む結合基、スペーサー鎖(通常はメチレン基(CH2)nからな
子間結合が利用されます。この弱い結合こそが、SAM(そ る)、頭部の官能基という3つの部分からできていると考える
してMSA全般)の可逆的な溶液加工を可能にしています。 ことができます。上述の通り、硫黄原子およびメチレン基中
このように、溶液ベースによるSAMの加工および製造技術 の炭素がアルカンチオール組織化の主なドライビングフォー
は、大量生産といううらやましいほどのゴールを示すとも スとして作用します。そして、任意の官能基を頭部として用
に、組織化のどの段階でもエラーを修正できる可能性を拓 いることで、それがプラットフォームとなり、事実上どのよ
くものです。この方法が半導体エレクトロニクス産業にと うな化学的性質を有する表面でも作製することができます。
ってナノワイヤ、ナノトランジスタ、ナノセンサなどの機 単に頭部基を交換するだけで、疎水性(頭部がメチル基の場
能ナノデバイスを大量生産する上でもっとも費用対効果の 合)、親水性(水酸基またはカルボキシル基の場合)、タン
高い方法であるということはよく知られています。 パク質吸着抵抗性(エチレングリコール基の場合)の表面、
あるいは化学結合可能な表面(NTA、アジド、カルボキシル
基、アミンの場合)を創出することができるのです。このこ
とにより、研究者は目的とする機能を果たす表面を自由に設
計することができます。

バルク供給/スケールアップのご相談は…
ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:sialjpfc@sial.com

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Head
調べ、化学分析用電子分光法(ESCA)および飛行時間型二
Group 次イオン質量分析法(ToF-SIMS)を用いて溶液の濃度と表
Head Group
面での比率との関係を明らかにしました 8。この研究によっ
て、混合単分子膜の表面組成と溶液組成がいかに大きく変動
Spacer Group しうるか、また、混合単分子膜表面の設計になぜ検量線が必
要なのかが示されました。
SAM形成におけるチオール性不純物の影響の証明として、表
Terminal
1は、意図的に「不純物」を添加したチオール溶液から作製
Sulfur
されたSAMのESCAによる表面組成データを示しています。
Group この実験では、(1-メルカプト-11-ウンデシル)テトラ(エ
C12 Thiol
チレングリコール)(PEG 4 チオール、Aldrich製品番号
Substrate
SH 674508)を、0%、1%、10%(v/v)のチオ酢酸(TAA)と
混合しました。単分子膜はすべて、1 mMの無水エタノール
  純粋なアルカンチオールの

図1.チオール分子の模式図
溶液から作製しました。各チオール成分の比率は体積比で示
自己組織化膜:

硫黄を含む結合基は分子を金表面に結合させます。頭部となる官能基の
設計次第で、事実上どのような化学的性質、結合能、特性でも表面にも されています。
たせることができます。
表1を見て最初にわかることは、組織化用溶液中のチオ酢酸
の量が多いほど金原子の比率が高いということです。金原子
自己組織化:純度の問題 のシグナルは単分子膜の下地である金の基板に由来するもの
SAMは通常、目的とするアルカンチオールの1mMエタノ です。このシグナルは、表面を覆う単分子膜の層によって減
ール溶液から作られます。最初の単分子膜の形成は非常に 衰します。層が薄いほど、または配向性が低いほど、シグナ
迅速で、表面は数秒から数分の間に単分子膜によって覆 ルの減衰が小さくなります(金のシグナルが大きくなりま
われます。この最初にできた単分子膜は配向性が低く、 す)。すなわち、たとえ1%でもチオ酢酸が組織化用溶液に
鎖内にはゴーシュ型の欠陥が多く含まれています。時間の経 加わると、単分子膜の厚さは大幅に低下するといえます。チ
過につれて層の配向性は高まり、より緊密となります。報告 オ酢酸は低分子であり、単分子膜に挿入されれば単分子膜の
利点

されている組織化時間は論文によって異なりますが、おおむ 局所的な配向を破壊し、層厚を大幅に低下させることでしょ
ね12時間から2日間です。 う。
十分に組織化された単分子膜を形成できるかどうかは、用い 表1.「不純物」有りまたは無しのPEG 4チオール単分子膜のESCAによる
るアルカンチオールの純度に左右されることがあります。不 組成データデータはすべて原子比率として示しています。また、各サン
プルにつき2ヵ所の分析スポットの値を示しています。
純物がごくわずかでも存在すれば、それが原因で配向性の低
い、非理想的な単分子膜が生じる可能性があります。チオー サンプル†
ル化合物に含まれる不純物は、多くの場合、精製工程で分離 (溶液混合比率) C 1s O 1s S 2p Au 4f
されなかったチオール化前駆体分子です。こうした前駆体分 PEG4thiol (100%) 64.5 19.1 1.3 15.1
子は、最終生成物にあるべき頭部基を欠いた直鎖アルカンチ
PEG4thiol (100%) 65.3 20.9 1.2 12.6
オールであるか、または前駆体分子にチオール官能基を導入
するために用いた分子(チオ酢酸など)であるかのどちらか PEG4thiol/TAA (99%/1%) 55.9 17.3 2.3 24.5
です。これらの化合物もチオールの性質をもつため、目的の
PEG4thiol/TAA (99%/1%) 56.2 17.3 2.8 23.7
アルカンチオールと競合して、利用可能な表面部位を奪い合
います。複雑な頭部基やかさ高い頭部基を有するアルカンチ PEG4thiol/TAA (90%/10%) 45.6 12 4.3 38.1
オールの場合は、特にこうした競争吸着が問題となります。 PEG4thiol/TAA (90%/10%) 46.2 13.6 4 36.2
かさ高い頭部基はアルカン鎖の緊密な配向を妨げるため、組

織化のドライビングフォースを低下させます。このような組 PEG4チオール=(1-メルカプト-11-ウンデシル)テトラ(エチレングリコ
ール)、Aldrich製品番号674508、TAA=チオ酢酸
織化ドライビングフォースの低下により、直鎖状または低分
子量のチオール性不純物が、目的のアルカンチオールよりも
表2は、表1のデータから金のシグナルを除いて再計算した値
広い表面を占めることが考えられます。
を示しています。この表により、混合溶液の原子比率から予
この効果はアルカンチオール自己組織化に関する初期の研 想される原子比率と実際の原子比率とを比較することができ
究で指摘されており、あるアルカンチオールを別のアルカ ます。表2からわかるとおり、実測値は計算値とよく一致し
ンチオールに優先して吸着させることに関していくつもの ています。硫黄の原子比率は全体的に予測値より低い値を示
詳細な研究がなされました。一方は極性基を、他方は非極 しましたが、これは表面を覆う単分子膜によるシグナル減衰
性基を頭部にもつ2種類のアルカンチオールが混合したエタ に起因するものです。このことは、100%PEG4チオールの場
ノール希薄溶液からの吸着実験により、非極性基を頭部にも 合に特にあてはまります。他の2種類の単分子膜で得られた
つアルカンチオールの方が優先して吸着することが示されま 硫黄原子のデータが予測値に近いという事実から、これら
s i g m a - a l d r i c h . c o m / j a p a n

した7。Bain et al.は、同じ頭部基を有するアルカンチオール の膜の配向性が低いこと(金の原子比率と一致する)、また


同士の場合、鎖が短いものよりも長いものの方が優先して吸 は、大量のチオ酢酸が表面に存在すること(他の原子に対す
着することも指摘しました4。2種類以上の頭部基が希望どお る硫黄原子の相対比率が高い)が示唆されます。
りの比率で存在するような混合型の単分子膜を意図的に作製
表2で興味深い点は、炭素原子および酸素原子の相対比率は
しようとする場合、溶液の濃度から表面での相対比率を予測
サンプル間でそれほど変化していないため、どの表面も純粋
することは非常に困難であり、通常は検量線が必要となりま
なPEG 4チオールであると考えることもできるということで
す4。Nelsonet al.は、ビオチン化アルカンチオールとメルカ
す。サンプルを区別して不純物の存在をうかがわせているの
プトヘキサデカンまたは(1-メルカプト-11-ウンデシル)テ
は硫黄原子の比率の高さだけです。
トラ(エチレングリコール)とが混合した単分子膜について

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このデータは全体として、溶液中に少量でも不純物が存在す 自己組織化:無限の可能性
れば単分子膜の組成および構造に顕著な違いが生じうるとい 自己組織化膜は多くの分野でその研究・応用が進められてき
うことを実証しています。こうした問題に対する最良の解決 ました。一部の例を挙げてみれば、表面濡れ性、防汚性、電
策は、できる限り高純度の分子を用いることです。 気化学、表面パッシベーション、タンパク質結合、DNA組織
化、耐腐食性、生物学研究用アレイ類、細胞間相互作用、分
表2.PEG 4 チオール単分子膜が不純物を含む場合と含まない場合の、
ESCAによる組成データ(金のシグナルを除いて再計算した値)データは 子エレクトロニクスなどがあります。以前の総説でこれらや
すべて原子比率として示しています。 また、各サンプルにつき2ヵ所の分 その他のトピックの概要が示されています11-13。
析スポットの値を示しています。太字の値は、使用した溶液の物質混合
比率に基づいて計算した原子比率を表します。 自己組織化膜は直接的な表面工学への扉をまさに開いてきま
サンプル †
C 1s O 1s S 2p した。関心のある研究者の可能性を制限するのは想像力だけ
です。図2はアルカンチオール単分子膜に考えられる用途を
PEG4thiol (100%) 76.0 22.5 1.5
模式的に示したものです。これらの用途は、表3に挙げたよ
PEG4thiol 100% 74.7 23.9 1.4 うな頭部基をもつ高純度アルカンチオールを利用するものと
考えられます。
PEG4thiol (100%-predicted) 76.0 20.0 4.0

自己組織化膜:
PEG4thiol/TAA (99%/1%) 74.0 22.9 3.0

純粋なアルカンチオールの
PEG4thiol/TAA (99%/1%) 73.7 22.7 3.7

PEG4thiol/TAA (99%/1%-predicted) 75.7 20.1 4.2

PEG4thiol/TAA (90%/10%) 73.7 19.4 6.9

PEG4thiol/TAA (90%/10%) 72.4 21.3 6.3

PEG4thiol/TAA (90%/10%-predicted) 73.4 20.5 6.1

TAA (100%-predicted) 50 25 25

利点

PEG4チオール=(1-メルカプト-11-ウンデシル)テトラ(エチレングリコ
ール)、Aldrich製品番号674508、TAA=チオ酢酸

PEG 3およびPEG 6チオールのサンプルにチオ酢酸が存在する 図2.アルカンチオール単分子膜に考えられる用途


A)防汚性表面、B)特異的結合レセプターをもつSAM、C)細胞を天然状
場合でも同様の結果が得られました。両サンプルとも金およ 態で培養・実験するための細胞支持体、D)分子エレクトロニクス、E)
び硫黄のシグナルが予測値よりも高かったことから、層の配 マイクロアレイ、F)分離
向性が低く、硫黄を含む不純物が存在することが示されまし
表3: 図2に示した用途に利用される頭部基の例
た。ポリ(エチレングリコール)アルカンチオール(PEG nチ
オール類)のもっとも重要な特性は、防汚性をもつ自己組織 用途 一般的な頭部基
化膜を形成する性質ですが、カルボン酸末端をもつPEG nチ 防汚性表面 PEGn、マンノース
オール(出発物質のポリ(エチレングリコール)に由来する 特異的結合レセプター ビオチン、NTA、ペプチド、糖質
と考えられる)が少量でも存在するとタンパク質が大量に吸 細胞支持体 ペプチド
着され、未処理の金自体よりもファウリングが起こりやすい 分子エレクトロニクス CH3、SH
表面となることがRobertset al. によって示されました9。
マイクロアレイ DNA、ペプチド、PEGn
チオール性不純物による単分子膜形成の阻害は、金表面での 分離 NTA
チオール化DNAの組織化に関しても報告されています10。チ 表面反応 アジド、COOH、NH2、OH、SH
オール性不純物であるジチオスレイトールの存在によって金
表面でのチオール化DNAの組織化が阻害されることが見いだ 参考文献
されました。純度の高いサンプルの場合は組織化時間が長い (1) Nuzzo, R. G.; Allara, D. L. J. Am. Chem. Soc. 1983, 105, 4481. (2) Strong,
L.; Whitesides, G. M. Langmuir 1988, 4, 546. (3) Dubois, L. H.; Nuzzo, R. G.
ほどDNAに特徴的な元素(P、N)の原子比率が増加しまし
Annu. Rev. Phys. Chem. 1992, 43, 437. (4) Bain, C. D.; Whitesides, G. M. J.
たが、不純物を含むチオール化DNAを組織化に用いた場合は
Am. Chem. Soc. 1989, 111, 7164. (5) Bain, C. D.; Whitesides, G. M. Angew.
そのような原子比率の増加がみられませんでした。その代わ Chem. Int. Ed. 1989, 28, 506. (6) Porter, M. D.; Bright, T. B.; Allara, D. L.;
り、組織化時間を長くすると表面上の不純物分子の量が増加 Chidsey, C. E. D. J. Am. Chem. Soc. 1987, 109, 3559. (7) Bain, C. D.; Evall, J.;
しました。比較的純度の高いDNAから作製したサンプルは、 Whitesides, G. M. J. Am. Chem. Soc. 1989, 7155. (8) Nelson, K. E.; Gamble,
組織化の時系列において、DNAに特徴的な元素に関して妥当 L.; Jung, L. S.; Boeckl, M. S.; Naeemi, E.; Golledge, S. L.; Sasaki, T.; Castner, D.
な傾向を示しました。 G.; Campbell, C. T.; Stayton, P. S. Langmuir 2001, 17, 2807. (9) Roberts, B. J.;
Naeemi, E.; Ratner, B. D. JURBIE 2004, 4, 103-107. (10) Lee, C.-Y.; Canavan,
H. E.; Gamble, L. J.; Castner, D. G. Langmuir 2005, 21, 5134. (11) Love, J. C.;
Estroff, L. A.; Kriebel, J. K.; Nuzzo, R. G.; Whitesides, G. M. Chem. Rev. 2005,
105, 1103. (12) Chaki, N. K.; Vijayamohanan, K. Biosensors & Bioelectronics
2002, 17, 1. (13) Ulman, A. Chem. Rev. 1996, 96, 1533.

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アルカンチオール―直鎖状
R-CH2(CH2)n-2CH2-SH

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方法は裏表紙をご覧下さい。
n \頭部基(-R) -H -OH -COOH -SH(ジチオール)
3 P50757 (99%) 405736 (95%) M5801 (99+%)
4 451878 (95%)
5 P7908 (98%)
6 234192 (95%) 451088 (97%) 674974 (90%) H12005 (96%)
7 H4506 (95%)
  純粋なアルカンチオールの
自己組織化膜:

471836 (98.5%), O3605 (97+%),


8 675075 (96%)
662208 (*NanoThInksTM) 662615 (*NanoThInksTM)
9 674273 (99%), N31400 (95%) N29805 (95%)
10 D1602 (96%)
674249 (99%), 674427 (99%),
11 510467 (98%) 447528 (97%), 450561 (95%), 674281 (99%)
662224 (*NanoThInksTM) 662925 (*NanoThInksTM)
12 471364 (98+%) 675067 (96%)
14 87193 (98+%)
利点

15 516295 (98%) 675091 (97%)


674435 (99%),
674516 (99%),
16 448303 (90%), 674400 (99%)
H7637 (92%)
662216 (*NanoThInksTM)
O1858 (98%),
18
662194 (*NanoThInksTM)
*NanoThInksTM は高純度エタノールを溶媒としたアルカンチオールの 5 mM 溶液です。NanoThInksTM は Sigma-Aldrich Biotechnology, L.P. の商標です。

アルカンチオール――分枝鎖、フッ化物、その他の末端基をもつもの
アルカンチオール 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)
1-Mercapto-2-propanol  CH3CHCH2SH 95 328375-1G 4,300
328375-5G 12,700
OH

Methyl 3-mercaptopropionate  O 98 108987-100G 6,300


H3CO C CH2CH2SH 108987-500G 17,400
108987-5G 4,300
3-Mercapto-2-butanol, mixture of isomers  OH 97 264792-1G 5,200
CH3CHCHCH3 264792-5G 18,000
SH

Butyl 3-mercaptopropionate O 98% 381454-100ML 4,300


C4H9O C CH2CH2SH 381454-500ML 11,100

3-(Dimethoxymethylsilyl)-1-propanethiol  OCH3 95 446173-10ML 製造中止


CH3SiCH2CH2CH2SH 446173-50ML 製造中止
OCH3

(3-Mercaptopropyl)trimethoxysilane  OCH3 95 175617-25G 2,400


s i g m a - a l d r i c h . c o m / j a p a n

CH3O Si CH2CH3CH3SH
OCH3

1H,1H,2H,2H-Perfluoro-1-hexanethiol CF3(CF2)2CF2
SH 98 16494-250MG 30,600

4-(6-Mercaptohexyloxy)benzyl alcohol HS(H2C)6 OH 96.5 673560-50MG 30,000


O

2-Ethylhexanethiol SH 96 669148-25G 6,600


669148-100G 21,500

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アルカンチオール 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)


tert-Nonyl mercaptan, mixture of isomers  CH3 CH3 97 171034-250ML 6,000
CH3 C CH2 C CH2SH 171034-1L 16,300
CH3 CH3

tert-Dodecylmercaptan, mixture of isomers  98.5 471585-100ML 2,900


C12H25SH 471585-500ML 4,400
471585-2L 8,500

1H,1H,2H,2H-Perfluorodecanethiol  97 660493-25G 30,000


CH2(CH2)6CH3
Au S 660493-5G 11,000

11-Amino-1-undecanethiol, hydrochloride HS
NH2 HCl 99 674397-50MG 50,400

自己組織化膜:
純粋なアルカンチオールの
11-Mercaptoundecyl phosphoric acid O 99 674311-50MG 60,000
P
HO O
HO SH

11-Mercaptoundecyl trifluoroacetate O 99 674230-50MG 60,000


F3C O
SH

2,2’-(Ethylenedioxy)diethanethiol   HSCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SH 95 465178-100ML 2,400


465178-500ML 11,700

11-Mercaptoundecyl)tri(ethylene glycol) HS O O 95 673110-250MG 22,600

利点
O OH

(1-Mercaptoundec-11-yl)tetra(ethylene O O
95 674508-250MG 25,800
glycol) HS O O OH

(1-(Methylcarbonylthio)undec-11- O
O O
95 674176-250MG 18,400
H3C S O O OH
yl)tetra(ethylene glycol)

(1-Mercaptoundec-11-yl)hexa(ethylene HS O
O
O
O
O
O
OH 96.5 675105-250MG 54,200
glycol)

Hexa(ethyleneglycol)mono-11- O
O O O
95 675849-250MG 15,100
H3C
(acetylthio)undecylether S O O O OH

O ur NanoThinksTM solutions will help you get results faster by reducing prep time and
mixing errors. We feature our best selling thiol materials in a high-purity ethanol. Just
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転写可能な単分子膜とマイクロ転写印刷:
1-アダマンタンチオールの自己組織化と用途

タンプを一成分の1-AD SAMに5分間接触させてから、サンプ
Thomas J. Mullen, J. Nathan Hohman, Dr. ルの100%エタノールによる洗浄と窒素ガス吹きつけによる
Arrelaine A. Dameron, 乾燥を2回行いました。ThermoMicroscopes Autoprobe CP
Jennifer R. Hampton, Susan D. Gillmor, and Research原子間力顕微鏡(Veeco社、米カリフォルニア州サ
Prof. Paul S. Weiss (photo) ンタバーバラ)を用いて、パターン作製後1時間以内に水平
Departments of Chemistry and Physics, The 力顕微鏡(LFM)イメージを撮影しました。ばね定数0.05
Pennsylvania State University nN/mの窒化ケイ素製チップはMikromasch社(米オレゴン州
ポートランド)から購入し、そのまま用いました。
はじめに
結果と考察
生体適合性システムからマイクロエレクトロニクスに至るさ
まざまな用途の実現に向けて、1~100 nmスケールの超分子 Au{111}基板を1-ADのエタノール溶液に浸漬すると、配向し
マイクロ転写印刷

レベルにおける自己組織化技術についての研究が広範に進め た1-AD単分子膜が形成されました5。
られています1, 2。パターン化表面構造の寸法が小さくなるに 図1(A)は一成分の1-AD SAMの代表的なSTMイメージで
つれ、そうした構造の作製や計測は難しくなり、複雑になり す。数カ所に基板の単原子ステップエッジがある2つの平坦
ます3, 4。特徴的な化学的・物理的特性を有する分子の幅広い なテラスと、基板の原子空孔に起因する島状のくぼみが確認
ライブラリーを利用することで、特定の用途に適した薄膜 できます。
を設計・製作することができます。特徴的な化学的・物理 6.9
A
的特性をもつ分子の一例である1-アダマンタンチオール(
1-AD)は、Au{111}表面上で自己組織化膜(SAM)を形成し

Ångstroms
ますが、1-ADのSAMの分子間相互作用は弱いため、溶液、
蒸気、または接触5, 6 によって他のチオール化分子に曝される
と、このSAMは転写されます。このプロセスはマイクロ転写
と呼ばれます。このプロセスを高度な自己組織化および定
250 Å
方向組織化7, 8 に応用することで、ナノスケールで分離された 0.0
SAMを作製したり、ケミカルパターニング技術を改良したり 2.2
することができます。 B

Ångstroms
実験
SAMはすべて、1-アダマンタンチオール(1-AD、Aldrich製
品番号659452)、1-ドデカンチオール(C12、Aldrich製品
番号471364)、1-オクタンチオール(C8、Aldrich製品番
50 Å
号471836)を材料とし、劈開直後の雲母基板上に市販の 0.0
Au{111}を蒸着し、膜析出直前に水素炎で表面をアニールし
図1.Au{111}基板上1-アダマンタンチオラート(1-AD)SAMの走査トン
て作製しました。1-ADのみを成分とするSAMは、金基板を
ネル顕微鏡写真
10 mMの1-ADエタノール溶液に24時間浸漬することで作製 (作製後24時間以内)撮像条件:Vsample=-0.75 V、Itunnel=3.0 pAA)
しました。次に、一成分の1-AD SAMが形成された金基板に 分解能:750 Å×750 Å。数カ所に、基板の単原子ステップエッジと基板の
原子空孔による島が見えます。B)分解能:200 Å×200 Å。分子レベルの
対し、100%エタノールによる洗浄と窒素ガス吹きつけによ 分解能により1-ADの格子構造が見えます。
る乾燥を2回行いました。
C12と1-ADの分離構造SAMを作製するには、一成分の1-AD これらの特徴はどちらもチオールのSAMに一般的に見られる
SAMを1mMのC12エタノール溶液に20分間浸漬して置換を ものです。加えて、1-AD SAMは1-AD分子の回転部分に起因
行い、その後、100%エタノールによる洗浄と窒素ガス吹き するくぼんだ分域境界を示しています。これはアルカンチオ
つけによる乾燥を2回行いました。SAMの作製から24時間以 ラートSAMとは対照的です。アルカンチオールの場合は、傾
内に、一成分1-AD SAMおよびC12・1-AD分離構造SAMの代 きの異なる分子の分域に関連した凸状の分域境界、回転およ
表的なイメージを走査トンネル顕微鏡(STM)で撮影しまし び並進対称性に関する境界、積層欠陥を示します11-13。図1(
た。STMイメージを利用して、各SAMの格子構造、分域境 B)は一成分の1-AD SAMの分子レベル分解能における代表
界、分子配向性を調べました。STMの測定はすべて、特注 的なSTMイメージです。個々の分子は最隣接原子間距離が
のビートルタイプSTMを用いて大気条件下で実施しました。 6.9±0.4 Åの六方最密構造で配列しています。この格子間隔
9定電流モードの高トンネルギャップインピーダンス条件( はアルカンチオラートSAMの最隣接原子間距離よりもかなり
約1012 GΩ)で撮像を行うことで、プローブチップとサンプ 大きく、アルカンチオラートの比較的コンパクトな(大部
s i g m a - a l d r i c h . c o m / j a p a n

ルとの距離を大きく保ち、プローブチップと単分子膜との接 分の結合がtransである)アルキル鎖と比べて1-AD分子の炭
触を最小限に抑えました。 素ケージがかさ高いことに起因していると考えられます。
Au{111}を基板とする場合の1-AD SAMは(7×7)単位格子
マイクロ転写印刷SAMは、C8でコートされたパターニング
を示します 5 。一方、典型的なアルカンチオールSAMは(
済みエラストマー製スタンプを、あらかじめ形成しておい
√3×√3)R30°単位格子を示します。すなわち、Au{111}の
た一成分の1-AD SAMに接触させることで作製しました 7,8。
面積が同じであれば、アルカンチオールSAMの分子の方が1-
Graham et al.の改良法を用いて、エラストマーであるポリジ
AD SAMよりも1.8倍多くその上に存在しています。例えば、
メチルシロキサン(PDMS)製のスタンプを作製し、洗浄し
(7√3×7√3)R30°単位面積のAu{111}において、1-ADと
てから10 mMのC8エタノール溶液に10秒間浸漬し、窒素ガ
アルカンチオラートの単位格子がオーバーラップしていると
スの吹きつけにより乾燥させました10。C8インクの付いたス

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すれば、アルカンチオラートは49分子(21.4 Å2/分子)、1-
ADは27分子(38.9 Å2/分子)存在することになります。
ナノスケールの分離構造SAMは、分子間相互作用が薄膜の組
織化に及ぼす影響を研究する素晴らしい機会を与えてくれま
す。このことはケミカルパターニング技術のさらなる発展に
不可欠です14,15。図2(AおよびB)は、あらかじめ形成してお
いた1-AD SAMをC12溶液で置換して作製したC12・1-AD分離
構造SAMの代表的なSTMイメージを示しています。

7.1
A
Ångstroms

マイクロ転写印刷
10 µm
250 Å
0.0 図3:マイクロ転写印刷でパターニングされたAu{111}基板の水平力顕
微鏡(LFM)イメージ低摩擦力の(暗く見える)四角はスタンプされた
5.7 オクタンチオール分子です。高摩擦力の(明るく見える)背景はあらか
B
じめ形成されていた1-アダマンタンチオラートSAMです。撮像条件:40
µm×40 µm、走査速度=1.0 Hz、力の設定値=4 nN
Ångstroms

低摩擦力の(暗く見える)四角はスタンプされたC8分子で
す。高摩擦力の(明るく見える)背景はあらかじめ形成され
ていた1-AD SAMです。このパターンは従来のµCp印刷法で
は形成できませんでした。µDpでは、スタンプ後に溶媒処理
50 Å
0.0 を行う必要もなくなります。µCpでは多くの場合、時間経過
に伴うパターンの分解を防ぐために溶媒処理が必要ですが、
図2.Au{111}基板上の1-ドデカンチオラート(C12)と1-アダマンタンチ
オラート(1-AD)からなる分離構造SAMの走査トンネル顕微鏡イメージ 分子の交換のためにパターンの精度が低下します。マイクロ
撮像条件:Vsample=-1.20 V、Itunnel=1.0 pA 転写印刷では、エラストマー製スタンプが表面と接触しなか
A)分解能:1000 Å×1000 Å。C12(より突出した分子領域)と1-AD(突
出の少ない分子領域)の両方の格子型をもつ別々の領域が見えます。もっ
った位置には1-AD SAMがそのまま残っているため、溶媒処
ともくぼんでいる領域は基板の原子空孔による島です。B)分解能:300 理工程は必ずしも必要ではありません。スタンプ工程を複数
Å×300 Å。各格子型の分子配向が確認できます。 回行うことで近接した構造を作製することもできるため、従
来の印刷技術では難しかった隣接パターンの正確な位置合わ
C12と1-ADの格子型の区別には見かけ上の高さと格子間隔の
せが可能となります8。
違いを用いました。基板の欠陥から生じている、突出が大き
く分子間隔が小さい格子はC12のものであり、一方、突出が 結論
小さく分子間隔が大きい格子は1-ADのものでした。基板の 1-アダマンタンチオール(1-AD)からなる配向性の高い単
ステップエッジおよび基板の原子空孔による島状構造(もっ 分子膜をAu{111}基板上に作製することができます。1-AD
ともくぼんでいる領域)は分離構造SAMの全体にわたって観 SAMの不安定な性質は、高精度のナノスケール分離構造
察されました。C12・1-AD分離構造SAMのC12被覆分の割合 SAMの作製に利用することができ、また、パターン表面での
は、C12による置換時間によって制御されました(C12置換 分子の側方移動を阻害することで一般的なケミカルパターニ
時間が長いほどC12の領域が大きくなる)。C12置換時間を ング技術の向上にも利用することができます。
長くすると、得られるSAMはC12分子のみで構成されました
が、C12領域の大きさは一成分のC12 SAMと比較すると非常 謝辞
に小さいものでした。 空軍科学研究局、陸軍研究局、国防高等研究計画局、
マイクロコンタクト印刷(µCp)は、パターン形成させる分 米国科学財団、海軍研究局、Semiconductor Research
子をインクとして載せたエラストマー製のスタンプを接触さ Corporation、シグマ アルドリッチ社のご支援に対し、厚く
せることによって、基板を化学的にパターニングする技術で 御礼申しあげます。
す16。スタンプ上の分子は、スタンプと基板が接触した場所 参考文献
でのみスタンプから基板へと移動します。しかし、このプロ (1) Jeon, N. L.; Clem, P. G.; Nuzzo, R. G.; Payne, D. A., J. Mater. Res. 1995,
セスは表面での側方拡散の影響を受けにくい分子に限定され 10, 2996. (2) Chen, C. S.; Mrksich, M.; Huang, S.; Whitesides, G. M.; Ingber,
D. E., Biotechnol. Prog. 1998, 14, 356. (3) Handbook of Microlithography,
ます。マイクロ転写印刷(µDp)はもうひとつのパターニン
Micromachining, and Microfabrication. SPIE: London, 1997. (4) Xia, Y. N.;
グ技術で、側方拡散による制限を受けません。µDpの場合、 Rogers, J. A.; Paul, K. E.; Whitesides, G. M., Chem. Rev. 1999, 99, 1823. (5)
あらかじめ形成しておいた1-AD単分子膜を用います。これ Dameron, A. A.; Charles, L. F.; Weiss, P. S., J. Am. Chem. Soc. 2005, 127,
は不安定性の高い膜で、競争吸着を通じてパターン形成分子 8697. (6) Dameron, A. A. Controlling Molecular Assemblies. The Pennsylvania
による置換を受けますが、パターン形成分子の側方拡散は防 State University, University Park, 2006. (7) Dameron, A. A.; Hampton, J. R.;
止します7, 8。図3はAu{111}基板上にµDpで作製したパターン Smith, R. K.; Mullen, T. J.; Gillmor, S. D.; Weiss, P. S., Nano Lett. 2005, 5,
のLFMイメージです。 1834. (8) Dameron, A. A.; Hampton, J. R.; Gillmor, S. D.; Hohman, J. N.;
Weiss, P. S., J. Vac. Sci. Technol., B 2005, 23, 2929. (9) Bumm, L. A.; Arnold,
J. J.; Charles, L. F.; Dunbar, T. D.; Allara, D. L.; Weiss, P. S., J. Am. Chem. Soc.
1999, 121, 8017. (10) Graham, D. J.; Price, D. D.; Ratner, B. D., Langmuir
2002, 18, 1518. (11) Delamarche, E.; Michel, B.; Gerber, C.; Anselmetti, D.;

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10

Guntherodt, H. J.; Wolf, H.; Ringsdorf, H., Langmuir 1994, 10, 2869. (15) Smith, R. K.; Lewis, P. A.; Weiss, P. S., Prog. Surf. Sci. 2004, 75, 1.
(12) Sellers, H.; Ulman, A.; Shnidman, Y.; Eilers, J. E., J. Am. Chem. Soc. (16) Wilbur, J. L.; Kumar, A.; Kim, E.; Whitesides, G. M., Adv. Mater. 1994,
1993, 115, 9389. (13) Ulman, A.; Eilers, J. E.; Tillman, N., Langmuir 1989, 6, 600.
5, 1147. (14) Lewis, P. A.; Donhauser, Z. J.; Mantooth, B. A.; Smith, R.
K.; Bumm, L. A.; Kelly, K. F.; Weiss, P. S., Nanotechnology 2001, 12, 231.

チオール製品群
製品概要 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)
1-Adamantanethiol  SH 95 659452-5G 13,500
H
H
H

Biphenyl-4,4’-dithiol  HS SH
95 673099-1G 19,000
マイクロ転写印刷

アルカンジスルフィド
アルカンジスルフィド 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)
Undecyl disulfide S 99 674303-250MG 36,000

Hydroxyundecyl disulfide OH
99 674257-250MG 42,000
S

OH

Carboxy undecyl disulfide O


OH
99 674451-250MG 30,000
S
OH

O S

Hexadecyl disulfide S 99 674419-500MG 30,000


S

Hydroxyhexadecyl disulfide OH
S
99 674478-100MG 42,000
OH
S

Carboxy hexadecyl disulfide O


OH
99 674443-250MG 42,000

OH S
S
O

自己組織化用金表面および金材料
製品概要 金膜厚/粒径 製品番号 価格(円)
99.999% Gold coated silicon wafer, 4”× 500 μm wafer 1000 Å 643262-1EA 20,100
99.999% Gold coated microscope slide, 3”×1”× 0.7 mm slide 100 Å 643203-5EA 39,500
99.999% Gold coated microscope slide, 3”×1”× 0.7 mm slide 1000 Å 643246-5EA 60,300
Gold coated glass cover slip, 22 mm x 22 mm square 100 Å 643254-12EA 63,300
643254-24EA 製造中止
Gold coated glass cover slip, 15 mm diameter 100 Å 643289-24EA 77,900
Gold coated mica, 1”x 3” slide 2000 Å 643297-1EA 119,500
Gold colloid 3.5–6.5 nm G1402-25ML 12,100
Gold colloid 8–12 nm G1527-25ML 12,700
Gold colloid 17–23 nm G1652-25ML 12,300
Gold, nanopowder, 99.9+% 50–130 nm 636347-1G 43,900
Gold, wire, 1.0 mm diameter, 99.999% 1.0 mm† 349305-1.5G 51,300
349305-375G 16,500
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Gold surface cleaning solution 667978-500ML 6,700



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11

フレキシブル電子デバイスのための
有機薄膜トランジスタにおける自己組織化
自己組織化膜(SAM)を用いた表面修飾
SAMを用いたドレイン電極およびソース電極の表面修飾
有機トランジスタがうまく機能するには電極からの電荷注入
が効率的である必要があります。そのためには、電極の仕事
Professor Zhenan Bao 関数を有機半導体のエネルギーレベルと釣り合わせること
Department of Chemical Engineering, で、電荷注入のエネルギー障壁を低下させなければなりま
Stanford University せん。有機トランジスタの場合、通常は高仕事関数電極(
Au、Pd、または酸化インジウムスズ)がpチャネル型有機半
はじめに 導体(正孔が注入され、有機材料中を移送される半導体)に
有機活性材料をベースとしたフレキシブルな電子回路やディ 利用されています。電極表面を自己組織化膜で修飾すること

  エレクトロニクスにおける
スプレイは未来世代の製品であり、最終的にはエレクトロニ で、有機半導体への電荷注入が改善できることが見いだされ

フレキシブル
クス市場の主流に加わると考えられます。有機活性材料を使 ています3。例えばAu電極を用いる場合、さまざまなチオー
うことの利点としては、化学的な設計および合成によって電 ルSAMを用いて電極を官能基化することで仕事関数を調整す
気的性質および加工上の特性を容易に調整できること、低温 ることができます。さらに、SAM修飾Auを未処理のAuと比
での加工およびオープンリール方式の印刷法のため加工コス 較すると、そこに蒸着される有機半導体の形態は大きく異な
トが低いこと、機械的な柔軟性、フレキシブル基板への適合 ります。この知見を用いて、Au/有機物の界面における有
性が挙げられます1。 機半導体の形態を調整することで電荷注入の改善がなされて
有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、フレキシブル集積回路 います4。
およびフレキシブルディスプレイの基本的な構成単位です。

自己組織化
誘電体の表面修飾
構造の模式図を図1に示します2。
誘電体層の表面処理は有機半導体の性能を改善する重要な方
法のひとつです。半導体層中で誘導される電荷キャリアのほ
とんどは半導体/誘電体界面から5nm以内の有機半導体層
に限局されているため、誘電体表面の化学的・物理的特性は
電荷キャリアの移送において重要な役割を果たします。例え
ば、SiO2(典型的な誘電材料)表面上のSi-OH基は電子を捕
捉することが知られています。SiO2表面をオクタデシルトリ
クロロシラン(OTS)分子でキャッピングすることで、電子
の捕捉を大幅に減らし、nチャネル型半導体(電子が主要な
電荷キャリアである半導体)の移動度を改善することができ
ます5。
さらに、誘電体表面のSAM処理は有機半導体の結晶核生成と
成長にも影響します 6。例えば、ペンタセン薄膜はこれまで
でもっとも高い電荷キャリア移動度が報告されている有機半
導体です。その電荷キャリア移動度は、疎水性SAMによる表
面処理の種類によって大きく変化します。この差異は、それ
ぞれの表面上に形成される最初のペンタセン単分子膜の形態
図1.有機薄膜トランジスタ構造の模式図 の違いに関連しています6。
(a)自己組織化膜の誘電体層として用いるシラン分子の化学構造、
(b)半導体層として用いるペンタセンの化学構造、(c)デバイスの構
造の模式図。Nature Publishing Groupの許可を得て転載しました。
能動誘電体層または能動半導体層としてのSAM
誘電体層
トランジスタの動作中、ドレイン電極とソース電極の間の電 有機トランジスタの誘電体層はできるだけ薄くてピンホール
流制御にはゲート電極が用いられます。通常はゲート電圧を の無いものであることが必要で、また、低電圧で動作するよ
高くするとドレイン電極とソース電極の間の電流量が多くな う誘電率の大きいものが理想的です。配向性が高く密な構造
ります。高速スイッチングトランジスタのためには、半導体 を持つSAMは、もっとも薄くかつ高品質な誘電体層となる可
材料の電荷キャリア移動度とオン/オフ電流比が高くなけれ 能性があります。図1に示したように、SAMは高性能な低電
ばなりません。液晶ディスプレイのピクセルスイッチングト 圧駆動性の有機トランジスタのための能動誘電体層として用
ランジスタの場合、移動度は0.1 cm2/Vs以上、オン/オフ電 いられます2。他のSAMや自己組織化多分子層も、高機能の
流比は106以上が必要です。 誘電体層として報告されています(図2)7, 8。誘電体層を形成
デバイスの性能向上、およびデバイス作製時の低コスト加工 させるための表面重合の開始にはSAM開始剤が用いられてい
の実現には、自己組織化材料と自己組織化プロセスの両方が ます(図3)9。
重要な役割を果たします。この記事では、OTFTにおける自
己組織化材料の用途の概観を示します。

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12
  エレクトロニクスにおける
フレキシブル

図2.OTFTの構成成分の模式図。さまざまな有機半導体(左)および自己組織化ナノ誘電体I~III(右)の分子構造を表しています。ナノ誘電体層は前駆
体であるシラン溶液からの成長で生じます。

S Catalyst S [Ru] Monomer S


自己組織化

Solution Solution [Ru]


Au Au Au

Ph Ph
S S [Ru] X
[Ru]

Ph Ph
Au Au
Semiconductor
Deposit Semiconductor, Polymer Dielectric
Drain / Source Electrodes
Au
Au

Si / SiO2

図3.誘電体層を成長させる表面開始重合反応のための金ゲート電極の修飾

半導体層 パターニングのための自己組織化膜
電荷の移送を促進するため、有機半導体層は通常、π共役系 有機トランジスタの場合、デバイス間のクロストークを最小
のオリゴマーまたはポリマー(π-πスタッキングの方向が とするように、能動半導体層にパターニングを施さなければ
電流の方向と一致することが理想)で構成されます。そのた なりません。さらに、ドレイン電極とソース電極は、用途の
めには、蒸気または溶液からの吸着に伴い半導体分子が自己 要件によりますが、互いの距離が最長で数マイクロメートル
組織化して望ましい配向をとる必要があります。この配向性 になるようパターニングする必要があります。
の高い分子層は、(1)配向性の高い大きなドメインに結晶 インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷と
化しやすい適切な化学構造をもつ分子の設計、または(2) いったさまざまな印刷方法15-17 に加えて、濡れ性パターニン
単分子膜または多分子層への自己組織化によって形成されま グや成長テンプレートを通じた有機半導体の選択的な成長
す10,11。 に、SAM修飾表面が利用されています(図5) 18, 19
。パターン化
Regioregular型ポリ(3-ヘキシルチオフェン)は、ドロップ SAM層は、従来のフォトリソグラフィ法やマイクロコンタク
キャスト法またはスピンコーティング法による溶液からの ト印刷法でパターニングすることができます20。有機半導体
成長に伴って高配向性構造へと自発的に組織化する、数少な のパターニングに加えて、チオールSAMの下のAu薄膜をエッ
いポリマー半導体のひとつです(図4)12。また、移動度が0.1 チングから保護することでAu電極を作成するための耐エッチ
cm2/ Vsより大きいと報告されている数少ないポリマー半導 ング層として、パターン化SAMを用いることもできます21。
体のひとつでもあります13,14。 パターン化SAM層はさらに、プラスチック基板への金属電極
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パターンの無電解メッキを開始させるためにも用いられてい
レイヤーバイレイヤー法は有機半導体の成長に役立つ可能
ます22。
性をもった方法です。この方法では層の厚さ、粗さ、化学組
成、分子配向を正確に制御することができます。この方法は
銅フタロシアニン誘導体の自己組織化多分子層の作製に用い
られています。こうしたデバイスではイオン支援ドーピング
が観察されています11。

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13

要約すると、自己組織化材料および自己組織化プロセスはど
ちらも、活性材料として重要であるとともに、有機フレキシ
ブル電子デバイスの低コスト製作にも不可欠です。この分野
ではすでに大きな進歩がみられています。それでもなお、パ
ターニングの性能および精度に関する需要が高まるにつれ
て、自己組織化プロセスはますます重要となるでしょう。
参考文献
(1) Ling, M. M.; Bao, Z. N. Chem. Mat. 2004, 16, 4824. (2) Halik, M.; Klauk, H.;
Zschieschang, U.; Schmid, G.; Dehm, C.; Schutz, M.; Maisch, S.; Effenberger, F.; Brunnbauer,
M.; Stellacci, F. Nature 2004, 431, 963. (3) Gundlach, D. J.; Jia, L. L.; Jackson, T. N. IEEE
Electr. Dev. 2001, 22, 571. (4) Kymissis, I.; Dimitrakopoulos, C. D.; Purushothanman,
S. IEEE Trans. Elec. Dev. 2001, 48, 1060. (5) Chua, L. L.; Zaumseil, J.; Chang, J. F.;

  エレクトロニクスにおける
Ou, E. C. W.; Ho, P. K. H.; Sirringhaus, H.; Friend, R. H. Nature 2005, 434, 194. (6)

フレキシブル
Yang, H. C.; Shin, T. J.; Ling, M. M.; Cho, K.; Ryu, C. Y.; Bao, Z. N. J. Am. Chem. Soc.
2005, 127, 11542. (7) Collet, J.; Tharaud, O.; Chapoton, A.; Vuillaume, D. Appl. Phys.
Lett. 2000, 76, 1941. (8) Yoon, M. H.; Facchetti, A.; Marks, T. J. Proc. Natl. Acad.
Sci. U. S. A. 2005, 102, 4678. (9) Rutenberg, I. M.; Scherman, O. A.; Grubbs, R. H.;
Jiang, W. R.; Garfunkel, E.; Bao, Z. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 4062. (10) Tulevski,
図4.Regioregular型ポリ(3-ヘキシルチオフェン)は溶液からの成長に G. S.; Miao, Q.; Fukuto, M.; Abram, R.; Ocko, B.; Pindak, R.; Steigerwald, M. L.; Kagan,
伴って高配向性構造へと自発的に組織化します。ポリマー鎖間のπ-πス C. R.; Nuckolls, C. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15048. (11) Locklin, J.; Shinbo,
タッキングが電荷の移送を促進します。
K.; Onishi, K.; Kaneko, F.; Bao, Z. N.; Advincula, R. C. Chem. Mat. 2003, 15, 1404.
(12) McCullough, R. D. Adv. Mater. 1998, 10, 93. (13) Bao, Z.; Dodabalapur, A.; Lovinger,

自己組織化
A. J. Appl. Phys. Lett. 1996, 69, 4108. (14) Sirringhaus, H.; Tessler, N.; Friend, R. H.
a b Science 1998, 280, 1741. (15) Sirringhaus, H.; Kawase, T.; Friend, R. H.; Shimoda, T.;
Inbasekaran, M.; Wu, W.; Woo, E. P. Science 2000, 290, 2123. (16) Bao, Z. N.; Feng, Y.;
Dodabalapur, A.; Raju, V. R.; Lovinger, A. J. Chem. Mat. 1997, 9, 1299. (17) Zielke, D.;
Hubler, A. C.; Hahn, U.; Brandt, N.; Bartzsch, M.; Fugmann, U.; Fischer, T.; Veres, J.; Ogier,
S. Appl. Phys. Lett. 2005, 87. (18) Kagan, C. R.; Breen, T. L.; Kosbar, L. L. Appl. Phys.
Lett. 2001, 79, 3536. (19) Briseno, A. L.; Aizenberg, J.; Han, Y. J.; Penkala, R. A.; Moon,
H.; Lovinger, A. J.; Kloc, C.; Bao, Z. A. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 12164. (20) Xia, Y.
N.; Rogers, J. A.; Paul, K. E.; Whitesides, G. M. Chem. Rev. 1999, 99, 1823. (21) Bao, Z.;
c d e Rogers, J. A.; Katz, H. E. J. Mater. Chem. 1999, 9, 1895. (22) Zschieschang, U.; Klauk,
H.; Halik, M.; Schmid, G.; Dehm, C. Adv. Mater. 2003, 14, 1147.

図5.自己組織化テルフェニルチオールのテンプレートパターン上に選択
的に核生成して生じた有機半導体結晶のパターンアレイの光学顕微鏡写
真:(a)(b) アントラセン結晶、スケールバー=200 mm;(c) 大型
のアントラセン配向単結晶、スケールバー=50 mm、(d) パターン化ア
ントラセン結晶薄膜、スケールバー=300 mm;(e) パターン化5-クロ
ロテトラセン単結晶、スケールバー=100 mm

アルキルシラン―直鎖状
CH3(CH2)n-2CH2-SiR3

この表の製品の容量および価格は弊社ウェブサイトsigma-aldrich.comをご覧ください。円価格、国内在庫参照方法は裏表紙
をご覧下さい。
n\-R -OCH3 -OCH2CH3 -Cl
3 175617 (95%)
5 533386 (99%)
6 446963 (97%)
8 376221 (96%) 440213 (96+%)
10 448591 (97%)
12 44237 (95+%) 280569 (98%)
16 52360 (85%) 52356 (80%)
18 376213 (90%) 104817 (90%), 74762 (85+%)

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14

その他の自己組織化用シラン

シラン 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)


(3-Aminopropyl)triethoxysilane  OCH2CH3 99 440140-100ML 4,700
CH3CH2OSiCH2CH2CH2NH2 440140-500ML 10,700
OCH2CH3

(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane  H3C
O
98 440167-100ML 5,400
Si
O
O 440167-500ML 17,700
O CH3 O
H3C

1H,1H,2H,2H-Perfluorooctyltriethoxysilane  F2
C
F2
C
F2
C
OCH2CH3 97 667420-25G 42,000
F3C C
F2
C
F2
Si OCH2CH3 667420-5G 13,000
OCH2CH3

Octenyltrichlorosilane, mixture of isomers  Cl 96 539279-25ML 21,300


Si Cl
  エレクトロニクスにおける

H2C
フレキシブル

Cl

1H,1H,2H,2H-Perfluorodecyltriethoxysilane  CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3
97 658758-25G 41.400
658758-5G  10,500
Methoxy(dimethyl)octadecylsilane  CH3 >90 40955-100ML 63,400
CH3OSiCH2(CH2)16CH3
40955-25ML 21,200
CH3

自己組織化用の機能性ナノ粒子
自己組織化

製品概要 構造 製品番号 価格(円)


Octanethiol functionalized gold nanoparticles, CH2(CH2)6CH3
660426-5ML 68,500 
Au S
2 % (w/v) in toluene 
Dodecanethiol functionalized gold nanoparticles, CH2(CH2)10CH3 660434-5ML 68,500
Au S
2 % (w/v) in toluene
Dodecanethiol functionalized silver nanoparticles, CH2(CH2)10CH3
667838-25ML 24,000
Ag S
0.25 % (w/v) in hexane
3-Aminopropyl functionalized silica nanoparticles, Si
NH2 660442-25ML 27,000
3 % (w/v) in ethanol
3-Aminopropyl-(3-oxobutanoic acid) functionalized silica H
O 660450-25ML 36,000
N
Si OH
nanoparticles, 2.5 % (w/v) in DMF O

機能性高分子電解質
高分子電解質は、高誘電率の溶媒中における特性が、通常の分子の大きさよりも長い距離間の静電的相互作用に支配されてい
る材料と定義されます1, 2。こうした材料は静電的な自己組織化技術3にうまく利用されており、導電性ポリマーの薄膜成長、
4
発光素子用共役ポリマー5、ナノ粒子6、非線形光学(NLO)材料などに応用されています。
シグマ アルドリッチは、アニオン性およびカチオン性の高分子電解質を幅広く取りそろえております。弊社ウェブサイト
sigma-aldrich.com/selfassemblyをご覧ください。

新製品 製品番号 価格(円)


Poly(fluorescein isothiocyanate allylamine hydrochloride)
­­­­­­­­­­­­­­­­­­­­­FITC Functionalized Polyelectrolyte 70K base polymer Mw 630209-250MG 54,000
FITC Functionalized Polyelectrolyte 15K base polymer Mw 630217-250MG 54,000
Poly(vinylphosphonic acid)  661740-1G 35,000
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(1) Specialty Polymers; Dyson, R.W., Ed.; Chapman and Hall, 1987; p 110; Aldrich Prod. No. Z22,414-6. (2) 高分子電解質とイオノマーの違いに関する考察
は次を参照のこと。Eisenberg, A.; Kim, J-S. Introduction to Ionomers; John Wiley, 1998; Aldrich Prod. No. Z41,033-0. (3) Handbook of Polyelectrolytes and
Their Applications, 3 Volumes, Tripathy, S. et al., Eds.; American Scientific Publishers, 2002; Aldrich Prod No. Z54,718-2. (4) Sayre, C.N.; Collard, D.M. J. Mater.
Chem. 1997, 7, 909. (5) Cheung, J. et al. Polym. Prepr. 1993, 34, 757. (6) Schmitt, J. et al. Adv. Mater. 1997, 9, 61.

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15

高親和性多価NanotetherTM金表面上のSAM:
なぜ「より多きことはより良きこと」なのか
基間の間隔が広いために互いに相関関係のない脱離の場合、
吸着を確率論的に扱うことができることがその理由です。多
価分子(例:Nanotether™)のチオールがすべて金表面から
同時に離れる(完全脱離)確率はべき級数で表されます。
すなわち、モノチオールの会合定数kaをxとすると、ジチオ
ールアルカンのフェニル基の会合定数kaはx2となります。風
の中で木の枝に片手だけでぶら下がり、バナナに手を伸ばし
ているサルの集団を想像してみてください。手を放したサル
Dr. Brenda D. Spangler, CEO, は皆、バナナを手に入れることなく風に吹き飛ばされてしま
Dr. E. Scott Tarter, Dr. Benjamin うでしょう。もしサルが両手でぶら下がり、バナナにはしっ
D. Reeves, Dr. Zhiyong Suo ぽを伸ばしているとすれば、安定感がぐっと増すため、枝か

高親和性多価
SensoPath Technologies, Inc. ら吹き飛ばされる可能性はずっと低くなるでしょう。もちろ
ん、両手としっぽでぶら下がっているサルの場合はk a3とな
硫黄と金の会合 り、さらに安定になります。
チオールおよび有機ジスルフィドが金表面上に形成する自
己組織化膜(SAM)は、Langmuir-Blodgett法による単分子 モノチオール単分子膜とジチオール単分子膜
膜の維持の難しさを大きく改善する方法として、1983年に 図1は、芳香族ジチオールのtether(「つなぎ綱」を意味
NuzzoとAllara1が報告したものです。彼らやハーバード大学 する)分子(Aldrich製品番号674338)が、芳香族モノチ

NanotethersTM
のWhitesidesグループの広範な研究によって、X線光電子分 オール(Aldrich製品番号673560)よりも迅速に吸着し、
光法(XPS)やオージェ電子分光法、温度制御脱離型の高分 より広い表面を覆うことを示しています。 このデータは、
解能電子エネルギー損失分光法の結果に基づき、金表面に吸 Reichert 7000表面プラズモン共鳴(SPR)装置を用い、
着したチオールまたはジスルフィドの結合状態はAu-チオー Nanotether™(1mM、100%エタノール溶液)を清浄な金製
ル結合(Au0-S-)であり、その結合エネルギーは静電的相互作 SPRスライドに流した後、100%エタノールで所定の時間洗浄
用と共有結合の中間程度であるとの結論が得られ、これが一 することによって記録されました。
般に受け入れられています2-5。また、金表面と単純なモノチ 30
オールとの会合よりもジスルフィドとの会合の方が迅速かつ
安定であること(後述)や、Au(111)表面への吸着中にジ 25

スルフィドのS-S結合が切断されて5 チオラートとなっている
20
ことも示されました。一方で、Fentner et al.6 による詳細な
X線回折研究では、Au(111)上のアルカンチオール単分子
15
膜の間隔(2.2Å)が、隣り合うアルカンチオール間における
ジスルフィド結合の存在を意味する値に十分近いということ 10
が示唆されています。そこで、硫黄原子は金原子の間にイン
ターカレートしているとの仮説を立てることができます。こ 5
の仮説によれば、チオールからチオラートまたはジスルフィ
ドへの脱プロトン化と同時にAu0が存在することや、単純な 0
0 500 1000 1500 2000 2500
静電的相互作用よりも結合エネルギーが増加したり硫黄-金 T i me (s)
会合の安定性が増大したりしていることが説明できます。
HO
HO
より多きことはより良きこと
多価相互作用は生体分子認識の基本概念のひとつです。多価
抗体やオリゴマー性の結合サブユニットに代表される複数の O O
O
リガンド間の結合は、多くの細菌毒素やいくつかの酵素系の (CH2)6SH (CH2)6SH HS(H2C)6

特徴であり、分子組織化におけるよく知られた例としてはス Aldrich Prod. No. 674338 Aldrich Prod. No. 673560


トレプトアビジン四量体とビオチンの相互作用があります。
相互作用が複数になると、1個のリガンドの標的基質に対す 図1.芳香族ジチオールNanotetherTM(赤線)および芳香族モノチオール
NanotetherTM(青線)の単分子膜形成とその後の溶媒による洗浄矢印は
る親和性(KA)よりもはるかに強い会合が行なわれます。 100%エタノールによる洗浄開始の時点を示しています。
この点は詳しく調べられており7、実際にはアルカンチオー
ル単分子膜(大気条件の下、溶液中で金、銀、白金、銅から ジチオールの吸着はモノチオールより大幅に速く、また、洗
自発的に脱離する)の安定性という観点から考察されてきま 浄後に残ったジチオール単分子膜はモノチオールデンドロン
した。脱離できなかった残存チオールが見られたにもかかわ の単分子膜よりも高い屈折率(多ピクセル数)を示し、表面
らず、脱離反応と自己交換反応がともに観察されました8。 をよりよく覆っていることが示唆されました。エタノール洗
しかし、生じたまだらの表面にはかなりの面積の金属が露出 浄開始に伴うシグナルの急速な低下は、飽和した単分子膜表
していました。アルカンモノチオール自己組織化膜を構成し 面に堆積していた未吸着のデンドロンが失われたためと考え
ている「繋がれた」分子の確率論的スイッチングの機構とし られます。非特異的吸着による薄膜は、以前、自己組織化膜
て、脱離‐再吸着現象が提唱されています9。二価チオール の形成後にチオール溶液からスライドを引き上げたときにも
または多価チオールを単純に組織化させることで単分子膜 観察されています。非特異的に吸着した材料の脱離および損
の安定性が大幅に向上しうることは明らかです。ジチオール 失は、水晶振動子微量天秤または表面プラズモン共鳴用スラ
アルカンのフェニル環に結合している吸着基のように、吸着 イドを用い、適切な装置にマウントした作製直後のスライド

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16

を洗浄することで直接観察することができます。カルボキシ またはアミンを含む任意の分子と結合させることができま
ル末端および水酸基末端を有するチオールまたはジチオー す。この試薬は、親水性で負に荷電した表面の作製やさら
ルNanotether™(図2を参照)が1:10のモル比で混合された なる官能基化に利用できるでしょう。ヒドラジン末端を有
自己組織化膜の場合、未発表のAFMデータ(Montana State するtether分子(Nanotether™ BPA-HH、Aldrich製品番号
University(Bozeman市)のSuo, Z.からの私信)によれば、 674370)(図4参照)は、過ヨウ素酸ナトリウムによってグ
モノチオールアルカンPEGの混合自己組織化膜には金の露出 リコシル化抗体から生じるアルデヒドを含む、任意のアルデ
部分がまだらに存在し、一方でジチオール芳香族PEGの混 ヒドと容易に結合します11, 12。この反応では、カルボキシル
合単分子膜は均質に見えたとのことです。同一スライドの 末端をもつtether分子とのEDC/NHSカップリングで得られる
XPSデータは、モノチオールの混合自己組織化膜よりもジチ ランダムな配向とは異なり、抗体活性を損なうことなく抗体
オールの混合自己組織化膜の方が、硫黄‐金相互作用がはる を特定の向きに配向させることができます。
かに強いことを示していました。 O O(CH2)5COOH
ジチオールの混合自己組織化膜のみかけの安定性は、 flexible spacer with
Staphylococcus aureusの結合エネルギーをE. coliの結合エネ functionalized terminus
高親和性多価

ルギーと比べた検出比が、ジチオール表面では2.3であった
のに対してモノチオール表面では1.29であったこと、すなわ
rigid rod module
ちジチオール表面の方が病原体に対する選択性が高かったと O O

いう知見の根拠といえそうです。同じ実験で、非特異的結合 (CH2)6SH (CH2)6SH


を表すシグナルはモノチオール表面では133.3であったのに hydrophobic module
対し、ジチオール表面では39でした10。
図3.硬い棒状のジチオールtether分子の例(NanotetherTM BPA-HA、
NanotethersTM

Aldrich製品番号674354)。

将来の展望
柔軟な直鎖状、硬い棒状、樹枝状などのセグメントを含む単
分散の巨大分子は、tetherの最終的な柔軟性を制御しつつ多
価結合の機能性を通じてさまざまなリガンドの位置決めを可
能にするという、ユニークな設計性を実現しています。この
種のコンストラクトは、官能基化することでさまざまな表面
に対する付着性を付与することができ、また、もう一方の末
端では、官能基化によりタンパク質やペプチド、低分子有機
リガンドの共有結合を生じさせることが可能です。これらの
官能基は互いに異なるものでもよく、また、硬さの異なるさ
Monothiol Mixed Self-assembled Monolayer まざまなスペーサーで連結することができます。水酸基末端
の場合、例えばNanotether BPA(Aldrich製品番号674346)
は、単独でも、あるいはポリ(エチレングリコール)モジュ
ールの一部としても、防汚性に優れた表面を与えます。
図3に示した、硬い棒状(ビスフェノールA)のモジュール
を含むコンストラクトには、屈曲性のアルカンスペーサー
部分と、リガンド結合用の官能基末端があります。実際、
この分子はさまざまな分析試験で「ナノサイズの釣り竿」
となり、リガンドはあたかも細胞膜上にあるかのようにふる
まいます。典型的な用途として図4に示したのは、固定化さ
れたヒドラジン末端Nanotether BPA-HH(Aldrich製品番号
674370)に抗体捕捉用リガンド(ベイト[釣り餌])が共
有結合しているものです。PEGスペーサーモジュール(ライ
ン[釣り糸])は、水性溶媒中で自由に向きを変え、溶液相
Dithiol Mixed Self-assembled Monolayer での結合のようにふるまいます。
tether分子に含まれるビスフェノールAモジュールの硬さ
図2.PEGスペーサーを有するモノチオールおよびジチオールの混合自己
組織化膜 は、この分子を用いて水晶振動子微量天秤のフローセル内
での粘弾性効果を調べるという興味深い用途を生み出して
います。硬い棒状のtether分子の別の用途として考えられる
固定化の方法
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のは原子間力顕微鏡であり、結合リガンド(ベイト)が揺れ
自己組織化膜は、特定リガンドの固定化や防汚性表面の作
てAFMチップにはね返る(そうなるとチップが元に戻らなく
製、電気化学的用途などに利用されるさまざまな化学的方法
なる可能性がある)ことを防ぐために利用できます。他のモ
の可能性を与えてくれます。水酸基末端を有するジチオアル
ジュールによるアプローチとしては、チオール末端をオルソ
カン芳香族である硬い棒状のtether分子(Nanotether BPA、
ピリジニウムジスルフィドなどのカップリング試薬で置換す
Aldrich製品番号674346)は、防汚性SAMの作製、またはさ
ることによって修飾したり、カルボキシル末端を利用して
らなる官能基化に利用することができます。カルボキシル末
Nanotether™をカーボンナノチューブに結合したり、トリエ
端を有するNanotether BPA-HA(Aldrich製品番号674354)
トキシシラン末端を利用してガラスに3点結合させたりする
(図3参照)は、標準的なEDC/NHSカップリング法11を用
ことが考えられます。研究者の想像力次第で、用途は無限に
いて、タンパク質やアミノ末端を有するDNAオリゴマー、
広がっていきます。

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17

参考文献
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O O
O
O
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bait A.M.; Nagahara, L.A.; Primak, A.; Lindsay, S.M., Science 200, 300, 1413. (10)
S S
Subramanian, A.; Irudayaraj, J.; Ryan, T., Sensors and Actuators B 200, online
www.sciencedirest.com, 1. (11) Hermanson, G.T., Bioconjugate Techniques.
Academic Press: San Diego, 1996; p 785. (12) Spangler, B.D.; Tyler, B.J., Anal.
Chim. Acta 1999, 399, 51.

O(CH2)5CONHN:C

バイオセンサー関連プログラム
バイオテクノロジー部門
rod O

line
O O

flexible arm
S S

図 4.ヒドラジン末端を有する tether 分子への酸化型抗体の捕捉

多価アルカンチオール―NanotetherTM
製品概要 構造 純度(%) 製品番号 価格(円)
Nanotether OH HO
96.5 674338-50MG 30,000

   
O O
(CH2)6SH (CH2)6SH

Nanotether BPA HS(H2C)6 O


O OH
96.5 674346-50MG 50,000

HS(H2C)6 O

Nanotether BPA-HA HS(H2C)6 O


O O(CH2)6COOH
96.5 674354-50MG 70,000

HS(H2C)6 O

Nanotether BPA-HH O
96.5 674370-50MG 70,000
O O
O(CH2)6CONHNH2
(CH2)6SH (CH2)6SH

NanotethersTMはSigma-Aldrich Biotechnology, L.P.の商標です。

リサーチ・バイオテクノロジー バイオセンサー関連プログラムのご案内
シグマ アルドリッチのリサーチ・バイオテクノロジー部門は先ごろ、RNA干渉(RNAi)、遺伝子発現、セルベースアッセイ
といった分野での地位を高める一連の協定に署名しました。シグマ アルドリッチは、システム生物学研究用製品の優れた開
発元であるPanomics社(旧Genospectra社)と協定を結び、Panomics社の少数株主権を取得したことで、同社のさまざまな
技術を利用する権利を得ました。

合意した条件の下で、シグマ アルドリッチは、siRNAなどの生体分子を細胞に運搬するためにPanomics社独自のナノ粒子シ
ステムを利用できるようになりました。両社は、セルベースアッセイの分野での新技術および新製品(特に、新しい生細胞
バイオセンサーアッセイ試薬の供給)を開発するための合同プログラムに加わる予定です。そうした試薬は、生細胞の中で
のタンパク質の活性および位置に関するデータをリアルタイムで与えるとともに、ハイコンテントスクリーニングやセルベ
ースアッセイの分野にも影響を及ぼすことでしょう。Albert Einstein College of MedicineのDavid Lawrence博士とUniversity
of North Carolina( Chapel Hill市)のKlaus Hahn博士のお二方は、Panomics社およびシグマ アルドリッチのこうした努力に
ご協力くださっている注目すべき科学者です。

シグマ アルドリッチではセルベースアッセイ分野への取り組みを強化するため、集中的なビジネス展開アプローチを実施し
ています。シグマ アルドリッチでは積極的に新しいバイオセンサーやその技術の獲得、ライセンス取得に取り組み、それを
研究者の皆さまに提供したいと考えております。

詳細は、弊社ウェブサイトsigma-aldrich.com/bdをご参照下さい。

バルク供給/スケールアップのご相談は…
ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:sialjpfc@sial.com

②マテリアルマター5-11修正書式変更.indd 17 2007/05/16 12:12:18


18

溶液からの自己組織化に関する
実験手順ガイド
溶媒:ほとんどのチオールの場合、組織化を成功させるには
純粋なエタノール(100%)が必要です。代替品としては、
変性アルコール(5%以下のイソプロパノールまたはメタノ
ールを含む)も適しています。銅による汚染の可能性がある
ため、溶媒の純度を確認してください。銅はチオールの組織
Dr. Dan Graham, Asemblon; 化を阻害するため、生成するSAMの機能に影響することがあ
Dr. Sean Dingman, Sigma-Aldrich ります。
チオールの自己組織化膜を作製するには、目的のチオールの サンプルスライド:金蒸着用のスライドは、金の層の下にク
希薄溶液に清浄な金基板を浸漬します。自己組織化は非常に ロム(Cr)またはチタン(Ti)の付着層がなければなりませ
速やかに起こりますが、配向性の高い薄膜を作るには適切な ん。この層がないと、超音波処理中に金が剥離して単分子膜
実験手順に従う必要があります。この記事ではSAM作製に推 が壊れてしまいます。
奨されるプロトコールの概要を示します。
専用の洗浄瓶:容器や基板、SAMのすすぎのため、専用の溶
SAM

器具と材料 媒入り洗浄瓶を使用されることを強くお勧めします。洗浄瓶
は空の状態で保管し、必要なときだけ新しいエタノールを入
作製プロトコール

器具のチェックリストと留意事項
れます。
1. 金被覆基板(弊社の基板類については本誌10ページをご
参照ください) 実験手順
2. チオール化合物 この一般的な手順はほとんどのチオールに適しています。ア
3. 新品の100%エタノール(または適切な溶媒) ミン、カルボキシル基を含むチオールの場合は一部の手順を
4. 較正済みマイクロピペット 変更する必要があります。その箇所は緑色の字で示していま
5. チオール溶液混合用容器(溶液容器) す。PEGチオール単分子膜の特性は自己組織化の方法に左右
6. サンプル取り扱い用ピンセット されます。こうした材料を使用する前には参考文献5~7を
7. 溶媒エタノールボトル(他の用途に使用しないこと) 参照してください。
8. 容器密封用パラフィルム
1. チオール溶液の必要量および濃度を決定します。
9. サンプル調製用容器(サンプル容器)
10. SAMの移動および保管用シャーレ a. 目的の数のサンプルを作製するのに必要なチオール溶液の
11. 乾燥窒素ガス 総体積を計算します。
12. 分析用天秤 [溶液の総体積(mL)]=[サンプルの総数]×[サンプル
13. 超音波処理器 溶液の体積(mL)]
14. pH試験紙
b. 目的の量の溶液を調製するのに必要なチオールの総量を計
環境:高品質のSAMを作製するには清浄な環境が重要です。 算します。(C=1~5 mMの溶液)
低濃度でも不純物があれば、単分子膜の品質に影響するこ
とがあります。シランまたはポリ(ジメチルシロキサン)( [チオールの質量(g)]=[総体積(mL)]×[C×10 -6
PDMS)を使ったことのある部屋またはドラフトの使用は避 mol/mL]×[分子量(g/mol)]
けてください。これらの化合物は容易にさまざまな表面を交 チオールが液体の場合は、チオールの密度を用いて質量を体
差汚染します。ヨウ素は簡単に金に吸着するため、近づけな 積に換算できます。液体チオールの計量および分注には較正
いようにしてください。 済みのマイクロピペットを用います。
チオール類はすべてドラフト内で取り扱います。ほとんどの 2. チオール溶液の調製すべてのサンプルについて十分な量の
チオール類は不快な臭気があり有毒です(使用前にMSDSを 溶液を調製し、サンプルセット間で溶液濃度が一定となるよ
確認してください)。 うにします。チオール混合溶液を調製する場合は、各チオー
容器:ガラス製またはポリプロピレン製の容器が適していま ルのストック溶液を別々に調製してからこれらを適切な割合
す(例:シンチレーションバイアル、ポリプロピレン製の試 で混合し、最終のストック溶液とします。
験管および遠心管など)。溶液の汚染を防ぐため、ガラス容 a. 組織化用容器の内部全体に約3~5 mLの溶媒を吹き付けて、
器は完全に洗浄してください。 すべての容器をすすぎます。すすぎを2~3回繰り返し、各
簡単に密閉できる容器の利用をお勧めします。最高品質の薄 容器の蓋を閉めます。実験に使用するすべてのビーカー、
膜を得るために、組織化プロセス中はなるべく溶液が酸素に ピンセットなども溶媒ですすぎます。容器すべてにラベル
触れないようにしてください。そのためには、チオール溶液 を貼ります。
の上にできる空間を小さくし、さらに不活性ガスで置換しま b. 清浄な溶液用容器に適量の溶媒を測りとります。
す。各基板はそれぞれ専用の容器に入れ、相互作用によって
s i g m a - a l d r i c h . c o m / j a p a n

c. 計算した質量(または体積)のチオールを溶媒に加えます。
薄膜の品質が損なわれないようにします。
1 d. 容器を5~10分間超音波処理して、チオールを溶解させます。
ガラス容器洗浄方法のひとつとして、ピラニア溶液(30%過酸化水素(
H2O2)と濃硫酸(H2SO4)の30:70(v/v)溶液)を利用する方法があり e. 溶解完了後、予定の量の溶液を各サンプル用容器に分注し
ます。ピラニア溶液を使用する際は厳重な注意が必要です。
これは非常に強い酸化剤であり、有機物と激しく反応します。 ます。

容器は再利用することができますが、使用のたびに溶媒で十
分にすすぎ、交差汚染を防ぐために同一のチオール専用とし
てください。

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:sialjpts@sial.com

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19

• カルボキシル基を末端にもつチオールの場合:濃HClを数 高純度エタノール
滴加えて溶液のpHを2前後に調節します。その後、このス シグマ アルドリッチでは、各種用途向け高純度エタノール
トック溶液を超音波処理します。 を販売しております。
他容量および他グレードの価格は、お問合せいただくか、
• アミンを末端にもつチオールの場合:濃NH 4Clまたはトリ
Sigma-Aldrich.comをご覧ください。
エチルアミンを加えて溶液のpHを12前後に調節します。そ
の後、このストック溶液を超音波処理します。 09-0770-5-500ML-J JIS 試薬特級 ≧99.5% 1,800円
09-0851-5-500ML-J HPLC用 ≧99.5% 2,200円
3. サンプルの自己組織化
09-0850-5-500ML-J 吸収スペクトル分析用 ≧99.5% 3,300円
a. 金基板を容器中のチオール溶液に浸漬します。表面の汚染 09-0852-5-500ML-J アルデヒド不含 ≧99.5% 3,200円
を減らすため、金基板はピンセットで扱い、空気にもなる 09-0853-5-500ML-J 蛍光分析用 ≧99.5% 3,300円
べく触れないようにします。 09-0760-5-500ML-J 精密分析用 ≧99.5% 2,400円
b. 各容器の空気を乾燥窒素ガスで置換して蓋を閉め、蓋の周 09-0820-5-500ML-J PCB分析用 ≧99.5% 3,500円
りをパラフィルムで覆います。 09-0840-5-500ML-J 残留フタル酸エステル分析用 ≧99.5% 4,700円
c. 24~48時間以上、サンプルを静置します。一般に、自己組 注)エタノールは、国内調達品のみの取り扱いになります。
織化時間が長いほど、生じる単分子膜の分子充填がよくな

SAM
る傾向があります。 SAM実験器具

作製プロトコール
4. 自己組織化の終了:チオールの官能基は自己組織化の終了 写真の製品をはじめとした
に影響します。 実験器具製品については弊
社ウェブサイトをご覧くだ
単純なアルカンチオールの場合: さい。sigma-aldrich.com/
labware
a. サンプルを清浄なピンセットで取り出し、清浄な溶媒瓶か
ら10~15秒間溶媒を流してすすぎます。 検索用キーワード:
microcapillary pipettes, tweezers,
b. 乾燥窒素ガス流でサンプルを乾燥させます。
sigma-aldrich wash bottles (ethanol),
水素結合、極性基、かさ高い頭部基を有するチオールの場 parafilm, scintillation vials or test
合: tubes, petri dishes, analytical balances, 超音波処理器
sonicator, pH paper
c. サンプルを清浄なピンセットで取り出し、清浄な溶媒瓶か
ら10~15秒間溶媒を流してすすぎます。(カルボキシル
基およびアミンを末端にもつチオールのSAMの場合、溶媒 好評配布中!
のpHを調節しておく必要があります) [新刊]2007~2008年版 アルドリッチ総合カタログ
d. 新しい溶媒を入れた容器に各サンプルを入れ、蓋を閉め
材料科学の応用分野ごとに製品を
ます。(必要であれば、この溶媒のpHも調節してくださ まとめた索引付きで、簡単に検索、
い) 閲覧していただけます。
e. サンプルを1~3分間超音波処理します。
f. サンプルをそれぞれ取り出し、10~15秒間静かにエタノー
ルを流してすすぎます。(この段階ではpHの調節は必要あ
りません。純粋な溶媒を使用してください)
g. 乾燥窒素ガス流でサンプルを乾燥させます。
5. サンプルの保存 トピックス
a. 清浄なシャーレにサンプルを入れます。 ・化学薬品溶液からの吸着/ゾル‐ゲル法による処理
・化学気相成長法(CVD)
b. シャーレの空気を乾燥窒素ガスで置換します。 ・導電性高分子
c. 長期保存する場合:乾燥N2で置換した広口容器にシャーレ ・燃料電池
-水素吸蔵材料
を入れて蓋を閉め、パラフィルムで密閉します。
-プロトン交換膜(PEM)材料
単分子膜をその後の実験に用いる場合は、使用の直前にサン ・ナノ粒子
プルをすすぐことができるように実験計画を立ててくださ -ナノパウダー&ナノ分散
い。SAMは時間とともに酸化するため、作製後はなるべく早 -官能性ナノ粒子
くご使用ください。 -量子ドット
・エレクトロニクスグレード材料
参考文献
(1) Love, C.; Estroff, L.; Kriebel, J.; Nuzzo, R.; Whitesides, G.; Chem. Rev.,
200, 105, 1103–1170. (2) Arnold, R.; Azzam, W.; Terfort, A.; Woll, C., アルドリッチ総合カタログは無料です。
Langmuir, 2002, 18, 3980–3992. (3) Wang, H.; Chen, S. F.; Li, L. Y.; Jiang, 最寄の代理店にお問い合わせ下さい。
S. Y., Langmuir, 200, 21, 2633–2636. (4) Noh, J.; Konno, K.; Ito, E.; Hara, sigma-aldrich.com/japan
M., Jpn. J. Appl. Phys. Part 1 200, 44, 1052–1054. (5) Li, L. Y.; Chen, S. F.;
Zheng, J.; Ratner, B. D.; Jiang, S. Y., J. Phys. Chem. B 200, 109, 2934–2941.
(6) Herrwerth, S.; Eck, W.; Reinhardt, S.; Grunze, M., J. Am. Chem. Soc. 200,
125, 9359–9366. (7) Harder, P.; Grunze, M.; Dahint, R.; Whitesides, G. M.;
Laibinis, P. E., J. Phys. Chem. B 1998, 102, 426–436

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Beta Version

Building Blocks Organometallic Reagents Synthetic Reagents Specialty Synthesis

Organic Building Blocks Boronic Acids and Coupling Lewis Acids Peptide Synthesis
Heterocyclic Building Derivatives C-C Bond Formation Organic Acids Carbohydrate Synthesis
Blocks Grignard Reagents C-X Bond Formation Inorganic Acids Oligonucleotide Synthesis
Amino Acid Derivatives Reike and Organozinc (Halogen) Phosphazene Bases Enzyme-Mediated Synthesis
Unnatural Amino Acid Reagents C-X Bond Formation Organic Bases Fluorous Synthesis
Derivatives Organosilicon (Non-halogen)
Inorganic Bases Supported Synthesis
Monosaccharides Organotin Oxidation
Inorganic Salts
Nucleosides Organolithium Reduction
Dehydrating Reagents
Chiral Building Blocks Organoaluminum Protection and Derivatization
Compressed and
Others Radical Chemistry Liquefied Gases
Phase Transfer Catalysts
Chelation/Complexation
Compounds

Asymmetric Synthesis Catalysis & Inorganic Chemistry Ionic Liquids

Chiral Catalysts, Ligands, All Metals Aluminum Rhenium Ammonium


and Reagents Palladium Boron Tin Choline
Chiral Auxiliaries Ruthenium Chromium Tungsten Imidazolium
Chiral Building Blocks Rhodium Cobalt Vanadium Phosphonium
Chiral Resolution Reagents Nickel Iridium Zirconium Pyrazolium
Platinum Iron Phosphorus Compounds Pyridinium
Titanium Manganese NHC Ligands Pyrrolidinium
Gold Molydenum Porphyrins Sulfonium
Silver Osmium Other Ligands
Copper Rare Earth Metals Metal Scavengers
Zinc

各製品番号ごとに、MSDS、ロット試験成績表、NMR/IR スペクトル、在庫状況、価格を公開しています。
ご不明の点はテクニカルサポートへお気軽にお問い合わせください。
在庫状況と価格をご覧になるには、Your Profile メニューから、1)Web language=Japanese 2)MSDS language=English 3)Country=Japan
の3つを選択して Submit してください。(次回よりこの設定が保存されます)
本カタログに掲載の製品及び情報は 2007 年 5 月 1日現在の内容であり、収載の品目、製品情報、価格等は予告なく変更される場合がございますので、予めご了承ください。製品のご注文に際し価格、在庫は弊社カスタマーサービスにお問い合わせください。
また、弊社日本語サイト(sigma-aldrich.com/japan)上で「カタログ訂正」
「ブランド別価格検索」のご利用により、最新の情報をご確認いただけます。なお、掲載価格には消費税は含まれておりません。
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A-210 SAJ 2007.5

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