GID 性同一性障害についての概略説明冊子

~会社・学校等所属団体組織の方へ~

 この冊子は、当院で GID 性同一性障害の診断を取得された方のために、その社会生活の便宜
を推進することを目的として作成されています。診断書、配慮の依頼書等の文書と併せて熟読し
ていただき、GID 性同一性障害に対する正確な理解、適正な制度運用、適切な配慮をお願いし
ます。
                              九州べテルクリニック福岡トランスジェンダー外来

広報イメージキャラクター GIDさん

資料製作:九州べテルクリニック福岡 
資料照会先:福岡県福岡市博多区祇園4-3-1F
        092-292-3012
GID 性同一性障害に関する行政機関連絡先:〒100-8977 東京都千代田区霞が関 1-1-1
法務省人権擁護局話:03-3580-4111(代表)
〒100-8977 日東京都千代田区霞ヶ関市原町 1-1-1
TEL 03-3580-4111

福岡県人権啓発情報センター
〒816-0804

 福岡県春日市原町3丁目1−7クローバープラザ 7 階

TEL 092-584-1271

政府見解:文部科学省「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/04/1357468.htm
https://www.google.ch/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwimvuWUw77QAhXIDsAKHTuXD8IQFggsMAE&url=http%3A%2F%2Fwww.mext.go.jp
%2Fb_menu%2Fhoudou%2F28%2F04%2F__icsFiles%2Fafieldfile%2F2016%2F04%2F01%2F1369211_01.pdf&usg=AFQjCNEDsdpg74L93nVz8MlxQ0YNI6Oo6w

出典 厚生労働省「こころの病気を知る」より
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_gender.html

性同一性障害
出生時に「女性」として区分・記録されたものの自分は「本当は男なんだ、男として生きるのがふ
さわしい」と考えたり、出生時に「男性」として区分・記録されたものの「本当は女として生きる
べきだ」と確信する現象を「性同一性障害(gender identity disorder, GID)」と呼びます。この
ような性別の不一致感から悩んだり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもあります。
性同一性障害については、まだ理解が進んでいるとはいえず、診断や治療ができる病院も多くは
ありません。そこで、性同一性障害とはどのような病気であるのか、その症状や治療法、法的側
面等について解説します。

性同一性障害とは
性別を考える2つの側面
性別といえば、男性か女性の2種類に分かれると多くの人たちは単純に考えます。しかし、性別
には生物学的な性別(sex)と、自分の性別をどのように意識するのかという2つの側面があり
ます。性別の自己意識あるいは自己認知をジェンダー・アイデンティティ(gender identity)と
いいます。
多くの場合は生物学的性別と自らの性別に対する認知であるジェンダー・アイデンティティは一
致しているため、性別にこのような2つの側面があることには気づきません。しかし、一部の人
ではこの両者が一致しない場合があるのです。そのような場合を「性同一性障害」といいます。
つまり、性同一性障害とは、「生物学的性別(sex)と性別に対する自己意識あるいは自己認知
(gender identity)が一致しない状態である」と、定義することができます。

ジェンダーとは何か
ここまで「ジェンダー(gender)」という言葉を使ってきましたが、この言葉はいろいろな使わ
れ方をしています。大きく分けて以下の3つがあります。

1. 生物学的性別を意味する使い方
形態や機能の上から区別できる雌雄(female, male)のこと(性的二型)を生物学では
ジェンダーと呼びます。

2. 社会的・文化的に形成された性差を意味する使い方
「人為的・社会的に作られた性差」、「男性が優位であるかのように作られた性差」とい
う立場でジェンダーを把え、社会的・文化的性差の意味で用います。

3. 性別に対する自己意識、自己認知を意味する使い方
「自分は男(女)である」、「男(女)として生活することがふさわしい」と感じる性別
に関する自己意識(認知)の意味で用います。心理・社会的性別と呼ばれることもありま
す。
このように「ジェンダー」という言葉は、使われる状況や背景によって意味が大きく異なってき
ます。性同一性障害について述べている場合には、3番目の「性別に対する自己意識、自己認
知」を意味していると考えてください。

性同一性障害でみられる症状
主な3つの症状
性同一性障害を有する人にみられる症状は、「自らの生物学的性別とジェンダー・アイデンティ
ティが一致しない状態」から生じるものです。しかも、生物学的性別をジェンダーに近づけたい
という願望からくる症状として、理解することができます。

1. 自らの性別を嫌悪あるいは忌避する
自分の性器が間違っている、成人になれば反対の性器を持つようになるであろうなどと主
張したり、自分の性器はなかったらよかったのにと考えることもあります。
また、2次性徴期には、男性では声変わりがしたり、喉仏が目立ったり、肩幅が広く、筋
肉が張ってくる、陰茎が大きくなるなど、女性では体つきが丸みを帯び、月経が発来した
り、乳房が膨らむなどの変化が起こります。こうした男らしい、あるいは女らしい体つき
になることに対する嫌悪感や忌避の気持ちが強くなります。
そのために、すね毛をそったり、乳房を晒しで巻き、ふくらみを隠そうとしたりします。
これらの症状は、自らのジェンダーにふさわしくない身体症状を嫌悪し、忌避することか
らくるものです。

2. 反対の性別に対する強く、持続的な同一感を抱く
自分の存在そのものを、自らのジェンダーと同一化したいと願い、反対の性別になりたい
と強く望みます。そのために、反対の性別の服装(異性装)をしたり、反対の性別として
の遊びを好みます。
男の子の場合、女の子の遊びを好んだり、女の子の服装をしたいと望みます。また、女の
子の場合には、男の子のような活発な遊びを好みます。これは、自らのジェンダーにあっ
た生活や遊びをすることが自分の気持ちにしっくりするためです。

3. 反対の性別としての性別役割を果たそうとする
日常生活の中でも反対の性別として行動したり、義務を果たしたり、家庭や職場、社会的
人間関係でも、反対の性別として役割を果たそうとします。また、言葉遣いや身のこなし

など、様々な点で、反対の性別として役割を演じることを希望し、実際そのように実行し
ます。

性同一性障害と同性愛、服装倒錯症の違い
性同一性障害は、同性愛と混同して考えられることが少なくありませんが、両者はまったく別の
ことです。すでに述べたように、性同一性障害は、自らの性別に関するジェンダー・アイデン
ティティの問題です。一方、同性愛は性対象として同性の相手を選ぶことを意味しています。し
たがって、性同一性障害を有する人の中には、異性愛の人もいれば同性愛、あるいは両性愛の人
もいます。
また、性同一性障害では反対の性別の服装をしたり、装飾品を身につける「異性装(服装倒錯
症)」がみられます。しかし、異性装をするからといって、性同一性障害とは言えません。
自分の性別とは反対の服装をする人たちは昔から知られており、一般に異性装と呼ばれていまし
た。20 世紀の初め頃、異性装をする人達を学術的に服装倒錯症(transvestism)と呼ぶように
なりましたが、その後、異性装によって性的快楽を得る人の他に、自らの生物学的性別とは異な
るジェンダーを有する人が、反対の性別の服装を身にまとおうとすることが明らかになりました。
このように、異性装をする人たちの中には、性的快感を得るための場合と、反対の性別に帰属す
ることを求める場合があります。性同一性障害では、性的快感を求めるためではなく、自らの
ジェンダーに合った服装をすることを願うために異性装をします。

性同一性障害の診断について
性同一性障害の診断は次の1から4のステップで行います。

1. 生物学的性(SEX)の決定
染色体検査、ホルモン検査、内性器、外性器の検査を行って、生物学的性別は、正常な男
女のいずれかの性別であることを証明します。

2. ジェンダー・アイデンティティの決定
生育歴、生活史、服装、これまでの言動、人間関係、職業などに基づいて性別役割の状況
を調べ、ジェンダーの決定をします。

3. その上で、生物学的性別とジェンダー・アイデンティティが不一致であることを明らかに
します。

4. その際、次のような除外診断に該当しないことを確認します。
性分化疾患などの異常はない
精神的障害はない
社会的理由による性別変更の希望ではない
なお、染色体の異常などによる性分化の障害(かつての半陰陽など)においてはジェンダーの決
定が重要です。それは、性分化疾患では多くの場合、gender dysphoria syndrome(性別違和
症候群)といわれるようにジェンダーの問題を有していることが少なくないからです。したがっ

て、性分化疾患は中核的な性同一性障害とは異なりますが、広くジェンダーの障害として対応を
必要とします。
これら、性同一性障害の診断は十分な経験を持つ精神科医2名の診断によって確定しますが、も
し両者の診断が不一致の場合には3人目の精神科医の診断を求めることになっています。

性同一性障害の治療
おもな治療法
性同一性障害の治療は、一般に、精神療法、内分泌療法(ホルモン療法)、外科的治療の3段階
を順に進めます。
外科手術に進んだ場合でも精神療法や内分泌療法を継続します。

1. 精神療法
これまでの生活の中で、性同一性障害のために受けてきた精神的、社会的、身体的苦痛に
ついて十分な時間をかけて聞き、いずれの性別で生活するのが本人にとってふさわしいか
の決定・選択を援助します。また、選択した性別で生活することを支援することも精神療
法の段階で必要なことです。
精神神経学会ガイドライン第3版では、「精神的サポート」「カミングアウトの検討」
「実生活経験」「精神的安定の確認」を精神療法として行うべきことをうたっています。

2. 内分泌療法(ホルモン療法)
十分な精神療法を行っても自分の性別とジェンダーの不一致に悩み、身体的特徴を少しで
もジェンダーに合わせようと希望するとき、ホルモン療法を行います。その際、以下のよ
うな点について確認します。
選択した性別に対する持続的で、安定した適合感があり、第2段階に移行するための
条件を満たしていること。
十分な身体診察、必要な検査を行い、ホルモン療法に支障がないこと。
ホルモン療法の手技、効果と限界、起こりうる副作用について十分な説明を行い、文
書で同意を得ること。
家族、パートナーにもホルモン療法の効果と限界、起こりうる副作用について十分な
説明を行い、納得を得る努力をすること。
年齢は満 18 歳以上であること。(注)
ホルモン療法中の乳房切除術も容認する。
注)2012 年(平成 24)1 月に日本精神神経学会「性同一性障害に関する委員会」は
第4版ガイドラインを発表し、その中で、「第2次性徴」を抑えるホルモン療法につ
いて言及し、容認した。すなわち、男性、あるいは女性としての体の特徴が顕著にな

る前に、生物学的性別と反対の性ホルモンを投与し、少しでもジェンダーと身体的特
徴の隔たりを少なくしようとするねらいで、投与を開始する年齢も 15 歳に引き下げ
ることを提言している。

3. 外科的療法
外性器等に外科的に手を加え、主として反対の性別に近づける治療法を「性別適合手術」
(sex reassignment surgery, SRS)と呼びます。
男性が女性への(Male to Female, MTF)性別適合手術を求めるときには精巣摘出術、陰
茎切除術、造膣術ならびに外陰部形成術をします。一方、女性が男性への(Female to
Male, FTM)手術を求めるとき、第一段階として卵巣摘出術、子宮摘出術、尿道延長術、
ならびに膣閉鎖術を行い、ついで、第二段階として、陰茎形成術を行います。
外科的療法を行うにあたっては、次のような条件を満たす必要があります。
十分な第1段階(精神療法)ならびに第2段階(ホルモン療法)の治療が行われてい
ること。
十分な第1段階(精神療法)ならびに第2段階(ホルモン療法)の治療にもかかわら
ず、依然として生物学的性別と性別の自己意識との不一致に悩み、手術療法を強く望
んでいること。
精神療法ならびにホルモン療法を通して、選択した反対の性別に対し、持続的で安定
した適合感があること。
選択した性別で生活することにともなう身体的な困難、現在の社会的立 場や家庭内
で起こる可能性のある問題などに対処できる条件が整っていること。
手術を望むものの性格、薬物依存の有無などの観点から、手術とその結果に対する事
態に十分対処できる人格を有していること。
手術を望むものが、手術によって生ずる身体的変化、随伴症状、社会生  活上の変
化、家庭や友人との関係、性的問題などを十分理解し、判断していること。
家族や親しい人が手術療法に理解を示していること、とくに両親や配偶者、 時には
子供の同意が得られていることが望ましい。
あらゆる可能性を考慮して医療チームが手術療法に移ることが適切であると判断した
こと。
年齢は満 20 歳以上であること。

性同一性障害を有する人の QOL
性同一性障害を有する人を取り巻く医療的環境や社会的・心理的状況は、現時点では必ずしも
整っているわけではありません。たとえば次のような問題があります。

1. 医療環境の問題
性同一性障害をはじめとする性別違和を持つ人たちに対する医療的対応は、現時点では必
ずしも十分とはいえません。

その一つは専門とする医療施設が少ないこと、専門医が少ないことが挙げられます。とく
に性同一性障害の診断と治療は複数の診療科の連携を必要とするために、一層対応できる
施設に限りがあるのが現状です。また、内分泌療法、外科的治療に対する保険適応がまだ
なく、今後の課題となっています。
このような医療環境の整備には「Gid(性同一性障害) 学会」「日本精神神経学会」「性
同一性障害に関する委員会」などが積極的に活動し、努力しています。

2. 法的整備
反対の性別で生活しようとするとき、障害になるのが、名前の問題や戸籍上の性別表記の
問題です。
名前の変更(改名)
性同一性障害による改名を行うためには家庭裁判所の審判を経て、許可される必要が
あります(戸籍法第 107 条の 2)。後に述べる「特例法」が施行されてからは、性同
一性障害による改名は比較的認められやすくなりました。(浅野杏子:戸籍の名およ
び性別の変更に関する法的手続き.山内俊雄、松原三郎編集「精神科医のためのケー
スレポート・医療文書の書き方」p 321―330、2011 中山書店)
性別の変更
性同一性障害を有する人が、外科的治療を行い、外見的には反対の性別に限りなく近
づいたとしても、自らの所属する「戸籍上の性別」が変更されないと、手術を受けた
人の QOL は高まらないことになります。そこで、国は「性同一性障害者の性別の取
扱いの特例に関する法律」(※)を制定しました(平成 15 年 7 月 10 日)。

※)「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」
家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当する者について、その者の請
求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
20 歳以上であること
現に婚姻をしていないこと
現に子がいないこと
生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
この法律は、2004 年(平成 16)7 月から施行されました。その後、2008(平成 20)年に、こ
れらの条項のうち、「現に子がいないこと」を「現に未成年の子がいないこと」と変更され、平
成 20 年 12 月 18 日に施行されました。
性別に関する特例法が施行された平成 16 年 7 月から平成 23 年度までに、申し立て受け付けは総
計 2936 件でしたが、そのうち、裁判所で認められた性別変更(更正)は 2847 件でした(「日
本性同一性障害と共に生きる人々の会」調査)。
以上のように、わが国では性同一性障害の外科療法が先行する中で、医療や社会制度の環境整備

が遅れておりましたが、日本精神神経学会、GID 学会、「日本性同一性障害と共に生きる人々の
会」などの努力により、少しずつ環境が整ってきています。

文部科学省通達
「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実
施等について」
平成 27 年 4 月 30 日
27 文科初児生第 3 号

各都道府県教育委員会担当事務主管課長
各指定都市教育委員会担当事務主管課長
各都道府県私立学校事務主管課長
附属学校を置く各国立大学法人附属学校事務担当課長
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第 12 条第 1 項の
認定を受けた地方公共団体の学校事務担当課長     殿
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長   
坪田 知広

性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について
 性同一性障害に関しては社会生活上様々な問題を抱えている状況にあり、その治療
の効果を高め、社会的な不利益を解消するため、平成 15 年、性同一性障害者の性別
の取扱いの特例に関する法律(以下「法」という。)が議員立法により制定されました。ま
た、学校における性同一性障害に係る児童生徒への支援についての社会の関心も高
まり、その対応が求められるようになってきました。
 こうした中、文部科学省では、平成 22 年、「児童生徒が抱える問題に対しての教育相
談の徹底について」を発出し、性同一性障害に係る児童生徒については、その心情等
に十分配慮した対応を要請してきました。また、平成 26 年には、その後の全国の学校
における対応の状況を調査し、様々な配慮の実例を確認してきました。
 このような経緯の下、性同一性障害に係る児童生徒についてのきめ細かな対応の実
施に当たっての具体的な配慮事項等を下記のとおりとりまとめました。また、この中では、
悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆ
る「性的マイノリティ」とされる児童生徒全般に共通するものであることを明らかにしたと
ころです。これらについては、「自殺総合対策大綱」(平成 24 年 8 月 28 日閣議決定)を
踏まえ、教職員の適切な理解を促進することが必要です。
 ついては、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町

村教育委員会等に対して、都道府県にあっては所轄の私立学校に対して、国立大学法
人にあっては附属学校に対して、構造改革特別区域法第 12 条第 1 項の認定を受けた
地方公共団体にあっては認可した学校に対して、周知を図るとともに、学校において適
切に対応ができるよう、必要な情報提供を行うことを含め指導・助言をお願いいたします。

1.性同一性障害に係る児童生徒についての特有の支援
 性同一性障害者とは、法においては、「生物学的には性別が明らかであるにもかか
わらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的
な確信をもち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意
思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識
及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行
う診断が一致しているもの」と定義されており、このような性同一性障害に係る児童
生徒については、学校生活を送る上で特有の支援が必要な場合があることから、個
別の事案に応じ、児童生徒の心情等に配慮した対応を行うこと。
(学校における支援体制について)
 性同一性障害に係る児童生徒の支援は、最初に相談(入学等に当たって児童生徒
の保護者からなされた相談を含む。)を受けた者だけで抱え込むことなく、組織的に
取り組むことが重要であり、学校内外に「サポートチーム」を作り、「支援委員会」(校
内)やケース会議(校外)等を適時開催しながら対応を進めること。
 教職員等の間における情報共有に当たっては、児童生徒が自身の性同一性を可
能な限り秘匿しておきたい場合があること等に留意しつつ、一方で、学校として効果
的な対応を進めるためには、教職員等の間で情報共有しチームで対応することは欠
かせないことから、当事者である児童生徒やその保護者に対し、情報を共有する意
図を十分に説明・相談し理解を得つつ、対応を進めること。
(医療機関との連携について)
 医療機関による診断や助言は学校が専門的知見を得る重要な機会となるとともに、
教職員や他の児童生徒・保護者等に対する説明材料ともなり得るものであり、また、
児童生徒が性に違和感をもつことを打ち明けた場合であっても、当該児童生徒が適
切な知識をもっているとは限らず、そもそも性同一性障害なのかその他の傾向があ
るのかも判然としていない場合もあること等を踏まえ、学校が支援を行うに当たって
は、医療機関と連携しつつ進めることが重要であること。
 我が国においては、性同一性障害に対応できる専門的な医療機関が多くないとこ
ろであり、専門医や専門的な医療機関については関連学会等の提供する情報を参
考とすることも考えられること。
 医療機関との連携に当たっては、当事者である児童生徒や保護者の意向を踏まえ
ることが原則であるが、当事者である児童生徒や保護者の同意が得られない場合、
具体的な個人情報に関連しない範囲で一般的な助言を受けることは考えられること。
(学校生活の各場面での支援について)
 全国の学校では学校生活での各場面における支援として別紙に示すような取組が

行われてきたところであり、学校における性同一性障害に係る児童生徒への対応を
行うに当たって参考とされたいこと。
 学校においては、性同一性障害に係る児童生徒への配慮と、他の児童生徒への
配慮との均衡を取りながら支援を進めることが重要であること。
 性同一性障害に係る児童生徒が求める支援は、当該児童生徒が有する違和感の
強弱等に応じ様々であり、また、当該違和感は成長に従い減ずることも含め変動が
あり得るものとされていることから、学校として先入観をもたず、その時々の児童生徒
の状況等に応じた支援を行うことが必要であること。
 他の児童生徒や保護者との情報の共有は、当事者である児童生徒や保護者の意
向等を踏まえ、個別の事情に応じて進める必要があること。
 医療機関を受診して性同一性障害の診断がなされない場合であっても、児童生徒
の悩みや不安に寄り添い支援していく観点から、医療機関との相談の状況、児童生
徒や保護者の意向等を踏まえつつ、支援を行うことは可能であること。
(卒業証明書等について)
 指導要録の記載については学齢簿の記載に基づき行いつつ、卒業後に法に基づく
戸籍上の性別の変更等を行った者から卒業証明書等の発行を求められた場合は、
戸籍を確認した上で、当該者が不利益を被らないよう適切に対応すること。
(当事者である児童生徒の保護者との関係について)
 保護者が、その子供の性同一性に関する悩みや不安等を受容している場合は、学
校と保護者とが緊密に連携しながら支援を進めることが必要であること。保護者が受
容していない場合にあっては、学校における児童生徒の悩みや不安を軽減し問題行
動の未然防止等を進めることを目的として、保護者と十分話し合い可能な支援を行っ
ていくことが考えられること。
(教育委員会等による支援について)
 教職員の資質向上の取組としては、人権教育担当者や生徒指導担当者、養護教
諭を対象とした研修等の活用が考えられること。また、学校の管理職についても研修
等を通じ適切な理解を進めるとともに、学校医やスクールカウンセラーの研修等で性
同一性障害等を取り上げることも重要であること。
 性同一性障害に係る児童生徒やその保護者から学校に対して相談が寄せられた
際は、教育委員会として、例えば、学校における体制整備や支援の状況を聞き取り、
必要に応じ医療機関等とも相談しつつ、「サポートチーム」の設置等の適切な助言等
を行っていくこと。
(その他留意点について)
 以上の内容は、画一的な対応を求める趣旨ではなく、個別の事例における学校や
家庭の状況等に応じた取組を進める必要があること。
2.性同一性障害に係る児童生徒や「性的マイノリティ」とされる児童生徒に対する相談体
制等の充実
学級・ホームルームにおいては、いかなる理由でもいじめや差別を許さない適切な
生徒指導・人権教育等を推進することが、悩みや不安を抱える児童生徒に対する支
援の土台となること。
 教職員としては、悩みや不安を抱える児童生徒の良き理解者となるよう努めること

は当然であり、このような悩みや不安を受け止めることの必要性は、性同一性障害
に係る児童生徒だけでなく、「性的マイノリティ」とされる児童生徒全般に共通するも
のであること。
 性同一性障害に係る児童生徒や「性的マイノリティ」とされる児童生徒は、自身のそ
うした状態を秘匿しておきたい場合があること等を踏まえつつ、学校においては、日
頃より児童生徒が相談しやすい環境を整えていくことが望まれること。このため、まず
教職員自身が性同一性障害や「性的マイノリティ」全般についての心ない言動を慎む
ことはもちろん、例えば、ある児童生徒が、その戸籍上の性別によく見られる服装や
髪型等としていない場合、性同一性障害等を理由としている可能性を考慮し、そのこ
とを一方的に否定したり揶揄(やゆ)したりしないこと等が考えられること。
 教職員が児童生徒から相談を受けた際は、当該児童生徒からの信頼を踏まえつつ、
まずは悩みや不安を聞く姿勢を示すことが重要であること。

性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例
項目

学校における支援の事例

服装

自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める。

髪型

標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)。

更衣室

保健室・多目的トイレ等の利用を認める。

トイレ

職員トイレ・多目的トイレの利用を認める。

呼称の工

校内文書(通知表を含む。)を児童生徒が希望する呼称で記す。
自認する性別として名簿上扱う。

授業

体育又は保健体育において別メニューを設定する。

水泳

上半身が隠れる水着の着用を認める(戸籍上男性)。
補習として別日に実施、又はレポート提出で代替する。

運動部の
活動

自認する性別に係る活動への参加を認める。

修学旅行

1 人部屋の使用を認める。入浴時間をずらす。

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