芸術論⑥

ポップアート
赤尾晃一
akaokoichi@gmail.com
http://redtail2730.hamazo.tv
抽象表現主義
• 第二次世界大戦後の1940年代のニューヨークで
発生し,発展したアメリカの芸術運動。国際的に
影響を持ったアメリカで最初の前衛芸術運動であ
り,西洋美術シーンの中心地がパリからニュー
ヨークへ明確に移り変わった
• 中心となるのはジャクソン・ポロック。床に置い
た大きなキャンバスに絵具をしたたらせる技法
「ドリッピング」によって,作品を作るという行
為をそのままキャンバスに表現する「アクショ
ン・ペインティング」を始めた。
オートマティスム
• シュールレアリ
スムの一様式
ウィレム・デ・クーニング
• 激しい筆遣いで女性像を半ば抽
象化し,これまでの人物描写の伝
統を破壊した。
• フォーヴィスムやドイツ表現
主義の流れを組むこともあり,
内的感情を前面に押し出した抽
象的な様式のため“抽象表現主
義”と呼ばれる。
フォーヴィスム(野獣主義)
• 20世紀初頭,アンリ・
マティスら,人間の内的
感情や感覚を表現するの
に自律的な色彩を用いた
流派
ドイツ表現主義
• 内面的,感情的,
精神的なものなど
「目に見えない」
ものを主観的に強
調する様式である。
カンディンスキーら
ネオ・ダダ
• 1950年代後半から60年代にかけてニュー
ヨークを中心に発生した前衛芸術運動。後の
ポップ・アートの先駆けとなり,「プロト・
ポップ」と呼ばれることもある。
• 印刷物,日用品,廃材など大量消費社会や俗
悪さを象徴する素材を使ったコラージュやレ
ディ・メイドを応用した作品を指す
ジャスパー・ジョーンズ
• アメリカの国旗や標的,数字などの記号をそのま
ま芸術表現として利用するのが特徴
• 1954年頃からジョーン
ズが描き始めた星条旗は,
誰もが知っている記号を
使うことで,本来の記号
の意味(アメリカ)を排
除させることに成功
デュシャンの後継
• マルセル・デュシャンの便
器の意味を排除してオブジェ
化したレディメイド作品「泉」
の応用といえる。
• ただ,ジョーンズは,記号や
文字の本来の意味を排除してオ
ブジェ化しつつ,それでもなお
絵画としての可能性を追求した。
ジョーンズの立体作品
ロバート・ラウシェンバーグ
• 身の回りのさまざまなもの
を寄せ集めて、コラージュな
どの効果を利用した立体絵画
を制作。シーツやキルトのカ
バーに絵具を塗ってタッチや
滴りを表現するそれらを「コ
ンバイン・ペインティング」
と呼んだ
コンバイン絵画
• コラージュの応用で,既製
品・日用品・廃物などの身近
な三次元の事物を素材として
使った
• さらに,それらの素材を抽象
表現主義のアクション・ペイン
ティングのような激しい筆致を
引き継いでいるのが特徴
ポップアート
• 1950年代後半のアメリカで発生した前衛美
術運動。広告・新聞・商品といった大衆文化
の代表的な図像(アイコン)を利用し,伝統的な
ファインアートに挑戦した
• 本来の文脈から切り離された素材は,他の
まった無関係な物質と組み合わされることで,
新たな文脈を生成する(コラージュ)
リキテンシュタイン
• コミックの一カッ
トを拡大。「絵画の
評価なんてこんなも
のなのか」と問題提

ロイ・リキテンシュタイン「ヘアリボン
の少女」(1965年)
クレス・オルデンバーグ
ポップアートの歴史的意義
• 当時の芸術業界で支配的なスタイルであった
抽象表現主義に反発するかたちで始まってい
る。また既にあるオブジェクトやイメージを
利用し,伝統的な芸術に反発しているため,
ダダイズムとの類似性がある。ポップ・アー
トとミニマリズムは,その後に来るポストモ
ダン・アート(現代美術)の先駆的な芸術運
動とみなされている
古賀春江
• 「海」(1929)
• 日本の先駆者
• 当時の科学雑
誌や絵葉書の写
真図版をもとに
制作
ミニマリズム
• マーク・ロスコ。死,官能,
緊張,アイロニー,機知と遊び
心,はかなさと偶然性,希望と
いう7成分を元に,「悲劇」を
テーマとした絵画を制作
• 地層のように絵具を配置する抽
象構成でもって、悲劇的な内面を
表現する
ドナルド・ジャッド
• ミニマルアートは最小限にまで
切り詰められた表現である
• 幾何学的な抽象美術をぎりぎり
まで推し進めて,絵画や彫刻を数
学のように規則正しい形態にして
いくと,工業製品のように見える
キーワード
• 「ポピュラー」「はかない」「消費財的」
「低コスト」「大量生産」「若さ」「洒落て
いること」「セクシー」
「新しがり」「魅力的」「ビッグ・ビジネス」

リチャード・ハミルトン「いったい何が今日の
家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか?」
(1963-66年)
ポップ・アートの本質
• ポップ・アートは抽象表現主義の情緒性や内
面を重視した表現より,クールかつドライで,
没個性的・即物的なものに対する関心の高さ
がある
• ポップ・アートは記号化された虚像に関心が
ある。虚像(記号)の背後には必ず実体があると
思いがちだが,マスメディアの発達は虚像の
機能を異常に肥大化し,実像を上回らせた
アンディ・ウォーホル
キャンベルスープ缶(1962)
• 当時のキャンベル・ス
ープ・カンパニーが販売
していた32種類のスー
プ缶が描かれている。
各作品は非絵画的で半機
械化されたシルクスクリ
ーン印刷で制作された
反逆性
• 半機械化された制作プロセスや,非絵画的なスタ
イル,さらに世俗的であつかましく感じる商業的
なモチーフを大きく扱ったこの作品は,抽象表現
芸術の哲学や技術(禁欲的,神秘的な雰囲気)を直
接的に侮辱した表現だった
• アンディ・ウォーホルの名前とキャンベルのスー
プ缶が同義語として語られるようになった。つま
り,キャンベルのスープ缶はウォーホルを指し示
す記号になった
反復性
• 同じ大きさで同じイメージを繰り返して,キャン
ベル缶の均一性や偏在性を強調することで,発明
性や独創性のメディウムとして絵画の理想を覆し

• このような視覚的反復行為は,広告業界が長年に
わたり,庶民の意識に浸透させるために利用して
きた手法でもあった。しかし,ウォーホルにとっ
てキャンベル缶の反復は真摯なものの象徴だった。
現代の静物画

印象派画家・セザンヌは,リンゴやオレンジを好んで描いた。
アンディ・ウォーホルにとってキャンベル缶こそがリンゴだったのである。
コーラ
マリリン・モンロー
• 大衆文化の領域では,“セクシーさ”の代名詞
であるマリリン・モンローの死去に接して,
制作した連作
• これまでの“連続画”と異なり,同じ原版から
彩色を変えたモンローの絵。ウォーホルは商
品: モンローでラベル: 絵を売り出した
• 無限に増殖するイメージの無意味さを描いた
“死”のモチーフ
• ウォーホルがこだわったのが“死=不在”を想起
させるモチーフ
• 死刑に用いる電気椅子,交通事故,ジャク
リーン・ケネディ(未亡人)など
肖像画家
• ウォーホルは「肖像画を描いてほしい画家」
となり,多くのポップスターの肖像画を制作
した
• その中で,こだわったのが,毛沢東,ソ連の
国旗など,「頼まれることがことがない」絵
画の制作だった
ウォーホルの映画