精神医学・59( 1 )：37-43，2017 37

特 インターネット依存の現在
集
子どもとメディア ＊
心身への影響と関わり方

中島匡博 1)

Key words

Media, Children, ICT (Information and Communication Technology), Smartphone,

Media literacy

られる。
はじめに ネット社会の中で，メディアの子どもの心身へ
この 40∼50 年の間に，子どもの外遊び空間は の影響について理解し，予防・治療の観点から，
激減し，外遊びが減り，夜型ライフスタイルとな 対応することが求められている。
り，室内でテレビ・ゲーム機・携帯電話・スマー
子どもの心身の実態とメディア接
トフォン(以下，スマホ)などの電子メディア(以
下，メディア)に接することが多くなった。 触状況
2005 年頃から，休日夜遅くまでビデオやゲー 子どもの体格は向上し，2014 年度の平均身長
ム機に接し，倦怠感を訴える小学生がクリニック は，11 歳男子で 30 年前，55 年前に比べ，各 1.9
を受診するようになった。近年，スマホ・ゲーム cm，9.2 cm，11 歳女子で各 1.4 cm，9.2 cm 高く
機に深夜まで接し，体調不良を訴える中学生，夜 なった一方，裸眼視力 1.0 未満の子どもの割合は，
遅くまでテレビ・ビデオ・親のスマホに接して， 幼稚園，小・中学校，高等学校のすべての世代で，
元気がない園児もみられる。幼児のいる家庭で 1 30 年前より増加している〔文部科学省：平成 26
日中テレビがついて，待合室で幼児の傍らで，ス 年度学校保健統計調査(確定値)の公表について．
マホやゲーム機の操作に夢中で子どもと向き合わ 2015 年 3 月より引用〕
。22 時以降に就床する 3
ない親もみられる。 歳児の割合は，22%(1980 年)，36%(1990 年)，
メディア機器の多様化・高機能化が進み，子ど 52%(2000 年)，31%(2010 年)と推移している(厚
もの遊びや生活空間の中に浸透し，インターネッ 生労働省「幼児健康度に関する継続的比較研究」
ト(以下，ネット)上でのトラブル，睡眠不足など 平成 22 年度総括・分担研究報告書．2011 年 3 月
生活リズムの乱れ，依存などさまざまな問題が顕 より引用)。朝食欠食，運動不足，体力低下も指
在化している。メディア接触の長時間化と低年齢 摘されている。2008 年度学校検診で，腕が完全
化が進み，長時間接触と短時間接触の二極化もみ に上がらない，体前屈で指先が床につかない，
しゃ

＊
Children and the Media：Influence on the body and the mind, and enlightenment
7
1) 中 島 こ ど も ク リ ニ ッ ク (〠 698-0041 島 根 県 益 田 市 高 津 2-32-10)，NAKASHIMA Masahiro：Nakashima
1
0
2
,
Children s Clinic Shimane, Japan
d
t
L 0488-1281/17/紙：￥800/電子：￥1200/論文/JCOPY
N
I
O
H
S
-
U
K
A
G
I
©
閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152 2017/11/23 13:49:24
 38 精神医学
がみこみができない小・中学生が，5∼12% にみ
られ，約 10 人に 1 人が体が硬いことが示され
た 20)。
子どもの ICT 利用状況は，1 歳児 16.6%，3 歳
児 35.4%，小学校 1∼3 年生 51.8% で，0 歳児の
1 割が，情報通信端末を利用し，動画や写真の閲
覧，知育アプリの利用割合が高く，低年齢からの
メディア接触が明らかとなっている(未就学児等
の ICT 利活用に係る保護者の意識に関する調査
報告書【概要版】
．2015 年 7 月 総務省情報通信
政策研究所より引用)。青少年のスマホの所有・
利用率は，小学生 50.2%，中学生 60.9%，高校生
97.2% で，スマホの利用が思春期世代で顕著と
なっている〔内閣府：平成 27 年度青少年のイン
ターネット利用環境実態調査調査結果(概要)．
2016 年 3 月より引用〕。
島根県益田市の 3 歳児健診でのアンケート調
査で，メディア接触 2 時間以上は，2015 年度に
17.5%(益田市子育て支援課：益田市乳幼児健診
集計より引用)であった。
普段使用しているネットに繋がる機器は，スマ
ホは，小学校高学年 43.7%，中学生 47.5%，高校
生 92.6%，ゲーム機は，小学校高学年 32.3%，中
学生 45.4%，高校生 46.1% と年代により，使用の
種 類 に 相 違 点 が み ら れ た (平 成 27 年 5 月 実 施
益田市情報リテラシー向上推進協議会調査より引
用)。
小・中学生で，テレビ，ゲーム，携帯電話やス
マホのいずれかの使用が長時間になると，体力合
計点が低い傾向が認められた(文部科学省：平成
27 年度全国体力・運動能力・運動習慣等調査結
果より引用)。小・中学生，高校生で，オンライ
ンゲームをすることがよくあることと，コミュニ
ケーションスキルの低さの関連が指摘されている
(独立行政法人国立青少年教育振興機構：「子供の
生活力に関する実態調査」報告書〔概要〕─子供
に必要な生活スキルとは．2015 年 5 月より引
用)。
2013 年，厚生労働省は，8.1% の中高生がネッ
ト依存と公表した。
閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152
59 巻・1 号 2017 年 1 月
長時間メディア接触の心身への影
響
メディア接触と睡眠 4, 7)・朝食などの生活リズ
ムは，密接に関連する。メディア使用は，幼児の
睡眠障害と関連し 5)，睡眠時間が少ないと，成長
ホルモンの分泌が少なくなり，脂肪分解が抑えら
れ，肥満に繋がることが報告されている 12, 18)。睡
眠は，学習した内容を，定着・強化する役割を持
つことも分かってきた 10)。
幼児の DVD 視聴に関連して，親の関わりが言
葉の獲得に重要であることが示されている 3)。養
育者が長時間テレビ・ビデオを視聴しているほど，
幼児も長時間視聴に陥りやすいことが指摘されて
いる 9)。
長時間のテレビ視聴が，子どもの脳の成長と言
語能力の発達に負の影響を及ぼすことが指摘され
ている 19)。中学生で，携帯電話やスマホを長時間
使用すると，勉強時間が長くても成績が下がるこ
とが明らかとなっている(東北大学 HP 公表資料
より引用)。
高校生でテレビ視聴時間が長いほど，
内臓肥満，
高血圧，脂質異常と有意な相関があることが示さ
れている(個々の心血管危険因子値と生活習慣・
食習慣との関係に関する研究．2008 年度厚生労
働省総括・分担研究報告書より引用)。
益田市内 A 中学校でのアンケート調査(2014
年実施)で，メディア接触の長時間化と，睡眠時
間の減少・質の低下や依存傾向との関連を認め
た 13)。同中学校 1 年生のアンケート調査(2016 年
4 月実施)で，依存傾向の生徒は，男子 3.3∼6.5%，
女子 2.4∼11.9% であった(図 1)。同校では，2008
年から，毎年 1 年生に筆者がメディア授業を行っ
ている。
2014 年，厚生労働省公表の「健康づくりのた
めの睡眠指針 2014」で，若年者が就床後に携帯
電話などのメディア操作に熱中すると，睡眠不足
や質の低下に繋がると指摘している。文部科学省
の平成 26 年度全国学力・学習状況調査で，携帯
電話やスマホで通話・メール・インターネットを
2017/11/23 13:49:24
 精神医学 59 巻・1 号 2017 年 1 月 39

（％） 男子 （％） 女子
35 35
30 30
25 25
20 20
15 15
10 10
5 5
0 0
ゲームなどを ゲームなどを ゲームなどを ゲームなどを
止めると できないのは 止めると できないのは
イライラする 耐えられない イライラする 耐えられない
■ とてもそうである  ■ そうである ■ とてもそうである  ■ そうである

島根県益田市内 A 中学校 1 年生 2016 年 4 月調査

n＝73（人）

図1 メディア依存傾向の中学生の割合

する時間が短い児童生徒程，教科の正答率が高い
傾向が示された(国立教育政策研究所 HP より引
用)。眼科医から携帯端末は，調節障害を起こし
やすいといったことが指摘され 8)，ブルーライト
11)
の眼などへの影響 が示されている。
諸外国では，携帯電話の電磁波と健康への影響
について警鐘が鳴らされている。
メディアの子どもへの影響として，暴力と攻撃
性，性，薬物使用，肥満と摂食障害，学習上の問
題，他の健康への影響(高コレステロール血症，
17)
高血圧など)が報告されている 。
乳幼児期は，母(養育者)子間の触れ合いにより，
基本的信頼感を形作る重要な時期であり，スマホ
に乳幼児が接することにより，母(養育者)子の目
を見合わせる，語りかけるなど関わりの時間を奪
うことが危惧される。
セロトニンは，脳の発育，感情制御に関連し，
夜型生活習慣や，テレビゲーム，ビデオなどバー
チャル(仮想現実)の世界に浸り過ぎると，働きが
低下し，精神的に不安定となることが示されてい
る。朝の光を浴び，深呼吸など体を動かすことに
より脳内のセロトニン系の活性が上昇するとされ
ている。
メラトニンには，抗酸化作用，性早熟を抑制す
る作用があり，特に小児期，夜分泌され，夜明る
い環境下で分泌は抑制される。
啓発とインターネット依存予防
学校などでの講演の際，
事前アンケートを行い，
メディア接触の実態を数値や図で示している。一
方で，子どもの成長や心身に関して，数値化が困
難なこともあると考えている。成長・発達過程に
ある子どもには，危険可能性による対応が肝要だ
と考えている。
妊娠中から乳幼児・学童・思春期と，切れ目な
い啓発が重要である(図 2)。メディア依存と考え
られる事例では，年少期からのメディア接触が少
なからずみられる。どの年齢からどのようなメ
ディアにどれくらい接したらよいのか，家庭や社
会で考えることが大切だと考えている。絵本の読
み聞かせは，大人が子どもに向き合い，子どもは
読み手の声・肌の温もり，眼差しを五感で受け止
めることができる。幼児に対する絵本の読み聞か
せが，子どもの脳の機能によい影響を与えること
が脳画像で示された 6)。
既存の組織やネットワークを活用することによ
り，啓発を行うことも効果的である。啓発の効果
が現れるまで時間を要し，継続した取り組みが重

閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152 2017/11/23 13:49:24

 40 精神医学
妊婦
次世代
図2 メディア対策は，子どもから次世代へ
要である。標語・垂幕・幟などを公共施設に掲げ
るなど地域での取り組みも有効である。
ノーメディア(アウトメディア)の取り組みの例
として，A)1 日 2 時間までの視聴，B)21 時になっ
たらテレビを消す，C)食事中はテレビを消す，D)
毎週 1 日ノーテレビデー，などが挙げられる。
ルール作りが重要で，家族で話し合うことが大
切である。一方的に子どもに押しつけると，子ど
もが反発したり，長続きしなかったり，厳しすぎ
るルールだと，守られなかったり，家族の目の届
かない所で長時間接触となったり，逆効果となる
恐れがある。家族がメディアに関して，同じ考
え・姿勢で子ども(孫)に接することも大事である。
ノーメディア(アウトメディア)の効果は，顔と
顔を見合わせて，食事や会話などで実感できる。
困った時に相談できる親子関係や，メディア・リ
テラシー教育が重要である。
米国小児科学会・日本小児科医会
などの提言と取組
1999 年，米国小児科学会は，2 歳以下の子ど
1)
ものメディア接触を禁止する提言を行った 。
2004 年，日本小児科医会，日本小児科学会は，2
歳以下の子どものメディア接触を控えるよう提言
閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152
59 巻・1 号 2017 年 1 月
乳幼児
小学生
中学生
思春期
を行った 14, 16)。2008 年，日本小児科学会学校保
健・心の問題委員会は，
「21 世紀の小児科問診票」
を作成公表し，
小児科医は問診票を活用し，
メディ
ア漬けなど生活習慣や家庭生活の問題に積極的に
関わることが重要と提言した 15)。2011 年，米国
小児科学会は，2 歳以下の子どものメディア接触
について，教育的・発育に有益であるエビデンス
は認められないと発表した 2)。
2013 年，日本小児科医会は，
「スマホに子守り
をさせないで！」と「見直しましょう メディア
漬け」の啓発ポスターを公表した(日本小児科医
会 HP より引用) (図 3)。2015 年，日本小児連絡
協議会「子どもと ICT─子どもたちの健やかな
成長を願って」委員会は，
「子どもと ICT(スマー
トフォン・タブレット端末など)の問題について
の提言」を公表した。
地域での子どもとメディア啓発
乳幼児健診は，啓発の貴重な機会となり，益田
市では，メディア接触などについてアンケートを
行い，4 か月健診で，
「ブックスタート事業」(2014
年 7 月から「子育てハッピータイム」に名称変更)
として，絵本の読み聞かせが行われている。親子
の絆がよりいっそう深まり，絵本の読み聞かせの
2017/11/23 13:49:24
 精神医学 59 巻・1 号
図3 日本小児科医会によるポスター
大切さについて理解を深める貴重な時間になって
いる。
2005 年頃から，クリニックの待合室からテレ
ビ・ビデオを撤去し，本(絵本)を揃えて，保護者
にパンフレットなどで子どもとメディアに関する
情報を提供した。問診票で子どものメディア接触
の状況を把握し，アドバイスを行った。
2007 年頃から，益田市内の産科医院・病院，
保育園(所)，幼稚園，小・中学校，高等学校，公
民館などに出向き，子どもとメディアについて説
明した。
「メディアの子どもに及ぼす負の影響に
ついて，話を聞いてよく分かった」という感想を
聞き，啓発活動の必要性を痛感した。
2008 年，益田市内の A 幼稚園で，保護者を対
象に子どもとメディアについて講演を行い，各家
庭 の ノ ー テ レ ビ デ ー (NO テ レ ビ，NO ゲ ー ム
デー)実施率は，52.4%(2008 年)，66.7%(2009 年)，
閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152
2017 年 1 月 41
73.2%(2010 年)，94.1%(2016 年)と，年々増加し
た。家庭で話し合って，実行可能な目標を立てる
ことが大切だと感じた。保育所(園)でも講演を行
い，各保育所や全体での子どもとメディアに関す
る取り組みが始まっている。
親世代も，テレビ，ファミリーコンピュータな
どがある中で育った世代で，親自身のメディア漬
けや，子どものメディア接触状況やメディアの負
の影響に関心が低いことを実感した。祖父母の役
割も大きく，孫の子守りでビデオやゲーム機に長
時間接させることもあり，啓発が必要と考えてい
る。老人クラブの会でも説明し，「今日からは，
気をつけて孫に接していきたい」といった感想を
聞くことができた。
2008 年 7 月には，「子どもとメディア勉強会」
を立ち上げた。メンバーは，益田市内外の保育所
(園)，幼稚園，小・中学校，民生児童委員，教育
2017/11/23 13:49:24
 42 精神医学
委員会，市子育て支援課の各代表，養護教諭と広
がり，毎月 1 回開催し，情報・意見交換を行っ
ている(2016 年 9 月，第 99 回開催)。継続により，
効果的な啓発に繋がると考えている。多職種の顔
の見える繋がりは，子どもとメディア以外の問題
への対応にも，大きな力となると感じている。
2009 年，益田市教育委員会は，啓発のための
標語「決めませんかノーテレビデー」のポスター
を作成し，市内の各学校に配布し，取り組みが始
まった。
2012 年，益田市，津和野町，吉賀町の 3 市町
議会が定例会において，「アウトメディア」を進
めるとする宣言を共同決議した。3 市町は，毎週
水曜日と毎月第 3 日曜日を「アウトメディアチャ
レンジの日」とし，アウトメディアを呼び掛ける
横断幕を 3 市町の公共機関に設置し，啓発チラ
シを全世帯に配布した。
2013 年，島根県教育庁は，県内の小・中学校
などを対象〔2016 年度から，幼稚園，保育所(園)
も対象〕に「健康とメディア専門家派遣事業」を
開始した。
2014 年，益田市で，警察，教育委員会，PTA，
携帯電話販売事業者らによる「益田市情報リテラ
シー向上推進協議会」が設立され〔2015 年度から，
幼稚園，
保育所(園)も参加〕，多分野の連携により，
子どもとメディアの問題への対策・予防に繋がる
ことが期待される。
学校保健委員会では，子ども，保護者，地域の
大人，養護教諭らが参加して，メディアについて
の劇を子どもたちが演じ，クイズ形式で調べたこ
とを発表し，各学校で地域の特性を生かして工夫
した取り組みが行われている。
小中学校での講演後，子どもたちは，
「弟妹た
ちがゲーム漬けになっているので，すぐに教えた
い」など，子どもから家族への啓発も，期待でき
ると考えている。子どもたちの考える力の大きな
可能性を感じた。
思春期世代は，将来次世代を育てる立場から，
子どもとメディアについて真剣に考えていること
がアンケートなどで窺えた。今後，中・高生など
閲覧情報：鹿児島大学附属図書館　桜ヶ丘分館 10152
59 巻・1 号 2017 年 1 月
思春期世代への啓発も重要であると考えられる。
幼児期におけるメディア接触時間の制限が，学
童期以降の生活習慣，共感性などによい影響がみ
られ，メディア接触時間が短いほど，自己肯定感
が高く(NPO 法人子どもとメディア：2007 年度
事業報告書より引用)，ゲーム・ネット依存と，
就寝時間が遅いこと・他者の痛みへの共感性の低
下・自尊感情の低下などと相関する(NPO 法人子
どもとメディア：2008 年度事業報告書より引用)
ことが示されている。
できることから，少しずつ取り組みを始めるこ
とが大切で，子どもの表情，家族の会話など，何
かが変わることを啓発中で，多く実感した。
今後の課題と展望
講演会・研修会に参加しない(できない)保護者
に，いかに子どもとメディアについて伝えていく
かも，今後の課題である。地域ぐるみの取り組み
が効果的で，社会で考えていく必要があると考え
ている。
メディア長時間接触の背景にある，子どもや家
族の抱える困難さにも目を向ける必要があり，多
職種での対応が重要であると考えられる。
公民館，児童館，青年会議所など地域に根ざし
た活動を長年継続している組織と連携して，メ
ディアを離れた子どもたちが，安心して自然の中
や人の輪の中で遊び，体験を積む場作りが期待さ
れる。
おわりに
スマホ社会の中で，子どもとメディアとの関わ
りについて考える時に来ており，専門家には，メ
ディアの子どもの心身への影響について，説き明
かす役割を期待されていると感じた。
ネット依存の対応と予防の両面から，医療・教
育などの多分野で連携・継続して，取り組みを進
めていくことが重要と考えている。
急速に進化するメディア環境の中で，子育て・
子育ちに関して，変わるべき点と変えてはいけな
い点を見極めることが重要である。
2017/11/23 13:49:24
 精神医学 59 巻・1 号 2017 年 1 月 43

今後も，多くの人が，子どもとメディアについ のテレビ・ビデオの視聴と養育環境の関連．
て関心を持ち，啓発の輪が拡がっていくことを期 小児保健研究 68：549-558, 2009
10) 栗山健一：睡眠と学習機能．生体の科学 60：
待し，小児科医の立場から，発信と活動を連携し 303-309, 2009
て続けていきたいと考えている。 11) Kuse Y, Ogawa K, Tsuruma K, et al：Damage
本稿を終えるに当たり，アンケート調査・資料 of photoreceptor-derived cells in culture
induced by light emitting diode-derived blue
提供に御協力頂きました関係各位に深謝致しま light. Scientific Reports 4：5523.doi：10. 1038/
す。 srep05223, 2014
12) Landhuis CE, Poulton R, Welch D, et al：
文献 Childhood sleep time and long-term risk for
1) American Academy of Pediatrics：Commit- obesity：A 32-Year Prospective Birth Cohort
tee on Public Education. Media education. Study. Pediatrics 122：955-960, 2008
Pediatrics 104：341-343, 1999 13) 中島匡博：電子メディアの子どもの心身への
2) American Academy of Pediatrics, Council on 影響と関り方．小児心身症研究第 23 号 日本
Communications and Media：Policy State- 小児心身医学会中国四国地方会誌：6-11, 2016
ment-Media use by children younger than 2 14) 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会，
years. Pediatrics 128：1040-1045, 2011 谷 村 雅 子，高 橋 香 代，片 岡 直 樹，他：提 言
3) Deloache JS, Chiong C, Sherman K, et al：Do 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険で
babies learn from baby media? Psychol Sci す．日本小児科学会雑誌 108：709-712, 2004
21：1570-1574, 2010 15) 日本小児科学会学校保健・心の問題委員会，
4) Garrison MM, Liekweg K, Christakis DA： 田 澤 雄 作，渡 辺 久 子，橋 本 俊 顕，他：提 言：
Media use and child sleep：The impact of 21 世紀の問診票．日本小児科学会雑誌 112：
content, timing and environment. Pediatrics 1592-1593, 2008
128：29-35, 2011 16) 社団法人日本小児科医会「子どもとメディア」
5) Garrison MM, Christakis DA：The impact of 対策委員会：「子どもとメディア」の問題に対
healthy media use intervention on sleep in する提言．日本小児科医会会報 27：7-10, 2004
preschool children. Pediatrics 130：492-499, 17) Strasburger VC, Jordan AB, Donnerstein E：
2012 Health effects of media on children and
6) Hutton JS, Horowitz-Kraus T, Mendelsohn adolescents. Pediatrics 125：756-767, 2010
AL, et al：Home reading environment and 18) Sugimori H, Yoshida K, Izuno T, et al：
brain activation in preschool children listen- Analysis of factors that influence body mass
ing to stories. Pediatrics 136：466-478, 2015 index from ages 3 to 6 years：A study based
7) Hysing M, Pallesen S, Stormark KM, et al： on the Toyama cohort study. Pediatr Int 46：
Sleep and use of electronic devices in adoles- 302-310, 2004
cence：Results from a large population-based 19) Takeuchi H, Taki Y, Hashizume H, et al：The
study. BMJ Open 5：e006748.doi：10.1136/ impact of television viewing on brain struc-
bmjopen-2014-006748, 2015 tures：Cross-sectional and longitudinal anal-
8) 岩手県医師会 鈴木武敏：携帯端末で子供た yses. Cereb Cortex 25：1188-1197, 2015
ちの眼球に何が起きているのか．第 43 回全国 20) 立入克敏：2008 年度学校医講習会 整形外科
学校保健・学校医大会抄録集：20-22, 2012 の立場から─運動器機能不全の実態と予防．
9) 加納亜紀，高橋香代，片岡直樹，他：幼児期 日本医師会雑誌 138(4)別冊：52-56, 2009

閲 覧 情 報 ： 鹿 児 島 大 学 附 属 図 書 館 　 2 桜0 ヶ1 丘7 分
/ 1館