「混蟲標本」2018/318×410mm(F6)/木製パネルに綿布・アクリル絵の具

釜 匠 KAMA Takumi
1985 年 大阪府大阪市に生まれる 2007 年 京都精華大学 芸術学部 造形学科 洋画専攻 卒業
アクリル美術大賞展 2007 優秀賞 <兵庫県立 原田の森ギャラリー> 2010 年 第 8 回前田寛治大
賞展出品 2011 年「第 29 回 FUKUI サムホール美術展」大賞受賞 2017 年 ART TAIPEI 2017
2018 年 京都府新鋭選抜展 優秀賞
現在 京都精華大学マンガ学部アニメーション学科 非常勤講師

混蟲 -こんちゅう-

私は"それ"を街に解き放った。想定を遥かに超える適応能力だ。彼らは見事に擬態し人間の生活圏に混ざり込んだ。もはや生み
出した私にすら見付け出すのが困難な程に。私はそれを"混蟲-こんちゅう-"と呼ぶことにした。

私は幼少期から大の昆虫好きだった。特別"昆虫"というカテゴリーに拘っていたわけではないが、都市部に暮らしていた私にとっ
て身近に出会える生物となれば必然的に昆虫が多かった。近所の公園に行けばダンゴムシやセミを捕まえる事が出来たし、河川
敷に僅かに残る草原にはバッタやカマキリが生息し幼い私の心を踊らせた。

彼ら昆虫は自然環境に巧みに"擬態"していて一目では見付け辛い。木に留まるセミは木肌と似た色をし、葉っぱに留まるバッタ
も色・形ともにまるで葉っぱそのものだ。しかし、大人の目は誤魔化せても幼い私の目は誤魔化せなかった。私は河川敷に入り浸
り毎日沢山の昆虫を捕らえて観察した。

しかし、そんな日々はある日突然終わりを告げた。護岸工事と称してアスファルトが敷かれた河川敷では、それまで生息していた
昆虫達が一気に姿を消してしまった。子供だった私は、そんな事を平気で出来る大人達が恐ろしく、そして憎かった。

そして、その日から私はある研究に没頭するようになった。目的は適応能力の高い新しい昆虫を生み出すこと。
人の営みに翻弄されない。それどころか、逆に人類の進化を糧にして適応し自らも進化し続ける昆虫。人類の生活圏に巧みに溶
け込み擬態する昆虫。

私はついにその昆虫達を生み出す事に成功した。大層に生み出したと言ったが、私が行った事はたったひとつだけ。昆虫の"擬
態"するという能力のみを飛躍的に向上させたのだ。

私は彼らを街に解き放った。想定を遥かに超える適応能力だ。彼らは見事に擬態し人間の生活圏に混ざり込んだ。
もはや生み出した私にすら見付け出すのが困難な程に。

私はそれを"混蟲-こんちゅう-"と呼ぶことにした。
岡部 賢亮 OKABE Kensuke

1990年 大阪府生まれ
2015年 沖縄県立芸術大学大学院造形芸術研究科環境造
形専攻彫刻専修修了

2013 年 彫刻の五・七・五 HAIKU-Sculpture 2013-かたちで
詠む奥の細道 2013 年 崎山×関渡 台日彫刻交流展
2014 年 日タイアートスチューデント交流展 2015 年 十全
十日台彫塑家総展 2015 年 Gallery KINGYO Derby 展
2016 年 岡 部 賢 亮 ツ ク モ ガ ミ の た め の ギ ジ ン カ
( B A M I g a l l e r y / 京 都 ) 池袋アートギャザリング(東京芸
術劇場 5 階 ギャラリー1/東京) MONSTER Exhibition 2017
(渋谷ヒカリエ 8/ COURT/東京) 受賞歴 2014 年 国際
瀧冨士美術賞 受賞

グレた鉄腕 H17×W15×D10(cm) 桐塑、鹿角

グレた鉄腕

科学省長官の命により実行されたプロジェクト通称『TOBIO 計画』により制作された『ヒト型 AI(人口知能)搭載自立駆
動式少年アンドロイド T-01 型』は今となっては、その存在を知る研究員は少なくなってしまった。開発当時の噂によ
ると開発に着手する数年前に亡くなられた科学省長官のご子息をアンドロイド化させる計画とささやかれていたが真
意は不明である。

我々 AI(人工知能)開発局は『T-01 型』に搭載する人口知能の開発及び実装を行った。

長官からの要望により、人間の少年よりも少年らしく、なおかつ知能はスーパーコンピュータ並みの処理能力を有す
るという一見相容れない要素を組み込むことを目標とし、開発に着手した。情報処理に対しての効率を上げるためネ
ットに直接アクセスできる回路を脳内に組み込み、少年性を発芽させるために好奇心を優先させる回路も同時に組
み込んだ。そして製作されたプログラムが通称『SEISYUN』である。

思えばこのプログラムを組み込んだことが間違いだったのかもしれない。我々は重要な要素を見落としていたのであ
る。アンドロイドは年を取らないのだ。身体的な成長をすることがないのである。しかしながら、好奇心を優先させるプ
ログラムとスーパーコンピュータを搭載した脳は人工知能(この場合は心というべきか?)と少年の外見に埋めようの
ない溝を生み出してしまったのである。

やがて『T-01 型』は我々の思惑とは違い、「私は人間ではない」と言い放ち、非行に走るようになってしまった。

まあ無理もない、身体は少年のままであるのに知能はおぞましい成長を遂げているのだから。脳のスーパーコンピュ
ータが思考すればするほど人間からは遠く離れていくのだから。しかし私はこう思うのである。非行に走るということ
はなんとも人間の少年らしい行動ではないかと。

追記:科学省はプロジェクトの中止『T-01 型』の廃棄を決定したそうだが、その後については末端の研究員であった
私には知らされていない。
元科学省 AI(人工知能)開発局 研究員による手記より
松本央 MATSUMOTO Hisashi

1983 年京都生まれ 2009 年京都精華大学大学院
芸術研究課博士前期過程洋画専攻修了
2010 年 『無常の空間ー108 人の自画像』BAMI
gallery(京都)2011 年 京都二紀展 黒田賞 2014
年京都ニ紀展黒田賞受賞 第 61 回関西二紀
展 関西二紀賞 受賞 第 9 回大王大賞展 レディ
オキューブ賞受賞 第 68 回二紀展 奨励賞 受
賞 2018 年 京都府新鋭選抜展 2018(京都文化
博物館/京都) 現在・京都精華大学マンガ学部
アニメーション学科 非常勤講師
「ヤマトグソクナマズのいる水槽」318×410mm(F6) 油絵

外来魚絶滅計画「ヤマトグソクナマズのいる水槽 」

先日、日本のある高名な生物学者の博士が亡くなった。日本の淡水魚を主に専門としている研究者で、多くの日本の生物の生態
を解明し研究論文として発表するなど、数々の功績をあげたその業界での権威である。ここでは本人の名誉のために名前は伏
せさせていただく。 亡くなった後しばらくして本人家族や仲間たちが彼の遺品を整理していると、書斎の鍵のかかった引き出しか
らある書類と日記が発見された。その書類には「外来魚絶滅計画」と題し、日本の湖や河川に生息する日本の在来種を脅かすブ
ラックバスやブルーギルに代表される外来種を一匹残らず駆除するための具体的な方法と計画が記されていた。

数百ページはあろうかという書類には数々の方法を試した跡が見られた。河川や湖などの水中に網を仕掛け、在来種と外来種
を選別し外来種のみを駆除するもの、近年流行しているスポーツフィッシングの釣り人たちに協力させ外来種のリリースを禁じる
という、現在地方自治体が実際に取り組んでいるものから、池の水を全部抜くなどといった子供の考えそうなことまで網羅してあ
った。ここまでは博士にもこんな一面があったのかと微笑ましく故人を偲ぶことができたのだが、ある一束の書類を見つけて博士
の研究仲間の一人が血相を変えた。 その書類に書かれた計画の概要は、次のとおりである。様々な生物をかけ合わせ外来種
を捕食するほどの生物を人工的に作り出し、放流するというものであった。一体そんなことが本当に可能なのかという疑問や、仮
にできたとしてもこの生き物が生態系を壊すことになるだろうという思いをよそに、さらに読み進めると、どうやら博士は人知れず
研究室を確保し、様々な生物をかけ合わすことに成功、その生物を実際に飼育しているらしいことが判明した。また恐ろしいこと
にその生物は博士の死後も生き続けるように飼育環境が設定されているらしく、成魚として成長した段階で自動で放流される計
画だった。その書類の計画から察するにあと数日で放流される予定だというのだ。

一度放流されてしまえば回収するのは非常に難しい。その手前で処分すべきだとの結論が出たところで、一行は書類に記され
ている某巨大湖のほとりにある博士の秘密の研究室へと向かった。一見廃屋とも思える工場施設跡にはいくつもの水槽がならべ
てあり、様々な種類の魚が飼育されていた。奥へ進むと問題の生物の入った水槽が目に入った。そこにいたのは、甲冑を思わせ
る硬い鱗に身を包まれた一匹のナマズであった。90 ㎝の水槽に一匹しかいなかったが自動給餌器にて決まった時間に餌を与え
られ、全自動にて定期的に換水しているようで電源が切れない限りは生き続けるようなシステムが作り上げられていた。その水槽
面に付箋が張られそこには達筆な筆文字で「大和具足鯰」との表記がされていた。どうやら博士の作り上げたこの生き物の名前
らしい。博士無き今どのような方法を使ったのか不明だが甲冑魚と呼ばれる古代魚をベースに色々な種類のナマズをかけ合わ
せ、何物にも捕食されず、生態系の頂点となることを目指して作り上げられたものらしい。今はまだ 30cm ほどの大きさしかなかっ
たが、最大になると3mほどの大きさにもなると計画書には記されていた。

何故このような計画を実行したのか、その思いが日記にはつづられていた。開発などで環境が変わり、昔自分が遊んでいたこ
ろにいた魚たちが少なく見かけなくなっていること、子供達が遊んでいるのを見ても捕まえているのが外来種ばかりであることを
嘆いていた。外来種の多くは、人間の食用として輸入され放流されたものも多いが、その中の計画のひとつに若いころ自分も関
わっていて今は後悔していることなどが記されていた。どうやら自分の幼少の頃の自然環境を取り戻したいという強い思いと、自
らが行ったことに対する贖罪の思いも含まれているのかもしれない。

ただ、日記を読んで感じたことは、博士が誰よりも日本に生きている魚や昆虫などの生き物や自然環境を愛していたということだ。
それが故に今回のような凶行に走ったのかもしれない。このナマズは現在博士の仲間の一人が責任をもって飼育しており、外部
へ出ることはないだろう。人懐っこく餌をあげると寄ってくる。茶褐色の体に頭の丹頂を思わせる赤い模様が特徴的だ。仲間の人
曰く、博士はこの丹頂模様を出すのに異様なこだわりがあったらしく、この模様を出すのに2年近くかかったらしい。なぜ、そこにこ
だわったのか今は知る由もないが、博士のこだわりのおかげでこのおそろしい計画は未然に防ぐことができたのである。
太田 夏紀 Ota Natsuki

1993 年 大阪府出身 2016 年 京都精華大学 大学院芸術研究
科前期課程陶芸専攻 入学 2015 年 「京都同時代学生陶芸展」
(元・立誠小学校/京都) 「わん・碗・ONE 展」(京都陶磁器会館/
京都) 2016 年 「精華-ESSENCE 展」(BAMIgallery/京都) 太
田夏紀『息物』(BAMIgallery/京都) 2017 年 太田夏紀 陶展-種
の子-(京都陶磁器会館/京都) 太田夏紀 陶展「不思議 な
モドキ」(あべのハルカス近鉄本店/大阪) 「京都花鳥館賞 2017」
優秀賞(京都花鳥館/京都) 2018 年京都府新鋭選抜展 2018 (京
都文化博物館)

ゆめ坊や(蛙) 素材:陶土 サイズ:28×17×17cm

ある日、少年は言いました。

“僕、この頃、何もかも嫌なんだ。大きくなるにつれて、わがままは言えなくなるし、「子どものくせに」って馬鹿にされ
たと思ったら、「もう子どもじゃないんだから」とか呆れられるたりするんだよ。他のみんなも、僕みたいに悩んでいたり
するのかな。いっそのこと、他の何かになれば、楽になれたりするのかな。

もし、僕があの子みたいに素直だったら。もし、僕が鳥みたいに空を飛べたら。もし、僕が魚みたいに泳げたら。
どうせ、この考えも「そんな事考えたって無駄。」って言われるだろうな。

他に言われるとすれば、ないものねだり、とか、隣の芝は青く見えたり赤く見えたりするやつでしょう。もちろん、生き
るために不自由な事はないのだけれど、僕の言いたいことはそういう事じゃなくて…ああ。つまらない。いつも反論し
たい気持ちでいっぱいなのに、言い返したって聞いてくれないんだから、意味無いんだ。きっと、僕の周りにいる生き
物達なんか、そんな事考えたことないんだろうな。僕からすれば、彼らは好きな事して、自由に遊んでいるように見え
る。彼らは何も悩んではいない!・・・それは僕が勝手に思っているだけだけど。たぶん、きっと、そう思ってる。たぶ
ん。どうせ、今までも相手の想っている事なんかわかりっこ無かったし、同じでしょう。“

話を聞いているうちに少年は、不甲斐ない自分と彼らを重ねているように思えた。弱い立場の自分と、身近な生き物
の存在。少年は、変わらない現実と理想の間で葛藤していたのだ。いっその事、何物でもない、今の自分以外の存
在になりたいのだろう。まだ誰も知らない、未確認の生き物に。私はどうすれば少年の助けになれるのか考えた。
しかし、少年は生きている限り、これからどんどんわがままは言えなくなるし、もっと理不尽な事に悩まされ続けるだ
ろう。残念ながら、こればっかりは変えられない。ならば、ひっそりと誰にも邪魔させない、自分だけの世界を作り出
せばいいと私は考えた。目をつぶって、瞼の裏を見る。わがままの許されていた小さい頃は、世界の中心は自分だっ
たはず。その頃を思って、他の生き物の姿を纏い、好きな自分になればいい。なんだか難しいことはよくわからない
けれど、そうすれば少年の悩みも少しは和らげる事が出来ると思ったのだ。

――― あの日以来、私は少年と会ってはいない。

しかし、あの日から数日後、道端にポツリと立つ不思議な存在を見つけた。私はすぐにあの少年の事を思い出した。
そして、きっと少年から生まれたであろう、少年ではない少年の存在を「ゆめ坊や」と名付けて、私は見守る事にした。
見守っているうちに、ゆめ坊についてわかった事がいくつかある。例えば、過去に“もしも”を想った事のある人間なら
ば彼の姿を確認出来る事や、少年とは別の場所で生まれる事、また、おそらく少年が別の思考になると、少年の意
思とは別に、その意識を引き継いだままの新しい生き物として存在し続ける事もわかった。

今も突然、ゆめ坊やと出会う事がある。
まだ、わからない事もたくさんあるが、あの「ある日」から少年のゆめ坊やは少しずつ増え続けているのだろう。
宮本大地 MIYAMOTO Daichi

1991 年 大阪府・河内松原 出身 2013 年 2013 年 京都精華大学卒業
2015 年 宮 本 大 地 ヒ ミ ツ 基 地 ノ ヒ ミ ツ ( BAMI gallery / 京 都 )
新進芸術家育成交流作品展 FINE ART/UNIVERSITY SELECTION
2015-2016(茨城県つくば美術館) 2016 年 琳派 400 年記念 京都府
美術工芸新鋭展(京都文化博物館) 宮本大地 ヒミツ基地探サク中
(福屋八丁堀本店/広島) 宮本大地 ヒミツ基地ナ時間(あべのハル
カス近鉄本店/大阪) 2017 年宮本大地「小さな大海」(福屋八丁堀本
店/広島) 宮本大地 洋画展 「隠レ家」 (京阪百貨店・守口/大阪)
2018 年 京都府新鋭選抜展(京都文化博物館) 宮本大地 洋画展 「隠
レ家」 (松坂屋名古屋展/愛知) 宮本大地 洋画展 「あふれた世界」
(天満屋福山店/広島)

「試作型全自動生活機」P50(1167×803cm) アクリル

開発者の手記の 1 文①

世の中が便利になりすぎている。技術は日々進歩し、情報が溢れている。道行く人々なスマートフォンを片手に常に
世界中と繋がっている。ネットの普及に AI、VR の進化。直接顔を合わせる事よりもネットを通じてのやり取りが増え
つつある。身近な生活を見てみる。全自動洗濯機や全自動食洗機に全自動掃除ロボット、馴染みの深くなってきたも
のからさらに車の自動運転の普及や声だけで動く家電。今後様々なものの自動化が進んでいくだろう。デジタル化、
自動化が進んだ先には何があるのだろう。ボタン一つで物事が進む。何をしなくても全てが完結する。現実ではなく
ネットの世界に居場所を求める。

世の中が便利になっていくことは素晴らしいのかもしれない。だが技術の進歩の産物を与えられた人間に成長はあ
るのか。その先には人と人との繋がりが薄くなる世の中があるのではないか。しかし私が何を思おうとこのまま世の
中は進んでいくだろう。それならばいっそ自らの手で完結させようと思う。

開発者の手記の 1 文②

時間がかかったが、ようやく形になってきた。「全自動生活機」これが現在計画を進めている機体の名称だ。その他
情報も記しておこう。 全高(mm)/3200 全長(mm)/2550 幅(mm) /1000 重量(㎏) /331※基本装備時

上部と下部の機構の組み合わせにより様々なことの自動化を可能とさせる。この機体の目的は全ての事をこの座席
の上で完結させること。基本スペックは上部機構に無段階調節が可能な座席にモニターを装備機体の下部にはサス
ペンション付きの脚部機構を装着させる。装備の拡張性を高め、上部機構は・フラットシート型・カプセル型・ベット型・
ボックス型への換装下部機構は・ホイール型・据え置き型・四足型への換装を可能にする。今後、外部アタッチメント
ととして・VR ヘッドモニター・キーボード・サブアーム・太陽光パネル・簡易キッチン・小型冷蔵庫その他様々な拡張装
備の開発を進める。まだまだ細部の構造を詰める必要アリ。

開発者の手記の 1 文③

現時点での計画案を友人の M 氏に話し、私の考える機体デザインを元にコンセプトアートの制作を依頼した。有り合
わせの素材による試作型のため、不格好だがなかなかいい出来ではないだろうか。デザインのシェイプは今後の課
題としよう。この機体が完成すれば、人は自ら動くことをやめる。全てを機械に委ねてしまう。便利さの先で人は人ら
しさを捨てるだろう。
遠藤良太郎 ENDO Ryotaro

1987 年 新潟県燕市に生まれる 2015 年 京都精華大
学 大学院芸術研究科芸術専攻修了 2015 年 卵の惑
星 忘 れ ら れ た 宇 宙 地 図 / BAMI gallery / 京 都
遠藤 良 太郎 連鎖 す る形 態/ BAMI gallery / 京都
2016 年 遠藤良太郎 奇天烈都市の暮ら し/ BAMI
gallery / 京都 遠藤良太郎 やきもの展 象徴する形態
/あべのハルカス近鉄本店/大阪 2017 年 遠藤良太
郎 「世界がちょっと変わるとき」/ BAMI gallery / 京都
2018 年 遠藤良太郎 やきもの展 幸せなら手をたたこ
う 福屋八丁堀本店 /広島

虚:箱男 22×8×8cm 石塑粘土

虚:箱男

昭和五十七年。箱男は全国各地に出没し始めた。箱男とは、箱を頭から腰の辺りまで、すっぽりとかぶった状態の
人間の総称である。

A 曰く、「箱を作るだけなら、わけはない。所要時間にして、せいぜい一時間足らずのものだろう。だが、そいつをかぶ
って箱男になるには、かなりの勇気がいる。とにかく、このなんでもないただの紙箱に、誰かがもぐって街に出たとた
ん、箱でも人間でもない、化物に変ってしまうのだ。」

現代。

箱男は淘汰されることなく、独自の進化を遂げていった。またその数も、増加の一途をたどっているようだ。

箱男の肝となる箱は、初めはダンボール箱を用いていたものが主流だったが、いつしか材質及び文様は多種多様を
極めていった。遂には原因は不明だが、すっぽりとかぶっていただけだったはずの箱と、生身の身体は一体化した
模様。それによって、内部の構造は、箱男以外には窺い知ることができないものになっていた。

そこにいるのにいないような、現実と非現実の狭間にいるような、虚ろな存在としての進化を遂げた新生物。何が原
因で発生したか、また何を思い、どこへ向かっているのか。謎が深まるばかりの箱男について分かっていること、そ
れは、人間としての存在証明を放棄し、どこにも帰属することのない存在。箱でも人間でもない、化物である、という
こと。

それが、我々人間の見解である。

箱男は今日も街を歩いている。
平和な京都市内で事件は起こった。

2018 年某日、下京区にある BAMIgallery のポストに突如何の前触れも無く,差出人不明の楽曲が録音されたカセット
テープと一通の歌詞カードが投函されていたという。カセットテープは見る限り、随分と使い古された年季の入った物
のようであり、楽曲の音声はかなり擦り切れていたようである。ギャラリーオーナーである上山氏は「うちは音楽事務
所とちゃうんですけどねえ・・」と戸惑いを隠せない。音声は記者の個人的感想になるが、半ば狂気に満ちており、お
よそ常人の制作したものとは思えなかったそうである。

以下が弊誌に公開された歌詞カードである。

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つるりんこのうた

作詞:さのあきら 作曲:さのあきら
歌:さのあきら with 漆黒ロマンチカ

蛇口をひねれば すぐ其処に
黒か白かと 聞かれれば
それは真っ黒 くろくろよ!!
京都人並み ダークネス!!
WOW WOW WOW
つるりん つるりん つるりん つるりんこ
それゆけ つるりんこ

扉を開ければ すぐ此処に
黒か白かと 聞かれれば
それは漆黒 くろくろよ!!
社会の摂理 ダークネス!!
WOW WOW WOW
つるりん つるりん つるりん つるりんこ つるりんこ 15×12×12 ㎝ 乾漆、螺鈿、卵殻
それゆけ つるりんこ
佐野 曉 SANO Akira
拳をあげれば すぐ其処に
黒か白かと 聞かれれば 1981 年 生 ま れ 滋 賀 県 出 身 2014 年 「 “ Dialogue with
それは大黒 くろくろよ!! Materials”: Contemporary Fine Japanese Arts and Crafts」
(Ahmed Adnan SaygunSanatMerkezi イズミル トルコ)
宇宙の真理 ダークネス!!
「美の予感 2014 ーMetamorphoseー」(高島屋各店巡回
WOW WOW WOW 京都、大阪、名古屋、新宿、日本橋) 2015 年
つるりん つるりん つるりん つるりんこ 「PowanPowan 公庄直樹佐野曉二人展」(福山天満屋 広
それゆけ つるりんこ 島) 「PowanPowan 公庄直樹佐野曉二人展」(岡山天満屋
岡山) 2016 年 「京都府新鋭選抜展 琳派 FOREVER」
(京都文化博物館 京都) 「一点展」 (SHISEIDO THE
WOW WOW WOW GINZA 東京) 「URUPIKA ウルピカ 佐野曉うるし展」(あ
それゆけ つるりんこ べのハルカス近鉄本店 大阪) 2017 年 「スイゾク 佐野
曉 漆展」 (BAMIgalley 京都) 「Hard
Bodies:Contemporary Japanese LacquerSculpture」(ミネ
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アポリス美術館アメリカ) 「彫刻の水族館」(日本橋三越
東京) 「発見?京都!未確認生物 UMA 展」(BAMIgalley
繰り返されるつるりんことは一体何なのか? 京都) 「あにまルック 太田夏紀 公庄直樹 佐野曉 三人
そして、京都中を恐怖に陥れる謎の楽曲テープの制作者と思われる、 展」(福屋八丁堀店 広島) 2018 年 「京都府新鋭選抜展
2018」(京都文化博物館 京都) 「PowanPowan 公庄直樹
常軌を逸したさのあきら with 漆黒ロマンチカとは一体何者なのか?
佐野曉二人展」(岡山天満屋 岡山)

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<次回特集>初夏のモテコーデ!最高の男ウケ 25 選☆

週刊チュンチュン編集部