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赤尾晃一

プレゼンテーション課題
「2015年までの日本のインターネット(または電
子メディア)利用において,“最も重要な出来事(事
件)”と考えた事象を取り上げ,①過去の同種の事
象と比べて何が異なっていたのか,②現在にどん
な影響を及ぼしているのかという2点に留意し,
その重要さについてプレゼンせよ」
様式■最大10分間のプレゼン用PowerPointファ
イル(添付ファイルにも学籍番号・氏名を明記)
締切■2018年7月9日(月)23:59:59
送信先■report@aka.oops.jp。ファイルサイズが大きい
人(200MB超)は受け渡し法を教員に相談すること
あやしくて危ないインターネット
Warez(mp3),Proxy,掲示板荒らしが日本
の“厨房:中坊”たちの“三種の神器”と
されていた
Proxy(串を指す)は掲示板荒らしの前提と
して用いる中継サーバ。不特定多数が利
用しうる公開プロキシを通して掲示板に
書き込んだ場合,実際に書き込みを行っ
たコンピュータのIPアドレスは隠蔽され

場の目的にあわないメッセージの送出
個人サイトや他の電子掲示板のURLを晒し,
攻撃や破壊活動を行う「晒し」
意味不明な文字列や意味のない文章の
連続投稿。
「くぁwせdrftgyふじこlp」はイ
ンターネットスラングとして扱われる
自作自演,なりすまし,粘着行為
荒らしプログラムを使用した長時間に
及ぶ迷惑投稿
荒らしは他人の反応を楽しみにしてい
るもの,逆恨みによるもの,特定の団
体・対象への信仰心または嫌悪などが
ほとんどのため,相手にするとかえっ
て喜ぶか逆上して,余計にエスカレー
トする。そのため,全く相手にせず,
ひたすら無視するのが最善
目に余る場合は,荒らしからの投稿を
遮断するよう,関係各所に依頼する
(soft)waresが語源(ウェアーズ)。日本
では“割れ(ず)”と呼び慣わされた。
配布されるファイル自体のこともWarez
と呼んだりする
アプリケーションソフトに限らず,映
画,テレビ番組,ゲームソフト,音楽
など著作物全般を不正に配布・利用す
る行為を指す
シェアウェアなどのソフトウェアのプ
ロテクトを外す解析行為
無料で使える有効期限,さまざまな機
能制限がかけられているが,代金を支
払ってシリアルナンバーを入力すると
その制限が取り払われる
Krackは該当箇所を無断で書き換えるこ
とで,制限をなくしてしまう行為
またはキージェネとしてパッチファイ
ルが配布され,ソフトの仕組みを知ら
なくてもダブルクリックで解除できる
不正入手したシリアルナンバー(隠語で
「尻」)をまとめた「シリアル集」も
ネットで公開されていたりした(可能な
限り“無料”でPCを使い続けたいとい
うユーザーたちの悪足掻き?)
1985年ごろ,米国のネットでソフトの
著作権侵害をする人々は「pirates(海
賊)」と呼ばれ,ファイルボード・アッ
プローダー(掲示板)などを利用して
Warezは広まった。
そのうち,“表”では一見普通のBBSを
開局しつつ,裏ボードでWarezのやりと
りを行うようになった。裏ボードへの
アクセス方法はメールやチャットで広
まった。トレーダーと呼ばれる,フ
ロッピーにコピーしてWarezを販売する
人も現れた(日本でも秋葉原などに露天
商などが出現した)
「ひどい機能制限が多すぎる。試用し
て本当に使いたければ金は払う」
「Warezで広まることで,ソフトが有名
になるのだから,持ちつ持たれつでは
ないか」
陰でコソコソとやらずに挑戦的な態度
で臨む限り,説得力は乏しい。毎年い
くつかの企業は,不正コピーソフト使
用で摘発を受けるが,Warezは不変
日本ではソフトウェアのレンタル業が
存在した(83年から事業開始のソフマッ
プがそう)。カセットのダブルデッキさ
えあれば,テープをコピーできた
フロッピーでも83年に「BabyMaker」
「COPYBOY」などコピーツールが登場し

86年施行。ソフトのレンタルが禁止さ
れる
その後は,擬似レンタルの中古PCソフ
ト業(発売後数日以内なら,売値の5~9
割の価格で買い戻してくれる=差額が
“利用料”)が興隆した。とりわけゲー
ムソフト。90年代前半がピーク
PCソフトは使用権許諾なので,ユーザ
に所有権が移転しない
コンピュータソフトウェア著作権協会
1985年に前身の団体*が設立
「違法中古ゲームソフト撲滅キャン
ペーン」を1998年に開始。2002年,最
高裁判所判決で中古ゲームソフト売買
は著作権法に違反しないことが確定し
た(消尽する頒布権概念)

*ソフトウェア法的保護監視機構
ゲームデータの吸い出し機(コピーツー
ル)
85年にファミコン用コピーツール
「ファミリーライター」(メイト通商)
が発売開始
匿名FTPサーバーでスタート(Squat,空
家に勝手に住みつく占拠行為)
89年「Archie」,94年「FTP Search」
など検索エンジンも立ち上げ
リンク集・掲示板サイトで所在情報を
交換し合う
ダイアルアップユーザは接続するたび
にIPアドレスが変わるので,サーバを
立ち上げても一定時間しかアクセスで
きない。その短期間だけFTPサーバを立
ち上げてWarezを配布するDUIP(DialUp
IPアドレス)行為がWarez初期の特徴
無料で大容量のWebスペースがレンタル
できるようになると,WarezはFTPから
Webに進化した。交換から配布への進化
である(free Warez)。掲示板などの
トップページには「落としたら何か書
いてね」と書かれていることが多かっ
たが,書く人はほとんどいなかった。
圧縮はWinRARによるRAR(高圧縮率かつ
指定サイズで分割可)が一般的に
96年,Free Crackers Japoniqua(FCJ)
と名乗るクラック・チームが,主要ソ
フトの構造を解析して,掲示板(要パス
ワード)で公開しはじめ,97年11月には
ファンサイトであるFCJFCも結成された
クラックパッチ当てプログラム「Fire-
Flower」を開発して,38種のシェア
ウェアを解析した
97年2月に発足。オンラインソフトの健
全な発展を目指すシェアウェア作者の
団体。Warezとは敵対関係にある。発足
のきっかけは,作家が関わっていた
メーリングリストに,違法なシリアル
ナンバーを大量に投稿する初心者ユー
ザがいたこと
97年からWarezの亜種として,
音楽ファイルのダウンロードが一般的に。
ネットワーク音楽著作権連絡協議会
(JASRACとは別組織)も8月に発足
CDをリッピング←MP3エンコーダでJ-
POPなどをファイル化→Webにアップ
ロード→リンク集に登録→ダウンロー
ド→(mp3プレーヤーで再
生)という流れ
98年夏頃,JASRACが本格的に「掃討作
戦」に着手。「国内」プロバイダに置
かれた拡張子「.mp3」のファイルは(た
とえ自作曲でも)問答無用で削除要請さ
れていく取締が始まり,MP3サイトは
次々と消滅していった
パソコン上で別のハー
ドを擬似的に再現するアプリケーション。
Virtual PCやfMSXなどが有名
ゲーム機のエミュレータがWarezの対象
に。パソファミ(シェアウェア)など。
エミュレータに問題はないが,そのア
プリ上で動作する各種のROMイメージが
必要不可欠になる(ファミコンソフトは
1249種ある)
97年後半以降に,多くの「ROMサイト」
が生まれた。98年6月開始の「ファミコ
ン決死隊」が有名。「ゲームは広く共
有すべき」公共財という観点から,141
種と大量のROMイメージを無償(無条件)
で供給し続けた
2000年7月に,長野県警が関係者4名を
著作権法違反で逮捕している。エミュ
レータサイトも一斉に自主規制に
巨大匿名掲示板
96年8月21日にWWW上に登場
管理人:しば氏による掲示板の総称
NIFTY-Serveのホームパーティ(数人単
位の,私信扱いで検問できない会員制
会議室←97年11月に廃止)の一つ,「あ
やしいワールド」(95年11月)が原点
97年5月に起きた神戸市児童連続殺傷事
件の容疑者が6/28に逮捕。まだ未成年
だったことから,少年法の規定で推知
禁止報道になった。さまざまな掲示板
で真贋が定かでない少年A情報が流れて
いて,6月29日に「あやしいわーるど
2000」にもA君の実名らし
き情報が転載されてきた
少年法第61条は「少年又は少年のとき
に犯した罪により公訴を提起されたも
のについては,氏名,年齢,職業,住
居,容ぼう等によって,本人であるこ
とを推知できるような記事又は写真を
掲載してはならない」と規定している
「このホームページでは,少年が逮捕
された28日夜から書き込みが急増。少
年についても『こりゃ死刑だね。実名
も報道すべし!!』との書き込みに答え
る形で29日午前10時25分ごろ,少年の
実名を名乗って犯行声明文が掲載され
た。その後,読み方の説明を求める書
き込みを受けて,名前の読みが平仮名
で掲載された」(97年6月30日配信)
ここまで丁寧に示唆してくれる記事は
ないので,多くの人が一斉に「あやし
いわーるど」のログを漁り,そのまま
の書き込みを見つけて実名を確認でき

その後,7/2発売の雑誌「FOCUS」が実
名と写真を掲載したため,入手できた
人が写真をアップロードするなど,ア
ングラ界は“祭”状態を呈した
雑誌「FOCUS」(新潮社)
が顔写真と実名を掲載し
たが,大半の大手
業者は販売を自粛
決定し,実売は10
%にみたなかった
双方向性
即時性
一対多のコミュニケーション
同時多数アクセス(マス媒体性)
並列性(どのような情報も等価に扱われる)
情報発受信に際しての技術的障壁が低い
情報発受信に際して個人の立場を隠すこと
ができる(匿名性)
98年9月3日
8月に“困った人たち”による掲示板荒
らしが猖獗を極めたこと
管理人が商業誌に書いたコラムで,名
誉毀損で訴える動きがあったこと,な
どが理由と推測される
以降,メイソ,本店,Remix,Ⅱ,クリ
スマス島,みらい,暫定など「あやし
いわーるど」フォロワーが続く
97年8月5日開始(管理人:あめぞう氏)
副題:「インターネットの情報は,つま
らないと言う人への無言の抗議」
もともとは「掲示板リンク集」。あめ
ぞう独自のチャット,掲示板(掲示板
ニュース速報)
最盛期は98年後半~99年5月頃
スレッドフロー型+題名リストスクリプ

企業の裏事情や差別問題などを扱う掲
示板
99年6月19日に突如消滅した
「こんな感じで閉鎖するHPが増えるん
だったら,インターネットの先も暗い
です」とあめぞう氏は説明した
京都市バス運転士の勤務問題と同和問
題を関連付けたスレッドに圧力がか
かったことが原因と言われた
暴力団の資金源に関するスレッドでは,
あめぞう氏の本名など個人情報をちら
つかせて脅迫する書き込みなどもあり,
“あめぞうウイルス問題”(ブラウザ・
クラッシャー)も手伝い,あめぞう氏は
一時失踪してしまう。巨大掲示板サイ
トを個人で運用することの限界が露呈
した
99年5月30日にひろゆき氏が作った個人
サイト。「あめぞうさんに無断であめ
ぞう掲示板っぽいものをつくりました。
事後承諾ですみません」「あめぞうの
補完です」「あめぞ
う2chなんです」
2ちゃんねるは開設すぐに「東芝クレー
マー事件」に遭遇した。
2ちゃんねるがあめぞう掲示板と根本的
に違ったのは,安定したサーバ環境。
00年5月に「BIG-Server」との契約に結
びつき,来訪者と板の数は幾何級数的
に増えていった
西鉄高速バスジャック事件(牛刀で死者
1名・負傷2名)の犯人が,2ちゃんねる
の常連で,「佐賀県佐賀市17歳…。」
のスレッドを立て「ヒヒヒヒヒ」と書
き込み。事実上の“犯行予告文”だと
して話題になった
01年3月21日,日本生命が2ちゃんねる
に対し,スレッドの削除を求めた仮処
分を申請。職場内の愛人スキャンダル
8月28日付の決定は,日本生命の主張を
ほぼ受け入れ,すべての書き込みにつ
いて削除することを命じた
ただし,2ちゃんねるを敵に回した企業
は陰に陽に長期にわたって“攻撃”を
受け続けることが明らかになった
サーバ転送量が膨大になり,サーバが
次々と停止し,板が閉鎖された
掲示板のスクリプト改造などで転送量
を大幅に抑えたというストーリー
ただその後は,「サーバ代を稼ぐた
め」との名目で2ちゃんねるは事業化に
舵を切ったのである
01年10月5日に公開
西和彦氏とあめぞう氏の組合せ
「人にやさしい掲示板」
「良い投稿をした人にはお金が入る仕
組みを」などと喧伝したものの,サー
バが古色蒼然で,2ちゃんねるへの敵意
に溢れていることに辟易とした人が多
かった
02年6月2日,「ニュース速報+」板に
「【商標】「ギコ猫」はタカラの猫
【申請中】」というスレッドが立ち,
「ネット上で生まれたアスキーアー
ト・キャラクターは誰のものか」と瞬
く間に批判が沸き起こった。翌3日にタ
カラが「軽率だった」と申請を取り下
げた
98年末頃に「あやしいわーるど」に投稿
された「ギコニャーニャー」がルーツで,
99年後半に2ちゃんねるに移って「ギコ
ハニャーン」と鳴くようになった。「モ
ナー猫」も他の掲示板からの転載が定説
このため,作者不詳の集団創作物として
管理するのが妥当と考えられた

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