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第55回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 2018/06/29 総合診療専門医 リハビリ認定医

特別企画（教育講演）
若手医師にきいてもらいたい、患者アプローチとリハビリテーションのハナシ

リハ医に必要な総合診療的知識
～ICFの生活機能“以外”を深掘りする方法～

勤医協札幌病院 副院⾧
内科・総合診療科 科⾧

佐藤 健太
dr.kenta.sato@gmail.com
総合内科専門医、家庭医療専門医、リハビリ認定医、産業医
北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター（GPMEC）

リハビリが得意 ＋総合診療

心身機能
健康状態
身体構造
活動
健康 生
活 心身機能 活動 参加
個人因子 機 身体構造
環境因子 能
人生・価値観
背 ＋総合診療 ＋総合診療
家族・社会 景
総合診療が得意 因
環境因子 個人因子
子

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ヤマモト ゴンベエさん
健康状態
北海道夕張町の元炭鉱夫
じん肺・振動病
生
活 心身機能 活動 参加
喧嘩っ早い頑固爺と、支える妻。 機 身体構造
能
ラクナ梗塞
背
軽い右上下肢麻痺（＋）
景 環境因子 個人因子
嚥下・高次脳機能障害（ー） 因
しかし、食べず、リハせず、寝てばかり… 子

健康状態とは 健康状態の把握とは
生活機能障害を起こしうる健康上の問題
要するに
ICIDHでは疾患（病気や怪我など）
ICFでは、疾患以外（妊娠・高齢・ストレス状態など）も
既往歴・生活歴聴取なのか?

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総合診療ツール① ストレスマウンテン

ライフイベント
人生の、生活上の出来事全般
進学、就職、結婚、育児など

健康状態に大きな影響を与える!

ホームズの
生活変化ストレス尺度
ヤマモト ゴンベエさん
１年間のイベントを
合計する 大きな病気、家の改築、親友の死.etc
合計すると160点のライフストレス!
１５０点
５０％が心身症に
もともとストレスが重なり、
３００点 脆弱化していた状態だった
８０％が心筋梗塞や
うつ病に

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総合診療ツール②
首尾一貫感覚 Sense of coherence SOCを構成する3要素
ストレス下でも健康に過ごせる特性 把握可能感 わかる
SOCが高いとリハ予後関連指標もよい
・術後疼痛・抑うつ低下
・リハ遵守率向上
処理可能感 できる
リハをすると、SOCが高まる
・週３回有酸素＋レジスタンスでSOC向上 有意味感 やりがい

総合診療ツール③
ヤマモト ゴンベエさん 患者中心の医療の方法
PCCM:Patient centered clinical method

分からない…医師説明が難解
疾病診断に必要な情報聴取に加え
その人にとっての
できない …努力しても完全に戻らないことは理解
病いの体験や健康感も探る

やりがいなし…リハの意義がわからない 費用と時間を増やさず
患者アドヒアランスや
アウトカムを改善する

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Disease（疾病）を探る質問
現病歴、既往歴、生活歴、etc…
ヤマモト ゴンベエさん
Illness（病い）を探る質問
感情 不安、心配事など Disease ラクナ梗塞
解釈 心当たり、原因
影響
期待
障害で困っていること
診療への要望
Illness 昔やんちゃした報いだな
もう夕張には戻れない、覚悟はした
Health（健康感）を探る質問
意味 あなたにとっての健康とは? Health 好き勝手、自由に生きてきた
目標 健康に関しての希望や目標、 自分のケツを拭えなくなったら
健康づくりについての考え 生き恥さらさず死ぬべし

ヤマモトさんの 健康
北海道夕張町の元炭鉱夫は
好き勝手生きてきた
年とともに健康・仕事・親友を失い
徐々に打たれ弱ってきたところだった
報いのようなタイミングで動けなくなった
生き恥を晒すくらいなら
残りの人生は無駄だと考えていた。。。

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環境因子とは
健康状態
生活機能に影響を与える外的な要因
生 人的環境 →介護者・家族や友達、世間の人の目
活 心身機能 活動 参加 物的環境 →建物の設備、交通機関のバリアフリー状況
機 身体構造
能 制度的環境→医療や保健などのサービス

背
景 個人因子
因 環境因子
子

環境因子の評価とは 家庭医療学の三本柱

要するに、 地域志向のプライマリケア
地域
家族介護力評価と家屋訪問なのか?
家庭 家族志向のプライマリケア

個人 患者中心の医療の方法
臓器

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総合診療ツール④ レベル１ 患者中心の情報収集

家族志向のプライマリケア 疾患診断のための病歴聴取と、治療指示・指導
FOPC:Family oriented primary care
レベル２ 双方向の情報交換
解釈モデルや家族関係の把握、質問にも答える
患者は、家族などの人間関係から
多彩な影響を受け、固有の言動を取る。 レベル３ 感情面のケア
患者と家族の感情を引き出し、共感的に対応

レベル４ 家族カウンセリング
健康に関わる心理社会的問題への対応
家族内パターンを変化させたり、活用する

障害児の母が孤立し、時間外頻回受診する背景
ヤマモト ゴンベエさん
家族図
①機能的家族図
・年齢・疾患
亭主関白で、命令以外の頼り方知らず
・人間関係 息子夫婦は、癇癪持ちの親父と疎遠がちだった。
・非同居家族
炭鉱夫たちは、血縁を超えて地域内のつながりが強い。
②家族関係を推測

③感情面や家族ケア 家族面接
の作戦を立てる 妻は、「夫に頼りきりだったから、一人では生きていけない
という不安が強い。夫が施設に入ったら終わりだ」
本人も、「自分はいいが、こいつ（妻）より先には死ねない」
という発言が出てきた。

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総合診療ツール⑤
地域志向のプライマリケアCOPC: 地域 by goo辞書

Community oriented primary care

患者・家族や医療機関を取り巻く
Region
物理的・地理的な区切り（川向う地域）
「地域」を分析する方法論

地域の制度・文化・風習が
Community
患者に与える影響を読み解いたり 文化的・歴史的遺産を共有する生活共同体、
患者ケアに有用な地域資源の発見につながる 一つの場所に住み、
共通の意識に支えられた 人々

ヤマモト ゴンベエさん ヤマモトさんの 環境

家族を顧みず、仕事仲間とともに
Community in 夕張 歯を食いしばって生きてきた。
一蓮托生だった炭鉱仲間は順番に死に
生きてる奴らも夕張を出た
仕事を失い、仲間も徐々にいなくなり、
「次は自分だ」という覚悟と、
Community in 札幌
慣れ親しんだ家や風景はない
「妻は心配。でもそんなこと言えない」
夕張から出てきた高齢者が集まる地域はある という思いがあった。

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個人因子とは
健康状態
生活機能に影響を与えるその人固有の特徴
生 特性 → 年齢・性別、民族・宗教
活 心身機能 活動 参加 価値観→ 人生体験・健康感・死生観
機 身体構造 生き様 → ライフスタイル・社会的状況
能
背
景
因
環境因子 個人因子
子

総合診療ツール⑥
個人因子の評価とは
ライフサイクル
エリクソンの心理社会的発達課題
要するに、
患者の価値観を聞いて尊重することか？ 各世代に特有の課題・特性を
理解するために有用

世代が変わったのに、
新たな世代に適応しないまま
だと、いろいろこじれる

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老年的超越Gerotranscendence ヤマモトさんの 個人
「輝かしき炭鉱時代」への憧憬
様々な喪失を甘受し、
今を幸せに思えるようになること
↓ライフレビュー
炭鉱時代も大変だった
喧嘩や麻雀で絆を深めたことを思い出した。
ライフレビュー
過去を振り返る「人生聴取」で
麻雀を通して、新たな環境にも適応できる自信
老年的超越が促される
高齢者におけるライフレビューと心理社会的発達の関連 五ノ井仁美 うまく行かなくても、また衝突しながらやって
奄美大島における老年的超越形成に関する検討 富澤公子
いけばなるようになるさと思えるように

喪失続きで弱っても ヤマモトさんのその後
炭鉱魂は消えない男
毎日長時間座って巧緻動作訓練
こども食堂で将棋・囲碁の講師
生
活 座位保持 鮮やかな デイ麻雀
機 巧緻動作 盲牌 の王座 元炭鉱夫・漁師やアルコール・覚醒剤依存症
能
前科持ちも多い下宿へ退院。妻と同室。
背 デイサービスでの麻雀を楽しみに、
景 家族よりも
因 喧嘩と麻雀 HOTぶら下げながら足繁く通う毎日に。
炭鉱仲間
子

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リハビリも総合診療も得意 Wiliam Oslar

心身機能
身体構造
活動

健康
個人因子 人生・価値観
重要なのは、
環境因子 家族・社会
どのような病を患者が持っているかではなく
どのような患者が病んでいるかである

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