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アクティベート ・ リーフ No.

591

人生 の 苦 味と甘 味 困難が大きいほど、それを克服し
た時の栄光も大きくなる。腕のい
い舵手は、嵐や暴風雨を乗り越え
著者不詳 て名声を得る。
― エピクテトス(55 頃 -135頃 )

タフな時期はいつまでも続かない
 泡立て器の音がしたのでキッチ しかったので、あの苦いチョコレー が、タフな人はいつまでも続く。
ンへ行くと、母がケーキを作って トや酸っぱいミルク、重曹などの ― ロバート・シュラー(1926-2015)
いた。母のチョコレートケーキは ことはすっかり忘れ、もう一切れ
絶品だ。いったい何を入れている 食べたいと言ったほどだ。 人は好んで自分の問題を数える
のか知りたくなり、そこでしばら  人生は、甘味ばかりでできてい が、喜びを数えることはしない。
く眺めていた。製菓用のチョコレー るのではない。苦い経験もたくさ もし、すべきように喜びを数える
トがあるのは、言うまでもない。 んあって、多くの場合、そこから なら、その一つ一つに十分な幸福
テーブルに落ちている小さなかけら いいものが生まれるなんて信じる が添えられていることが分かるだ
をつまんで口に入れたら、なんと、 ことができない。起こることすべ ろうに。
その苦いこと。他の材料にも目を てが、それ自体いいものと言うわ ― フョードル・ドストエフスキー
やった。カップいっぱいのサワー けでないのは確かだ。しかし、神 (1821-1881)
ミルク(乳酸発酵させたか酢を入 の言葉には、「神を愛し神のご計
れたミルク)がある。うぇー、まさ 画のうちを歩んでいる人のために 人の真価とは、快適で好都合な状
かそんなものをケーキに入れたり は、その身に起こることはすべて、 況ではなく、困難と論争のさなか
しないだろうと思ったが、母はそ 神が益としてくださる」と約束さ にあって示す態度にあらわれる。
うした。おまけに、腹痛を起こし れているのだ。1
― マーティン・ルーサー・キング・
た時に飲まされた、あのまずい重 ジュニア(1929-1968)
曹まで。そんなものばかりを使っ
て、いったいどんなケーキができ  1. ローマ 8:28〈リビング・バイブル〉
深い冬のただ中で、ついに悟った。
あがるというんだろう。母は微笑 揺るぎない夏が私の内に宿ること
み、待っていれば分かると言った。 を。
 夕食後、母はそのケーキを切っ ― アルベール・カミュ(1913-1960)
て出してくれた。いつもと変わら
ずおいしそうに見えたが、油断し 困難の中から奇跡が生まれる。
たくはなかったので、まずは少し ― ジャン・ド・ラ・ブリュイエール
だけ取って味見した。次にもう少 (1645-1696)
し大きめに取って食べ、そしてつ
いに残りを頬張った。最高におい

「アクティベート・リーフ」は、英語の「Activated」誌からの記事を翻訳したものです。その他の記事は、ホームページでご覧頂けます。 http://www.activate.jp
© 2018 Aurora Production, Ltd. All Rights Reserved Translated from English Activated Magazine Vol.19 -7 p5 http://www.activated.org

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