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赤尾晃一

「平日に15分以上新聞を読んでいる人の推移」
NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査」より
新聞紙 ネットメディア
速報性 1日2回 今すぐ
デマンド性 NO いつでも
動画 NO YES
写真 白黒メイン・小さい カラー・大きい
検索 NO YES
ソーシャル NO コメント,シェア
記事の長さ 短い 制限なし
https://pressnet.or.jp/data/finance/finance01.php
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2017/media.html
読売新聞社は売上高3832億円,営業利
益125億円で(2016年度),営業利益率は
3.3%と固定費の重さが際立つ
ヤフーの「メディア事業(ヤフーニュー
ス含む)」は売上高1102億円(2011年*)
に対し,営業利益は605億円と営業利益
率は54.9%。

*ヤフーは2012年以降,決算の開示内容を変えたため,
メディア事業としての数字は表に出ていない。
朝日新聞デジタル(月980円)
デジタル毎日(同上)
読売プレミアム(購読料+150円)
産経電子版(月1800円)
日経電子版(月4200円)
日経は経済専門ニュースという特性を
活かして,電子版の契約者を55万の大
台に乗せている。朝日は約28万と低迷
95/6 Yomiuri Online
95/8 JamJam(毎日新聞系)
95/8 asahi.com
96/1 NIKKEI.NET
97/1 Internet Watch
97/9 ZDNet Japan
00/5 @IT
04/1 ITmedia
96/7 Yahoo!が日本語版ニュースサイト
97/8 J-CAST開始
04 Googleが日本語版ニュースサイト
12/ SmartNews開始
13 グノシー開始
LINEがニュース配信開始
13/9 NewsPicks開始
Huffington Post日本での配信開始
16 BuzzFeed日本でのニュース配信開始
Yahoo!はアグリゲーターとして新聞社
などからニュースを購入し配信
検索窓の下に8本のニュースをヘッドラ
インとして並べ,13.5文字の短い見出
しでユーザを惹き付ける
動画/ニュース/国際/経済/エンタメ/ス
ポーツ/IT・科学/地域などのジャンル
ごとにニュースを整理する
コメント機能は07/10に実装
専門家/有識者ら約550名のオーサーを
執筆陣とするYahoo!独自のニュース
フィード
内田良名古屋大学准教授
の「緊急提言 組体操はや
めたほうがよい」(14/5/9)など広く世に
問題提起する記事が書か
れた例も
日本経済新聞社を除くすべての全国紙,か
なりの数の地方新聞,民放テレビ局など約
370媒体が1日合計約4000本のニュースを提
供している。朝日と讀賣は1日50~60本,
毎日新聞は1日130本程度の記事を提供して
おり,朝刊1面の特ダネ記事も,朝6~8時
にはYahoo! ニュース上で閲覧できる。
Yahoo!にコンテンツを渡す→一定の提供料
とページビュー(PV)を戻してもらうという
現実的対応
朝日新聞・讀賣新聞の全国紙クラスで年
間2~10億円と推計される
中日新聞・北海道新聞などブロック紙レ
ベルやテレビ・キー局で5000万~1億円と
言われる
地方紙になると100万円単位とも言われる
Yahoo!以外のネットメディアからの配信
料はさらに一桁安いという
06/12に開始した「47NEWS」。共同通信
社と地方紙47紙の共同サイト

https://www.47news.jp/
「2018年モバイルニュースアプリ市場動向調査」
http://itcr.co.jp/report/20180509.html 記載
情報提供元(コンテンツパートナー)に
は,新聞社が少なく,ニュースサイト,
まとめサイトなどが名を連ねる
トップ画面には主要記事の見出しと写真が並
び,配信元が小さく記されている。
最上部にあるスクロールバーには政治/経済/
国際からエンタメ/スポーツ/グルメまで硬軟
とり混ぜた標準10程度のカテゴリー(タブ)が
並ぶ。各記事を開くと,その下に関連記事
〈おすすめ〉や広告がふんだんに盛り込まれ,
他の記事・広告に飛ぶことができる
2000超の媒体から1日1000~2000本の提供を
受ける
人気ジャンルの一つが〈まとめ〉。提
携するLINEブログから,書き込みの提
供を受けている。また,提携メディア
の記事を一覧できる〈チャンネルプラ
ス〉も人気
2017年夏時点でアプリのダウンロード
数は2000万以上,Daily Active User
は300万人強に達する
購入したさまざまな記事を取捨選択して
表示することをキュレーションメディア
と呼ぶ。プラットフォームビジネスの一
つ。特定のアルゴリズムに基づいて記事
配置する。SmartNewsに“編集者”はい
ない。Twitterなどを大規模解析して
ニュースの選好傾向を探し出し,ユーザ
の閲覧行動なども加味して,最適な場所
に配置する。広告は記事の間に挟み込ま
れるのが基本。
LINE NEWSでは配信元の記事を編集者が
「です・ます」調に直し,内容を要約す
ることなどで,親しみを持たせている。
過去の経緯が重要なニュースについては,
関連記事も提供し,読者の理解を助けて
いる
配信社のページからは〈外部リンク〉と
して配信社のwebページの関連記事など
にリンクする機能を用意している。
従来のニュース読者の外側にいる「多
数派」に狙いを定めた。読者として
ニュースを読む習慣がない層を設定し,
成長するスマホ市場とともに拡大すれ
ばよい
読みやすさ,パッと見でわかる,ユー
ザーファーストの画面構成
トップ/エンタメ/経済/スポーツ/ネッ
ト・IT/国内/海外/おもしろ・ネタ/おで
かけ/グルメ/ファッション/恋愛・エッセ
イ/暮らし/カルチャー/マンガ/アニメ・
ゲーム/続報中
地方紙34紙(Yahoo!=27紙,SmartNews=13
紙)と提携し,事業拡大中
経済ニュースに特化。90媒体から記事の
提供を受ける。各記事にピッカーと呼ば
れる民間人らのコメントが並ぶ。論客や
実業家など約150人とプロピッカーとして
契約
無料モデルが約300万人,売上:約3億円。
有料会員が64,336人,売上:約3億円(2018
年第1四半期決算書による)。プラティッ
シャーとしての位置付けで黒字化
編集者でもアルゴリズムでもなく,ピッ
カー(完全実名性)という人を通じて記事
を選び,コメントを介してコミュニティ
化(内輪感)し,TwitterやFacebookなど
SNSに開いていく(ただしアルゴリズムと
人の手によって並べ替え,カルチャーを
維持する)
「誹謗中傷プラットフォーム」との揶揄
も受ける
約20人の取材記者を雇用して,1日5~
10本の独自記事を配信する。2016年5月
から配信した「LINE 韓日経営」では,
LINE株式会社の東京証券取引所とNY証
券取引所への同時上場に至る舞台裏を
ビビッドに描き,話題を呼んだ
40人超の編集者のうち記者(news reporter)
が20人余りを占め,記事・動画などのオリ
ジナル・コンテンツを作成・配信している。
17年9月に始めた「BuzzFeedMedical」で一
部記事を外注している以外は,外部の
ニュースメディアからの記事提供は受けて
いない
政治・国際・経済などの硬派ニュース
よりも,エンタメ・スポーツ・グルメ
などの軟派ニュースを選好
ニュース記事を共有したり,コメント
を付けたり,投票したりといった能動
的行動をとる人が少ない
ソーシャルメディアを通してニュース
と接触する人も少ない
たとえば朝日新聞社は約2200名の記者・
編集者を雇用し,編集部門の人件費だけ
で300億円を超える
ネットメディアは少なくとも現時点では
(BuzzFeedなどを除き)記者を雇用するこ
とは経営上のリスクとして認識している
新聞社の経営の縮減を考えると,「誰が
一次取材費を負担すべきか」という問題
が浮上してくる
パソコン通信時代は,新聞社各社が提供す
るニュースは1記事5~10円という従量制
だった(パソコン通信業者が代行徴収)
iモードでは各社月額300円など有料だった
自社のニュースサイト,Yahoo!ニュースな
どに気前よくニュースを提供し「インター
ネットではニュースは無料」という価値観
を定着させ,将来自らの首を絞める種を蒔
いた
個人発のニュース(ブログなど)を増やす
ことも考えられるが,対象分野や記事の
本数は限定的で日常的・恒常的にニュー
スを出して,報道全体を支えるまでには
至らないだろう
プロパブリカなど“調査報道”を担う
NPOなどの存在も考えられる
「まだ一次取材力が過剰」という問題
もある。新聞社間で合併したり,支局
を統合するだけでも余裕が出てくると
考えられる。“1940年体制”が残存し
ているにすぎないからだ。日本におけ
る記者の数はまだ多い。一次取材網が
半分なくなっても新聞が機能するよう,
ネット上での情報公開を(政府や自治体
などに)はたらきかけていくべきだろう
プラットフォームから「メディア」(情
報の内容に責任を持つ発信者)としての
責任の自覚
Yahoo!は16/2に「メディアステートメ
ント」を公開している。
信頼性と品質
多様性の尊重
豊かな情報流通

https://about.yahoo.co.jp/info/mediastatement/
①放置しておいても,経済原則に従っ
て「収まるところに収まる」
マスメディアの記者の賃金が一定の水準を
下回れば,ネットメディアへの移動が起こ
るとの見方もある。
②専門家や一般の人々が(解説)記事を
発信するようになり,政治・経済など
の分野の一部を除き,記者は要らなく
なるという可能性がある
③最終的には「通信社」が生き残れば,
ネットも含めて「ニュース」は持続しうる
④ネットメディアが時間をかけて記者を抱
えていき,新聞社などでの記者の減少をカ
バーしていくケース
⑤NPOなどで「ニュース発信互助会」を記者
たちが組織化するケース
⑥ネットメディアがマスメディアをそのま
ま傘下に収める(買収する)というケース
持続可能なニュース環境を作るために
は誰が何をすればよいのかについて,
自由に論じよ。
約800字
2018年8月7日(火)23:59:59
report@aka.oops.jp

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