アクティベート ・ リーフ　No.

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THE
PERFECT
LIFE 完璧な人生
クリス・ミズラニー

　私は写真を撮るのが大好きです。 いたのです。もっといい写真を撮ろ は、自分や周りの人の人生をより良

最初に手に入れたのは安物のコン うとして懸命に設定を変更していた いものにするために使うべきです。
パクトカメラで、新たに広がる可能 ので、目の前で起きている出来事よ でも、人生に存在する不完全な点を
性の世界に興奮しました。どこにで りも設定の方を見ていることがよく 解消することにばかり気を取られ
もそれを持ち歩いては、思い出の ありました。そして、撮りたいものを て、一瞬一瞬を味わえないほどにな
数々を記録していたのですが、丘陵 撮っても、完璧にピントが合ってい る必要はありません。
で岩の上に落ちてしまい、まったく ない時にはイライラしたものです。 　人生とは、日々の数え切れない瞬
使い物にならなくなりました。 　そんなある日、著名な写真家が書 間でできた巨大なコラージュです。
　次のカメラはランクを上げ、設定 いた記事を読んでみると、次のよう すべての瞬間が完璧であることは、
がもっと多機能で、ズームもはるか な核心を突く言葉が書かれていま それほど大切でしょうか。いついか
に高倍率であるレンズ一体型一眼 した。「写真に大切なのは感情であっ なる瞬間も完璧であることが、それ
にしました。そのカメラは何年も て、技術的な完璧さではない。カメ ほど大切なのでしょうか。そんなこ
の間、私の自慢と喜びの種でした ラの操作スキルを見せるだけでな とはありません。それはすべて大き
が、そのうちに私のスキルが向上し く、撮影時に何を感じたかを、見て な絵の一部に過ぎず、かつ、その
て、それでは物足りなくなりました。 いる人に伝えることである。」 ひとつでも欠けると絵は完成しませ
それに、ボタンを押したらすぐに 　その時ふと、写真というのは設定 ん。だから、完璧ではないからといっ
シャッターが切れるようなカメラ でも鮮明さでもなく、自分の撮影ス て、その瞬間をないがしろにしたり、
が欲しくなったのです。 キルでもないということに気づき 記憶から消し去ろうとしたりするほ
　そうして、じきにデジタル一眼レ ました。写真とは物語なのです。ア ど、人生を急ぐのはやめましょう。
フを手に入れました。いい品質で、 マチュアは完璧な写真を撮りたが 　「時間がない」時にこそ、立ち止
すばやく操作でき、習得しがいのあ りますが、プロは心に訴えて印象を まる時間を取ろうではありません
るカメラです。これこそ私の欲し 与える写真を撮ろうとします。 か。ストレスを感じる時には、深呼
かったもので、もうシャッターチャ 　人生について言えば、私たちは髪 吸してみましょう。不当に扱われた
ンスを逃すことはない、少なくとも 型や体つきであれ、電話や車、仕事 時でも、愛情深い生き方をしましょ
そう思いました。 や食べ物であれ、あるいは人間関 う。他の人が見ていて励まされるよ
　カメラに慣れてくるうちに、完全 係（その他、数えきれない多くのこ うな人生を築きましょう。周りの人
にピントのあった写真を撮ることに と）であれ、完璧なものを手にしよ にいつも必ず強い感銘を与えるこ
気を取られるようになりました。常 うとするあまり、その過程で、人生 とはできなくても、何らかの印象は
に鮮明な写真を撮るにはどうすれば の喜びそのものを逃してしまうこ 残して行けます。人の心に訴えるこ
いいのか、その方法を調べてばかり とがよくあります。スキルというの とができるのです。

「アクティベート・リーフ」は、英語の「Activated」誌からの記事を翻訳したものです。その他の記事は、ホームページでご覧頂けます。 http://www.activate.jp
© 2018 Aurora Production, Ltd. All Rights Reserved Translated from English Activated Magazine Vol.19-7 p12 http://www.activated.org