アクティベート ・ リーフ　No.
596
著名人に影響を与えていた聖書
90
年代に人気番組だった関口宏の『知ってる
つもり？！』は、歴史上の人物にスポット
を当て、その素晴らしい社会的働きを紹介していまし
た。長く続いた番組でしたが、最終回スペシャルは、
イエス・キリストについてでした。
　というのも、それまで番組で紹介した様々な人物に
何よりも影響を与えていたのが、イエス・キリストで
あり、聖書だったからだそうです。どの時代おいても、
社会に良い影響を与え、後々まで続く功績を残した
人々の多くが、クリスチャン、あるいはキリストの教
えから影響を受けた人々だったのです。
　日本でも、身分や貧富の差が激しく、人が人として
扱われていないような時代にあって、万人の平等を教
え、貧しい人や病んでいる人を顧みる必要のあること
を説いたのは、聖書の教えに触れた人たちでした。
　また、あまり知られてはいませんが、日本で最初に
教育制度や福祉制度の確立のために奔走した活動家た
ちの多くは、キリスト者であったり、または西郷隆盛
や福沢諭吉のようにクリスチャンであるとは言ってい
ないものの、聖書を学んで影響を受けた人たちでした。
「100 人の聖書」( 篠原元著 ) という本には、100
人の著名人が聖書について語っている言葉が集められ
ていますが、そこには西洋だけではなく、日本の文学
者や教育者、会社経営者、そして総理大臣や皇室まで
もが名前を連ねています。私も、最初にその本を読ん
築紫　裕子
だ時には、
「あら、こんな人も聖書を熱心に読んでい
たんだ」と驚いたものです。
　それらの人たちは、宗教家として活動したわけでは
ありませんが、聖書に基づいた信念をもって、自分
の周りの社会に素晴らしい貢献をしました。その様子
を見聞きするうちに、自分もクリスチャンとして「地
の塩」となり、神の愛と光を運ぶ一役を担うのに、ど
のように生きたらいいのだろうかと考えさせられまし
た。同じ信仰を持っていても、一人一人の生活環境は
まったく異なっていますし、置かれている立場、個人
の性格や才能、夢や好みは千差万別です。だから、そ
れに合わせて、生き方も、仕事も、進む道も異なって
きます。ただその土台に聖書の言葉があり、神と人へ
の愛が動機となっているなら、どんな分野であっても、
神様はそこに天からの知恵と力と導きを与えて下さ
り、それがより良い結果を生むことになるのだと思い
ます。
　それでは、今回はほんの数人ですが、聖書を読んで
いた日本の著名人の言葉を紹介しましょう。
たけよし
石川　武美（『主婦の友』を創刊、「主婦の友社」創業者）
　
「聖書には金儲けの秘伝はないが、金儲けよりも重
要な知恵が山のように隠されている。そういう不思議
な書物が聖書だ。 これをよく読みこなすと、 生きた
経済知識を発見することができはせぬか。 聖書を敬遠
する経済人の、 経済的活動にはゆきづまりがあるが、
聖書による経済人にはゆきづまりがない。
・・・聖書 題でありました。聖戦にあいそをつかした私は、さき
を読みながら商売の道に励む経済人に、われわれもな に記しました宣教師・・・の情熱を解くカギが、こ
りたいものだ。
」 の旧約聖書の中にひそんでいるような気がしてきまし
（石川武美『信仰雑話』主婦の友社より） た。
」
（『古代オリエント史と私』学生社）
三浦　綾子（作家、小説家）
　
「事典は私の知識を増すかもしれない。しかし生き 内村　鑑三（思想家、文学者）
る力も、神を求める謙遜さも、人々を心から愛する力 　
「人の愛をもって神の愛を量るのは、曲がれる定木
も、罪を潔める力もない。聖書のみがあらゆる人生の をもって宇宙を量るの類であります。人の愛をもって
惑いに答えてくれた。
」 してはとうてい神の愛を知ることはできません。
」
　
「聖書は不思議な本で、たとえ私たちが読み通さな
くても、私たち人間を根本から作り変える力がある。 金山　良雄（株式会社ムラサキスポーツ代表取締役会長）
生きる力を与え、望みを与える本なのである。
」 　
「朝とにかく起きて、一時間ぐらいは祈ります。聖書
を読み、祈ります。旧約聖書を 2 章、新約聖書を1 章、
矢内原　忠雄（経済学者、東京大学総長） そして私は詩篇を毎日 5 篇読みます。 詩篇は 150 篇
　
「聖書は学者の書であり、無学者の書であり、万人 ですから、１ヵ月で終わります。それから、箴言。箴
によって万人に学ばれるべく、万人によって解される 言は 31 章ですから１日１章読むと、１ヵ月で終わる
ところの人類の書なのである。われわれが謙虚になっ んです。
」
て聖書をひもといて見れば、それ（知識）は最も基本 （東京プレヤーセンターのウェブサイト 2012 年 5 月）
的な形において聖書に示されておる。これを今日の社
会情勢と、人間の知識の進歩と、世界の複雑性に照ら 南原　繁（政治学者、東京大学総長）
し合わせて応用すればよいだけです。根本は聖書に示 「どれほど神仏に祈っても、しょせんは自分の無事幸
されている通りであります。
」 福か、せいぜい家内安全を願うことに止まった私の心
が、いまや、
（聖書の語る）自分の罪を知り、それか
大平　正芳（第 68, 69 代　総理大臣） らのあがないとゆるし、神の御旨へと向けられるよう
　
「人さまの前で語れるような信仰ではないが、聖書 になった。・・・・私は、家庭において日曜日ごとに
から離れて生きることはできない。祈りの中に神様と 家族らに聖書の研究や話をした……」
の対話も続けている。
」 （南原氏が自分の母親の思い出を語ったときの言葉を
（『キリスト教新聞』1967 年 2 月 25 日付） 現代文に改めたもの）
　
「友だちを慰めたり、わずかな持ち合わせのものを
分け合って食べるとかの営みを懸命にやっていく姿、 田口　壮（プロ野球選手）
その中に神の国があるんじゃないか。
」 　
「妻との関係や、人生が困難になった時に助けてく
（『朝日新聞』デジタル 2015 年 4 月 30 日付） れるのはイエスさまだと、今では思っています。・・・
聖書の言葉は、自分にとって助けになります。家庭で
三笠宮　崇仁（大正天皇の第四皇子、昭和天皇の弟） も、また試合中でも、イエスさまに祈れるのは、嬉し
　
「私は戦時中に敵を知ろうと、キリスト教を調べ聖 いですね。
」
書にぶつかった。初めは文明を誇る白人がなぜこんな （『クリスチャン新聞　福音版』2007 年 4 月号）
ものを信じるのかと笑ったが、聖書が歴史的事実と
知ったとき、聖書から離れられなくなった。
」 加藤　一二三（「ひふみん」の愛称で知られる将棋界の
（三笠宮殿下は、古代オリエントを専門とする歴史学 レジェンド加藤九段）
者としても有名です。この言葉は殿下がなぜ歴史を学 　
「かくして、私はキリスト教徒となりました。洗礼
ぶようになったかについて述べたときのものです。
） を受け、確信を得た私は将棋にも迷わなくなりました
　
「旧約聖書を読んでいくうちに、私の心を強く捕ら ね。これまで感じていた迷いが吹っ切れたのです。
」
えたのは、多くの預言者たちの叫ぶ「社会正義」の問

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