Professional Documents
Culture Documents
セッション1.はじめに 8:30~
メインホストのギャリーの自己紹介と一日の予定
ギャリーブロック 家庭医で「貧困と健康」を専門としている。
ツイッター:https://twitter.com/gary_bloch
オ ン タ リ オ 家 庭 医 療 学 会 、 Continuing professional development の Faculty 紹 介 ペ ー ジ :
https://ocfp.on.ca/cpd/faculty/dr-gary-bloch
ギャリー自己紹介:
・民医連向けの講演「医師のための貧困治療ワークショップ」などで東京に 2 回来ている。
・カナダの家庭医の視点でみて、民医連から得られるヒントが多い。
似ているところもあるし、制度面の違いもわかってきた。今後も交流を続けたい。
今回の目的説明:
・トロントの医療関係者、SDH を巡る診療活動を、多彩な角度からみせていきたい。
参加者自己紹介
自己紹介からしましょう。日本語→同時通訳してくれます。
自分:北海道からきて地震対応したりしてました。外来や病棟などで、貧困層の外来・病棟診療や緩和・終末期
のケアなどもしてはいる。貧困層のケアをきちんと学び、行政や患者を巻き込む方法を学びに来ました。
他のメンバー:こちらは若手・中堅の総合医、ベテラン医師、事務局など。ER、総合病棟、診療所家庭医、産業
医療などさまざま。舟越先生、SNS でギャリーと知り合ってつながった。アドボカシーの熱意も学びたい
カナダ側参加者:
患者さん代表(結構重度の疾患・障害をくぐり抜けて、疾病による心理社会経済的なダメージを体験。患者側の
病の体験を病院の活動に活かすためにメンバーに参加)
。
フェミリーヘルスチームのスタッフ家庭医、コーディネーターとディレクターとチーフ(医師)
法律家の学生と指導者(地域全体で病院の顧問をしている、母子の援助。Justice program など)
ソーシャルワーカー(所得補償プログラムを家庭医療チームと一緒にやっている。所得は健康状態に大きな影響
を与えるため、そこへの介入は大きな影響になる。が、それが唯一ではないのでチームでやっている)
→みんないい人っぽく、かつ熱意や信念もありそうで楽しみ感あり。
1週間の予定:
(詳細は別紙参照)
今回は全体像を掴むのが目的で、広く薄く、情報量は多い。
SDH(Social determinants of health、カナダでは SDOH と略すこともある)について、プライマリ・ケアの視
点から、トロントでどう活動しているのかを見せたい。
月曜は聖ミカエル病院 SMH の取り組み全体(病院ベースのコミュニティケア)
火曜午前はリサーチの紹介、午後はホームレスの取り組みの地域内見学、夕食は学会などがスポンサーになって
のディナー。水曜は観光。
木曜午前はアドボカシー活動で熱心な人を招いて学び、午後は家庭医協会の活動に取り組む人たちから学ぶ。
金曜午前は、SMH 以外の病院での公平性についての取り組みの紹介。
金曜午後と土曜は自由時間。
参加者代表から、民医連の紹介
民医連の歴史、綱領、活動など紹介
今回の視察旅行の目的:
1.ミクロからマクロまでの活動を学ぶ。
2.未来を担う民医連若手の育成
3.日本の民医連とカナダの家庭医との連帯を発展させたい
参加者:17名が参加。13人が民医連関係者、外部参加のリサーチャー2名、通訳2名。
共通点:紅葉がきれい、トランプ・米国との微妙な関係、自主的に戦う医師が社会正義の実現を目指している
2.プライマリ・ケアの変革 9:15-10:00
担当:Primary care renewal Curtis Handford、家庭医 副部長
Regionalization:プライマリ・ケアの対象地域がヘルスリージョン→サブリージョンと細かく分かれている
カナダは連邦国家、週ごとの政府の連邦政府が10個集まっている。州ごと
に制度が少しずつ違い個々に責任を持ってやっているが、病院や国、医師に
対する支払いは全州共通で国が担当している。しかし、実際のヘルスケアは
医師以外の職種も関わっているし、医師給与以外のほうが遥かに大きいた
め、国からの支出だけでは足りない。
オンタリオ州は14のヘルスリージョンにわかれていて、Local health
integration network(LHIN:リーン)という形で統合されている。LHIN は資金提供をする立場で、ヘルスケア
の優先順位を決定し、医師以外含めた医療提供者をカバーしている(日本の一次・二次医療圏や地域医師会など
と決定的に違うのは、地域分析・エビデンスに基づいて計画を立てることと、予算配分の権限を持つことのよう
だ。それは重要だろう)
。
オンタリオ州でも、医師はすべて独立した事業者で、家庭医は開業医(出来高払い、FFS)やグループ診療(家
庭医療グループ FHG)
、地域医療センターCHC としてなどいろいろな形をとっている。
→2002年に、カナダの医療制度改革の優先事項としてプライマリ・ケアの変革が定められ、プライマリ・ケ
アへのアクセス、チームケア、電子カルテ、医療サービスと社会サービスの統合、出来高払いから MD 支払いへ
の変遷などが行われ、様々な診療モデルに応じた支払いモデルが並列している状態。
現在の問題として「必要を感じたその日に家庭医にかかれなかった割合(アクセスの問題)
」が高く、カナダでは
53%。努力はしているが、他の国より低くはない。これは格差・不公平の一つ。
SMH の属する「トロント中央リージョン」では、なんとかしようと取り組んでいる(都市部でも、というか都
市部だからこそ?医療アクセスの問題は大きいのは日本にも当てはまると思う)
地域において住民の特性が少しずつ異なるので、それを反映させたサブリージョン(北・東・西・中央東・中央
西の5つ)と、それをさらに小さく分けた130個くらいの小区域(Neighbourhood)がある
(二次→一次医療圏、地域包括ケアシステムの中学校区のレベルか)。
サブリージョンごとに、医療ニーズを色分けし、医療機関の分布もマッピングしている。
右図にマッピングされているように、地域間の医療機関利用度の格差もある。
地域分析をして、それに適した医療の配置!!
この地域特性・分布に対応するために、個々に独立して存在している家庭医を組織し、他職種と連携させ、一員
として地域の医療ニーズに応えようとしている(制度上、様々なスタイルで診療をすでにしている家庭医を再配
置するような大工事でなく、機能的に連携させている→これなら日本でもできそう)
我々(SMH)が目指しているのは、各セクションが独立しているのではなく、統合されたシステムを作りたい
(これを行政や大学がイメージするのではなく、LHIN の役割のようだが、一病院 SMH のギャリーが主体的に
考え取り組んでいるのがすごいなという印象。やはり日本の民間主体の医療をそのまま延長するのは難しい気が
するが、完全に公営化するハードルの高さも考えると、複数の医療支払制度の併存✕機能的な連携というのは一
部参考にできるのかもしれない)
カナダの医療制度の中でのプライマリ・ケアの位置付け
担当:カレンさん
もう少し小さな視点から、病院レベルからの話。
聖ミカエル病院 SMH
貧しい地域にたっており、医療へのアクセスが悪い住民のために建てられた→民医連と似た役割。が、公立。
リサーチや介入の経験を生かして、改善を日常的にしていけるかを追求している(ちゃんと研究・質改善)。
学びを次の世代にも渡していきたいし、他職種(医療以外)にも共有していきたい(次世代教育も他職種共同学
習も当然)
→考えていることややりたいことは自分と変わらない。しかし実行力とか組織力が桁違い。資金の力と、公的組
織の強さ、チームで取り組める強みか。羨ましいというよりは絶望感を感じる。
SMH ではプライマリケアを重視している・
2015-2018 年の3年間の Strategic plan がある。
恵まれない人々へのケアの向上が1番
都市全体への包括的ケア
重症者への質の高いケアの3本柱
→病棟医療、コミュニティーケア、社会的脆弱者ケアの3つ。
わかりやすい。外来や在宅診療は、ただ単に普通にやるという
よりは、弱い人にフォーカスしたケア(そうありたい)
LHIN:トロント中央地域健康ネットワークのプライマリ・ケア戦略の概要
担当:リンダさん
戦略は、
アクセスを増やし病院に来られるようにする(HIV がある、身体障害がある、トランスジェンダーがある、ホー
ムレスなど、アクセスのハードルは様々)
これらの様々な活動を、プライマリケアだけでなく、病院と周囲のクリニック、そして専門医と連携していく。
20分位の距離なので、医師は固定的でなく必要時にお互いに訪問して連携もできている。
病院と患者住所のマッピング→かなり広範に広がっている。転居後も繋がりを継続したい人にもケアを継続して
いるから。患者と家庭医の契約は地理的距離で区切られず、遠方でも希望すれば契約可能。
大きな図では10km 超えからも来ていて、日本
の小病院の受療圏よりもかなり広い。
右下の小さな図では、200-400km 先から
もきており、北海道は受診が大変というレベルを
超えている(道東の受療圏分布と同じくらい)。
現在251名のうち、医師74、レジデント37,看護師35、NP7、チーフスタッフ53、27ヘルスディシ
プリン、18ノンクリニカル。
人口ピラミッドでは労働世代が多い。経済的には最貧相が30%、患者は、精神疾患がとても多い。
→社会的弱者への医療をしていれば、メンタルヘルス・依存症ケアなどの比率が高まるのはこちらでもおなじよ
うだ(エビデンスからもそうだし。札病患者は濃いと言っている人は、普段弱者に対して見て見ぬふりをしてい
るのかもしれない)
多彩な職種で、包括的なケアができるよう組織している。
プライマリ・ケアの組織だから家庭医だけではなく、専門家が必要な問題が Common であれば専門家を雇う!
糖尿病患者がおおいので足専門家がいる(医師ではない)
。精神医療も多い。カイロプラクティックや歯科医や法
律家は州の制度ではカバーされないが、必要なので LHIN では入れている。
→SMH のプライマリ・ケアクリニックに、週1回とかで来てくれて、地域の患者が頑張って遠方に行かなくて
もいいようにしてくれている。専門医の扱いなので、家庭医が最初に診察して紹介する必要はある。社会的弱者
を問題に応じて遠くに追いやるのではなく、社会的弱者の多い地域にリソースを呼び込み結びつけている!
患者側は、不満があるときにクリニックを変えるのではなく、医療者側に意見を言うという態度がある。
医師が不在のときに体調不良になったらどうすればいいかなども話し合っている。
その結果、精神科クリニック、カイロプラクティッククリニック、歯科クリニックのほか、法律相談所、診療所
内の精神医療サービス、病院の検査・診断サービスなどができてきている→特定のクリニックや病院で雇うのは
難しくても、地域のグループで1箇所決めて連携するのはできるかもしれない。
普段のケアは患者の日常生活場所と近いところで行う。困窮している患者・住民の近くに診療所があることが重
要。
質疑応答
オンタリオでは、家庭医契約はどうなっているか?
→現状では、固定の医師と契約を結ぶ義務はないし、契約していなくてもサービスは受けられる。複数医師がい
るところでは自業体との契約をしたり、医師との契約を結ぶことはある。
→契約することで、医師側としては支払いが変わってくる。また、患者のアクセスも変わってくる(契約者優先?)
。
→必要な医療と認定されればメディケアでカバーされる。
→セカンダリーケアは、かならずプライマリ・ケア、家庭医を通じてでないと受けられない仕組み。専門医に直
接かかる経路の例外は ER のみ(これもメディケアの対象)
。とはいえ、実際は病院に来ても専門医にかかる必
要性は少ないし、病院契約患者でも他のクリニックにかかることも可能(病院とクリニックの医師の関係性が良
いから)
。←日本のフリーアクセスとの違いは、セカンダリーケアへの制限くらいで、プライマリ・ケアの中では
は自由に選べる点は同じか。
質問聞き取れず。
→ユニバーサルヘルスケアとは少し違う。120年前にカトリックの修道士たちが、医療を受けられない人たち
のための医療を行おうとおもってこの病院を作った(トロントにある他の病院では、3つの柱のうち、社会的脆
弱性のケアなどはない)。都市部の医療に特化しているので重症者ケアもしているし、貧しい人たちのケアを精
神医療含めてやったりしている(プライマリ・ケアだから重症や専門を見ないわけではない)
→聖ミカエル病院の戦略立案過程には、患者側の参加もある。医療の方向性に対して住民の声が反映される。ト
ップダウンでなくボトムアップ。
→無保険者へのニーズに応えようという努力もしている。無保険者集団は、他国からの移民が最大規模。身分証
明書がない、一時的な書類で入ったあと失効、難民申請が通らないなど様々な理由がある。ほか、健康保険書を
紛失・失効やそういう手続をする能力がない人もいて、そういう人の支援をする組織もある。
関わる住民の選び方は?(気になる!友の会や声の大きい人だけでいいのか)
→大きな流れとして、そもそも患者が関わるべき、患者こそが必要な医療をわかっているという雰囲気がある。
病院として認定されるためにも、患者参加が要件となっている。(質問の意図と返答の的がずれたまま終了、残
念)
SMH は公的病院。というかカナダでは全部公的。
専門医が院内にいるのは、定期的にきていて遠くに患者が行かなくてもかかれるようにするため。
専門医なので家庭医の紹介状は必要(病院の専門外来と同じで、アクセスが統制されているだけ)
紹介状や認定証などの書類は保険でカバーされておらず、いくらでもふっかけられるが、良心的値段で。
→「公的である」こと以外は民医連と同じだし、公的でないことが民医連の最大のネックという印象
25%がヘルスケアシステムの問題(アクセ
スなど)
15%が生物学的な特性
10%が個人的環境(空気や都市環境)
SDH のうち所得と健康アウトカムについてのデータ紹介
所得によって5郡に分けると、死亡率、糖尿病有病率などに明らかな勾配がある(カットオフではなく、用量依
存性の勾配!)
※電子カルテの年齢・性別・住所情報と、行政の住所別所得のデータを突き合わせてこういうデータが出せる
らしい。いわゆるビッグデータも使い方次第。日本ではいつになったらできるのか…
最も貧困な層と裕福な層で比べると2倍あり、
また2003年から2012年でこの勾配は悪化してい
る。
96年と2009年で比較すると、ワープアでは不健康と
感じている人が増えている。
大腸がんスクリーニングの未実施率も、低所得層で多い。
寿命ロスも、所得によって勾配があり、特に最貧困層では
かなり突出している。
ルドルフさんの言葉
「医療が任務を遂行するなら、医療は政治や社会の活動に参加しなければならない」
→民医連と同じことを外人が言うとかっこいいのはなんでだろうか?言葉の選び方と、言葉の根拠の違いか
Micro-Meso-Macro モデルのいつものイラスト
(アドボカシーを何度も強調していたので、あえてアボカドの絵なのか?)
いつでもこの3つの階層を意識してやってきた。この4-5年は更に強く意識している。
どれかに特化ではなく、全て、それぞれのレベルで活動することで初めて変革を起こせる。
たいていは Micro のレベルから始まるが、いかに Meso・Macro でも活動を起こすかが重要。
→そのための権限・仕組み・ノウハウの蓄積が、今の民医連にはなさすぎる(あるのかもしれないが、若手に伝
承されてはいない)
プライマリ・ケアプロバイダーのための貧困評価ツールによる3段階のアプロー
チは効果的
現場で貧困者のスクリーニング、見つけた貧困はリスクであることを考慮し、具
体的に介入する3段階。
様々なジャーナルで取り上げられて刺激になり、
Physicians and Health equity という本になったり、SDH の Best Advice(カナダ
の家庭医療学会が作った!)につながったらしい。
SMH の AFHT(Academic family health team)の SDOH 委員会
医療の公平性を進める知識、スキル、ツール、プログラムを作り
SDOH の健康への悪影響を直接に軽減することを目指す
そのために様々なデータ収集、介入作、チーム、ネットワーク、住民参
加、ツールなどとつながって、研究と評価を行っている
200名を超える参加者に拡大してきたなかで、個々のメンバーにど
うやってこの戦略などをあてはめていくか。
SDOH の木。P36
障害、住宅・所得など個々の問題が木の枝
人種差別や性差別、その他諸々の問題が根っこにあり、
木の実は具体的な活動対象となる問題 メンタルヘルスと依存や、悪性腫瘍と感染症、
周産期など
https://www.retailcouncil.org/quickfacts/minimum-wage-by-province
http://raisetherates.ca/ 人種差別についての活動のようだ
https://healthprovidersagainstpoverty.ca/ 貧困についての情報がアップされている
https://www.ontario.ca/page/income-security-roadmap-change
各国や国際的な会話が広がっている
TED とか、その他諸々。
オンタリオで作ったツールを日本語訳したものもある p41 の貧困スクリーニングツール
貧困介入のエビデンスベースを作っている
年間再低所得プロジェクト
福祉権アドバイスプログラム
健康なベビーのための出産前給付など
Winipeg 州では、総合的サービスをしている(イメージイラストが Medical home ぽい)
質疑応答
SDOH の木の話。とても共感。
根っこにある資本主義とかがあり、病気の原因の原因の視点で重要とおもうが、これを日本でいうと「政治的だ」
と言われて活動しにくい。カナダではこれは受け入れられやすいのか?
→受け入れられやすいと考えている。医師が健康政策の間違いを指摘することは当然と考えられている。医師の
中で声を上げる人は少ない(増えてきてはいるが多数派にはなっていない)が、反響は大きい。住民は医師が声
を上げると思っていないので、逆に医師が発言することは目立つ。医師が発言することで聞く耳を持ってくれて
いる。
4.所得補償「結局のところ、なぜお金が大事か?」 11:00-11:30
Chloe Wall さんと、Alyssa Swartz さん。MSW たち。
時間がないので削ったが、頑張って喋ります!とのこと。削らないでほしい…
講義の目的
1.貧困が健康や精神状態にどう影響するか
ここまででのレクチャーで説明済(事前知識ないと理解追い付かないペースだったが。健康格差くらいは読破し
てきてないと辛いのでは)
2.診療現場において、貧困を減らし健康を改善するためにできる具体的な介入法
トロントの所得補償は、ODSP(Ontario Disability Support Program)が1日4ドル、OW(Ontario Qorks)
は毎日1ドル程度。トロントは物価が高いので、こういうのが大事。
(少ないように感じるが)4ドルのインパクトは、コーヒーなら1杯しか買えない人が、2本買える。これなら
単に僅かな贅沢のもとだが、もう少し言うと、安い炭水化物主体の食事が、健康に良いタンパク質・脂質や野菜・
果物を買う余裕ができる。贅沢にはならないが、日常の生活レベルの底上げにはなる。
→日本だとお金だけ渡しても健康に良い消費につながらないが、そこをどうつなげているのか?
所得補償によるヘルスプロモーション
医療提供者が所得保証のための介入が行えるような研修を提供する。
所得補償だけでは足りないが、多角的に捉える視点の一つとして学んでもらう。
→ヘルスプロモーションは一つの分野だけでは足りず包括的にという概念が、スピーカー一人ひとりにちゃんと
浸透しているのが印象的。日本の、
「我こそは最高」な感じがなくてとてもよい。こうありたい。
3本の柱
収入の増加、支出の削減に加えて、「お金のリテラシーを伝える」ことで、患者はより上手にマネジメントでき
るようになる。
例えば、歯医者でより安い医療を受けるコツ、同じお金で健康に良い食料品を購入するコツなど。
→これが、日本の生活保護制度などに根本的にかけているとおもう。
所得補償のエビデンス
実際に所得が増えた。それは当然として、健康アウトカム改善も少しずつ出てきている。
3.自分たちの患者が収入を確保するアドボカシーに役立つ具体例
実例でのケーススタディー ジェームスの場合
(イラストがかわいい)
25歳、カリブ海系カナダ人。
トロント生まれ、成長発達に問題なく、学業成績も優
良、医学的問題なし、父親がうつ病→普通の若者
受診理由→いきなり仕事をやめた。不安・ストレスがある。
家庭医は、他に問題があると考えた。病気の診断だけでなく、付随する社会的問題。
MDD:大うつ病性障害と診断することで、傷病手当金(EI-SB)が利用できる。こういった収入補償があること
を知らない患者が多く、病気や怪我があっても仕事に戻ってしまってもっと不健康になるので、病院や医師がア
ドバイスすることが重要。
傷病手当は15日しかない、抗うつ薬の処方は自己負担で保険ではカバーされない→Ontario Works に申請する
ことでカバーされる可能性がある。OW もだめなら Trillium Drug Benefit への申請を行う。
ジェームスは、月700ドルもらえる。これくらいの所得だとまず通る。
ジェームスは不眠になり、多幸感がでて、海外事業で成功する夢をみて空港で捕まった。
SMH の救急で双極性障害と診断され治療が開始されたが、仕事の継続が難しくなり、ODSP(Ontario Disability
Support Program)の申請を行った。1128 ドルもらえる。医薬品やメガネやしかも通る。失業していても通る。
大学卒業後就労でき、波はあっても安定し、ODSP の支給は「徐々に減らしていく」事になっている。また、ODSP
の生活支援終了後も、治療薬を自己負担なく受取る制度は 1 年間継続された(治療中断したら台無しだし、突然
保証がゼロになると大変→生活保護が突然切られる減少考えるとすごいな)
。
ジェームスは 15 年後に再発。入院し失職。長期の生涯保証申請は既存の疾病条項で却下されてしまい、DSP は
、CPP-D(Canada Pension Plan
資産制限で却下され(ある程度の資産をもってしまった。生活保護と似ている)
Disability Benefit)には申請できる。病気に必要な特別な治療、移動手段、治療食などの申請が可能。CPP-D が
通っても、ODSP と併用する場合は医療費は ODSP がカバーする。
これでもまだ不十分。
所得補償や医療保障だけでなく、教育保障が必要。患者の子供の教育、患者自身の就労支援。
お金がなくて大学に行けない女性の話。母親が病人で学費をはらえず、娘が進学できないのは本人の問題でなく
「社会の問題」という認識。
重要なこと3つ
1.最前線で患者に対応するなかで、実際にこういった制度を利用する
医師がその視点をもつだけで、患者への影響はかなり変わる。
2.教育する・学ぶ。所得補償が重要であることを、チームメンバー全体で共有する。
MSW だけでなく医師も。
3.社会問題としてアドボカシーにつなげていく事が重要
他の組織の医師にも仕組みを紹介していく。地域に理解者を増やしていく→これもアドボカシーにつながる
質疑応答
教育について。
日本では一度生活保護になると、社会復帰が非常に難しい。再教育・就労支援のプログラムもないし、教育を受
ける習慣自体が本人になく、所得補償だけあるからいいやになってしまう。そういう貧困者・患者自身に、学ぶ
動機づけをする工夫はしているか?
→カナダの社会支援のプログラムの中に、教育や復職支援のプログラムがある。別の施設になるが支援には乗っ
かる仕組みになっている。MSW や医療者の役割としては、そういう資源があることを知っておき、紹介するこ
とが重要。プログラムや MSW の目的は、再就職させることではなく、自力で生活できるようになること。基本
的な生活欲求を安定させることで、初めて治療に集中できる。
→患者側は「生きがいがほしい」というので、そこを原点として相談をすすめていく。高齢者だと、労働者向け
の支援はつかえないが、それでも生きがいを欲しがる。ちゃんと満たされればもっと生きがいなどを欲しくなる。
最終的に人生に誇りをもって生きていけること→ノールズの欲求レベルの話っぽい。まずはしっかり満たす。
制度として、患者を再就職させて納税できるようにするという発想自体ないようだ(立場から言葉を選んでいる
のかもしれないが、この概念が当然のこととしてスタッフ全員に浸透している時点ですごい)
→保証が受けられないのは、申請しなかった人が悪いのではなく、システムが悪いと考える。うまくつながらな
い事例がいたら、そこからシステム改善を考える(自己責任主義の米国でなく、社会保障主体の欧州から輸入さ
れたっぽい考え方でよいですね。歴史的に複雑な多民族国家で米国が隣りにあるからこその芸当なのかも。日本
では?)
医療は基本的に州管轄だが、法律についてもオンタリオ州では独特のプログラムがあり、資金もだしている。
67年に、ミシシッピの医療センターで、患者の食料や住居の確保のために弁護士を雇った。
→これが最初の Medical-Lawyer Partnerships
80年台に、HIB 診療の諸問題対応のため弁護士を雇用
93年にはボストン医療センターで、改善しない喘息患者の診療において、住宅のカビだらけを改善するために
大家に賃貸規定に沿った改善を行わせた!
01年にニューヨークタイムスに、MLPsに関する記事が掲載され大反響を呼び、注目された。5年間で75の
団体が米国にできた。
→臨床をてつだってくれる弁護士を雇う!医療訴訟の防御役ではなく!!
うちでも似たような事例で、住居問題に対応したりはしているが、法律家を読んだり大家と交渉したりはで
きていない(なんでか、MSW が法律家呼ぶの嫌がるように感じます。日本独特の警察や法律家はおっかないと
いう感覚ですかね。もっと繋がりたい)
あんまりややこしいことに医療者や患者が煩わされないように、健康に悪い法律問題があったときに相談できる
ようなプログラムを考えている。裁判所へ行くアクセスは大変(高次医療機関に行くのは大変。と同じ)
、町中の
クリニックでアクセスを改善させる!!
まだできたてなので模索しているところだが、医療者のニーズも探りながら改善していきたい。
→住民・患者にとっても、医療者にとっても、法律問題や法律家へのアクセスのハードルは高いので、地域内の
クリニックに出張してくれている。とてもまっとうな考え方(先進的なカナダですら始まったばかりなので、日
本で絶望するよりは始めてみたい。これを自分で企画運営仕切るのは難しいので、こういう問題に詳しく関心も
ある人を見つけて連れてくるのが最初か…)
18ヶ月の準備期間で、専門家への相談、パートナー探しと組織づくり、ニーズ評価、資金探し
第一期の3年間は、試験運営を始め、徐々に6つのサイトに拡大しつつ関係の構築、評価してきた。
第二期から、運営母体を NLS にして、次のステップに広げている。
どのように評価するか?
・どのように導入されたか
・より Common な法律問題には何があるか。短期間で何が期待できるか
・支援対象者は誰になるのかなどを検討した。
オーストラリアでもヘルスセンターというところで似たようなことをやっている。
医療と法律を結びつけて相談に乗っている。
解決していない法的な問題は、人々のストレスや健康アウトカムに有害な影響を与えると報告されている。
ニーズ評価をすると、最も汚穢立場にある人にこそ法的な問題が蓄積しやすく、かつ法的サービスにアクセスで
きていないことがわかった。
法律上の問題を解決する事で、SDH にポジティブな影響を与えることを試みている。
2.実際の活動の紹介
活動対象の範囲は以下の3つ
1.家庭医療チームが担当する患者に、法律に関するサービスを直接提供する「対患者」
2.対象となる患者グループ及び家庭医療チームの医療提供者に、法律に関する知識を提供する「対医療者」
3.法的な公正性を求めるアドボカシーや法改正において、リーダーシップを発揮する「対組織・社会」
Legal triage:電子カルテで紹介があると、1時間かけて介入すべきかを検討する。
→医療者は時間かけて対象者をスクリーニングできないので、家族構成や経済状態などの情報を1時間かけて収
集する(法律家がアクセスできる情報源がある)
。
System navigation:既存の機構に結びつけて済むなら、まずは
そこへの紹介を検討する。証明書の発行だけとか。それで対応
できない場合に、初めて対応する。
Connect:SW や医師や看護師など、非法律関係者のうち適切な
人に再紹介したりする。
法的支援にうまく繋げられない場合は、自分たちで総合的なア
ドバイスを提供したり、簡易的な法律に関するサービスを行っ
たり、代理人になったりする。
→医療者が法律問題も全部やらないように、餅は餅屋につなげているのと同じ感覚で、MLPs 自体も「既存の仕
組みでなんとかなるならつなげておしまい」という抱え込まないアプローチが徹底していて興味深い。本人たち
のやりがい「俺が全部やってて偉いぜきもちいいー」ではなく、社会全体の効率性もデザインされている。
相談内容とその割合の表 p65
住居や家族、雇用の問題の相談が多い。
なぜかを考えたが、そういった身近な問題の法的知識が
ない、目先の問題で忙しくて役所や裁判所などに行く余
裕もない。
教育活動
一般向け啓発ポスターや教材を、医療機関におく。
連携クリニックの情報や、代理指示などの誰でも必要なことについての情報提供などしている。
患者のためのワークショップなどもしている。
→エンパワメントの基本をちゃんとしている。市民が自立し、専門家不足も解消。
アドボカシーと法改正
市民権獲得に関する法律の改正(市民権や移住に関する運営委員会への提出)
、住みやすい住居への権利、安全な
駐車場所の提供、安楽死幇助など。
→組織内活動で完結せず、ちゃんと法改正に働きかけている。んー、大学レベルのちからがやはりほしいな。
3.事例の紹介
時間がないので割愛。資料読んでね。(残念、そこが知りたいの。といいつつ、少しだけ拾い読みしてくれた)
精神疾患患者の立ち退き対応。裁判での対応、併存する離婚問題・在留資格などの対応と医療情報保護
孤立した高齢者がひどい状況から転居せざるを得なくなったときに、家主に対してきちんとした家屋環境を整備
するよう交渉したり。
質疑応答:
貧困者医療において、住宅の問題が大きい。しかし医療者は家に入りにくい。
行政や業者が、貧困者に質の悪い住居を積極的に紹介するビジネスにしてしまっている状況すらある。
→トロントにも大きな問題がある。住居の提供者で一番大きい組織があるが、収入保証を受けながら住居を得た
い人は、Waiting list に載せられて10年以上またされる(生活保護受給者の入居拒否問題と似ている)。
→対策は、患者自身の給料を上げて属性を高めるしかない。法律面でも、入居者が守らなければならない条件が
いろいろある。無料で入居できる仕組みはなく、限定的ないくつかの仕組みがあるだけ。
→とりあえず今大事なのは、退去命令に対して住居権を守る活動は日々しているが、救急医療と同じで下流・事
後的で根本的ではない。トロントで退去命令への対応の支援が必要な人は4万5千人いて、ほかから支援は受け
られていない。これだけ多くの人に対して済む権利が守られるようにする仕事は重要で面白いが、これだけでは
解決しない。
死亡事例ではどうか?
日本では、暑い時期に電気代支払いできず、電気が止まって熱中症で死んだ事例がある。そういう事例では、法
律家としてなにかできることはあるのか?
→トロントではむしろ冬の問題。どうやって冬場に暖を守るか。Civil retigation という市民権を守る取り組みが
一つの答え。法律家が無料で法律相談に乗るサービスなどもある。
カナダの識字率は低い
5段階の最低レベル(絶望的、医薬品のラベルが読め
ない)が17%、
2段階目(ちょっと困難、簡単な資料は読めるが新し
いスキルの習得は難しい)が49%。
高校卒業レベル(3段階目、仕事と生活に困らないレ
ベル)がないと「低い」と判断され、4・5以上とで
は収入が有意に違う
健康上の直接被害では、医薬品の誤った使用、安全な活動
ができないリスク。
間接的被害には貧困率、非健康的な生活習慣、子宮がん検
診受験率などの低さとも相関している。
リーチアウトアンドリードは、ネットにもたくさんの資料がある
早期識字をヘルスケア主導で行う(医療でなく、ヘルスケアという言葉がベースなのが、意識面でよいですね)
1.待合室を識字向上に使う→多言語の古本、雑誌、
ポスターのある読書コーナー
2.識字ガイダンス →子供と読書する環境があるか
をスクリーニングし、読むことの重要性を伝えるカ
ウンセリング
3.書籍配布→年齢に合わせて配布する
幼稚園終了までに「親が行う読み聞かせ」が、識字率に影響するというエビデンスを背景にしている。
リーチアウトアンドリードで、読み聞かせ頻度が増え、6ヶ月までに参加すると平均以上のリテラシースキルを
獲得し、表現力や感受性の言語スコアが優位に増えた。
書籍の資料提供の連携先として、子供の本バンクや公立図書館、その他多くのところから書籍と資金の提供をう
けている(自腹でやらないのが重要!)
資料配布用バッグが、年齢別にある。
セットで配布しており、何ヶ月までにこのバッグを渡したかが一つのプロセス指標になっている。
施設紹介パンフもあり、どこに行けば学べるかもわかる。
クリニックでは、
「本を読んでいるか」を問診に組み込んでいる。看護師が、週に何時間本の読み聞かせをしてい
るかをききとったりして電子カルテに記入していく。本のバッグを渡したかも電子カルテに記入される
患者分布
まずしい地域ほど、ROAR チームが関わる患者の割合が高い。貧困層にリテラシーの低い人が多い。
課題は、資金提供を確保し続けること、親の世代の識字率向上にもつなげていきたい
質疑応答:
日本にも移民が多く、全く日本語がしゃべれないコミュニティーがある。両親が全く喋れず、子供が日本語を喋
れて通訳するような状況。両親がまったく言語を扱えない場合の、読み聞かせサポートはどうしているか?
→トロントの ROAR では、主要言語の一つは英語だが、言葉がわからなくてもよい、本の内容がわからなくて
も良いとしている。英語の本を英語で読まなくても、「親子で本を読む習慣」自体が重要。Read, speak, sing の
どれかでよいので、読めなくても一緒に喋ったり歌うのでもよい。最終的には親に英語のサポートが必要ではあ
り、そちらも少しずつしている。
資金確保の困難さ、方法は?
→プログラムによって異なる。伝統的でないプログラムは、注意が必要。所得補償だと、ヘルスプロモーターの
ための医師の会に、目的を明確にして申請を出した。定期的に活動の評価を行って成果を報告する必要もある。
法律の問題については、Legal aid なんとかに申請して資金援助を得た、そういう仕組みがある。リテラシーだ
とより一般的な内容なので、公立図書館など幅広く資金や資源の援助を受けた。リサーチの形で資金(科研費的
な?)を得ているものもある。
医師の養成と配置について、国や州が決めているのか?
→カナダでは、高校を卒業し、学部生として大学で3-4年学ぶ(歴史とか)、そのあと医学校が3-4年。
医学校卒業までに専門を決め、レジデンシーが2年間。その後専門医になりたければ最長10年学んだりする。
→家庭医については、選別の時期がある。申請をするときに志望動機を書き、面接を受け、希望するプログラム
に参加する。(質問意図の、定員制限などの強制配置については言及なし)
病院に対する診療報酬制度。日本では経営が厳しくて、活動をするための資金がないが、どうしているか?
→医師は政府から直接資金を得ている、民間から資金を得るのはごく一部。公的制度の中にあるプログラムで
あれば、医師に対する資金は政府からしか得られない。そうでなければ資金源は複数でよいのでいろいろ組み
合わせる。資金が足りない場合は、寄付を募ることもできる。聖ミカエル病院では、最近寄付金で新たに建物
を作った。非営利の民間団体では、また別の形で資金を得ている。まあ、いろいろ複雑(説明しにくい部分も
あるので、明日の飲み会で。とのこと)
家庭医療チームの中で、各専門家のコミュニティエンゲージメントなんとかの役割。
→足専門家は医師ではないが、足の問題の専門的なケアを行っている。このあとのレクチャーで紹介がある
※この下から、昼食後+時差ボケの集中力低下、言葉の定義や背景知識不足などでメモの質が低下、夜の振り返
りもここまでで2時間以上かかって疲弊したので急に雑になっています。すいません。
※コミュニティーエンゲージメントの定義やイメージなどの説明がなく、しっている前提で話が始まり辛い。
コミュニティエンゲージメントのベネフィットは
健康行動が増える、健康アウトカムが改善する、健康問題についての意識・知見の向上
リスクは、消耗や財政負担などや、障害者を取り込めない、コミュニティーの信頼関係の破綻、参加者の経験評
価が低いなど。→単に介入してもよくない。らしい。
実際に行った実践的な文献を提示。
コミュニティーメンバー、特に医療の素人の参加が望ましい
シンプルな内容にして実行可能性を高める。期間が短く、成果が感じやすいほうが良い。
スキルを開発する訓練を組み込む。
単なる情報提供や協議だけでなく、関与、協力、最終的にはエンパワメントのほうがより高い次元で良いとされ
る。
→うちでは情報提供かせいぜい協議まで。関与している活動もあるが病院の医療活動や経営のレベルではなく、
院外地域活動に限定されておりまだまだ。でも、この関与を経ないと、協力やエンパワーまでいけないというい
みなのか?焦らず1個ずつクリアしていきたい。
SMH では戦略に組み込み、公平性に注目して、専門家や患者の役割を定義している。
p85の戦略図。
公平性重視のコミュニティーエンゲージメント
同じ地区に済、同様の関心や状況の影響を受けつつ、協力しあって、課題などに対して共同で活動する
成功する諸原則→先行活動の分析・研究から
ニーズ評価が特に重要。
アウトリーチ:先住民・異民族のコミュニティーの声を取り入れ、サービスやプログラムにつなげていく。
アドボカシー:コミュニティをいろいろなものにつなげていく(声が届くようにしていく?)
情報提供された患者:患者や住民の声を拾い上げるための評議会で、活動計画の優先課題を共同で設計する
障壁の削除:防寒着の提供、ビル火事後の避難者への住居の提供など
カナダには先住民が多い。見た目が異なる人も多い(トロント市内でも、カナダ全体でも)
医療現場で、差別にもつながっており、健康の不平等にもつながっている。うつ病や高血圧、健康感などが民族
によって異なる。
民族差別は、SDH である!
目標:
意識の向上―医師や他職種、事務や栄養士などすべての医療関係者に対して問題意識をもってもらう
反差別の取り組みの相乗効果―外部組織とつながり情報交換をして、成功例を学ぶ
全スタッフをまとめる
この間の活動
資金集めは、特定の人の寄付や、上手な宣伝など
1年目の(今年)の活動では、まずは文献レビューで現状を評価しつつ、毎月のニュースレターやスタッフ向け
アンケート調査+ワークショップで意識を高めている。次年度からは発表・出版したり、スタッフ向け講演会シ
リーズをしつつ、患者・住民向けのフォーカスグループインタビューやアンケート調査を行う予定。
→この2年目が、ようやくコミュニティーエンゲージメントになる。らしい。
(具体的にどんな問題がありどう対応しているかがいまいちわからず、民族差別大変なんだなぁというメッセー
ジしか受け止められなかった。発表者自身は強く問題意識を感じて、手探りしながら頑張っているようで、対比
で自分は関心が低かったことを感じ取った。北海道だとどうなんだろうか。在日の外国人や、アイヌとか?)
Equity のためのフレームワークで、様々なものを組み合わせている。
(個々の組織では、何度も出てくるフレームワークやイメージで、4つとか5つの異なる領域・次元を組み合わ
せている。これが個人や単独組織での、日常生活の延長ではなかなか難しい。大学と行政と民間の連携がないと
無理ではないかと感じてしまう。しかし、終了後の振り返りなどでは、これを民医連内で目指したいという意見
がちらほらあり、ちょいと違うのではとも感じてしまう)
ニーズアセスメントと優先的な集団の同定、問題点と
目的をリストアップ
→リサーチし分析→推奨をだす
→実施
→モニタリングし評価しながら再評価して
→またニーズアセスメントに戻る
(PDCA にも似ているし、COPC そのものと思うが、なに
か新しいのか?わからん。COPC だと健康問題について
だが、HEIA では公平性に注目しての計画・活動・評価
ということ?)
Step1 で特定の弱者集団をリストアップして、そ
れぞれについて評価や介入計画を書いていくマ
トリックスのようだ。
質疑応答
実例は? →障害児の支援の実例提示
差別について難しいのは、差別している自覚や差別への関心がない人への対策→難しいが・・・(頭に入らず)
研究や発表は? →(頭に入らず)
学生にも教育としてかかわらせているのか?→まだ。
質改善について
例えば、歩行者が最も多い交差点で、歩行者の安全を守るためにどうするか。渋谷のスクランブル交差点を例と
して取り入れてみたら、これが成功して、より安全で効率的になった(時間あたりに交差点を渡れる人の数が多
く、かつ交通事故が少ない)。
次回受診日に来ないときに通知を送る(中断連絡)とかも含まれる。
Equity では性的マイノリティとかも扱う。
HIV、HCV、オピオイド乱用患者で、それぞれ特性が異なるので、優先順位を変えていく。
どの集団もアクセスの問題があることがわかり、それをどう改善するか検討していく。
日常的に集めている患者属性データと健康アウトカムとの関連付け
年齢が若いほど DM コントロールが悪い
所得が低い地域ほど、がん検診を受けていない
→住所をみて「がん検診受けていますか?」と質問したり、医療行為に反映させていく。
菊水の徒歩圏患者では医療費について注意したり、 40歳以下の糖尿病では SDH に配慮したりという日常と
同じだが、よりシステマティックにしている。
住所や保険種別と所得との関連をちゃんとデータ化したい。
カナダでは、住所別の所得の情報のデータを自治体からもらえるらしい。
(適切なデータのとり方など、スライド上ではここが一番面白そうだったが、時間の都合でバッサリと圧縮)
地域訪問では、住民に「病院にどういうことしてほしいですか?」という質問を必ずしている。
→声の大きい人の主張や、病院に肯定的な耳障りの良い主張が強調されておわってしまう。そうならずに、Equity
の視点で真に困っている人の声を拾い採用していくためにはどうしたらいいか?
→性的マイノリティなどプライバシーの高いものは、同意した人だけが任意でアンケートに答える形式になって
いて、個人が同定できないようにしている。
安全性の問題については、高齢者に対するベンゾ処方の問題がある。
これについて、患者が情報にアクセスできるようにしたり、情報提供したりしていくことも重要。
当日の解説では既知の事実として説明されない前提条件となる知識が足りない人が学ぶには厳しかった。高密度
のレクチャーが中心であり、もともと相当知っている人か問題意識が高い人でないと全部吸収することは難しく、
短時間の質疑応答時間で質問をひねり出すのは難しいだろう。結果的に聞くことに大半の時間が費やされ、これ
なら事前配布資料を読むだけでも十分と感じてしまう(問題意識をもって、休み時間に現地の人と積極的にコミ
ュニケーションを取っていた数名は参加価値があったと思うが、あれを狙いに交流会とするなら英会話スキルを
参加条件にして選抜しても良いと思う)
。
学んだことを深め持ち帰る仕組みも足りないと思う。日本人参加者内での振り返りがなされなかったこと(昼は
削除、夕は感想交流だけで終了)がとてももったいない。参加者に各セッションの報告書作成が課されてはいる
が、何の目的で誰に読んでもらうかが共有されていないこともあり、「適当に要約すればいいんじゃない?事前
配布スライド見ればわかるし」と発言も聞かれ、なおさらわざわざ本場に参加した意義が感じられない。
・レクチャー資料や参考資料を事前に読み込むのを参加条件として事前課題のレポート提出を義務付ける。
・事前に質問や疑問を集めておいて、当日はその話題に焦点を当てたディスカッションに時間をとる
・読まれないビジースライドはなしにして、配布資料や参考文献を充実させてもらう
・事前に各医療機関や参加者個人の課題を考えてきてもらい、それを解決して帰るまでをプログラムに入れる
くらいの仕組みが必要だろう。参加コスト(渡航費だけでなく、各病院の戦力が1週間抜けるダメージなども含
めて)を考えると、それぐらいの参加ハードルはあってしかるべしと思う。
あと会場が寒すぎて、冷え性には辛い。集中力低下だけでなく、体調が悪化してしまった・・・
また、自分の学習スタイルというか、情報入力パターンの不器用さを改めて痛感した。
「聞いて学ぶ」こと、とくに「複数の音を聞いて学ぶ」ことが極端に苦手で、英語かどうかの問題以前だった。
頼りの「読んで学べる」スライドは、元スライドを日本語訳した部分の誤訳や意訳が割とあり、日本語通訳の医
療制度や専門用語を知らないがゆえの誤訳も重なって、「日本語で聞いて違和感→日本語スライドみて更に違和
感→英語スライド探してもとの単語みて意味を理解→その間に話が進みまくってついていけなくなる」という場
面が何度もあり、返って処理する情報量が増えて辛かった。最初から英語スライドのみ見ればよかった。
帰ったらやりたいこと
住所や保険種別、年齢や職種・職場で、収入などの SDH と関係づけて、効果的な質問・スクリーニングや介入
につながるようにしたい。これがまず課題。
日本のデータをもう少しちゃんと勉強したい、既存の仕組みや集団をしりたい。
あとは、個人の病院でお金と人を集めるのではなく、地域単位や法人全体で法律家を雇うなど効果的に資源を活
かしたい→センター化や地域内連携。
月間の地域訪問や、院所利用委員会に関わって、地域住民と話し合う機会を作り、活動に参加してもらい、徐々
にエンパワメントする流れを作りたい。またその経過を各種委員会や管理部会議にだし、全職員に伝える機会が
必要。