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平成13年度 教育論文

道徳の時間で広がる、心の世界

∼子どもに沿った主題の立て方や
価値の自覚を深める活動の場の設定を通して∼

( 51 ) 熊 本 市 立 託 麻 北 小 学 校

教諭 田中 恒次
も く じ

もくじ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2

Ⅰ 研究主題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P3

Ⅱ 主題について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P3

Ⅲ 研究仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P5

Ⅳ 研究の構想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P5

Ⅴ 研究の実際 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P8

実践例1 「にじいろのさかな」 (2年) P8


実践例2 「すずりがいけ」 (2年) P13
実践例3 「花びらのたび」 (2年) P15
実践例4 「湖からのメッセージ」 (4年) P20
実践例5 「葉っぱのフレディ」 (5年) P23

Ⅵ 研究の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P28

おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P30


は じ め に

思 わ ず 、「 う ま い ! 」 と 口 に で た 。 あ る 全 国 規 模 の 道 徳 教 育 研 究 会 で の 授 業 を 参 観
し た 時 の こ と 。 主 題 は 『 進 ん で 働 く 心 』。「 掃 除 」 を 例 に 、 子 ど も た ち と や り 取 り を
していく。教師は徹底的に、子どもたちの言葉からキーワードを拾おうとする。
【つらいけど、きれいになると楽しくなっていく】
【つらいことがないと、楽しいことも楽しくならない】
こ れ ら は 、“ 働 く ” こ と の 様 相 を 言 い 当 て て は い る が 、 一 面 的 な 見 方 で あ る 。 こ の
時 点 で 、 1 5 分 が 経 過 し て い た 。 普 通 な ら 、「 導 入 が 長 す ぎ る 」 と 言 わ れ る と こ ろ で
あろう。しかし、教師に焦りはなく、暖機運転を楽しむかのようだった。それが伏線
となって、授業は、一気に中心場面へと突入していく。
資 料 は 、「 駅 長 さ ん と 青 い シ グ ナ ル 」

定年を迎えた日。小さな駅の駅長さんが、乗降客のない最後の列車に笛を鳴ら
し、大きな声で駅名を告げる。最後まで、精一杯働く姿が紹介されている。

順序立てて、あらすじを追うような学習活動はない。子どもたちは、導入で学んだ視
点から、その子なりの『勤労』という窓口を広げていく。
【人に役に立つことの楽しさを感じているから】
【最後まで充実した生き方をしたいから】
こ れ ま で 、 自 分 自 身 、「 本 音 か 建 て 前 か ? 」「 価 値 の 押 し つ け か 否 か ? 」 と い っ た
議論を随分してきた。上記の授業は、参観者である私の目を見開かせてくれた。
道徳の時間は、子どもたちそれぞれの「価値という心の窓口」を広げる時間 である
ことを再認識させられた授業だった。

さて、昨年度から、一単位時間の中に「活動」を組み込んで、子どもたちが楽しみ
な が ら 、意 欲 的 に 道 徳 的 価 値 を 実 感 す る 研 究 に 取 り 組 み 始 め た 。次 へ の 発 展 的 課 題 は 、
○資料や子どもの実態に応じた「活動」の開発
○より「活動」を生かすための「主題」の再検討。
といったものだった。
そこで、今年度は、2年生になったクラスの子たちだけでなく、中学年、高学年の
子どもたちにも取り組みを広げ、その効果の有効性を検証してみることにした。
▼ 本 稿 に 掲 載 し た 授 業 は 、本 年 度 に 行 っ た 、す べ て 参 観 者 の い る「 研 究 授 業 」で あ る 。

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