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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

セカンドミーティング1日目 後期研修説明会
基本領域のひとつに追加された
いわゆる一階部分
二階のサブスペ領域との連結は不透明

総合診療研修の制度面 ?

北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター(GPMEC)
勤医協札幌病院 内科・総合診療科科⾧

佐藤 健太
dr.kenta.sato@gmail.com
総合内科専門医+家庭医療専門医+リハビリ認定医

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総合医は、全疾患ではなく
総合診療専門研修 プログラム整備基準
Common Diseaseのエキスパート
• 理念 全部ではなく頻度順・ニーズ順
少ない知識で多くを救える
健康に関わる諸問題に適切に対応する医師 Common diseaseは専門的に
を育て国民の健康・福祉に貢献 広く浅くではなく、深くしっかり

• 使命 • 診療所ではTOP50の問題で、
日常病(Common disease)の対応 地域の全問題の8割を占めている!

継続的・全人的診療 50個の病気を覚えれば8割方対応出来る
残り2割はレア疾患なので専門医と協力すれば良い。
予防~介護~看取り、保険・医療・介護・福祉活動 • 山田隆司,「日常病・日常的健康問題とは」日本プライマリケア学会誌. 2000

地域の人々の生命と健康に関わる幅広い問題に対応 比較 消化器疾患は教科書的なものだけで70コ
循環器疾患は86コ、神経内科は100コ以上

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

専門医機構が推奨する、標準的なローテ例
プログラムの必須条件
科 期間 施設

大病院 or
内科 12か月 中小規模病院

小児科 3か月 札病(小規模)

救急 3か月 中病(大規模) ・選択研修期間がとれない!


Ⅰ :診療所・小病院 Ⅰ:診療所 ・総合研修なのに内科ばっかり!!
総合診療 Ⅱ:病院総合診療部門 中小規模病院

専門研修
・僻地に1年行かないといけない!!!
各6か月以上
Ⅱ :札病or中病
合計18か月以上

2019/2/27

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ルールの範囲内で工夫した例 地域枠対応の4年コース

勤医協札幌病院

・内科研修(総合内科)と総合研修Ⅱ(小病院一般内科)
北海道の基準に合わせる
を6ヵ月重ねられる! ・1年目は、指定の僻地病院(総合内科OK)
・臓器別内科をローテしなくて済む ・2・3年目は、指定の僻地診療所
・4年目は病院指定なし
・選択研修期間を6ヵ月作れる!
※要は、けっこうカスタマイズ可能。4年コースの方が充実

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

コンテンツ 総合診療研修Ⅰ
• 制度面の総論 診療所、地域の中小病院
• 各ローテ科の解説 ・外来(小児・高齢者含む)
– 総合Ⅰ・Ⅱ、内科、へき地 ・訪問診療
• 内科と総合診療との違い ・地域包括ケア病棟
• 2階部分・Subspecialについて
様々な病期の疾患の
多彩な側面を経験

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総合診療研修Ⅱ 内科研修
中~大規模病院(内科研修にカウント可能) 総合診療Ⅱと6ヶ月間は重複させてよい
・急性期…一般病床がある、救急がある 実質、総合研修をずっと続けられるようになった
※もちろん、循環器内科や呼吸器内科を選択してもよい
・総合的…臓器別でない病棟と外来がある
(診断推論能力、疾患管理のレベルアップ) 内科基幹施設に加え、協力型施設もOK
民医連的な、中小規模病院の内科・総合診療科も可

※内科専門研修の「内科」は、臓器別専門内科
大病院中心、外部研修を追加しないと不足しがち
外来・在宅みられる保証ない
疾患コレクションが前提(ローテ研修3周目)

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

• 全科ローテーションで全疾患を診る力がつく
全専門科の 短期ローテ
循環器○月、呼吸器○月、 というのは幻想
消化器○月、腎臓○月・・・
※効率が悪い、前ローテを忘れる
• ジェネラルな診療環境での⾧期研修が理想
• 研修をしていて「補強が必要」と感じた部分を
追加できる仕組みが望ましい
多彩な疾患を診る ⾧期研修
外来の一人目が心不全、
二人目が肺炎、三人目が不安障害
• 内科専門研修を選ぶ場合も同じ
※事前確率を正しく認識できる ローテ数を削って1科あたりの滞在期間を⾧くする
病棟・外来・在宅を並列で経験
※同じ患者・疾患を多彩な面から診れる 総合病棟を⾧く取るほうが「内科」主治医力は高まる

後者の方が「内科の臨床能力が上がる」
エビデンスあり

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へき地研修
• 必修に加えて「へき地」にも行け! ではない
内科、救急・小児、総合診療I・IIの
どれかが「へき地」に該当すればよい
→指導医独り占めの僻地小病院・診療所はお得

• へき地等の定義 は一般的感覚とは異なる
へき地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域
過疎地域自立推進特別措置法に定める過疎地域で
「総務省が定義」

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

研修の中断、開始時期について GPMEC後期研修2019
研修中断(子育て・病気療養・介護など)
6ヵ月以内の中断なら延長不要 総合診療専門研修 内科専門研修
6ヵ月以上の中断でも、中断前の研修歴は有効 • 総合診療専門医の • 内科専門研修の
ためのプログラム 総合内科部分を担う
すぐに後期研修を始めなくても良い • 3年間
(地域枠医師は4年間)
事情が落ち着くまで保留して、4年目以降で登録してもいい
新専門医制度のプログラム外
モラトリアム研修(初期研修3年目)を1年しながら考えてもいい で総合研修希望者
内科研修で症例を蓄積しておき、次年度以降に移ってもいい • 専門研修登録前の
総合内科1年コース

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

コンテンツ ジェネラリスト向け専門医資格は?

内科専門医
• 制度面の総論
• 各ローテ科の解説 総合内科専門医→
• 内科と総合診療との違い
• 2階部分・Subspecialについて
家庭医療専門医

→ 総合診療専門医
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内科専門医 総合診療専門医
内科と総合診療の重複
ノルマ 56疾患群・160症例 総合・内科等の診療経験
サマリー29編 ポートフォリオ20編 • 総合診療の専門医試験の一部に
学会・論文発表2編 教育・研究
ACLS受講
内科専門医の筆記試験が出されるらしい
JMECC受講
研修施設 基幹:大規模の急性期 中~大規模の総合診療部門 • 総合診療研修でも、内科専門研修と同じ
連携:中小病院 地域の中小病院や診療所 システム(J-osler)で内科症例登録が必要
規模・機能・地域性を幅広く

場面 原則的に入院症例 内科研修部分は入院症例
(外来症例は上限あり) 総合・救急・小児では • 1年目で内科・総合両方睨んだ症例集めれば
外来を重視 途中で反対側に行きやすい。
サブスペ サブスペ内科の
13領域はほぼ確定
未定(後述) • どちらかを取ったあとのダブルボード取得も
若干しやすくなった、かもしれない
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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

総合診療医の方が強いこと
家庭医療専門医試験のレポート
Common diseaseを質高く深く診療する!
Rare diseaseの診断推論(ドクターG的)は、むしろ総合内科的
Health promotion(健康増進) • 生物心理社会モデル • 個人への健康介入
他科も「疾病」予防はするが、病名がつかない人には手が出ない • 家族志向のケア、家族カンファ • 幼小児・思春期のケア
Community care(地域医療) • 複数の健康問題への統合ケア • 高齢者のケア
他科も僻地で診療はするが、地域のニーズや疾病頻度(Common • 行動変容アプローチ • 終末期のケア
disease)に合わせてやり方を変えられない
• 地域のヘルスプロモーション • 女性の健康問題
家族ケア・統合ケア • EBMの応用 or ラポール形成 • リハビリテーション
他科も複数の問題を扱うが、全体像で捉えての全体最適化は苦手 • プロフェッショナリズム or 生涯学習 • メンタルヘルス
ライフサイクルアプローチ • 業務改善orネットワーク構築 • 救急診療
患者の世代別に頭を切り替える、長期的な人生を意識して関わる • 医学教育の取り組み • 臓器別疾患診療:20例
システム構築(System architect) • 臨床研究 内科7・マイナー科3領域含む
診療のため、地域の健康のために、既存のシステムを知り、改善する

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生物・心理・社会モデル : 家庭医 総合診療医:患者個人を中心に、周囲の家庭や地域も


国 国

地域 地域

家庭 家庭

個人 臓器 個人
臓器
臓器 臓器
臓器
細胞 細胞 臓器
分子 分子
生物・医学モデル : 臓器医(肝臓病専門医、心臓血管外科医) 内科専門医:全臓器をカバーし、個人の全問題に対応

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

コンテンツ 総合診療の2階がどうなるかは不透明
• 制度面の総論
• 各ローテ科の解説 ? 病 診
院 療
• 内科と総合診療との違い 総





• 2階部分・Subspecialについて

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一般内科(内科疾患マスター)には
本音と建前
Sub-special(範囲は狭いが深く掘り下げる)
「総合に2階ない問題」は、内科学会側の死活問題
極めるほど狭くとんがっていく
・総合診療医が増えると、内科専門医が減る
「専門を中心に幅広く」は難しい
内科学会の収入と権力が減る。
・内科以外からサブスペ内科に行けるのも困る
「総合診療経由で○○内科へ」が増えても、取り分が減る 総合診療(地域の健康問題を幅広くカバー)には
Special-interest(興味深い地域・住民・疾患特性)
こっそりラブコールを送ってくる学会は複数ある 極めるほど広く分厚くなっていく
1階:リハ・救急など(初期直後に入る人が少ない) 「臓器や科」で区切る
2階:感染症・老年・在宅は、相性が良い ↓
臓器別内科もパイは増やしたい(けど言えない) 「患者層」を追加して拡張

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全日本民医連セカンドミーティング 総合診療後期研修説明会

全国(学会・論文、全日本民医連、Web・SNS)
Special interest向きのジャンル 地域(他院・医師会、介護・施設、他業種・企業、行政・NPO、学会地方会)
病院(多職種、委員会、組織)
×臓器別 産 小 産
更周
更 婚産
周婚 学思
学 ス小
思ス メが
メ メ産
がメ 老虚廃老 超慢癌緩
消化器内科、循環器内科、etc. 年産
年 前婦
産前 婦 校春
校 ポ児
春ポ 児 ンん
ン タ業
んタ
業 ・年
年弱用 高性診和
期期
期 評人
期評 医期
医 ー科
期ー タ ボ
タ ボ医 症 栄 齢疾療
価人 ツ科 医 候 養医 者患 医
科 ツ 学 ル
ル 学
○セッティング別 価
科 学 学 群 学 学
診療所、僻地、在宅専門医
家庭医療学(旧医学の超越→内科と他領域の融合)
病院総合診療、集中治療、救急医療
○世代別
私を形作る専門能力の全貌
内科学 (疾病の診断と治療→全ての基本)
リハビリ医学(生活困難のケア→医療と介護の橋渡し)
小児・女性、スポーツ・産業医、老年・終末期
公衆衛生学(集団の健康管理→病院と地域の橋渡し)
○周辺領域 管理:診療の質改善・地域の健康指標改善、企業経営、組織管理、街づくり
医学教育・臨床研究、経営管理 研究:プライマリ・ケア現場での臨床研究・地域住民参加型研究
教育:医学教育・成人教育・多職種共同学習

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専門医取得後の進路
• 大病院の総合診療・救急系診療部スタッフ
• 中小病院一般内科の医長
• 診療所の所長(ソロ・グループ)

• フェローシップで学ぶ(在宅・教育・経営・リハ・緩和などの)
• 大学の総合診療、医学教育、公衆衛生系の講座の助教
• 臨床をしながら社会人大学院で臨床研究

• 海外留学、海外の家庭医
• 船医、青年海外協力隊
• 子育てしながらの診療、etc.

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