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織 構 造 と密 接 な 関連 が あ る と考 え て よか ろ う。 した が って,著 者

ら の 方 法 で 得 た 結 晶 化 度 の 値 は,相 対 値 と して 妥 当 な値 とい え る 。
他 法s'"le)による 結 晶 化 度 の値 は 測定 試 料 の成 型時 の使 用 圧 に よ
っ て も変化 す る◎1000kg/cm2お よび2000kg/cm2で 圧縮成 型
し た場 合 の測 定 値 を,表4に 掲 げ た。 著 者 らの 方 法 に よ る測 定 値
は ・ 成 型 圧 が 変 わ っ て も 同一 値 を示 す が ,他 法 に よ る 値 は1000
kg/cm2の と き よ りも2000kglcm2の と きの 方 が 大 きな 値 を示 し

た ◎ これ も 明 らか に 繊 維 配 向の 影 響 に よ る結 果 であ る◎ こ の影 響
は,結 晶 性 干 渉 ピ ー クだ け で な く,パ ッ クグ ラ ウ ン ド強 度 に も関

与 す る と考 え ら れ る◎ 著 者 らの 実 験 で は,結 晶 化 度 測 定 試 料(円
柱 状 試 料)の 成 型 時 の 使 用 圧 に よ って,ま た 試 料 に 対 す るX線 の に 非 晶 部 分 が 存 在 す る と して も,そ の 状 態 が 同 一 で な い こ とを意

入 射 方 向(α'=O∼90。)に よ っ て,パ ッ クグ ラ ウ ン ドの 強 度 お よ 味 す るの で,他 の 非 晶 性 物 質 の 散 慢 散 乱 曲 線 を そ の ま ま セ ル ロー

び2θ 方 向 の 強 度 分 布 が 異 な る こ とを 認 め た 。 た と えば α'=90。 ス 繊 維 のX線 回 折 図 に お け るパ ッ ク グ ラ ウ ン ド曲 線 と し て使 用 で

の と きは α'=0。 の と き よ りも水 平 に 近 い パ ッ ク グ ラ ウ ン ド強 度 きな い。

分 布 とな る 。各 種 の試 料 繊 維 間 で もパ ッ クグ ラ ウ ン ドの強 度 分 布 著 者 ら の 結 晶 化 度 測 定 法 は,従 来 の 測 定 法 の 理 論 的,実 験 的 誤


が 異 な る◎ それ ゆ え,種 々の セ ルPt一 ス のX線 回折 図に 対 して 同 りを 是 正 した 方 法 と して,セ ル 質 一ス 繊 維 に 限 ら ず 他 の 繊 維 状 ポ
一 の バ ッ クグ ラ ウ ン ド散乱 の形 を用 い て リマ ー の 結 晶性 に 関す る知 見 を 得 るた め に 有 効 で あ る◎
,結 晶性 干 渉 ピ ー ク とバ
ック グ ラ ウ ン ドとを 分 離 で きな い◎ この こ とは,セ ル 獄 一 ス繊 維 (昭 和41年4月,日 本 化 学 会 第19年 会一 部講 演)

統 計 的 枝 分 れ 高 分 子 の 希 薄 溶 液 物 性*1

非 理 想 溶 媒 中 で の 挙 動 II

(昭 和44年1月8日 受 理)

阿部充 雄 ・岩 間 真 道 ・本 間 輝 武*2

枝 分 れ ポ リマ ーの うち,枝 分 れ が 発 生 す る点 お よび そ こか ら 出 る枝 の 長 さ,す べ て が ラ ンダ ムに 分 布 した,い わ ゆ る統 計 的 枝


分 れ 分 子 を 含 ん だ ポ リスチ レ ンを 重 合 した。 これ を カ ラ ム法 に よ って 分 子 量 分 別 して,得 られ た 各 区 分 に つ い て 次 の 条 件 下 で 各 種
実 験 を お こな った。 す な わ ち この 試 料 に 対 して の θ条 件 で あ る,シ クロ ヘ キ サ ン35℃,貧 溶 媒 と してのMEK30℃,お よび 良 溶
媒 と して の トル エ ン30℃ の 三 種 を 選 ん だ。 三 条 件 下 で の 光 散 乱 実 験 か ら,Mwお よび[S2]zを 求 め,統 計 的 膨 脹 因 子(αs)を
得 た。 また極 限 粘 度 測 定 実 験 か ら,流 体力 学 的 膨 脹 因子(αη)を 求 め た。 これ らの実 験 を直 鎖 状 ポ リス チ レ ンに つ い て もお こな っ
た。
そ の結 果,統 計 的 枝 分 れ ポ リマー に対 す る膨 脹 因 子[(αs)b,(αη)b】 は,同 一 分 子 量 の 直 鎖 状 ポ リマ ーが 示 す 膨 脹 因 子[(αs)1,
(αη)1]に比 べ,ほ とん ど等 しい か,や や 小 さ い 傾 向 が あ る こ とが わ か った。
以 上 の こ とか ら,枝 分 れ ポ リマ ー の分 岐 度 定 量 に 際 し,良 く分 別 され た試 料 に 対 して良 溶 媒 中 で の[η]を 求 め,分 子 量 と して
は 基 本 的 に はMwを,ま た 簡 易 迅 速 法 と して はMnを 用 い て も,θ 状 態 での 実 験 に 比 べ,精 度 的 に ほ とん ど問 題 な くお こな え る
と結 論 で きた。

一方
,枝 分 れ ポ リマ ー に つ い て は,1949年 にZimmとStock-
1緒 言
mayer1)が 報 告 した 理 論 解 析 に よ っ セ,そ の分 岐 度 の定 量 が 基 本
一般 に 得 られ る高 分 子 物 質 は,分 子量 的 に不 均 一 であ っ て 分 子 的 に 可 能 であ る こ とが 示 され た◎ そ れ に よ る と,光 散 乱 測 定 に よ
量 分布 が 存 在 す る と考 え られ る し,そ の上 分 子 の 形 状 と し て も直 っ て得 られ る 自乗 平 均 慣 性 半 径(〈S2〉)が 精 度 高 く求 め られ さえ
鎖 状 分 子 ば か りで な く,枝 分 れ した 分 子 を も含 ん でい る と考 え ら す れ ば,少 な くと も原 理 的 に は,分 岐 度 の 定 量 が 実 際 に 行 なえ る
れ る◎ こ とが 示 され て い る◎ そ の 後 いろ い ろ な 形 の 枝 分 れ ポ リマ ーに つ

高 分 子 科学 の 発 達 に 伴 って,分 子 量 お よび 分 子 量 分 布 の 測 定 に い て,そ れ ら の 希 薄 溶 液 中 での 挙 動 に つ い て の理 論 解 析2虜 が な

関 して は,理 論 的 考察 は もち ろ ん,実 験 的 に も迅 速 に精 度 高 く求 さ れ た◇
め る方 法 が考 え られ 体 系 化 され て きた◎ これ ら の理 論 に よる と,枝 分 れ ポ リマ ー に つ い て そ の 分岐 度 を

*1前 報(第1報) ,阿 部,松 島,倉 田,第16回 高分 子 討 論 会 1) B. H. Zimm, W. H. Stockmayer, J. Chem. Phys., 17,
(福岡,1967)投 稿中、 1301 (1949).
*2MitsuoABE ,MasamichiIwAMA,TerutakeHOMMA 2) T. A. Orofino, Polymer, 2, 295(1961) ; ibid., 305(1961).
日本 合 成 ゴ ム株 式 会 社 中 央 研 究 所:川 崎 市 生 田 字 餅 井 坂. 3) B. H. Zimm, R. W. Kilb, J. Polymer Sci., 37, 19(1959).
定量 す るた め の実 験 的 手段 と して は,光 散 乱 法 ば か りで な く,粘 れ る もの と考 え た◎

度 法3)や,超 遠 心 法x・4》
の 利用 が 可 能 で あ る こ とが わ か った◎ 以 上 の よ うな 観 点 か ら,本 報 告 に お い て は 良溶 媒 中 で の1η]
しか しな が ら実 験 的 に は 決 定 的 と思 え る研 究 は あ ま り出 され て 測 定 に よ る枝 分 れ ポ リマ ーの 分 岐 度 定 量 化 の 可 能 性 を 検 討す る 目
い な い よ うで あ る◎ た だ 枝 分 れ 分 子 の 型 と して 最 も簡 単 で あ る星 的 で,前 報*萱と同 様 な 統計 的 枝 分 れ モ デ ル ポ リマ ーを 重 合 して,

型 枝 分 れ 分 子 に つ い て は,ポ リス チ レ ンに よ る モデ ル実 験5♪を 初 分 子 量 分 別 を 行 な って 得 られ た 各 区 分 に つ い て,次 の 実 験 を 行 な


め,応 用 研 究6)も い くつ か 見 られ,比 較 的 厳 密 な 実 験 事 実 が 集 め った 。 実 験 項 目は 主 と して,光 散 乱 実 験 と極 限 粘 度 測 定 実験 であ

られ て い るe る◎ これ ら を,θ 状 態 の シ ク ロヘ キサ ン35℃,貧 溶 媒 と して の
一 方 ,天 然 高 分 子 お よび 合 成 高 分 子 中 に 含 まれ て い る と考 え ら メチル エ チル ケ トン(MEK)30℃,お よび 良 溶 媒 と して の トル

れ る枝 分れ 分 子 は,自 然 発 生 的 であ っ て枝 分 れ す る点 お よび そ こ エ ン30℃ の 各 条 件 の 下 に 測 定 し た◎ そ して こ こ で 得 ら れ た α8

か ら 出 る枝 の 長 さす べ てが ラ ンダ ム に分 布 した,統 計 的 枝 分 れ 分 と αηに 関 して,枝 分 れ した た め に 生 ず る影 響 を 観 察 し よ うと し

子 であ ろ う◎ 一 般 の ポ リマ ー中 に 含 まれ る長 鎖 分 岐 と呼 ば れ る枝 た 。 さ らに,分 岐 度 定 量 と い う問 題 を よ り実 用 的 に利 用 す るた め

分 れ 分 子 は,特 別 の場 合 を除 いて,ほ とん どの場 合 こ の部 類 に属 に,基 本 と な る分 子 量 と して重 量 平 均 分子 量(Mw)の か わ りに,

す る もの と思 わ れ る◎ この 形 の枝 分 れ ポ リマ ー に対 す る実 験 は, 数 平 均 分 子 量(Mn)を 用 い た 場 合 につ い ての 検 討 を 併 せ て 行 な
1953年 にThurmGndとZimm7)に よ っ て報 告 され た,ス チレ っ た◎
ンージ ビニ ルベ ンゼ ンの ラ ジ カ ル 重 合 に よ り得 られ た,共 重合体 最 近,直 鎖 状 ポ リマ ーで の(α 、)ヨと(α η)1の 関 係 に つ い て,
に よ る先 駆 的 研 究 が あ り,そ れ 以 外 には 二,三8)の 例 しか 見 当 ら 厳 密 な実 験 が され,理 論 との対 比 に つ い て の研 究10・11>が
され て い
な い。 る よ うで あ るが,本 報 告 は そ うい っ た厳 密 な検 討 を行 な うこ とは
これ ら の報 告 は ほ とん どの場 合,理 論 が解 か れ た理 想 状 態(θ 臼的 とし なか った。 た だ 分岐 度定 量 を 良溶 媒 中 で の[η]測 定に
状 態)で の検 討 であ っ て,そ れ 以 外 の溶 媒 効 果 が 表 わ れ る系 中 で よ り行 な い た い と考 え,そ の た め に 現 われ る膨 張 因 子に,分 子形
の系 統 的 な 実 験 結 果 に つ い て は,ま だ,報 告 され てい ない よ うで 状 の這 い に よ っ て差 が 表 わ れ る か否 か を検 討す る 目的 で行 な っ た
あ る。 実 験 てあ る◎ した が って,枝 分れ ポ リマ ー に つ い て の(α η)bと
この 溶 媒 効 果 に 起 因 す る高 分 子 鎖 の 膨 張 因子 に つ い ては,特 に (α。)bの 関 係 を 議 論 す る こ とは さけ た◎ こ うい った 議 論 をす るた
枝 分れ 分 子に 対 す る統 計 的 膨 張 因 子 【(α
、)b】
に 関 し ては,枝 の長 め に は,よ り厳 密 な実 験 法 を とる必 要 が あ る と考 え る◎
さが そ ろ っ た 星型 枝 分 れ 分 子 に 対 して の み,OrofinoとBerry9)
2試 料 お よび 実 験 方 法
に よる理 論 解 析 が 示 され て い るに す ぎ な い◎ 一 方,流 体 力 学 的 膨

張 因 子[(α ㌘)b】に 関す る 挙動 や,星 型以外の 枝分れ分子に対 し 2・1直 鎖 ポ リスチ レン


て の膨 張 因 子 に つ い ては,ま った く不 明 の状 態 で あ り,実 験 的 に 枝 分 れ ポ リマ ーが 示 す 希 薄 溶 液 の性 質に つ い て の,実 験 的 議 論

もこれ ら膨 張 因 子 に つ いて の 報 告 は 見 当 ら ない よ うであ る◎ をす るた め に は,そ れ に 対 比 させ る た め,同 種 の 直 鎖 状 ポ リマ ー

高 分 子 希 薄 溶 液 の 実 験 をす る際 に,θ 状 態 です べ て を行 な うこ で の実 験 が 必 要 であ る。 そ こ で この実 験 で は直 鎖 状 ポ リス チ レン
とは,基 本 と して 重 要 であ る こ とは い うま で もな い◎ しか し θ状 と して,PressureChem.Co.よ り市 販 され てい る もの,す なわ

態 が ポ リス チ レンの よ うに 手 近 な溶 媒 で,測 定 しや す い温 度 にあ ち ア ニ オ ン 重 合 に よ り得 ら れ た 分 子 墨 分 窃 が 比 較 的 狭 い 試 料,5

る こ とは まれ であ り,あ ま り一 般 的 とは 思 わ れ な い ◎ そ こ で実 用 種 類 を用 い た(表1)◎

上 か らみ る と,む し ろ良 溶 媒 中 での 測 定 が 重 要 に な っ て くる◎ し
か し先 述 した よ うに 統 計 的 枝 分 れ ポ リマ ーに つ い て の,良 溶 媒 中
での 挙 動 に 関 して は 何 の 解 析 も され て い な い か ら,良 溶 媒 中 での
測 定 に よ って 分 岐 度 の 定 量 が 可 能 か 否 か 不 明 であ る。 した が って,
膨 張 因 子 の 挙 動 を 実 験 的 に 検 討 して お け ば,枝 分 れ ポ リマ ー の 分
岐 度 定 量 を,良 溶 媒 中 で の 実 験 で 実 施 可 能 と させ る手 掛 りを 得 ら

4) W. H. Stockmayer, M. Fixman, Ann. N. Y. Acad. Sci.,


57, 334 (1953) ; 0. B. Ptitsyn, Zh. Tekhn. Fiz., 29,
75 (1959) ; M. Kurata, M. Fukatsu, J. Chem. Phys., 2・2統 計 的 枝 分 か れ ポ リス チ レ ン

41, 2934 (1964). 枝 分 れ モ デ ル ポ リマ ー と して 用 い た の は,ス チ レン と1,4一 ジ


5) M. Morton, T. E. Helminiak, S. D. Gadkary, F. Bueche, ビ ニノ
レ2,3,5,6一 テ トラ ク ロル ベ ンゼ ン(ジ ビニ ル体 と略 す)を,
J. Polymer Sci., 57, 471 (1962). 共 重 合 して 得 られ た もの で あ り,重 合 の基 本 は前 報*!と ほ とん ど
6) T. Altares, Jr., D. P. Wyman, V. R. Allen, K. Meyerstn,
同 一 で あ る◎ た だ 前 報*業で は 比較 的 少量 の重 合 で あ り,ま た 分 別
J. Polymer Sci., A 3, 4131(1965) ; D. P. Wyman, L. J.
Elyash, W. J. Frazer, J. PolymerSci., A 3, 681(1965). 実 験 も109程 度 の試 料 に つ い て行 な っ た にす ぎ な い◎ しか し今
7) C. D. Thurmond, B. H. Zimm, J. Polymer Sci., 8, 477 回 は300g程 度 の 重 合 物 を 得 て,こ れ を 分 子 量 分 別 す る こ とに
(1953). よ っ て,分 別 各 区 分 を20g程 度 ず つ 得 たい と考 えた ◎ そ こ で下
8) a. F . P. Price, S. G. Martin, J. P. Bianchi, J. Polymer
Sci.,8,477(1953);b.鎌 田,木 下,瀬 沼,佐 藤,第 10) G. C. Berry, J. Chem. Phys., 44, 4550 (1966) ; ibid.,
16回 高 分 子 討 論 会(福 岡,1967). 46, 1338 (1967).
U) G. C. Berry, T. A. Orofino, J. Chem. Phys., 40, 1614 11) K. Kawahara, T. Norisuye, H. Fujita, private commu-
(1964). nication.
記 条 件 に よ って,重 合 お よ び分 別 実 験 を

行 な った ◎ こ こ で行 な った 重 合 反 応 は,
R◎ssl2}ら の 方 法 の 応 用 で あ り,枝 分 れ

が 発 生 す る点 の官 能 性 ノ=4の ジビニル
体 と,ス チ レン と を ラ ジ カ ル共 重 合 させ
て 得 た もの で あ る◎ した が っ て得 られ る

重 合 物 につ い て の組 成 比 は,共 重 合反 応
組 成 式13)によ っ て あ ら か じ め計 算 で き る
し,ま た 実験 的 に は,生 成 ポ リマ ー 中 に

含 まれ る塩 素 含 量 を 元 素 分 析 に よ って 確
か め る こ とが で き る。 さ らに ジ ビ ニル 体
の 第2の ビ ニ ル基 が 反 応 す る こ とに よ って 発 生 す る枝 分 れ の 度 合 に は 直 鎖 ポ リス チ レン と して 表1中 のSTL-4を 用 い,枝 分れ
も計 算 で き る。 以 上 の よ うな 理 由か ら,こ の共 重 合 体 は枝 分れ モ ポ リスチ レ ン と して は 表2中 のP10-5を 用 い た◎ 測定波長は
デ ル ポ リマ ー と し て適 し てい る と判 断 した 。 前 報*1に お い て 述 べ 436mμ であ る◎ 方 法 と して は,島 津 製 の示 差 屈 折 計 に よ る一 般
た が,こ こ で得 た 枝 分 れ ポ リス チ レン が含 む塩 素 含 量 は,・元 素 分 的 方 法,お よびBeckman製 のSpinco-E型 超 遠 心 機 に よ りシ ュ
析 の結 果,平 均1・15%で あ り,上 の計 算 に よ って 得 ら れ た 予 想 リー レ ン図 を得 て そ れ よ り求 め る とい う二 方 法 で あ る◎dn/deの
値 と良 く一致 し,枝 分 れ 点 は分 子 量15。5×104ご とに1個 入 る こ 計 算 の 基 礎 とな る両 装 置 の装 置 定 数 は,前 者 で は塩 化 カ リウム水
とが わ か った◎ 溶 液 お よび シ 響糖 水 溶 液 の測 定 を行 な い,文 献 値 瑚 との比 か ら 求
重 合 条 件'ス チ レン6859,ジ ビニ ル 体14.09, め た ◎ 後 者 では 光 学 系 較 正 用 セ ル の測 定 か ら装 置 定 数 を 決 定 し,
AIBN*30.670gベ ンゼ ン:685mズ 塩 化 カ リウ ムお よび シ ョ糖 水 溶 液 のdn/dcを 求 め て 確 認 したe
温 度:60℃,重 合時 間:46hr,収 量:2689,転 化 率:38.4%, そ の結 果 両 者 の測 定 値 は 良 く一 致 した 。 しか し,シ ク ロヘ キ サ ン
容 器 に は21セ パ ラブ ル フ ラ ス コを用 い,重 合 終 了時 まで 良 くか 35℃ の値 の み が 多 くの文 献 値15)と 一 致 しなか っ た。 これ に つ い

き まぜ た。 て は溶 媒 の純 度 等 に問 題 が あ る の で は な い か と考 え た が,特 に 注
この モ デ ル ポ リマ ー は,当 然 分 子 量 が 増 す に した が って ジ ビ ニ 目す べ き点 は認 め られ ず 理 由 は 不 明 で あ る。dn/dcを 求 め る際 に
ル 体 を 多 く含 む か ら,分 岐 度 は 分 子 量 に 比 例 して 増 加 して い る こ 超 遠 心 機 を用 い る こ とは,温 度 調節,試 料 の量,実 験 時 間 等 に つ
とに な る◎ さ らに この ポ リマ ーは ラ ジ カル 重 合 体 であ るか ら,分 い て 有利 で あ る と考 え ら れ る◎

子 量 分 布 は か な り広 い こ とが 予 想 で き る。 した が って 分 子 量 的 に
も分 岐 度 的 に も,で き るだ け 均 一 と した 試 料 を得 る必 要 が あ る。
そ の ため に は生 成 ポ リマ ー を分 別 しなけ れ ば な ら な いが,そ の方
法 は カ ラム に よ る分 子 量 分 別 が 最 適 で あ ろ う と考 え た◎

前 報*豆に お い て は,上 と同 様 の 反 応 に よ って 得 た109程 度の


ポ リマ ー に つ い て,直 径 ×長 さ=7cm×100cmの ガ ラス製 カ ラ
ム に,ガ ラス小 球 を 担 体 と して,Desreux法 に よ っ て 得 た 分別

各 区 分 で の 測定 結 果 を述 べ た。 しか し本 報 に お い て は 分別 各 区 分
を209程 度 得 る 目的 で,2109の 未 分別 ポ リマ ー を ス テ ン レス
2・3・2光 散 乱 測 定 前 項 記 載 の 三 種 の 溶媒 中 で の 光 散 乱 強 度
製 カ ラム(直 径 ×長 さ=11cm×180cm)に ガ ラス 小球 を 担 体 と
を,島 津 製 光 散 乱 光 度 計 に よ り測 定 した ◎ そ れ ぞれ の 測定 値 か ら
し,温 度 勾 配(上 端30℃ ∼ 下 端10℃)を 付 け て,分 別14)を行 な
Mwお よび 〈S2>、を 求め,αsを 算 出 した◎Mwは 特 にいろいろ
っ たo
な 関 係 を検 討 す る際 に 基 本 と な るか ら,こ れ ら三 種 溶 媒 中 の 測定
溶 媒 系 は ベ ンゼ ンーエ チ ル ア ル コー ル 混 合 系 で,溶 媒力は 対数 で得 た 結 果 を平 均 し て用 い た ◎
的 に 変化 さ せ た。 ミキ サ ー タ ン ク は401で,流 下 速 度 は1330
2・3・3浸 透 圧 測 定 す べ て の試 料 につ い て,ト ル エ ン37℃ で
(ml/hr)で あ った ◎ 分 別 記 録 を表2に 示 した ◎ の 浸 透 圧 測 定 を行 な った 。 装 置 はMechr◎lab社 の502型 膜 浸透
2・3希 薄溶液測定 圧 計 であ る◎ 半 透 膜 に は 東 京 セ#ハ ン製 の ゲル セ ウハ ン膜 を 注 意
2・3・1各 溶 媒 の屈 折 率 濃 度 勾 配(dn/de)の 測定 試料 の光散
深 く溶 媒 置 換 して 用 いた ◎ 濃 度4∼5点 に つ い て 測定 して,そ の
乱 実 験 に必 要 で あ るdn/dcを,シ クPtヘ キ サ ン35℃(前 報*霊に
還 元 浸 透 圧 か らMnを 算 出 した◎
お い て,こ の枝 分 れ ポ リマ ーに 対 して0一 条 件 であ る こ とを 確 か
2・3・4極 限 粘 度([η])の 測 定Ubbel◎hde希 釈型 粘 度計 を用
あ た),MEK30℃,お よび トル エ ン30℃ に つ い て 求 め た◎ 試 料
い て,上 記 三 種 条 件 下 で の[η]を 求め た。 濃 度4∼5点 につい
*3α
,α な ア ゾ ピ ス イ ソ ブ チPtニ ト リ ル(AIBNと 略). て測 定 し,Hugginsi6)プPtッ トとFuoss-Meadi7,プ ロ ッ ト両 者
12) S. D. Ross, M. Markarian, H. H. Young, Jr., M. Nazze-
15) R. Chiang, "Polymer Handbook", IV-279, Interscience
wski, J. Am. Chem. Soc., 12, 1133 (1950). Pub., New York (1965).
13) J. Brandrup. E. H. Immergut, "Polymer Handbook" II- 16) M. L. Huggins, J. Am. Chem. Soc., 64, 2712 (1942).
141 Interscience Pub., New York (1965). 17) D. F. Mead, R. M. Fuoss, J. Am. Chem. Soc., 64, 277
14)阿 部,日 比 野,田 形,本 間,ゴ ム 協 会 誌,40,930(1967)・ (1942).
の 併 用 に よ って,[η 】 お よびHuggins定 数(k')を 算 出 した 。

運 動 エ ネ ル ギ ーお よび せ ん 断 速 度 の 補 正 は 無 視 した◎

3結 果 お よび 考 察

3・1極 限粘 度 数([η])と 分 子 量(Mw,M=)の 関係

直 鎖 ポ リス チ レン5種 類,お よび枝 分れ ポ リス チ レン分 別 物7


区 分 に つ い て のす べ て の 測定 結果 を,表4お よび表5に 示 した。

料 で あ る こ とが わ か る。 そ れ ぞ れ の 測 定 点 は 図 中 に示 した 勾配 の
直 線 関 係 とな り,枝 分 れ ポ リマ ー は,い ず れ の 場 合 も直鎖 ポ リマ
ー が示 した 関 係 よ り下 側 に きて,勾 配 は 小 さ くな って い る 。

この こ とを 検 討 す るた め に,同 一 分 子 量 での 形 状 の違 い に よ り

起 こ る[η]の 差 を,分 岐 度 を示 す 因 子(9e)と して(1)式 で


定 義 して お くと,良 溶 媒 中 での[η1に よ って,分 岐 度 の定 量 が
可 能 か 否 か が わ か る こ とに な るΦ
ση3=[η]b/[η
〕墓(1)
一 方 ,こ の 定 義 式 に つ い て,前 報*韮では θ状 態 下 での 実 験 結 果

[η]と 分 子 量 の 関 係 を 検 討す る際 に,分 子量 と して 三 種溶 媒 とZimm-St◎ckmayeri)ら の 理 論 的 解 析 結 果 と を 結 び つ け(2)

中 で得 た 平均 のMwを 用 い た もの を 図1に,ま たM.を 用 いた 式 を 得 た◎

もの を 図2の 関 係 に示 した◎ 図1お よび 図2中 に は,前 報*1で の 9ee3=[刎be1["he=gg多5(2)


ST-B系 モ デ ル に よ る結 果 も併 記 して あ るが,図 か ら 明 ら か な よ た だ し9se'2=〈S2>be/〈S2>le(2')
うに 今 回 の 結 果 と良 く一 致 して い る。 この こ とか ら,今 回 得 た 分 した が って,9e3と9eeaの 関 係 が わ か れ ば,良 溶 媒 中 で の 【
η]
別 各 区 分 試 料 は,比 較 的 大 量 重 合 一 大 量 分 別 であ るに もか か わ ら 測 定 か ら,分 岐 度 の 定 量 が 可 能 で あ る こ とがわ か る◎ こ の こ とに
ず 饗 前 回 の 少 量 ス ケ ー ルの 場 合 と,ほ とん ど同 一 の 性 質 を もつ 試 つ い て は 次節 で詳 述 す る◎
さ ら に 図2に 示 した横 軸 の 分 子量 にM。 を 用 い た時 の 関 係 は, て の 実 験 精 度 が 問 題 とな り,現 在 一 般 的 に 使 用 され て い る光 散 乱
Mwが 基 本 の時 とそ の勾 配 が 少 し違 って きた。[η]とM。 を対 測 定 装 置 で 得 ら れ た 値 が,必 ず し も満 足 で きる もの とは 考 え 難

応 させ る こ とは理 論的 に は 正 し くな い 取 り扱 い で あ るが,実 験 的 い8)◎ そ の 上 こ こで 得 ら れ る<S2>はz平 均 であ って,各 試料の

に は便 利 であ るか ら,一 応 の実 験 的 検 証 を して お い て,簡 便 法 と 分 子 量 分 布 を考 慮 し てW平 均 に 換 算 しな け れ ば な らな い ◎ この


して 使 え な い もの か 検 討 した い と考 え た。 そ の 結果 は 図2に 示 し よ うに 〈S2>に 対 し ては,実 験 的 に か な りの 不 安 点 が 残 され て い

た よ うに,枝 分 れ の 効果 は 十 分 に 現 わ れ て,少 な くと も枝 分 れ を る◎ しか し α,そ れ 自身 を論 ず る よ うな厳 密 な議 論 の 対 称 とす る


含 む か 否 か の 判 定 に は 十 分 有 効 であ ろ う と考 え られ た。 さら に 次 の で は な く,枝 分 れ し たた めに 〈S2>に 影 響 が 現 わ れ,ひ い ては

節 の 検 討 に よ って この[η]∼M、 法 で も分 岐 度 が 定 量 で き る こ α、に 対 して も影 響 が 現 わ れ るか 否 か を,比 較検討す る程度の議

とが わ か った ◎ 論 で あれ ば 十 分 に 満 足 で きる値 で あ る と考 え る◎ こ うい った観 点
3・2膨 脹 因 子(α) か ら図4に は 各試 料 に よ り得 ら れ た 〈S2>。1/2とMwを 両対数 で

膨 張 因 子 は 通 常 α、あ るい は 偽 と 記 述 され る が,た とえ ぽ プ ロ ヅ トした。


αガに つ い て の 定 義 は(3)式 で示 され る。 これ らの 因 子 は θ状

態 以 外 の条 件 下 で実 験 され た 時 に 求 め られ る。
[n]=[η3e× αη3(3)
この(3)式 は枝 分れ ポ リマ ー の場 合 も,直 鎖 ポ リマ ー の場 合
も成 立 す る と考 え ら れ る か ら,そ れ ぞ れ(b),(1)の 添字 を し
て,(2)お よび(3)式 を(1)式 に 代 入 して,gη を現 わ す と

次 の(4)式 が 得 られ る◎
9η8=9ηθs×(α
η)b3/(αe)13=gl多5×(aη)b3/(α
η)13(4)
す な わ ち,枝 分 れ ポ リマ ー と直 鎖 ポ リマ ー とが 同 一 分 子量 種 で
あ る時 の,(ap)b3と(α η)13との 関 係 が わ か れ ば,良 溶 媒 系 での
〔η】 測 定 に よ って,分 岐 度 の 定 量 が 可 能 であ る こ とが わ か る◎
と ころ が 今 回 の 実 験 では,同 一 分 子 量 の 枝 分 れ ポ リマ ー と直 鎖 ポ
リマ ーを 得 る こ とは で きな か った か ら,枝 分 れ ポ リマ ーに 対 応 し
た 分 子 量 の直 鎖 ポ リマ ーが 示 す[η】を,図1ま た は 図2か ら内 挿
し て得 た値 に よ っ て議 論 す る こ とに した◎ こ こで 得 られ た(αη)b3
と(αg)13と を,Mwを 基 本 と した時 とMnを 基 本 と した時 に つ
い て,そ れ ぞれ を両 対 数 で プ 嶽 ヅ トして 図3に 示 した。
そ の結 果 枝 分 れ 分 子 と直 鎖 分 子 とで は 明 らか に 異 な った 関 係 と
な り,シ ク ロヘ キ サ ン35℃,MEK30℃,お よび トル エ ン30℃
の 三 種 の条 件 下 で そ の差 が 明瞭 に現 わ れ た 。 こ の よ うに枝 分 れ ポ
リマ ー に つ い て の 〈S2>bが,直 鎖 ポ リマ ー の<S2>1と 異 な った

関 係 と して 得 られ た報 告 は 今 ま でに 見 当 ら な い。 そ の 理 由 は 試 料
の 分 子 量 分 布 が,か な り広 か った た め で あ ろ う と 考 え る◎ 〈S2>x
と 〈S2>bの 差 を 求 め る際 の 分 子量 分 布 の 影響 に つ い て は,理 論

的19)にも実 験 的 に も8・b)すで に 結 論 が 出 され て い て,前 述 の 推 察


が 可 能 とな る。 しか し本 報 告 に お い て 定 量 的 と ま では い え な い ま

で も,こ れ らの 差 が 現 わ れ た の は,試 料 の 分 子 量 分 別 が か な り効

果 的 に 行 な わ れ た た め であ ろ うと考 え る。 さ らに 図4に 示 した 関
係 か ら,枝 分 れ ポ リマ ー と同一 分 子 量 で の直 鎖 ポ リマ ー の 〈S2>ノμ
を 内挿 し て求 め,(αs)b2と(as)12を 求 め た 。 これ を図3中 に 示
し た が,実 験 した範 囲 内 では(α 、)12>(as)b2で あ り(α 、)b2が

(α、)12よ り大 き くな る こ とは な か っ た.し か しい ず れ に して も・
膨 張 因 子 に対 し て分 子 形 態 の差 はほ とん ど現 わ れ な い と結 論 で き
こ の 図 か ら わ か る よ うに 両 者 の 関 係 は,勾 配 が ほ ぼ1.0の 直線 る。 この 結 果 は 星 型 枝 分 れ 分 子 で得 られ て い る 理 論 解 析 の結 果9》
に 近 い と こ ろ に あ る 。 す な わ ち,(4)式 の 右 辺 の(α η)b3/(αη)13 とは逆 に な って い る。 しか し現 段 階 で今 回 の実 験 結果 と理 論 の逆
は ほ と ん ど1で あ り,9vsへ の 膨 張 因 子 の 影 響 を考 慮 す る必 要 が 転 関 係 に つ い て は,何 ら説 明 し得 な い◎
な い と 考 え ら れ る ◎ しか し(α 誓)b3と(α η)13の 全 体 の 傾 向 は,実 最 近 α、 と 偽 の 関 係 に つ い て 厳 密 な 実験 的 議論10,!ηが な され
  を

験 し た 全 領 域 に つ い て,わ ず か で あ る が(eVe)β 〉(eve)b3と なっ て い るが,今 回 の 結 果 か ら,こ れ らの 関 係 に つ い て の 議 論 を す る


て い る こ と が 認 め ら れ る ◎ こ れ は αs2に つ い て も 同 様 で あ る ◎ す
18)内 山,綱 島,杉,田 村,倉 田,第17回 高 分 子 討 論 会,松
な わ ち,図3か ら み る 限 り厳 密 に はeVl>αbで あ る と考 え られ る。 山(1968).
一 方 ,輪 に つ い て は,こ れ を 求 め る際 の 測 定 値 くS2>に つ い 19) R. W. Kilb, J. Polymer Sci., 38, 403 (1959),
こ とは さけ た◎ なぜ な らば こ うい っ た議 論 をす るた め の実 験 は, よ っ て,分 岐 度 定 量 とい う目的 を 達 成 で き る こ とが わ か った 。 特
"が 小 さ い θ点 近 傍 で の厳 密 な実 験 が 必 要 で あ り,本 報 告 は こ う にMnの 使 用 は実 験 的 に 便 利 で あ る こ とは しば しば 述 べ た が ,
い った 目的 とは性 質 を異 に した 実 験 であ る と考 え る か ら で あ る◎ M箆 を 使用 す る際 は,そ の 測 定 限 界 が80×10`程 度 で あ る こ と,
3・3良 溶媒中での分岐度定量 また 分 別 効 果 が 悪 い とそ の 分 子 量 分 布 の 影 響 に よ って,正 確 な値
以 上 の 結 果 に よ る と,枝 分 れ ポ リマ ーの 分 岐 度 の 定 量 を 行 な う が 得 難 い こ と等 を 考 慮 に 入れ て お か な い と,分 岐 度定 量 の精 度 を
ため に は,ま ず 試 料 の 分 子 量 分 別 を効 果 的 に 行 な った の ち,各 分 極 め て 悪 くす る結 果 とな る。 以 上 の2点 に注 意 をす れ ば,[η 】∼
別 区 分 に つ い て,分 子 量 と して 基 本 的 に はMwを,ま た簡易的 .砥 法 は 分 岐 度 定 量 の 迅 速 法 とし て有 用 であ る と考 え る◎
に は ルち を 測定 す る。 さら に 良溶 媒 中 での[η]を 求 め,一 連 終 りに,本 研 究 の遂 行 に あ た り,御 教 授,御 指 導 いた だ い た京
の[η]∼M関 係 を作 っ て,直 鎖 分 子 が示 す 関 係 と対比 させ る。 都 大 学 工 学 部倉 田道 夫 教 授 に深 謝 致 します ◎
そ し て枝 分 れ 分 子 と同 一 分 子 量 の 直 鎖 分 子 が 有 す る[ηhを 推定 ま た種 々 の測 定 に協 力 して い ただ い た 当研 究 所,日 比 野 清 志,
し て,f刎 わ と 「
η]蓋の 比 か ら9e3を 得 る。 これ ら一 連 の 操 作 に 諸岡 康 氏 に心 か らお 礼 申 し上 げ ます ◎

キ ュ プ ラ 糸,水,お よ び 四 塩 化 炭 素 に よ リ重 合 し た メ タ ク リル 酸 メ チ ル 重 合 体 の 分 離*1

(昭 和44年3月13日 受 理)

井 本 稔*2・ 上 田 兼 司*3。 竹 本 喜 一*4

メ タ ク リル 酸 メ チ ル を キ ュ プ ラ 糸,水,お よ び 四 塩 化 炭 素 の 存 在 下 で 重 合 を 行 な い ,得 ら れ た 重 合 物 を,ポ リメ ク リル酸 メチ


ル の 溶 剤 で あ る ベ ン ゼ ン と,キ ュ プ ラ 糸 の 溶 剤 で あ る 銅 エ チ レ ン ジ ア ミ ン 水 液 液 を 用 い 交 互 に3回 ずつ抽出を行な
っ た 後,さ らに
液 体 亜 硫 酸-ジエ チ ル ア ミ ン 溶 液 に 浸 漬 す る こ と に よ り単 独 重 合 体 と グ ラ フ ト重 合 体 を 分 離 さ せ た 。 そ の 結 果 得 ら れ た メ タ ク リル
酸 メ チ ル の キ ュ プ ラ 糸 へ の グ ラ フ ト重 合 率 は23.7%で あ っ た 。 同 時 に グ ラ フ ト重 合 物 の 状 態 を メ タ ク リル 酸 メ チ ル グ ラ フ ト体 の
み な ら ず メ タ ク リル 酸 か ブ チ ル,ア ク リル 酸 か ブ チ ル の グ ラ フ ト化 キ ュ プ ラ 糸 に つ い て も 顕 微 鏡 を 用 い て 観 察 した

の 重合 が ラジ カ ル機 構 に よる もの で あ る こ とを見 出 したほ か ,重
壌 緒 言
合 に お よぼす 反応 条 件 の検 討 を 行 な って 報 告 した7)。 今 回 は 重 合
メタ ク リル酸 メチ ルが 水 お よび 高 分 子 の存 在 下 で ラ ジ カ ル機 構 挙 動 の顕 微 鏡 的 観 察 や,生 成 重 合 体 の単 独 重 合 体 とグ ラ フ ト重 合
に よ り重 合 す る こ とに つ い て,著 者 らは す でに 一 連 の 研 究 を 行 な 体 の分 離 を行 な っ て,若 干 の知 見 を得 る こ とが で きた の で報 告 す
いそ の 反 応 機 構 な どの 検 討 を 行 な って きた1∼6㌔ 高 分 子 と して は る◎
デ ンプ ン,セ ルPt一 ス,絹 な どの天 然 高 分 子 の ほかS・4》,ビニ ロ
ン,ナ イ ロ ンな どの 合 成 高 分 子 に つ い て も研 究 が 行 な わ れ ,絹 の 2実 験

場 合 は 重 合 率 が100%近 くに も達 しア セ トン で抽 出 を 行 な って も 2・1試 料 の 調 製,重 合


重 合 体 の 約80%が 繊 維 内 部 に 残 る こ とが 認 め られ て い るs・a)。
著 モ ノマ ー と して 用 い た メタ ク リル酸 メチル(MMA),メ タクリ

者 ら は 高 分 子 と して キ ュプ ラ糸 を選 び 四塩 化 炭 素,水 の存 在 下 で ル 酸n一 ブ チ ル(n--BuMA),ア ク リル酸n一 ブ チ ル(n-BuA) ,溶


メ タ ク リル 酸 メチ ル な どの 重合 が 容 易 に進 行 す る こ とを認 め ,そ 媒 お よび,キ ュプ ラ糸 の精 製 は 前 報η どお り行 な った。 重 合 は封
*1本 報 を 「ビ ニ ル 重 合(第247報)」 とす る 管 法,空 気除 去下,一 定 温 度 に 調 整 した恒 温 槽 中 で行 な っ た。 重
.前 報 は 竹 本,笹
部,井 本,MakromoJ.Chem.,投 稿 中。 合 後,系 を メタ ノー ル 中に 投 入 し全 重 合 体 を沈 殿 させ 洗 浄,乾 燥
*2MinoruIMOTO大 阪 市 立 大 学 工 学 部 応 用 化 学 科:大 阪市
した◎ ベ ンゼ ンを溶 媒 とす る単 独 重 合 体(ポ リーMMA)の 除去 は
住 吉 区 杉 本 町. ソ ック ス レー抽 出器 を用 い て30時 間 還 流 煮 沸 させ て 行 な った 。
*3KenjiUEDA松 下 電 工 株 式 会 社 研 究 部:大 阪 府 門 真市
.
*4KiichiTAKEMoTo大 阪 大 学 工 学 部 応 用 化 学 科:吹 田 市 2・2銅 エ チ レ ン ジア ミ ンに よ る未 反 応 キ ュプ ラ 糸 の 除 去

山 田上 Traubeの 方 法 に よ り8),新 し く調 整 した 水 酸 化 第 二 銅259を


1) S. Kimura, T. Takitani, M. Imoto, Bull. Chem. Soc . 2モ ル 当量 の エ チ レ ンジ ア ミ ン30gに 溶解 させ,水495gで 希
Japan, 35, 2012 (1962). 釈 して 得 た10%銅 エ チ レン ジ ァ ミン水溶 液 が,キ ュプ ラ糸 を完
2) M. Kondo, K. Yamada, K. Takemoto, M. Imoto , Bull.
全 に 溶 解 し,ま た定 量 的 に 回 収 され るの を 確 認 した の ち ,こ の水
Chem. Soc. Japan, 39, 536 (1966).
3) M. Imoto, M. Kondo, K. Takemoto, Makromol . Chem., 溶 液 と重 合 生 成 物 を常 温 で6時 間 か き まぜ 処理 した。 不 溶 解 物 と
89, 165 (1965). ロ別 して 得 たP液 か らは1N硫 酸 水 溶 液 で 処 理 して 末反 応 の キ
4)井 本,近 藤,竹 本 ,工 化,68,1302(1966). ュプ ラ糸 を 沈殿 させ た◎ 不 溶 解 物 は1N硫 酸 で洗 浄 し,水 洗,
5) M. Imoto, K. Takemoto , M. Kondo, Makromol. Chem.
98, 74 (1966). 7) M. Imoto, K. Ueda, K. Takemoto, Bull. Chem. Soc .
6) M. Imoto, K. Takemoto , T. Otsuki, Makromol. Chem.
ノ⑫ 碗,投 稿中。
103, 244 (1967). 8) W. Traube, Chem. $er., 44, 3319 (1911).

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