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入門講座
藤森裕治

質問して当てよう・
国語監修・執筆

 他己紹介をしよう
■今回のポイント
  ①身体で伝えるコミュニケーション
  ②質問でつなげるコミュニケーション
  ③自分を見つめるコミュニケーション
①身体で伝えるコミュニケーション
私たちは言葉だけでなく、身振り手振りや表情などを使って相手に情報を伝え
ています。
これを非言語コミュ二ケーションと言います。話し言葉のコミュニケーション
では、身振り手振りや表情で伝わる要素が大変大きいと言われています。その大
切さに気づきましょう。
②質問でつなげるコミュニケーション
人とかかわるときに大切なことは、相手に関心を持ち、心を開き、相手の持っ
ている情報を上手に引き出すことです。そのためには、よい質問のできる人にな
る必要があります。質問は、コミュニケーションの中でも最も強力に相手と自分
とをつなげます。
③自分を見つめるコミュニケーション
コミュニケーションを通して手に入れるのは、相手から届くさまざまな情報だ
けではありません。すべての他者は自分とは異なる人生を歩んでいます。その一
面に触れながら、自分はどういうところに関心をいだき、どんなことを知ってい
て、どういう人間かを知ることです。これがさまざまな人たちとのコミュニケー
ションを通して手に入れる、最も重要な情報なのです。
テレビ学習メモ

■今回の 言 語 活 動
「ジェスチャーゲーム」

第1回
目的 言葉に頼ることのできない情報伝達のゲームを通して、コミュニケーシ
ョンの道具として身体が重要な働きを持っていることとともに、言葉とい

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う道具が持つ働きや力を考える。

【活動の手順】
① 進行役といくつかのチームに分かれる。
② 進行役は動物の名前やスポーツ、人名、地名などの語句やことわざの書か
れた二〇枚程度のカードを準備しておく。
③ チーム代表を一人選び、進行役から示されたカードに書かれていることを
ジェスチャーで伝える。
④ 残りのメンバーは、代表の身振り手振りを見ながら、カードに書かれてい
る言葉を当てる。わからないときはパスをしてよい。
⑤ チームごとに制限時間内で③~④を繰り返し、たくさん当てられたチーム
が勝利。
【ポイント】
身体を使って表したほうが言葉よりも素早く適切に伝えることのできるもの
と、反対に言葉が使えないとうまく伝えられないものとの違いを考えてみましょ
う。例えば「サッカー」や「歯磨き」などは、動作でそのイメージが一瞬でわか
るはずです。反対に、
「聖徳太子」や「イタリア」などは、言葉で説明しないと
うまく伝わりません。カードに記された事柄がどれだけ具体的な動きを伴うかに
よって、コミュニケーションの手段や道具には得意な部分と不得意な部分とがあ
るのです。
「他己紹介に挑戦」
目的 他者を第三者に紹介して、的確な情報と適切な印象を伝える。
【活動の手順】
① 二人一組で構成する。
② 二人は対面ではなく、ななめに向かい合うように座る。
③ テーブルは円いほうが心理的に安定する。
 五分間程度でインタビューを行う
 話題例
  ・自分の性格で好きなところ
・自分が今打ち込んでいること
  ・もしも願いが一つだけかなうなら
・好きな食べ物嫌いな食べ物
テレビ学習メモ

  ・好きな言葉
・自分を動物にたとえると
  ・気に入っている自分の長所
・私がこれまでで一番はまった本
  ・将来の夢
・毎日の習慣         など
■聞き方のコツ

第1回
〈心構え面〉
相手のプロフィールのなかで、自分がこれは見習いたいとか、いいなあと思

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うところを見つけるつもりで聞くこと。

互いに笑顔で、協力的に話題をつなぐようにすること。

聞きながら、どんな心持ちで話しているのだろうと想像しつつ、全体的な印

象をとらえること。
〈方法面〉
選んだ話題について、5W1Hをつねに意識しながら聞く。特に、「どうし

て……ですか?」という理由は、話を広げたり深めたりするポイントになる。
数値や固有名詞など、聞き誤りがあってはいけない情報は復唱するなどして

確認する。
聞きながら、相づちを打ったり聞き手の感想や反応を交えたりする。例えば、

「すごいですね」とか「まねできないなあ」など。
マイナスなことは相手が口にしない限り尋ねるべきではない。

■メモの取り方
ノートに一事項ごとに要点を書き込む。

具体的な名前や数値は正確に記す。

必要に応じて、自分が感じたり気が付いたりした一言をメモに添える。

 紹介メモの作成
 
インタビュー終了後、まとめの時間を取って、紹介メモを準備します。
このとき、付箋に記してあれば、それを白い紙の上で並べ直したり、関連づけ
たりして紹介の内容を練ることができます。
 他己紹介
二分間程度で、知人に紹介するという設定で他己紹介を行います。知人は紹介
される人のことを知りません。発表者と紹介される人は前に出て、ユーモアを交
えて紹介しましょう。
 振り返り
他己紹介が終わったら、みんなで振り返ります。振り返りの観点は以下の通り
です。
▼振り返りの観点
テレビ学習メモ

紹介を聞いた知人は、紹介の内容を聞いて、紹介された人に対してどのよう

な印象を抱いたか。
紹介を聞いた知人は、紹介者と紹介された人の関係はどのようであるという

印象を抱いたか。
紹介された人は、紹介者の話や知人の印象を聞いてどう感じたか。

第1回
紹介者は、もっとこう言えば良かった、これを聞くんだった、というものが

あるか。

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【ポイント】
「他者」ではなくて「他己」という言い方に注意してください。この言葉には

「己」
、「自分」という言葉が入っています。つまり他己紹介というのは、他の人
を紹介するという活動を通して、その人と自分の関係を紹介するいとなみです。
他己紹介として情報を伝える際に注意すべき点は、以下の三点です。
 (一)正確さ=質問に答えた内容が正しく語られていること。
例えば「趣味は水泳」と聞いただけで、「彼女は水泳に打ち込んでいま
 
す」と紹介するのはいけません。聞き取った内容が事実と異なることのな
いよう、聞き間違えたり、思い込みで判断したりしないことが大切です。
 (二)適切さ=紹介するときに選ばれた話題がその人のよさや魅力を示すもの
       であること。
 同じことを伝えるにも、例えば「落ち着きのない人」と言うか「好奇心
旺盛な人」と言うかでは大きな違いがあります。相手の気持ちを尊重し、
相手が紹介してもらってよかったと思うことのできるような語彙を選びま
しょう。
 (三)豊かさ=自分の印象や相手へのエールがあること。
聞き取った情報だけを紹介するのではなく、インタビューを通して自分
 
がどのような印象を持ったか、相手にはどんな応援をしてあげたいかなど
についても触れると、紹介内容は豊かに膨らみます。
■今回の ま と め
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」(孫子)
他 者 紹 介 で は な く 他 己 紹 介 と 呼 ぶ わ け は、 い ろ い ろ と 質 問 し て わ か っ た 相 手
(他者)の人柄やプロフィールを温かく紹介する活動を通して、実は紹介した自
分自身が相手のことをどういう目で見る傾向があるのかを知り、自分のものの見
方や考え方を自覚することにつながるからです。つまりこれは、一種の自己紹介
でもあるのです。そして、自分がその人のことをどう見ているのか紹介するうち
に、相手のことを理解し、自分自身も理解することになります。未来社会を生き
る上で、この二つの理解は自分を支えてくれる大切なものなのです。その際に使
テレビ学習メモ

われる最も大切な「文化的道具」
、それが言葉なのです。

第1回

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