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読解第一种类型 指示語の内容を問う問題

……いったんシャッターを押してしまうと、目の前の佳景をしっかりと観賞し、記憶に留
め置くという作用がどうしても甘くなる。……。カメラがないとなると、観賞法そのもの
もおのずと厳しくなる。余計なことを考えずに済むから、心ゆくまで賞味することができ
る。
しかも、これから先に述べることは自分でもはっきりと断定できない微妙な心の作用な
のだが、カメラがなければまのあたりに見たことをハーフ·メードの形で文章化しておく
という仕事も、無意識のうちでやってしまうようだ。……。
こんな作用 は一般の人々にはあまり必要なことではあるまいか、旅先で写真を撮ること
にばかり夢中になっている人を見ると、「あんなことで風物をよく観賞することができる
のだろうか」と、不思議に思わないでもない。
                  (阿刀田高「左巻きの時計」)
問:こんな作用とはどのようなことか。

1. 風景をある程度文章にして記憶すること。

2. 風景を深く観賞し、記憶にとめること

3. 風景をテーマに小説やエッセイを書くこと

4. 風景の写真を撮ることに疑問を感じること

正解:1

わたしももう 48 歳で「お若いですね」とお世辞を言われるような年頃になった。……その
ようなことを言われはじめるのは、人々にわたしが老人と見られはじめたということに
過ぎないからである。
それは、自分が自分を見る場合にも言えることで、……。……たいていの老人は自分は実
際の年齢より……若いと信じている。
たしかに老化の進み具合は人によって異なり、年齢の進み具合と必ずしも一致しないが、
ほとんどの老人が実際の年齢より若いということは論理的におかしな話で、それなら実
際の年齢どおりに老けている老人の方が例外だということになってしまう。 そんな馬鹿
なことはない。
                              (岸田秀「不惑の雑
考」)

問:「こんな馬鹿なこと」とは、どのようなことか

1
1. 老化の進み具合は人によって異なること

2. 精神的にも肉体的にも自分は若いと信じていること

3. 実際の年齢どおりに老けている老人が例外になること

4. 年をとると、「若いですね」とお世辞を言われること

正解:3

死体ははたしてだれのものか。
むろん常識的には、死体は遺族のものである。
しかし、ちょっとご想像いただくとわかるはずだが、遺族というのは、しばしば単数では
ない。遺産相続のばあいなら、子供にはずべて、平等の権利があるはずである。
「ヴェニス
商人」ではないが、それなら肉何ポンド分の権利が、それぞれの子供にあるか。 そんな議
論は 、聞いたこともない。
                          (養老孟司「死体の市民
権」)
問:「そんな議論」とは、何についての議論か

1. 死体を分けること

2. 子供を分けること

3. 遺族を分けること

4. 家族を分けること

正解:1

山岳部員の大学生が休みに、部長に一応登山届けを出した上で、普通なら初心者でも比較
的楽に登れる山に単独登山し、運悪く遭難してしまったような場合に、息子の遭難の責任
は単独登山を許可した側にあるとして学校と山岳部長が両親に訴えられ、巨額の賠償を
求められるケースもないわけではないと聞いてはいた。しかし、訴訟会社のアメリカやヨ
ーロッパならいざ知らず、この日本ではそんな不運なケースはめったにはあるまいと思
っていた。各種の会社活動で、リーダーや世話役が絶えずそんな裁判の被告人になる不安

2
の中で毎日を過ごさねばならないとしたら、善意のボランティアはいなくなっていまう
ではないか。ああ、それなので、後輩や先生の頼みを断り切れず、忙しい時間を割いて母校
陸上部のコーチをしてきたこの私自身が こうしたケース に遭って苦労することになろ
うとは……。

* いざ知らず:わからないが

問:「こうしたケース」とはどんな場合か

1. 普通は考えられないようなことで、運悪く事故に遭ってしまった場合\

2. 訴訟会社であるアメリカなどで事故が起こった場合

3. 事故の責任者として訴えられた場合

4. 善意のボランティアがいなくなってしまった場合

正解:3
読解第二种类型 名詞の同一内容語を問う問題

死体ははたしてだれのものか。
自分 のものだとしても、死んだ後では所有権を実際に自分で主張することはできない。
法的にはそこはどうなっているのか。それを私は、じつはしらないのである。
職業柄、年中扱っている「 もの 」の、所有権が不明である。そんなことで、よく仕事が勤ま
る。そう怒られそうだが、むろん常職的には、死体は遺族のものである。
                          (養老孟司「死体の市民権」)
問 1:「自分」とはだれか?
1. 死んだ人。
2. 死んだ人の親。
3. 死んだ人の子供。
4. 解剖する医者。

問 2:「もの」とは何か?
1. 法律
2. 権利
3. 死体
4. 職業

正解:1、3

3
世間には、「のせ上手」の人がいる。たとえば、相手がしゃべりたくもないことをうまくリ
ードして、いつの間にかその気にさせてしまう人である。
こういう人は案外、「聞き上手」な人に多い。大汗をかいて馬を引っ張って水飲み場に連れ
て行くのではなく、なんとなくお*をたたきながら、いつしか 自分 の意志で馬を水飲み
場へ行かせてしまう人なのだ。
友人にあとで悪く思われることもない。なぜなら、のせられる人も、隠したいことはどし
ゃべりたい話だからである。
(神津カンナ「その人のどこが人を魅きつけるのか」)
* リードする:導く

問:「自分」に当たるのはどのような人か。
1. 相手をその気にさせる人。
2. 馬を水飲み場へ行かせる人。
3. のせられる人。
4. 聞き上手な人。

正解:3

「厳しい修養を積んだいわゆる聖職者だけが、聖書を読み解訳する資格があり、無学で信
仰的に未熟な一般信徒は、神父の口を通してしか、聖書の言葉にふれてはならない。」と定
めていた当時のキリスト教会の権威主義に他対し、「そういうことを 外側 から決めつけ
るのはおかしい。人間はすべて、法王も大司教も司祭も一般信徒も、万物の創造主である
神の前に平等な一信徒であるべきだ。」と、マルチン?ルターは強く批判し抗議した。これ
が現在のキリスト教会を旧教(カソリック)と共に大きく二分する新教(プロテスタン
ト=抗議するもの)の語源の由来である。

問:「外側」とは何を指すか。
1. 厳しい修養を積んだ聖職者。
2. 無学で信仰的に未熟な一般信徒。
3. 当時のキリスト教会の権威。
4. 万物の創造主である神。

正解:3

息子が家へ帰ってくるなり、もう知らない人に優しくするのはこりごりだと言う。聞くと、
駅の階段を大きなカバンと紙袋をさげてよろよろしながら上っていたお婆さんに、「荷物、

4
もってあげようか。」と声をかけたら、
「いいえ、結構ですよ。近ごろ持ち逃げなんてのもあ
るからね。」と言われたのだそうだ。 人 がせっかく親切で言ってやったのにと怒ってい
る。
* ~なり:~やいなや。   こりごり:もう二度と繰り返したくない気持ち。

問:「人」とはだれを指すか
1. 息子
2. 知らない人
3. お婆さん
4. 筆者

正解:1

「 ばらの花はもう肥やしの匂いはしない」という言葉があります。ばらの花の豪華な美し
さと気品に満ちた香りは、さすがに花の女王と呼ばれるだけあって、他のいかなる花にも
増してすばらしいものです。しかし、その美しい花を見事に咲かせるためには、他のどん
な花よりも行き届いた手入れとたくさんの肥料が必要なのです。
  同様に人間の場合も、豊かな人間性と知性を兼ね備えた優れた人になるために必要な
ものとして、たゆまぬ心掛けと共に、家族歴、交友歴、学歴、職歴、渡航歴、病歴、などの、い
わゆる豊富な経験と呼ばれるものが一般的に考えられているようです。
  しかし、豊富な経験を持っているということと、その経験を売り物にするということ
は全く別のことです。家柄や学歴や有名人との交友のことなどを、または逆に自分の過去
の苦労や現在の病気のことなどを、二言目には持ち出して、それを種に人間関係を作って
いこうとする人は、言わば肥やしの匂いをぷんぷんさせている人です。優れた品性や人格
は、さりげない日常の言葉や心遣いや行動から滲み出てくるものです。「ばらの花は肥や
しの匂いはしない」のです。                

ㄖ茑_博「教育入門」)

* いかなる:どんな。   行き届いた:十分な。 兼ね備える:共に持っている。
* たゆまぬ:常に続く。  二言目には:すぐに   さりげない:なにげない、自然
な。

問:文の中の「ばら」と「肥やし」の関係に当たるものはどれか。
1. 行き届いた手入れとたくさんの肥料。
2. 豊かな人間性と人性。
3. たゆまね心掛けとさりげない言葉や行動。
4. 優れた人格と豊富な経験。

正解:4

5
すべての動物たち、いや、すべての生き物たちは、それぞれ定められた場所にその住みか
を持つ。森に住むもの、平野に住むもの、水辺に住むもの、水中に住むもの。それぞれの住
民たちを調べていくと、だれもかれもが見えない壁で隔てられ、切れない鎖で、世界の一
定の場所につながれているのだということが分かってくる。人間も、その例外ではなかっ
た。森に住む獣や、空を飛ぶ鳥と同じように、自然の前では小さくなっていたし、ろくに自
由もなかった。自然との関係においては、我々の祖先も、外の生き物たちと変わらぬ 奴隷
に過ぎなかったのである。
だが、やがて人間は、その壁を通り抜けその i を断ち切る方法を見つけた。いまや人間は、
お椀の舟で流れを下る一寸法師から魔法のじゅうたんで空を飛ぶ巨人に変身したかのよ
うにみえる。
* 一寸法師:日本の昔話に登場する、身長 3cm 位の男の子。

問:文中の「奴隷」と同じ意味で使われている言葉は次のどれか。
1. 見えない壁。
2. 切れない鎖。
3. お椀の舟。
4. 一寸法師。

正解:4

...。それから二十年以上も経ったころ、卒業式の「蛍の光」も、一人一人いただくお免
状を手にすることもなかった私たち、終戦の年の A 小学校の卒業生たちが集まった。 自
分 のことは棚に上げて、皆おっさん、おばさんになっていた。でも、性格っていうものは
めったにかわるものじゃないなというのが私の実感で、口を開けば、ああ、あの子とすぐ
に思い出し、二十年の年月はいっぺんに吹き飛んだ。
                         (渡辺美佐子「りんごのほっ
ぺ」)
* 「蛍の光」:日本の小/中学校の卒業式で必ず歌う歌。
   お免状:ここでは卒業証書。

問:「自分」とはだれのことか。
1. 集まった卒業生たち。
2. 外の人のことをおっさん、おばさんと呼ぶ人達。
3. 口を開いた子。
4. 私(=筆者)。

正解:4

「転石  苔 を生ぜず」という諺がある。...この諺は、イギリスで生まれたもので、住

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まいや職業を転々とするような人間に成功はおぼつかない、の意味で使われている。とこ
ろが、アメリカ人はこの諺を、優秀な人間は活動的で周囲からも誘いが多く、何もせずじ
っと座っていたりしないから、苔のような汚いものが付着することもない、の意味だと思
っているようだ。どうしてそういう違った解訳がうまれたのか考えてみると、基本的にア
メリカは流動社会であるのに、イギリスは定着社会であるという社会背景の違いから、イ
ギリスでは否定的に解訳される「転石」が、アメリカでは肯定的に解訳されているためだ
と思われる。(外山滋比古「ことわざの理論」)
* おぼつかない:疑わしい、難しい。

問:この諺の中で「苔」はもともと何の象徴として使われているか。
1. 職業。
2. 成功。
3. 誘い。
4. 汚いもの。

正解:2

「卒業式」谷川俊太郎
広げたままじゃ持ちにくいから/きみはそれを丸めてしまう
丸めただけじゃつまらないから/きみはそれをのぞいてみる
小さな丸い穴の向こう/笑っているいじめっ子/知らん顔の女の子
光っている先生のはげ頭/まわっている春の太陽
そしてそれらのもっとむこう/きみはみる
星雲のように こんとんとして/しかもまぶしいもの

教科書には決してのっていず/蛍の光で照らしても
窓の雪で透かしてみても/正体をあらわさない
そのくせきみをどこまでも/いざなうもの
卒業証書の望遠鏡でのぞく/きみの未来
(谷川俊太郎詩集「どきん」)
* こんとん(混沌)   いざなう:誘う

問:「こんとんとして/しかもまぶしいもの」とは何を指すか。

1. 春の太陽。

2. 星雲。

3. 望遠鏡。

4. 未来。

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正解:4
読解第三种类型 特定の述語の主語や対象語を問題

「太田さん、 変わりませんね 」
(中略)、四年ぶりにホテルのティー?ルームでお会いした編集者の A さんからそのよう
にいわれたとき、わたしはみた目のことをいわれたのだと思って、自然ににっこりした。
「A さんも、お変わりありませんわ」
ダーク?グレイのスマートな背広姿は、四年前と変わりがなかったが、その髪にはいくら
か白いものが目立つようになったなと思いながらそういったのである。
「いや、ちょうど十五分、遅刻したところがですよ。」
A さんは眼鏡の奥の眼をいたずらっ子の少年のように、わざと大きくしながら言われ
た。...

(太田治子「気ままなお弁当」)

問:「変わりませんね」とあるが、A さんは何が変わらないと言ったのか。
1. 人と会うときは「お変わりありませんね」と言うこと。
2. 約束の時間にいつもちょうど十五分だけ遅刻するくせ。
3. 四年前に会ったときの見た目と今回会ったときの見た目。
4. 人と会うときはいつも外観ばかり気にするくせ。

正解:2

いかなる理由であれ、家族、特に夫婦が別々に暮らすことは決して望ましいことではない。
とはいえ実際には、夫の地方転勤に際して家族共々転居するという例はむしろ少なく、夫
だけが新しい任地に単身赴任し、家族は今までの場所で今までの生活を続けるという例
の方が、はるかに多い。その理由として、共稼ぎの妻の仕事の都合や、親の世話や介護の都
合などが挙げられる場合もないわけれはない。だが、この現実は何と言っても日本の学校
制度、受験制度、さらに教育現場の実態などからみた 子供の転校の難しさと、最も深い関
係があると思われる。

* ~であれ:~であっても  共々:いっしょに  とはいえ:とは言うけれども

問:何が「子供の転校の難しさと、最も深い関係がある」のか。
1. 夫が地方転勤になること。
2. 夫が単身赴任せざるを得ないこと。
3. 妻に仕事や親の世話などの都合があること。
4. 受験戦争が厳しい上に、いじめなどの問題があること。

8
正解:2

私が書く小説には、しばしばサラリーマンの主人公が登場する。したがって、小説の舞台
も、会社や家庭であることが多い。しかし、作家仲間や出版社の人達にも信じられないと
いった顔をされるのだが、実は、わたしには家庭を持った経験もなければ、会社員生活を
した経験もない、全く実際の経験がないことを、さもよく知っているかのように書く。よ
くそんなことができると 怒られそうだか、そこは会社員の友人たちから得る情報と、わ
たし自身の想像力とで輔っているというわけである。

問:だれが「怒られそう」なのか。
1. 筆者。
2. 作家仲間や出版関係者たち。
3. 会社員の友人たち。
4. 読者。

正解:1

日本は昔から天災の多い国であった。火山も多ければ、地震もある。夏の終わりから秋に
かけては、毎年大小幾つもの台風に見舞われ、大雨が降れば、流れの速い川はたちまち氾
濫して、周囲の田畑を 読み込み。冬は冬でまた逆に大陸からのからっ風で空気が乾燥し、
毎年あちこちで山火事が発生する。......
天災の多かったことは日本人の心の中に、物事をすぐ忘れすぐ諦めるという癖をつけて
しまったように見える。天災に打ち勝つためにはどうすればよいかを考え抜き、粘り強く
工夫を重ね、根本的な対策を立てる代わりに、天災だから 仕方がない 、失ったもののこ
とはさっぱり諦めきっぱり忘れて、もう一度新しく一からやり直すほかないと考えて、自
分を納得させてしまう気持ちである。このようにして、打ちのめされてもまたやり直し、
毎回同じことを 繰り返していく 。その気持ちはさらに、遠い将来のことなどあまり深く
考えずに運を天に任せ、何か起こった時には、その都度その都度、その場その場で安易な
一時しのぎの対策を講じて、それで済ませてしまうという一種の無責任さを植え付けて
しまったようである。

* からっ風:水分の少ない強い季節風。    打ちのめす:徹底的な打撃を受ける。
   一時しのぎ:そのときだけ何とかする。   講じる:する。

問 1:何が「読み込む」のか。
1. 台風。
2. 周囲の田畑。

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3. 流れの速い川。
4. 火山や地震。

問 2:何が「仕方がない」のか。
1. 日本は天災が多いこと。
2. 日本に住んでいること。
3. 被害を受けたこと。
4. なくしたものを諦めること。

問 3:何が「繰り返していく」のか。
1. 台風。
2. 山火事。
3. 日本の四季。
4. 日本人。

問 4:何が「植え付けてしまった」のか。
1. 台風や地震などの天災。
2. 物事をすぐ諦め、すぐ忘れる癖。
3. 粘り強く重ねる工夫。
4. その場限りの一時的な対策。

正解:3、3、4、2

人生において一つの失敗などというものは、テニスの試合において点を一つ取られたよ
うなものである。どんなに強い選手だって、点を一つも取られずに試合を進めることなど
できまい、それと同様に、全く失敗なしに世の中を渡っていくことなど、できようはずが
ない。人生に成功と失敗があるのは、一日のうちに昼と夜があるようなものである。夜は
どんなに偉い人も 追い払うことはできない 。僅かな失敗を気にして思い悩んでしまう
のは、自分は失敗なしに生きていけるはずだという無意識の思い上がりが、心の奥底にあ
るからにほかならない。成功も失敗も時の運と思って、それにこだわらずひたすら最善を
尽くす謙虚な心が、本当のスポーツマンシップなのである。この真のスポーツマン精神を
身につけることこそ、人生を強く生き抜く心構えを鍛え上げるために何より大切でなこ
とである、と僕はこのごろ考えている。

*  思い上がり:自分を立派だと思い込む気持ち。  こだわる:気にする。 
*  ひたすら:ただそれだけを熱心に。       心構え:基本的な心のあり方。

問 1:何か(だれか)「追い払うことはできない」のか。
1. 人生。
2. 強い選手。
3. 夜。

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4. 偉い人。

問 2:だれか「思い上がり」を心に持っているのか。
1. 点を一つも取られずに試合を進めるテニスの選手。
2. 今まで失敗なしに人生を生きて来た人。
3. 小さい失敗で精神的に落ち込んでしまう人。
4. 成功しても失敗しても余り気にしない人。

問 3:何か「大切なことである」のか。
1. 本当に強いスポーツ選手になるために、点を取られないよう頑張ること。
2. 成功とか失敗とかいった結果は気にせず努力すること。
3. 謙虚になって試合の相手の気持ちを大切にすること。
4. 失敗をなるべく少なくして、人生における勝利者になること。

正解:4、3、2

私の知っている寿司屋の若い主人は、亡くなった彼の父親を、いまだに尊敬している。死
んだ肉親のことは多くの場合、美化されるのが普通だから、彼の父親追憶もそれではない
かと聞いていたが、そのうち考えが変わってきた。
高校を出た時から彼は父親に、寿司の握りかた、めしのたきかた------寿司屋になるすべ
てを習った。父親は彼の飯の炊きかたが下手だとそれをひっくりかえすぐらい厳しかっ
た。...。...ある日、たまりかねて、「なぜぼくだけに辛く当たるんだ」ときくと、
「俺の子供だから辛く当たるんだ」と言いかえされたと言う。
父親が死に、一人前になって店をついでみると、その辛く当たられた技術が役にたち、な
るほど、なるほどと彼はわかったそうである。
私はこの若主人の話を聞くたびに、羨ましいと心の底から思う。そこには我々がある意味
で理想とする父親と子供の関係があるからである。
                          (遠藤周作「勇気ある言葉」)
問:「なるほど、なるほどと彼はわかった」とあるが、彼がわかったことは何か。
1. 父親が死んだ理由。
2. 店をついだ理由。
3. 父親が辛く当たった理由。
4. 筆者が彼を羨ましいと思っている理由。

正解:3

最近、すっかり出不精になってしまい、自分でも困ったものだと思う。折に触れる旧友の
顔など思い出し、電話などして「近いうちに会おう」と話がまとまるところまではいいの

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だが、さてその日が近づくにつれて次第に気が重くなってくる。
着ていく物はどうしようか。なるべく若々しく元気に、さっそうと見せたいし、かといっ
て、落ち着かない印象は与えたくないし...。あ、美容院の予約も必要だ。...いやい
や、外見ばかり気にしていても切がない。いつもの自分でいいのだ、と言い聞かせても、ま
たここで心配になって、最近家事と育児に追われて、知識も話題も狭くなってるだろうか
ら、友達と会っても少し話した後は話題も尽きてしまうのではないか、などと思い悩む。
そしていよいよ前日になると、すっかり新しく変わってしまったらしい都心のその駅の
約束の場合に約束の時間までにちゃんと着けるだろうか、と極度に不安になり、結局、体
調を理由に約束を取り消してしまったりするのだ。まったく我ながら情けない。
* 折に触れる:何かの折に。  かといって:そうは言っても。
* 言い聞かせる:説得する。  我ながら:自分でも。

問 1:「心配になって」とあるが、何が心配なのか。
1. 着て行くものなど自分の外見が心配。
2. 出かけている間の家事と育児のことが心配。
3. 話題が尽きてしまうことが心配。
4. 慣れないところへ無事に行けるかどうか心配。

問 2:何が「情けない」のか。
1. 外見や他人の印象ばかり気にする自分。
2. 知識や話題が狭くなってしまった自分。
3. 都心の様子が全く分からなくなってしまった自分。
4. 心配ばかりして、結局約束を取り消してしまう自分。

正解:3、4

温泉地の旅館で、海の幸山の幸を取り揃えた夕食を食べながら、近頃の宿の食事について
嘆く人々の言葉を思い出した。日本全国どこへ行っても同じような食事しか出ないのは
残念だと言うのである。
...人間の生活は自然の環境条件に左右されており、食べ物にも当然地域の特性が表
れるはずだと考えれば、いちおう正当な批評のようにも聞こえる。
何が、ほんの少し前までは想像も付かなかったほど激変している今日の食料品の生産、加
工技術や流通システムの実態を知るにつれて、g はこれがかなり的外れなものであること
が、私には次第にはっきり分かってきた.
(加藤秀俊「日本人の食生活」)
* 想像が付く:想像できる。  的外れ:当たっていない。正しくない。

問 1:何が「想像もつかなかった」のか。
1. 旅館でこんなにいろいろな種類のごちそうが出るということ。
2. 全国どこへ行っても同じような食事が出るということ。
3. 食べ物には、それぞれの地域の特徴が出るはずだということ。

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4. 現在のような食品の生産?加工?流通システムができるということ。

問 2:何が「はっきり分かってきた」のか。
1. 今日では旅館が海の幸山の幸を取り揃えるのは簡単だということ。
2. 今日では食べ物に地域の特性表れにくいということ。
3. 食料品を扱う会社システムが昔と今とでは全く違うということ。
4. 現在の食料品の生産?加工?流通システムは良くないということ。

正解:4、2

学校に着くと、待ち構えていたように皆が僕の回りに寄ってきた。「勇ちゃん、どうだっ
た?やっぱりなかった?」僕は急にどきどきし、顔が真っ赤になるのが分かった。一瞬、よ
っぽど「うん。」と言ってしまおうかと思った。でも、それでは嘘つきになってしまう。それ
に、せっかく苦労して手に入れた物を、ずっとだれにも見せないで、隠しておかなければ
ならなくなる。僕は下を向いたまま、思い切って言った。 「ごめん、机の上にあった。僕の勘
違いだった ...」
雑誌の後ろの頁に「○○の切手あり。××の切手と交換希望」と出ていたのを見つけて相
手に連絡し、その切手が届くまでの三日間の長かったこと。それを昨日、皆に自慢しよう
と、切手帳に入れて学校に持ってきた、と思ったのだ。昼休みに見せようとしたらなかっ
たので、大騒ぎになってしまった。先生が「きっと家にあるから」と言い、一応家に電話し
て留守で、僕はもう午後の授業は手につかなかった。だれかが盗ったのだ、一体だれなん
だ、とそんなことばかりを考えていた。そして家で切手を見つけてからは、あんなに絶対
持ってきたと言って大騒ぎをしたあげく家にあったと言ったら、皆に何と言って責めら
れるかとそればかりを考えていたのだ。
一瞬の沈默の後、 「なんだ。やっぱりそうだったのか。勇ちゃん、無くなったんじゃなくて
よかったなあ。」と、実君が言った。顔を上げると皆が笑っていた。皆僕のために喜んでく
れている。意外だった。僕は泣きたいくらいうれしかった。こんなに良い友達のことを僕
は...。僕は自分がたまらなく恥ずかしかった。

問 1:何が「勘違いだった」のか。
1. 筆者のいったこと。
2. 切手を手に入れたこと。
3. 先生の言ったこと。
4. 家が留守だとおもったこと。

問 2:何が「意外だった」のか。
1. 切手が家にあったこと。
2. 皆が「どうだった」と聞いたこと。
3. 皆が筆者を責めると思ったこと。
4. 皆が筆者のために喜んでくれたこと。

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問 3:どんなことが「たまらなく恥ずかしかった」のか。
1. 勘違いしたこと。
2. 大騒ぎしたこと。
3. 皆の前で謝らなければならなかったこと。
4. 皆の気持ちを誤解していたこと。

正解:1、4、4
読解第四种类型  理由を問う問題

私は最近、外国へいく機会に何回かめぐまれ、諸国の鉄道に乗ってみている。...なに
からなにまで、ものめずらしいことばかりで、おもしろくてたまらないけれど、外国の鉄
道の味を知ってしまったら、日本の鉄道はつまらなくなるかというと、けっしてそうでは
ない。外国での鉄道旅行のおもしろさは、異邦人としてのおもしろさであり、日本のそれ
とは、味わい方の立場が違うのである。 外国の鉄道に乗りながら、日本の鉄道への郷愁を
感じることがしばしばであったのも、そのためであろう。

(宮脇俊三「鉄道旅行のたのしみ」)

問:「外国の鉄道に乗りながら、日本の鉄道への郷愁を感じることがしばしばであった」
のはなぜか。
1. 外国の鉄道に乗っていると、異邦人と見られてしまうから。
2. 外国の鉄道はものめずらしいことばかりで、つかれてしまうから。
3. 外国の鉄道と日本の鉄道では、異なるおもしろさを感じるから。
4. 外国の鉄道と日本の鉄道は、なにからなにまで似ているから。

正解:3

たまたま家族がみんな出かけてしまった日曜日など、なぜかひとりで留守番というかっ
こうのとき、電話の鳴るたびにのこのこ立っていくのがおっくうで ― だいたい私あ
ての電話は少ないのだ ― 断固無視してやろうとは思っても、リーンリーンリーンと
鳴り続けるあの音に対して居留守を使うにはよほどの図太い神経がいるらしく、ためし
に意地を張って見ると、けっきょく、いちいち席を立つよりも、無視しとおすほうがよほ
ど心の疲れは大きいのであった。

(佐藤信夫「レトリックの記号論」)

*居留守を使う:本当はいるのに、いないふりをすること。

問:「よほど心の疲れは大きいのであった」とあるが、それはなぜか。

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1. 電話が鳴るとでなくてはいけないと思ってしまうから。
2. 日曜日にはひとりで留守番をしなくてはいけないから。
3. 期待して出ても自分にきた電話ではないことが多いから。
4. 電話が鳴るたびにいちいち立っていくのがおっくうだから。

正解:1

社会心理学者の木下富男先生の書かれた「クラクションランゲージ」と言う論文の中に、
クラクションのエピソードがあります。ある教授が道を歩いていたとき、後ろからきた車
からクラクションを鳴らされた。教授は車を通すために道を譲った。ところがすれ違った
ときに車はもう一度クラクションを鳴らした。人がどいてやったのにまたクラクション
を鳴らすとは失礼な奴だ、と教授は怒っている。木下先生はそこで、最初のクラクション
は「A」という意味だが、後のクラクションは、
「B」という感謝の意味のクラクションですよ、
と説明をされたという話です。...

(蓮花一己「カーコミュニケーションその」)
*クラクション:自動車の警笛。

問:「教授は怒っている」とあるが、なぜ教授は怒ったのか。
1. クラクションの音がうるさかったから。
2. クラクションの音に驚いたから。
3. クラクションの意味を誤解したから。
4. クラクションの意味が間違っていたから。

正解:3

正月休みを利用してニュージーランドを旅行した。
ある町の中ほどに古いイギリスを思わせる重厚な石造りの大きな建物があった。案内書
によると、無料でガイド付きの内部見学ができるとあるので、ドアを押してはいってみた。

中から年配のが現れ、今日は国の祝日で休みだという。がっかりしたけれど仕方ないので
出ようとすると、彼女はついてこいと言い、薄暗い廊下に電気をつけて、大きな広間に案
内してくれた。窓のステンドグラスが美しく、家具もいかにも重厚である。彼女は、ここで
建国初期の歴史を語ってくれ、明日来たら、他のところも案内します、と言った。
祝日であることを知らずに押し掛けてしまった外国人に対し、役所の規則を曲げて案内
をしてくれた。それは実に人間味のある良心的な態度で、私たちは 大いに驚き感動し 、
130 年も前から今日に至るまで行政の重要な場所として用いられてきたこの立派な建物
を、明日再度訪問しようと話し合ったのであった。

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問:なぜ「大いに驚き感動し」たのか。
1. 役所の職員が外国人に特別に親切にしてくれたから。
2. ステンドグラスや家具が素晴らしかったから。
3. その建物が古い歴史を持つ立派なものだったから。
4. 職員が、明日は他も案内してくれると言ったから。

正解:1

日本の M 工学博士がインド大使主催のパーティーの席上で、インドの大詩人で有名な哲学
者でもある Y 氏からロケットの構造についてかなり専門的な質問をされてびっくりした
時のことを A 新聞のコラムに書いておられたのを読み、私自身も M 博士と同じようなこと
で 驚いたことがあったのを思い出した。

問:筆者はなぜ「驚いた」のか。
1. M 博士の体験と自分の体験がまったく同じようだったから。
2. 筆者も Y 氏から同じ質問を受けたことがあるから。
3. 筆者も科学者にロケットの構造について質問したことがあるから。
4. 優れた人がその専門外の分野にも深い関心を持つことを知ったから。

正解:4

身軽であることは重要なことである。……というのは、身軽な人は実際に自分の場所から
おっくうがらずに動けるばかりでなく、意識の上でそうできる場合が多いと思われるか
らである。物事を違う視点から見られるという事は自分と他人との関係を適切に把握す
る上で不可欠なことなでだ。

(辻邦生「霧の廃墟」)
*おっくう:めんどう
問:なぜ「身軽であることが重要なこと」なのか。
1. 身軽な人は意識せずに人の世話をすることができるから。
2. 身軽な人のほうが相手の立場でものを考えることができるから。
3. 身軽な人は行動力があり、積極的に社会活動ができるから。
4. 皆から良い人だと思われることが多いから。

正解:2

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数十万の契約を取ったぐらいで、と彼の自慢話に適当にあいづちを打っていたところ、彼
が突然テーブルをひっくり返しかねない勢いで立上がり、「どうせおまえは偉いよ。」と叫
んだのには驚いた。
*あいづちを打つ:聞き手が話し手に調子を合わせて軽い返事をする。

問:なぜ「叫んだ」のだと思いますか。
1. 契約を取れたので感心したから。
2. 自慢話をきくのが嫌になったから。
3. 聞いてくれた相手を尊敬したから。
4. 筆者の態度に怒ったから。

正解:4

街はクリスマスセールでにきわっていた。ショーウィンドウは美しい飾られが買い物客
の心をかき立てていた。だが、その日初めて太郎と会う約束をして、花子と一緒に指定の
場所へ向かっていた私は気が気でなかった。約束の時間をすでに 20 分も過ぎている。私
は駆け出したい気持ちだった。しかし太郎を何年も前から知っている花子はいっこうに
足を速めようとしない。「あなたとこうして街を歩くなんて久し振りね。」などと言いなが
ら、花屋で鉢植えの花の値段を聞いたり、洋品店の店先で半額セールのセーターを胸に当
ててみたりしている。

* ジングルベル:クリスマスの曲。  かき立てる:興奮させる。  
* 気が気でない:心配でしかたがない。  いっこうに:まったく。

問:花子はなぜ「足を速めようとしなかった」のか。
1. クリスマス気分に浮かれて時間のことを忘れていたから。
2. 久し振りに私と歩くのが楽しかったから。
3. 花やセーターが安くなっているので買いたいと思ったから。
4. 太郎が遅れてくるだろうと思ったから。

正解:4

もし山々に木がなかったら、土ははがれ、山は崩れ、陸地は石と岩だらけの荒れ地と化し
ていたことであろう。土地は不毛となり、更に雨の度に下流は土砂と洪水に見舞われ、平
野での耕作はおろか、人々が安全に平野に住むことすら不可能になっていたに違いない。
快適で便利な生活への限りない欲望のままに木々を切り続けていたら、いつかそのつけ
に苦しまねばならぬのは我々自身なのだ。この美しい地球の 緑を守ることは人間が自分

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達自身を守ることにほかならない。

* ~はおろか:~はもちろん。  つけ:後でまとめて払うべき負債。

問:なぜ「緑を守ることは人間が自分達自身を守ること」なのですか。
1. 木を切って使うことで我々は快適に暮らせるから。
2. 木が地球を美しい星にしてくれているから。
3. 緑のない場所が住みにくい場所になってしまっているから。
4. 木が平野を人間の生活に適する場所にしてくれているから。

正解:4

その計画は半ばまで進んだところで 止まってしまった 。資金は確かに十分とは言えな


かった。が、あるところまで様子を見た上で援助を考えてもよいと言ってくれた人がない
わけではなかった。場所を確保する見通しもついていた。少し狭すぎると言う難点もある
にはあったが。我々の気持ちがもっと一つになってさえいたらと、思われてならない。ど
うしても人手が足りないときは声を掛けてくれと言ってくれた人もいたのに...。

問:なぜ計画が「止まってしまった」のか。
1. 見つかった場所が狭かったから。
2. お金が足りなかったから。
3. 仲間の間に意見の対立があったから。
4. 働き手が足りなかったから。

正解:3

英会話のクラスでアメリカ人の先生に「ノーならノーと、もっとはっきり言いなさい。あ
なたがた日本人のそのあいまいな態度は無責任ですよ。」と 注意され 、山下秀雄氏の『日
本のことばとこころ』という本の中に、日本人が一般的にはっきりノーと言わないのは、
日本語の構造と関係があるのでは、と書いてあったのを思い出した。「見ませんでした
か。」と聞かれて、見なかった場合、英語では「ノー」と答えるのに対し、日本語では「はい」
と答える。すなわち英語の場合にはお互いが客観的事実を見て、その事実に対してイエス、
ノーを言うのに対し、日本語の否定は相手の質問そのものに向けられる。きっぱり否定す
ることは、事実の否定を飛び越えて相手の考え方に対する否定と受けとられかねない。日
本人はその控えめな「ノー」によって、否定が相手に対してではなく事実に対してのみ限
定されることを無意識のうちに伝えようとしているのではないか、と山下氏は指摘して
いたが、なるほどそうか、と思った。だとすれば、「ノー」とはっきり言える日本人になると
いうことは、かなり難しいことかもしれない。

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問:なぜ先生に「注意された」のですか。
1. 日本人が無責任な答え方をするから。
2. 日本人が「ノー」をはっきり言わないから。
3. 日本人が客観的事実をしっかり見ないから。
4. 日本人が相手に誤解されることを恐れているから。

正解:2
読解第五种类型  抽象的表現の意味解釈や内容を問う問題

...友人から聞いた話である。彼は、だいたいが慎重な運転をする男だったが、ある日
のこと、横丁から突然、そば屋の青年が自転車で飛び出してきて、彼の自転車と衝突して
しまった。
幸い青年にはけがはなかったが、自転車はメチャメチャ。...警察官もやってきた。友
人が、
「私には責任はない。その青年の不注意だ」と主張すると、その話を聞いた警察官は、
とにかく五千円払えば立ち去ってもよい、と言ったという。
友人が、「...。私には落度がないのに、なぜ罰金を...」と問い返すと、彼は「いや罰
金じゃない。青年がかわいそうじゃありませんか」と答えた。...せめてメチャメチャ
になった自転車の代金の一部だけでも、と警察官は考えたのだろう。
悪くすると、これは大きなトラブルになりかねない。友人は根が日本びいきで、日本語も
日本人的心情も理解していたから、それ以上の論争にはならなかったが、どちらがよいか
悪いかの問題ではなく、西洋と日本では、法や正義に対する考え方が、全く違うことがわ
かる。...(ヨゼフ?ロゲンドルフ「ニッポンの大学生」)

問:「悪くすると」とあるが、例えばどういうことか。
1. 青年がその事故で病気になったりすると。
2. 警察官がその青年にお金をあげたりすると。
3. 私がそれをほかの人に話したりすると。
4. 友人がそれを法的に問題にしたりすると。

正解:4

この文章は、中学生の約 60%ができない数学の問題(図形の論証)を中学校のカリキュ
ラムに入れるべきかどうかについて論じたものです。
教育は本来平等を目指すべきものだが、しかし残念ながらある局面では平等たり得ない。
ここに教育の矛盾があると思う。二つの理由で、 「図形の論証」のような難解な教材がカリ
キュラムに組み入れられるのもやむを得ないし、むしろそれがときに必要な措置だとさ
え私が考えている所以を述べたい。
第一に、教材は現在の社会の現実にだけ合わせるべきものではなく、...第二には文化

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とは何か?ということと深く関係がある。...。教育の中に分からないもの、及ばない
ものが入ってきてはいけないという考えが、 教育を狭めてしまうことになる。...物
理の教科書は分かったこと、解明済みのことしか記述しない。このような教科書の記述の
仕方は間違っているのではないだろう。...。分かったことや分り易いことだけで教育
を限定すると、教育を結局はし死滅させることにつながりかねない。...(西尾幹ニ
「教育と自由」)
*カリキュラム:教育の内容。  所以:理由。

問:「教育を狭めてしまう」とあるが、どのような意味か。
1. 教育を受ける機会が平等でなくなってしまう。
2. 内容を理解できない中学生が増えてしまう。
3. 本来の教育の意味が損なわれてしまう。
4. 正確に教えられる教師が減ってしまう。

正解:3

20 年も前、初めて米国に留学した際、週末にホームステイに招いてくれた老婦人が、こん
なことを私に言った。
  「あなたはこれからこの国で様々な人にであうことでしょう。親切にしてくれる人も
たくさんいるとは思うけれど、あなたの心を傷つけるような冷たい言葉や態度に出会う
こともあるでしょう。そんな時悲しんだり怒ったり相手を責めるのではなく、難しいこと
だとは思うけれど、その人を許し、その人のために祈ってあげてください。不親切な人と
いうのは実は暖かい心の触れ合いを知らない不幸な人なのですから。」
  その後アメリカでも、また帰国後も、様々な人に出会い、様々な経験を重ねるにつれて、
この老婦人の言葉は本当だと今更ながら私は思うのだ。

* ホームステイ:よその家庭に滞在すること 今更ながら:あらためて。

問:「老婦人の言葉は本当だ」というのはどういう意味ですか。
1. アメリカには、本当に親切な人もたくさんいるが、不親切な人もたくさんいる。
2. 人を許し、その人のために祈るのは本当に難しい。
3. いつの世にも、人は本当にいろいろな人に出会って、学びながら生きていくものだ。
4. 本当に、不親切な人は皆、不幸な人なのだ。

正解:4

旅というのは一般的に見れば人間の空間的な移動であるが、空間移動と時間移動の間に
一つの類推をたててみた場合、例えば東京から仙台まで移動するのが旅であるように、少
年期から老年期までの時間経過も一つの旅と考えることができよう。人が目的地に向か
って旅する時、必ずたどるものは道であり、我々日本人はしばしば 生きる態度そのもの

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を「道」に託する。花道、茶道、書道、柔道という言葉も、単なる技能としてとらえられたも
のではなく、それらの技能の習得を通して、我々日本人が日々、それぞれ生きる「道」を求
めて行こうとしていることを表す言葉なのである。     (加藤秀俊「新旅行用心
集」)

*託する:たとえる。 習得:習って自分のものにすること。 日々:毎日の生活の中で。

問:「生きる態度そのものを「道」に託する」とはどういうことか。
1. 道徳的に正しく生きるように心掛けようとする。
2. 何を目指すのかはっきり決めて歩こうとする。
3. 人生の目的はいろいろな技能を習得することだと考える。
4. 人生を一日一日の積み重ねとしてとらえる。

正解:4
読解第六种类型  抜けている語句を埋める問題

一、抜けている言葉を探すときは、呼応の副詞を考える。
① 否定類
? ろくに~もしない
? ~とはゆめにも思わない
? いちがいに~とはいえない
? あえて~うとしない
? よもや/まさか~とは(思わなかった)
? ~(と)は/~なんて
? とうてい/とても/ぜったいに/全く~ない

② 疑念
? どれほど/どんなに~か
? いったい/はたして/(+疑問詞)~か
? もしや/もしかして/もしかしたら/ひょっとして~のでは(ないか)

③ 仮想
? まんいち/もし

たとえ/いくら/どう/いかに/どんなに~ても/うと

④ 様態
? 今にも/すぐにも~そう
? いかにも~そう/らしい/っぽい/よう/みたい
? さも~(かの)よう
? まるで/ちょうど~のよう

21
⑤ 願望
? ぜひ/なんとか~たい/ほしい/ください
? どうぞ/どうか~ください

⑥ 順序
? すでに/とっくに/もう~た/ている/てしまった
? まだ/いまだ/今に至るまで~ない/ている
? とりあえず/ひとまず~て(めて)から/たあとで

⑦ 感嘆
? なんと~さえ/すら/まで
? さずが~だけあって

⑧ 譲歩
? なるほど/たしかに~だが/にはちがいないが/ではあるが

⑨ 対比
? ~どころか/どころではなく、かえって/反対に/逆に

⑩ 比較
? ~(という)よりむしろ ~ (ほう)が、~より/~とくらべて、より/もっと/ず
っと/はるかに/更に/一層/やや/わずかに/多少/心持ち

二、抜けている言葉の前の文と後の文との関係を考える。

① 順接

a 経過→結果:かくして 結局 そのあげく ついに とうとう
b 条件→結果:そうすれば そうしたら それなら そうすると
c 原因→結果:だから(ですから) それで 従って この /そのため この/その結果
このようなわけで (それ)ゆえに
d 結諭→理由:なぜなら なぜかと言えば だって というのはそれは

② 逆接

a 条件?譲歩:そうであろうと そうしたところで それにしても だからといって そ
うはいっても とは/そうはいうものの とはいえ
b 予想外の事実:だが しかしながら ところが それを そのくせ 意外にも にも
かかわらず それどころか それにしても それにしては
c 対立?対比:一方 逆に 反対に 対するに に対して に比して

③ 並列?累加

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かつまた なおかつ ならびに 同時に そのうえ しかも おまけに のみならず 
それだけでなく そればかりでなく それどころか まして それに加えて 
加うるに さらに

④ 比較?選択
   あるいは または もしくは それとも ないしは むしろ というよりは その
かわりに かえって このなかで

⑤ 換言?説明
   すなわち つまり いわば ようするに けっきょく たとえば ということは
   いいかえれば いわゆる いってみれば

⑥ 補充
   ただ 但し もっとも なお ちなみに これ/それについては

⑦ 転換
   さて ところで それはさておき それはそうと 話かわって

「なぜ彼女は朝からあんなに機嫌が悪いんですか。」
「( )、特にこれという理由が分らないから困ってるんです。誰かが何か言ったわけで
もないし、おなかが空いているとか疲れているとかいう感じでもないし...朝、家を出
る前にダンナとけんかでもしたんですかねえ...」

問:( )に入る適当な言葉を選びなさい。
1. それを
2. それで
3. それに
4. それが

正解:4

...そういえば、ひとりで電車に乗ってる猫もいたっけ。...タクシーに乗り込んで
来た猫もいる。...そして、( )糞をしたあとで、おしりをふく猫さえいる。わざわざ
じゅうたんの敷いてある部屋まで来て、後ろ足をあげておしりを床につけるようにして、
ズズズズと前へ進む。このありがたくない猫が、実は私の家にいるのだ。...

問:( )の中にはどんな言葉をいれたらよいか。
1. すると

23
2. もしや
3. なんと
4. なるほど

正解:3

「恩や義理は、日本人の人間関係の根幹にかかわる問題だ。それをコストだ利益だなどと
いうのはけしからん」と思う人もいるだろう。( )、「恩を売ったり」「借りを返した
り」、...日本人の人間関係だって意外と計算高い。

*根幹:基本。  けしからん:許せない。

問:( )に入る最も適当な言葉はどれか。
1. だから
2. それに
3. いわゆる
4. しかし

正解:4

(難解な教材がカリキュラムに組み入れられることも時には必要だと私が考える理由
の)第二には文化とは何かということと深く関係がある。
原理的に言えば、...、約二千字かの常用漢字を限定して、自分と古典との間に一本の
線を引くのは本来のあり方ではないのである。...
別の例で言えば、...現在、物理の教科書は、分ったこと、解明済みのことしか記述しな
い。このような教科書の記述の仕方は間違っているのではないだろうか。...
同じことは歴史の教科書についても言える。歴史は現代に対して生きて、働くもの
で、...相対性の観点が、教科書の中にもっとどしどし取り入れられるべきなの
だ。...
( )文化とは奥深いもので...われわれがどこかで線を引いて断ち切ってはならな
い。教育は連続して奥深い世界へ開かれているべきんものであって、...(未知なるも
のの)存在を早くから予感させることが重要ではないかと考える。...

*カリキュラム:教育の内容。

問:( )に入る適当な言葉を下から選びなさい。
1. 要するに
2. にもかかわらず
3. ところで
4. それゆえ

24
正解:1
読解练习 1

旅に出るときカメラは一応持っていくけれど、実際に写真を写すことは少ない。
大袈裟な主義主張があるわけではないけれど、わたしにとっては邪魔になることの
ほうがはるかに多い。その理由はーーカメラを持っていると、どうしても写真がとりたく
なる。いや、とりたくなるというより取らなければいけないような義務感が心のなかに生
ずる。  
ーー「A」--と思って感銘した次の瞬間、  
ーー「B」--そんな意識が脳裏に蠢いて、これがわずらわしい。  
そればかりではない。いったんシャッターをおしてしまうと、
  ーー「C」--といった気分が心を占め、目の前の佳景をしっかりと観賞し、記憶に留
めおくという作用がどうしても甘くなる。中途半端にながめて、あとは後日写真ができあ
がったときに委ねてしまおうという心理が働く。
  これがどうも風物を観賞するうえで間違った道のような気がしてならない。
  私自身が入江泰吉さんとか浅井慎平さんとか、一流カメラマン並みの撮影技術を持っ
ているのならよいけれど、実力は安いカメラでスナップを写す程度のもの。後でできあが
った写真は絵葉書にも①遠く及ばない。結局のところ、景色をろくに見なかったこととさ
して変わりがない。そんなことなら初めからカメラなど当てにしない方がいい。数年前に
そう悟って、以来めったに写真をとらなくなった。
  カメラはないとなると、観賞法そのものもおのずと厳しくなる。②余計なことを考え
ずにすむから、心ゆくまで賞味することができる。
  しかも、これから先にのべることは自分でもはっきりと断定できない微妙な心の作用
なのだが、カメラがなければめのあたりに見たことをハーフメードの形で文章化してお
くという仕事も、無意識のうちでやってしまうようだ。
  ーーこの風景を小説の中で描写するとしたらどう書くだろうかーー
  頭の片すみでそう考え、完全に文章化することまではしないが、なにかしら頭の中に
文章に近い形に変えて貯蔵するようになる。  ハーフメードというのは、その言葉の語
義からいって50パーセントほど製品化することだろうから、わたしの場合はとてもそ
こまではやらないけれど、10パーセントか20パーセントくらい(③)を自分の表現
に変えて脳裏に記録するところがあるようだ。これがあとで小説やエッセイを書くとき
に役に立つ。
  ④こんな作用は一般の人びとにはあまり必要なことではあるまいが、旅先で写真を撮
ることにばかり夢中になっている人を見るとーーあんなことで風物をよく観賞すること
ができるのだろうかーーと、不思議に思わないでもない。

注1感銘:深い感動
注2脳裏に蠢く:頭の中で動き出す
注3佳景:いい景色
注4委ねる:任せる
注5入江泰吉、浅井慎平:有名な写真家

25
注6さいて:それほど
注7心ゆくまで:気が済むまで

問1「A」「B」「C」に入る組み合わせとして、最も適当なものを選びなさい。
1A)いい景色だなあ B)うん、これでいい C)ああ、そうだ。写真に写しておかなく
ちゃあ
2A)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ B)いい景色だなあ C)うん、これ
でいい
3A)うん、これでいい B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ C)いい景色
だなあ
4A)いい景色だなあ B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ C)うん、これ
でいい

問2①「遠く及ばない」とはここではどういうことか。
1)写真も絵葉書も実際の景色のすばらしさにはとてもかなわないこと
2)自分で撮った写真より絵葉書のほうがはるかにすぐれていること
3)自分のカメラでは絵葉書のように遠くの景色がうまく撮れないこと
4)絵葉書よりも自分で撮った写真のほうがずっと価値があること

問3筆者は自分の撮影技術をどのように思っているか。正しいものを選びなさい。
1)カメラなどもつ資格はない。
2)それほど上手だとはいえない。
3)絵葉書の写真程度には写せる。
4)かなり高い撮影技術を持っている。

問4②「余計なこと」とはどのようなことか。
1)景色を十分に味わわなければならないということ
2)景色をしっかり記憶しなければならないということ
3)景色を写真に撮っておかなければならないということ
4)景色を文章で表しておかなければならないということ

問5(③)に入る適当なことばを選びなさい。
1)写した写真
2)頭の片すみの文章
3)眼で見たもの
4)微妙な心の作用

問6④「こんな作用」とはどのようなことか。
1)風景をある程度文章にして記憶すること
2)風景を深く観賞し、記憶に留めること
3)風景をテーマに小説やエッセイを書くこと
4)風景の写真を撮ることに疑問を感じること

問7筆者にとってカメラのない旅の利点は何か。

26
1)写真の代わりに文章の形で残るので小説などの作品がふやせること
2)無意識のうちにハーフメードの文章を書く技術が進歩すること
3)一流カメラマン並みに写真を撮れたかどうか心配しなくてもいいこと
4)風物を十分観賞できるうえに、ある程度文章化して記憶できること

答案:(1)4 (2)2 (3)2 (4)3 (5)3 (6)1 (7)4

仕事のことで、あなたは同僚の村山氏に助けを求めた。村山氏は自分の仕事を犠牲に
して、時間もお金も使って助けてくれた。しかし結果は、あなたの窮状をわずかに救って
くれたにすぎない。他方、あなたは小沢氏にも助けを求めた。小沢氏は電話 1 本で、窮状を
救ってくれた。さて、あなたは二人のどちらにより強い恩義を感じるだろうか。
  対人心理学では、恩義の強さはコストとあなたが得た利益で決まると考える。
  コストとは、相手があなたを助けるために費やした時間やお金、もろもろの犠牲のこ
とである。利益もお金や物とは限らない。地位や名誉、失わずにすんだ面目の場合もある
だろう。
コストや利益が何であるにせよ、恩義はコストが(a)ほど、また利益が(b)ほど、強
く感じる。恩義の強さは、コストの量と利益の量の(c)で決まるというのである。
  「恩や義理は、日本人の人間関係の根幹にかかわる問題だ。それを①コストだ利益だな
どいうのはけしからん」と思う人もいるだろう。(d)、「恩を売ったり」「借りを返した
り」、見舞いの半返しをしたり②日本人の人間関係だって意外と計算高い。
  そこで、冒頭の話をこう言い換えてみよう。
  村山氏の払ってくれたコストが(e)、彼がもたらした利益を(f)とすると村山氏
には 11 の恩義が生じる。小沢氏の支払ったコストは(g)、もたされた利益が(h)と
すると小沢氏にも 11 の恩義が生ずる。同じ値になったとき、実感として、あなたはどちら
に強い恩義を感じるだろうかというのが当方の問いだったのである。
  この問いに対して、アメリカの心理学者は、小沢氏の方に強い恩義を感じるといって
いる。結果が重要だということであろう。ところが、日本人を対象として検討したところ、
〔i〕という結果が出た。
  どうも日本人は、結果もさることながら、助けてくれるために多くのコストを支払っ
てくれたという事実を重んじて、恩義を感じるようである。

注1 窮状:非常に困った状態
注2 恩義:恩と義理、人から受けた親切に感謝し、いつかお礼をしなければならないと
思う気持ち
注3 根幹:基本、基礎
注4 けしからん:許せない
注5 半返し:贈られた金や品物の半額にあたるものを相手に返すこと
注6 当方:私

問1(a)(b)に入る言葉の組み合わせとして正しいのはどれか。
1a)小さい   b)大きい

27
2a)大きい   b)小さい
3a)大きい   b)大きい
4a)小さい   b)小さい

問2(c)に入る最も適当な言葉はどれか。
1)割り算   2)引き算   3)暗算   4)足し算

問3①「コストだ利益だなどという」とあるが、ここではどういうことか。
1)コストや利益はつまらないことだということ
2)コストや利益というような概念で考えること
3)コストや利益ということばの意味を考えること
4)コストと利益のどちらが重要か考えること

問4(d)に入る最も適当な言葉はどれか。
1)だから   2)それに   3)いわゆる 4)しかい

問5②「日本人の人間関係だって意外と計算高い」とあるが、
「計算高い」人間関係が存在
する社会とはどのような社会か。
1)恩や義理などが計算の対象となりうるものだと考えるような社会
2)恩や義理を売ったり返したりすることで非常に金がかかるような社会
3)計算が得意か不得意かということが人間の評価と関係するような社会
4)自分の金と時間を犠牲にしてでも他人を助けようとするような社会

問6(e)~(h)に入る数字の組み合わせとして正しいのはどれか。
1)  e:1    f:10    g:10   h:1
2)  e:10   f:1     g:1    h:10
3)  e:10   f:1     g:10   h:1
4)  e:1    f:10    g:1    h:10

問7〔i〕に入る言い方として最も適当なものはどれか。
1)村山氏にはそれほど恩義を感じない
2)小沢氏にも同じくらい恩義を感じる
3)村山氏の方に強い恩義を感じる
4)小沢氏には恩も義理も感じない

答案:(1)3 (2)4 (3)2 (4)4 (5)1 (6)2 (7)3

(1)今日ほど「労働」が見失われている時代はあるまい。働くなかで仕事や人に教えら
れ、あるいは人と力を合わせて働くこと、また働いた成果で社会と結ばれていることを実
感し、それらによって自分の働きの意味と生きていることの意義を確かめられる、そうい
ったことから私たちはしばらく無縁でいる。「労働の喜び」といった表現がひどく古めか
しくかんじられるほど、「労働」は私たちの生活から遠ざかっている。

28
注 無縁:関係がないこと

問「『労働』が見失われている時代」とは、どのような時代か。
1)労働する場が減ってk、失業が増えている時代
2)古くから社会にある仕事が忘れられている時代
3)労働することの意義が実感できなくなった時代
4)個人の楽しい生活を仕事とは分けて考える時代

答案:3

(2)コンピュータは他の機械とは本質的にちがっている。普通の機械はそれぞれ固有
の目的のために作られていて、その他の目的のためには使えない。これに対して、コンピ
ュータは計算をするだけでなく、他のいろいろな機械の働きを模擬することができる。そ
こでコンピュータは人間の知的活動を模擬することができるのではないかと考えて、こ
れを人工知能研究と名づけ、人間への挑戦が始まった。

注 模擬する(やや特別な使い方):まねをする

問「人間への挑戦」というのは、どのような意味か。
1)人間の能力とどちらが優れているか競争すること
2)機械を支配する人間から自立する戦いをすること
3)人間が持つ知能の働きに近づけようとすること
4)他の機械の働きも入れて人間の能力以上になること

答案:3

(3)「太田さん、変わりませんね」(中略)、四年ぶりにホテルのテールームでお会いし
た編集者のAさんからそのようにいわれた時、わたしはみた目のことを言われたのだと
思って、自然ににっこりした。「Aさんも、お変わりありませんわ」ダークグレイのスマー
トな背広姿は、四年前と変わりがなかったが、その髪にはいくらか白いものが目立つよう
になったなと思いながらそういったのである。 「いや、ちょうど十五分、遅刻したところ
がですよ」Aさんは眼鏡の奥の眼をいたずらっ子の少年のように、わざと大きくしながら
われた。私は、しばらくの間顔を上げることができなかった。

注 ダークグレイ:濃い灰色

問1①「変わりませんね」とあるが、Aさんは何が変わらないといったのか。

29
1)人と会うときは「お変わりありませんね」と言うこと
2)約束の時間にいつもちょうど十五分だけ遅刻するくせ
3)四年前に会ったときの見た目と今回会ったときの見た目
4)人と会うときはいつも外観のことばかり気にするくせ

問2②「しばらくの間顔を上げることができなかった」とあるが、それはなぜか。
1)Aさんのいたずらっ子の少年のような眼がとてもおもしろかったから
2)約束の時間に十五分も遅れたことを恥ずかしいことだと思ったから
3)Aさんのダークグレイーの背広姿があまりにスマートに見えたから
4)Aさんが言ったことばを自分が誤解していたことに気がついたから

答案:2 4 

心魅かれる女性にあうと、「この人は何歳だろうか」と考えてしまう自分に気がつく。
なぜ年齢に関心を持つのだろうか。女もすてきな男を見たときは、歳をしりたがるのだろ
うか。
  他人と関係するには、自分と相手との年齢の距離を測っておいたほうが都合がいいの
だろうか。結婚したいとか、養子にとりたいと思う場合には、年齢は多少考慮の余地があ
るかもしれない。ビジネスの場合は、とくに日本ではまだ目上目下という序列の感覚が残
っているから、①そういう配慮が必要かもしれない。
  けれども、単に好きになった相手の年齢がどうしてひつようなのだろうか。その人が
そこにいる、というだけでは、こころが満たされない。人間は、その来歴にかかわる情報が
伴なって、はじめて完全な人間と認められるのだろうか。そこが他の動物と違うところな
のか、あるいは、ぼくたちが②ゆがんだ文化のなかにいるのか。
  先日、東京で一人の中年男性が病死した。五年間いっしょに生活していた女性が、死亡
届を出そうとしたら、彼の戸籍抄本も身分証明書も偽物だったという。夫はいったい誰だ
ったのだろうかという疑問が彼女の心を揺り動かす。
  決して彼にだまされたとは思わないし、ともに過ごした月日に悔いはないが、それで
も夫の正体を突き止めたいという気持ちは強い。出身、経歴、資格、そして年齢と言う情報
を抜きにしては、アイデンテテが成り立たないのであろう。
  人を見るとすぐ年齢を推測すると言う習慣は、日本の社会にかぎらないが、年齢によ
って行動様式が規制される文化のなかで育った意識だろうか、 「年相応」という考え方は、
とくに日本において強いようである。
  ぼくたちは、人にあったときに、相手が何歳ぐらいだろうかという見当をつける。そし
て、その見当があたっているかどうかを確かめたい誘惑にかられる。若い」とか老けてい
る」という評価は、戸籍の上の年齢を知った上でなければ下せない。つまり、③)な印象な
のである。
  日本では、成人してしまえば、それから年を取ることは(a)」であり、それはもう
(b)を意味している。小さな字が見えなくなり、すぐつかれるようになり、記憶力も衰
えてくる。(a)のイメージはすべてマイナスである。
  けれども、最近の研究によると、戸籍上の「暦年年齢」は、実際に仕事をする能力とはあ
まり関係がないのだそうである。そこで、アメリカでは④「機能年齢」という新しい概念が

30
生まれた。主として労働市場で使われているようだが、これは職務遂行能力を測って決め
られる年齢なのだ。
  (⑤)だから、暦年を基礎とする定年制は、年齢による差別だとして、アメリカでは禁
じられるようになったという。日本人も、この十五年間のあいだに、機能年齢がほぼ十歳
若返ったようだ。
  無論機能年齢が暦年年齢より若い人ばかりとはかぎらない。四十歳でも能力は六十歳
なみに落ちているという人もいる。だから、暦年年齢で割り切ると不公平になるのである。

注1序列:身分や年齢を一定の基準で並べた順序
注2来歴:物や人の今までの歴史
注3戸籍:家族の名前、生年月日などを書いた公式の文書
注4抄本:元の書類から一部を写した書類
注5遂行:(仕事を)最後まですること

問1①「そういう配慮」とはどういうことか。
1)異性に会ったときその人の歳を考えること
2)自分と相手がいくつ違うか考えること
3)自分が相手より歳が多いと思わせること
4)年齢の離れている人とは付き合わないこと

問2②「ゆがんだ文化」とは、ここではどういうことか。
1)相手の存在だけで満足できず、年齢などの情報を求める文化
2)どの人も完全な人間だと認めようとしない文化
3)動物と違って、相手のことを理解しようとしない文化
4)年齢などの情報だけで相手を完全に信じてしまう文化

問3(③)に入る適当な言葉を選びなさい。
1)主観的   2)感覚的   3)個別的   4)相対的

問4(a)(b)に入る組み合わせとして正しいのはどれか。
1a)退化 b)能力が衰えること
2a)退化    b)筋力が弱くなること
3a)老化    b)能力が衰えること
4a)老化    b)筋力が弱くなること

問5④「機能年齢」とはどういうことか。
1)体の機能を調べて、どのぐらい正常かという数値で見た年齢のこと
2)能力とは関係のない、まったく新しい概念で考え出した年齢のこと
3)きちんとした仕事がどのくらいできるか、という基準で見た年齢のこと
4)どのぐらい働くとどのぐらい疲れるか、という統計から考えた年齢のこと

問6(⑤)に入る最も適当な文章はどれか。
1)中高年の職業能力は、思ったよりも高く、安定しているので、暦年年齢はむしろ当てに

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ならない。
2)中高年の職業能力は、あまり高くなく、年とともに低下するので、暦年年齢はかなり当
てになる。
3)中高年の職業能力は、思ったよりも高いが、かなり不安定なので、暦年年齢を考慮した
方がいい。
4)中高年の職業能力は、人によって個人差があるので、暦年年齢を無視しては正しい判
断ができない。

問7作者は「年齢」をどのように考えているか。
1)日本では年齢がたいへん重要だが、アメリカではそれほど重要視されていない。
2)日本では年齢を考えた行動を期待されるが、年齢はその人の本当の姿を伝えていない。

3)日本人は年齢を気にするから、アメリカの機能年齢という概念は受け入れられない
4)日本でもだんだん年齢を重要視しなくなっているので、年齢を気にする必要はない。

答案:(1)2 (2)1 (3)4 (4)3 (5)3 (6)1 (7)2
読解练习 2

 人間の体を機械と同じように考えることがよくあります。人体も、機械のように心
臓や(ア)胃や目などの部分品が集まってできていると考え、胃がおかしいときには胃
という部分品が故障したと考えます。したがって、胃を修理すれば、病気が治ったと考え
ることになります。 また、その部分品にしても、心臓はポンプで、目はカメラで、脳はコ
ンピューターのようなもの、と考えたりします。そういう、脳はコンピューターを同じに
考えるひとは、(イ)コンピューターと同じように働く脳を優れたものと思うようにな
ります。速く正確に計算できたり、なんでもそのままに記憶できたりすることが頭のいい
ことだ、と考えている人も(ウ)でしょう。 (エ)人間は機械と同じなのでしょうか。
人間はただの複雑な機械だけなのでしょうか。もちろん、人間には機械に似たところもあ
ります。だから、人間のことを機械を研究するように研究するのも無意味ではありません
が、しかし、それ ( オ ) でわかる事は人間に一面にすぎません。
 
  (カ)、アメリカでは 1976 年の建国 200 年記念するつもりで、その何年も前に、火
星へロケット着陸とがん制圧と言う大きな研究目標を立てました。このときまでに科学
者が力を合わせて大規模な研究を続けた結果、すでに月旅行に成功していました。(キ)、
その月旅行の科学を発展させて、火星ロケットには成功しました。ところが、一方のがん
制圧のほうは期待したような成果をあげることはできませんでした。つまり、機械を作る
科学のほうは急速に進歩していきますが、人間の病気を治す科学のほうはそう簡単には
いかないということです。人間は機械と同じではないからです。(ク)人間は「いつも生
きるために行動する」という点が機械と違うのです。機械は生きていませんから、生きる
ために行動するはありません。

1.文中のアの「同じように考える」とは、何と何とを同じように考えるのか。

32
A. 人間の体と脳 B. 機械とコンピューター
C. 人間の体と機械 D. 体と機械

2.文中の(イ)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. いつまでも B. いつ
C. いつでも D. いつの間にか

3.文中の(ウ)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. 少ない B. 少なくない
C. 大勢 D. すこし

4.文中の(エ)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. だから B. そして
C. しかし D. つまり

5.文中の(オ)の「それ」は何を指すか。
A. 機械研究のように人間のことを研究すること
B. 人間研究のように機械を研究すること
C. 人間の機械に似たところを研究すること
D. 機械の人間に似たところを研究すること

6.文中の(か)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. たとえば B. だから C. そして  D. それから

7.文中の(キ)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. まだ   B. それに  C. だから  D. そこで

8.アメリカが建国 200 年記念のために立てた研究目標のうち、すでに成功したのはど


れか。
A. 月旅行 B. 火星へロケット着陸
C. がん制圧 D. 新しいコンピューター

9.文中の(ク)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A. これで、人間と機械との違いがわかりましたか。
B. それでは、どこが違うのでしょうか。
C. あれでは、人間と機械の違いが分かりません。
D. どれが人間と機械の違いでしょうか。

10.この文章の内容に合っているものはどれか。
A. 私達人間の脳はコンピューターとまったく同じです。
B. 私達人間の脳はコンピューターと同じように働き、同じように優れています。
C. 人間は機械と同じではなく、行動の目的はいつも生きるためです。
D. 機械は人間と同じように生きるために行動します。

33
答案:

1. C  前面有一句话: “ 人体も、機械のように ” 。

2. D A. いつまでも = 永远; B. いつ = 什么时候; C. いつでも = 什么时候都;


D. いつの間にか = 不知不觉的。一个一个试填一下,就知道 D 是合适的。

3. B A. 少ない = 少; B. 少なくない = 不少; C. 大勢 = 很多; D. すこし = 少。


“ 认为 …… 的也不少吧。 ” 根据题义只能选择 B 。

4. C A. だから = 所以; B. そして = 而且; C. しかし = 但是; D. つまり = 即。


从文章的前后看,这里是转折,所以只能选择 C 。

5. A A= 象研究机器一样的研究人; B= 象研究人一样的研究机器; C= 研究人象机器


的那一部分; D= 研究机器象人那一部分。文章中说 “ 人間のことを機械を研究するよ
うに研究するのも無意味ではありませんが ” =虽然说把人象机器一样进行研究也不是
完全没有意义,但是这 …… 。这里  就提出了题中的「それ」,因此,这个「それ」正是
前面刚刚说到的内容,即是 A 。

6. A A. たとえば = 例如; B. だから = 所以; C. そして = 而且; D. それから =


然后。擦文章的结构来看,前面从道理是讲了:把人象研究机器一样来进行研究的话,只
能了解人的一部分。后面就用美国的科学发展为例说明道理。所以这里应该选择 “ 例如
” ,即是 A 。

7. D

日本人にとって ① 山は山以上のものであった 。山を見ながら、人は自然の懐に抱かれ


ている人間というものの存在のありかをはっきりと自覚することができた。( ② )、国
破れて山河ありというとき、山河にいつもかわらぬ、共同体の帰属する心の故郷を持つこ
とができた。

自然破壊は、自然の生態系を破壊するばかりではない。 ③ 近代科学的な自然保護 、その


ような自然観ばかりが先行すると、文化としての自然をないがしろにすることになる。た
んなる地質学的な山や植物学の標本のような自然は、いわば、( ④ )。どこまでいって
も、利用される素材としての自然をこえるものではない。よりよく、末ながく有効に利用
しようという配慮いがいの何物でもない。そこで、自然を愛そうといい、あるいは、大切に
しましょうといっても、究極的には( ⑤ )という生産社会の論理をあてはめているに
すぎない。

山が山以上のものであるということ、文化としての自然があるということは、自然が人間
の精神文化の充実にかかわっているということである。個人はもとより、山を仰ぎみる共

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同体の意識の形成、感性の熟成、歴史観の成立に、山がふかくかかわってきたし、今後もそ
のようなものとして人間の目に見えない、いわば ⑥ 第二の自然 を形づくっているとい
うことである。私たちが、産業社会の論理に行き詰まったまま、そこへ帰ってゆくことに
よって、見失われた日本人の根拠とのつながりを、心の奥ふかく抱いている奥ふかい真理
への愛や、故しれぬ超越者なるものとのつながりを見出す途でもある。それをひろく、宗
教的な情緒といってもいい。このような感性は、山を仰ぎ見、先人のさまざまな思い入れ
をしのぶとき、今日でも、私たちのうちに甦ってくる。

注1ないがしろにする:   軽んじてはいけないものや人を軽くみること

注2熟成:     ものごとや物が、時間をかけてようやくできあがること。

注3故しれぬ:   わけのわからない、得体のしれない。

問1 ① 「山は山以上のものであった」とはどういうことか。

1山は自然的なものだけでなく、精神的なものをも日本人に与えてきた。

2日本の山はそこに生きるすべての生き物に、多くの恵みを与えてきた。

3日本の山々は並の山ではなく、とてつもなく大きく険しいものであった。

4山は自然の恵みばかりか、たくさんの貴重な資源を日本人に与えてきた。

問2( ② )に入る最も適当な言葉はどれか。

1それで   2一方    3だから   4しかい

問3 ③ 「近代科学的な自然保護」とはどんなことを目的としたものか。

1よりよく、末ながく有効に自然を利用しようとすること。

2自然の生態系を重要なものと考えて、これを第一に保護すること。

3自然の懐に抱かれている人間を大切にする、精神主義をめざすこと。

4奥ふかい真理への愛や、超越者とつながる宗教心にあふれること。

問4( ④ )に入る最も適当な文はどれか。

1自然の遺産である。

2自然の残物である。

35
3自然の宝庫である。

4自然の断片である。

問5( ⑤ )に入る最も適当な言葉はどれか。

1利潤追求  2資源保護   3環境破壊   4共同意識

問6 ⑥ 「第二の自然」とあるが、ここでは「第一の自然」はどのようなものか。次の組み合
わせから正しいものを選びなさい。

1資源と論理   2素材と真理   3資源と宗教   4素材と文化

問7 ⑦ 「このような感性」とはどのような感性か。

1山に、自然と人間との調和と安定を願う感性。

2山に、共同体の繁栄と豊富な資源を期待する感性。

3山に、真理への愛や超越者とのつながりを見出すような感性。

4山に、日本人の根拠とのつながりを探し求める感性。

正解

問1-1  問2-2  問3-1  問4-4  問5-1  問6-3  問7-

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