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日本 機 械 学 会 論 文 集(B編) 論文 No.04-1246
71巻709号(2005-9)

二 輪 車 エ ン ジ ン に お け る フ ィ ン の 空 冷 効 果*

吉 田 昌 央*1, 石 原 荘 一*2, 村 上 好 生*2


中 島 公 平*2, 山 本 匡 吾*2

Air-Cooling Effects of Fins on a Motorcycle Engine

Masao YOSHIDA,Soichi ISHIHARA,Yoshio MURAKAMI,


Kohei NAKASHIMA*3 and Masago YAMAMOTO

*3Department of TransportationEngineering
,Meijo University,
1-501 Shiogamaguchi,Tempaku-ku,Nagoya-shi,Aichi,468-8502 Japan

Effects of number of fins, fin pitch and wind velocity on the air cooling were investigated using
the experimental cylinders for the air cooling engine of the motorcycle. The experimental cylinders
that had various number of fins and fin pitch were tested, and the temperature inside of the cylinder,
on the surface of the fins and in the space between the fins was measured. Results indicated that the
heat release from the cylinder increased when numbers of fins increased. However, the heat release
did not improve when the cylinder had more fins and too narrow fin pitch in the lower wind velocity.
Bacause it was difficult for the air to flow into the narrower space between the fins and the cylinder
had residual heat between the fins. We also obtained the expression of the heat transfer coefficient
using the wind velocity and the fin pitch. This expression is useful for the design of the air cooling
cylinder.

Key Words : Internal Combustion Engine, Heat Transfer Enhancement, Forced Convection, Natu-
ral Convection, Engine Performance, Air Cooling, Cylinder, Cooling Fin

討 さ れ て い な い.フ ィ ン表 面 の 熱 伝 達 率 に つ い て は
1. ま え が き
Gibson(1)は 式(1)を 提 示 し て い る.

二 輸 車 エ ン ジ ン は以 前 は ほ とん ど空 冷 で あ っ た が,

近 年,水 冷 が増 え て きて い る.こ の 原 因 は空 冷 は 水 冷 (1)


に比 べ,均 一 冷 却 の難 し さの ほ か に,設 計 段 階 で 試 行 こ こ に α:熱 伝 達 率[W/(m2・ ℃)],h:フ ィ ン長

錯 誤 の 回 数 が一 般 的 に多 い こ と に も あ る.そ こ で,空 さ(mm),p:フ ィ ン ピ ッ チ(以 下,ピ ッ チ)(mm),

冷 エ ン ジ ン設 計 の 際 に 空 冷 フ ィ ン(以 下,フ ィ ン)の 効 u:風 速(km/h)

果 を最 大 限 に発 揮 す るた め の指 針 を得 るた め,風 洞 を 式(1)は 銅 の シ リ ン ダ を 用 い,風 速32∼97km/h

設 置 し,空 冷 エ ン ジ ン を模 擬 し た シ リ ン ダ を製 作 し, の 場 合 に つ い て ま と め た 実 験 式 で あ る.し か し,ア ル

検 討 した. ミニ ウ ム の シ リ ン ダ で,か つ,32km/hよ り低 い 風 速

す で に 空 冷 エ ン ジ ン の フ ィ ン に よ る冷 却 の研

究(1)∼(7)は
い くつ か あ る.代 表 的 な検 討例 と して,Gib- Table 1 Experimental cylinder and wind velocity by
Gibson, Bierman et al. and Thornhill et al.
son(1),Biermanら(2),Thornhillら(3)(4)が 用 いた 空冷
シ リ ン ダ の 寸 法,材 質 お よ び 風 洞 の 風 速 を 表1に 示

す.Thornhillら(4)の 研 究 を 除 き,い ず れ も高 速 時 を
想 定 した シ リ ンダ 冷 却 の 実 験 が行 わ れ て い る.Thor-
nhillら(4)は二 輪 車 エ ン ジ ン を想 定 して よ り低 速 時 か
ら高 速 時 まで シ リ ン ダ の 冷 却 に つ い て 実 験 し て い る
が,フ ィ ンの 円周 方 向 の 温 度 の 不 均 一 性 な ど詳 し く検

* 原 稿 受 付2004年11月19日 .
*1 正 員
,名 城 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科(〓468-8502 名 古屋 市
天 白 区塩 釜 口1-501).
*2 正 員
,名 城 大 学 理 工 学 部 。
E-mail : nakasima@ccmfs.meijo-u.ac.jp

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二輪車 エ ンジ ンにお け るフ ィンの 空冷 効 果 2325

Table 2 Specifications of cylinders

で 適 用 で き る の か 明 ら か に な っ て い な い.

ま た,Thornhillら(4)は 式(2)を 提 示 し て い る.

(2)
こ こ にs:フ ィ ン長 さ 中 央 位 置 で の フ ィ ン 間 隔

(mm)
式(2)は ア ル ミニ ウ ム の シ リ ン ダ を 用 い,風 速
7.2∼72.0km/hの 場 合 に つ い て ま とめ た 実 験 式 で あ
る.し か し,u0.71×s0.44×h-0.14の値 が 大 き くな る と,

式(2)は 実 験 値 と よい相 関 は示 さな くな る.
よ って,本 研 究 で は,こ れ らの 研 究 を踏 ま え て,二
Fig. 1 Experimental equipment
輪車 で頻 繁 に使 う車 速(シ リ ン ダへ の 風 速)0∼60km/
hで アル ミニ ウム の シ リン ダ を 用 い,シ リ ンダ の フ ィ
ン枚 数,ピ ッチ お よび風 速 が シ リン ダ の冷 却 に どの 程

度影 響 す るの か を詳 細 に 調 査 した.さ ら に,冷 却 に適
した フ ィ ン枚 数 お よび ピ ッチ を調 べ,フ ィ ン表 面 の 熱

伝達 率 を ピ ッチ と風 速 との関 係 で提 示 す る こ とを試 み
た.そ のた め に,シ リ ンダ の フ ィ ン枚 数 お よび ピ ッチ
をい ろ い ろ選 択 で きる よ うに し,シ リ ンダ 内蓄 熱 液 の

温 度,フ ィ ン表 面 の 温度 お よ び フ ィ ン間 の 温 度 を測 定
した.ま た,ピ ッチ を変 え る こ とに よ る流 れ へ の 影 響
を知 る た め に,油 膜 法 に よ りフ ィ ン表 面 の 流 跡 を観 察
した.
Fig. 2 Experimental cylinder
2. 実 験 装 置

実 験 設 備 の 概 要 を 図1に 示 す.風 洞(8)は空 気 吹 出


し 式 で あ る.吹 出 し 口 の 形 状 は 縦680mm,横400
mmの 矩 形 で,最 大 風 速 は72km/hで あ る.シ リン

ダ は回転 台 の上 面 に,シ リン ダ の 中 心線 が 風 向 き に対
して 直 角 に固 定 した.こ の供 試 シ リンダ は 図2の よ う
に,行 程50∼62mm,行 程 容 積150∼187cm3に 相 当
す る もの で,フ ィ ン,シ リン ダ は と もに ア ル ミニ ウ ム

合 金(JIS A 5052)で,締 ま りば め で 結 合 す る こ と と
した.シ リン ダ内 部 に は図3に 示 す よ う に ヒー タ,か

くはん 回転 子,温 度 セ ンサ が 挿 入 さ れ て い る.シ リン


ダの 両 ぶ た に は断 熱 材 を用 い,中 に は蓄 熱 液 とし て エ
Fig. 3 Measuring equipment for ethylene glycol
チ レ ング リコ ール が300cm3注 入 され て い る.ヒ ー タ
temperature
は300Wで あ り,温 度 セ ンサ はK熱 電 対(CA)を 用い
た.本 実験 に お いて か くは ん 回転 子 の回 転 に よ る蓄 熱 2・1 シ リ ンダ か らの 放 熱 シ リン ダ か らの 放 熱
液 の温 度上 昇 は無 視 で き る範 囲 で あ っ た.な お,供 試 量 測 定 に は表2のa∼mを 用 いた.実 験 方 法 は次 の と
シ リンダ の諸 元 を表2に 示 す. お りで あ る.

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2326 二 輪車 エ ン ジン にお け るフ ィンの 空冷 効 果

Fig. 5 Thermocouple for measurement of temperature


in space between fins

Fig. 4 Measuring points for temperature on cooling fin


surface

(1) 図3を 組 み立 て る.こ の と き,シ リ ン ダ内 に

蓄 熱 液 を300cm3注 入 す る.
(2) ヒー タ で蓄 熱 液 を加 熱 し,か くは ん 回 転 子 を
作 動 させ る.
(3) 蓄 熱 液 が 約150℃ に達 した と き,ヒ ー タ を取
Fig. 6 Measuring points for temperature in space
り外 し,放 置 す る. between fins
(4) 蓄 熱 液 が 自然 冷 却 で120℃ に 達 した と き,送
風 を開 始 し,蓄 熱 液 の温 度 測 定 を開始 す る. 省 略 す る].
(5) 蓄 熱液 の温 度 が 大 気 温 度 近 くに達 す る まで 温 (3) 温 度 調 節器 に よ り蓄 熱 液 を100℃ 一 定 に保 ち
度 測 定 値 を記録 す る. つ つ,送 風 を開 始 す る.

蓄 熱 液 の測 定 開始 温 度 と10min後 の 温 度 と の差 に (4) フ ィ ン表面 の温 度 が安 定 した と ころ で,そ の


蓄 熱 液 の質 量 と比 熱 を掛 け て,測 定 時 間 で割 り,こ れ 温 度 を測 定 す る.
を シ リ ンダ か らの放 熱 量 として 求 め た.蓄 熱 液 の エ チ ヒー タの 入 力 電力 を フ ィ ン表 面局 所 温 度 と雰 囲気 温
レ ン グ リ コー ル の温 度 測 定 値 は気 温 の影 響 を受 けや す 度 との差 お よび シ リン ダ外 周 全 表 面 積 で割 り,こ れ を
い の で,雰 囲 気 温 度13±1℃ と し,風 速 は0,20,40, フ ィ ン表 面 で の局 所 熱 伝 達 率 と した.
60km/hで 実 験 し た.こ の 実 験 で の 温 度 測 定 範 囲 に (3)
お け る測 定 誤 差 は ±0.4℃ で あ っ た.こ の こ とか ら, こ こに,αl:局 所 熱 伝 達 率[W/(m2・ ℃)],q:ヒ ー
放 熱 量 の 測定 誤 差 は ±2%以 下 と推 定 す る. タ の 入 力 電 力(W),A:シ リ ンダ の 外 周 全 表 面 積
2・2 フ ィ ンか ら空 気 へ の 熱 伝 達 フ ィ ン表 面 で (m2),T1:フ ィ ン表 面 局 所 温 度(℃),T2:雰 囲 気温 度
の 熱 伝 達 率 の測 定 は表2のn∼qに 示 す諸 元 の もの を (℃)
用 い た.フ ィ ン表 面 の 温 度 測 定 は素 線 径50μmのK ヒー タの 入 力電 力 に つ いて は損 失 分 を予 備 実験 で求

熱 電対 を フ ィン にか し めた.フ ィン表 面 の熱 電 対 取 付 め,こ れ を考 慮 した.風 速 は0,20,40,60km/hで 実


位 置 は図4に 示 す よ う に,フ ィ ン根 元 か ら半 径 方 向 に 験 した.こ の 実験 で の温 度 測 定範 囲 に お け る測定 誤 差
5,20,33mmの3箇 所 と し,取 付 角 度 は シ リ ン ダ 中 は ±0.3℃ で あ っ た.こ の こ とか ら,局 所 熱 流 束 を一
心 か ら風 上 方 向 を0° と し,180° まで45° 間 隔 と した. 定 と仮 定 す る と熱 伝 達 率 の 測 定 誤 差 は ±0.6%以 下 と
す なわ ち,フ ィ ン表 面 温 度 を15箇 所 測 定 した.な お, 推 定 す る.し か し,実 際 に は局 所 熱 流 束 は一 定 で は な
測 定対 象 と した フ ィ ン は3枚 の フ ィン の真 ん中 の もの い と考 え られ るた め,熱 伝 達 率 の 測 定 誤 差 は推 定 した
で あ る.ま た,シ リ ン ダ上 下 か ら そ れ ぞ れ30mrnの もの よ り大 き くな る.
高 さ まで 断熱 材 を取 付 け,蓄 熱 液 の 温 度 を一 定 に保 つ 2・3 フ ィ ン間 温 度 フ ィ ン問 の 温 度 測 定 に は表
た め,温 度 調 節 器 を利 用 した.実 験 方 法 は次 の とお り 2のr∼vに 示 す諸 元 の もの を用 い,図5の よ うに素 線
で あ る[(1),(2)に つ い て は2・1節 と同 じ で あ り, 径50μmのK熱 電 対 を取 付 けた.熱 電 対 の取 付 位 置

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二輪 車 エ ンジ ンにお け るフ ィ ンの空冷 効 果 2327

Fig. 7 Effect of fin pitch on heat release from cylinder


(6 Fins)

は 図6に 示 す よ う に,フ ィ ン根 元 か ら半 径 方 向 に5,


Fig. 8 Effect of number of fins on heat release from
20,33mmの3箇 所 と し,取 付 角度 は シ リ ンダ 中 心 か
cylinder
ら風 上 方 向 を0° と し180° まで20° 間 隔 と した.す な
わ ち,フ ィン間 の 温 度 を30箇 所 測 定 した.し か し,取

付 角 度0.の み,フ ィ ン根 元 側 に位 置 す る熱 電 対 の 測
定 値 が フ ィ ン先 端 側 に位 置 す る熱 電 対 の 影響 を受 け る
こ とが わ か っ た た め,取 付 角 度0° の み,そ れ ぞ れ1箇

所 ず つ 熱電 対 を取 付 け,温 度 を 測 定 す る こ と とした.
実 験 方 法 は 次 の とお りで あ る[(1),(2)に つ いて は
2・1節 と同 じで あ り,省 略 す る].
(3) 送風 を 開始 す る.ヒ ー タ に よ り蓄 熱 液 を そ の
ま ま加 熱 し続 け る.

(4) フ ィン間 温 度 が 安 定 した と こ ろ で,そ の温 度


を測 定 す る.
雰 囲 気 温 度23±1℃ と し,風 速 は0,20,40,60km/
hで 実験 した.こ の 実験 で の温 度 測 定 範 囲 に お け る測

定 誤 差 は ±0.6℃ 以 下 で あ った.
2・4 フ ィ ン表 面 の 流 れ フ ィ ン表 面 の 流 れ の 観
察 に は 表2のb∼fに 示 す諸 元 の もの を用 い た.フ ィ
ン表 面 の流 れ に つ いて は油膜 法 で調 べ た.油 膜 液 は タ
Fig. 9 Effect of wind velocity and fin pitch on heat
ル ク粉 末(ト レー サ)と ケ ロ シ ン(油膜 形 成 剤)と を1:
transfer coefficient (Distance from root of fin :
5の 割 合 で 混 合 し,オ レ イ ン酸(分 散 剤)を 微 量 添 加 し 33 mm)
た もの で あ る.こ れ を ス プ レー で フ ィ ン表 面 に均一 に

塗布 した.
3. 実 験 結 果 お よび 考察
シ リ ン ダ に は 蓄 熱 液 を注 入 せ ず,雰 囲 気 温 度23±

1℃ と し,風 速60km/hで 実験 した.フ ィ ン表 面 の 流 3・1 シ リ ン ダ か らの 放 熱 図7は フ ィ ン6枚 の


跡 は風 洞 を運 転 して か ら約1minで 形 成 され るが,油 場 合 の シ リ ンダ か らの放 熱 量 に対 す る ピ ッチ の影 響 を
膜 が 乾 燥 す る ま で風 洞 は そ の ま ま運 転 す る こ とに し 示 す.図7中 のuは 風 速 を表 して い る.い ず れ の ピ
た. ッチ の場 合 で も,風 速 が速 くな る に つれ て,シ リ ンダ
か ら の放 熱 量 は 多 くな る.ま た,風 速 が速 くな る につ

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2328 二 輪車 エ ン ジン にお ける フ ィンの空 冷 効 果

Fig. 10 Heat transfer coefficient vs. wind velocity

Fig. 11 Effect of fin pitch on temperature of ethylene


れ て,放 熱 量 に対 す る ピ ッチ の 影 響 は小 さ くな る.こ glycol in cylinder and space between fins
の こ と は,風 速 が 遅 く,ピ ッチ が 狭 い 場 合,フ ィ ン間
に空 気 が十 分 に 流 れ ず,逆 に,風 速 が 速 くな る に つ れ め と考 え られ る.
て,フ ィ ン間 に十 分 に風 が 流 れ る た め と考 え られ る. こ こで,す べ て の フ ィ ン表 面 の 平 均 熱 伝 達 率(以 下,
ま た,風 速40,60km/h,ピ ッチ20mmを 除 き,フ ィ 平 均 熱 伝 達 率)を 次 の よ うに定 義 した.
ン枚 数 が 同 一 で あ れ ば,ピ ッチ が 広 い ほ ど,シ リ ンダ (4)
か らの放 熱 量 が 多 くな る.図8は 風 速0,20km/hの こ こ に,αavg:平 均 熱 伝 達 率[W/(m2・ ℃)],Tavg:

場 合 の シ リ ンダ か らの放 熱 量 に対 す る フ ィ ン枚 数 の 影 フ ィ ン 表 面 平 均 温 度(℃)

響 を 示 す.風 速20km/hで は,ピ ッチ が 同 一 の場 合, こ の 平 均 熱 伝 達 率 を風 速 に 対 し て ま と め た.代 表例

フ ィ ン枚 数 が 多 くな る につ れ て シ リ ンダ か らの放 熱 量 と し て ピ ッ チ7,20mmの 平 均 熱 伝 達 率 を 図10に 示

が 多 くな る.風 速0km/hで は,フ ィ ン枚 数 が 多 くな す.以 上 の こ とか ら 熱 伝 達 率,風 速 と ピ ッチ との 関係

る に つ れ て,シ リ ンダ か らの 放 熱 量 は ピ ッチ20mm は 式(5)で 表 す こ と が で き る.

で は わ ず か に 多 くな り,ピ ッチ10,15mmで はほ と
ん ど差 が な く,ピ ッチ7mmで は 少 な くな る.こ れ は (5)
ピ ッチ を狭 くす る こ とに よ り,フ ィ ン 間 の温 度 が 上 昇 こ こ で,avg:平 均 熱 伝 達 率[W/(m2・ ℃)],p:ピ

し,シ リ ンダ か らの放 熱 が 悪 くな っ た た め と考 え られ ッ チ(mm),u:風 速(km/h)

る. 図10中 にGibson(1)に よ る 式(1)とThornhillら(4)

3・2 フ ィ ンか ら空 気 へ の 熱 伝 達 図9は フ ィ ン に よ る 式(2)を 示 し た.式(1),(2)と も に 風 速0

根 元 か ら33mmの 位 置 に お け る フ ィ ン表 面 か らの 熱 km/hで は 熱 伝 達 率 は 零 と な る.風 速0km/hお よび

伝 達 率 を円 周上 の角 度 ご とに示 して い る. 式(2)で の ピ ッ チ7mmの 熱 伝 達 率 を 除 け ば,他 はい

図9よ り,い ず れ の ピ ッ チ の場 合 で も,風 速 を上 げ ず れ も よ く似 た 熱 伝 達 率 の 傾 向 を 示 し て い る.式(2)

る と熱伝 達 率 が高 くな る.た だ し,風 速 が上 が る につ に つ い て は ピ ッ チ8mmよ り狭 い 場 合 の 実 験 結 果 が

れ て,広 い ピ ッチ ほ ど熱 伝 達 率 が 増 す 度 合 い が小 さ く な い 状 態 で 求 め ら れ た 実 験 式 の た め,ピ ッ チ7mmの

な る.こ れ は広 い ピ ッ チで は低 い風 速 で も十 分 に フ ィ 実 験 結 果 と大 き く か け 離 れ て し ま っ た と考 え ら れ る.

ン間 に風 が 流 れ,冷 却 され るた め と考 え られ る.ま た, し か し,本 実 験 結 果 か ら 求 め た 式(5)に よ り,い っそ

いず れ の 風 速 に お い て も ピ ッチ7mmで の熱 伝達 率 う低 速 域 ま で 熱 伝 達 率 を 推 定 す る こ とが で き る.

は低 い.こ の こ とは ピ ッ チが 狭 い た め,十 分 に 空 気 が 3・3 フ ィ ン間温 度 図11は シ リン ダ内 の 蓄熱 液

流 れ ず,フ ィ ン間 の温 度 が 上 昇 し,風 速 を上 げ て も こ の 温 度 と フ ィ ン 間 の 平 均 温 度 に つ い て,ピ ッチ ご とに

の 温 度 を低減 で き なか った た め と考 え られ る.図9で 示 し て い る.い ず れ の 風 速 に お い て も,ピ ッ チ7mm

は,風 上 方 向 よ り135.位 置 で 熱 伝 達 率 が 最 小 値 を と を 除 き,ピ ッ チ を 狭 く し て,フ ィ ン枚 数 を 多 く す る と

る.こ の 現 象 は ピ ッチが 広 い と きに顕 著 とな る.こ れ シ リ ン ダ 内 の 蓄 熱 液 温 度 が 下 が る.し か し,ピ ッチ を

は フ ィ ン表 面 の135.付 近 で 空 気 流 れ が は く離 した た 7mmに す る と ピ ッ チ8mmの 場 合 よ り も,シ リン ダ

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二輪車 エ ン ジン にお ける フ ィンの空 冷 効果 2329

Fig. 12 Effect of fin pitch on temperature distribution(u=40km/h)

Fig. 14 Observation of air flow trace on fin(u=


60km/h)

し て い る.こ こで の 温 度 分 布 に つ い て は フ ィ ン 間 温 度

か ら 雰 囲 気 温 度 を 差 引 い た 温 度 を 用 い た.図12よ り,

ピ ッ チ を狭 く す る に つ れ て,風 下 位 置 にお い て温 度 が

上 昇 し,さ ら に,風 上 位 置 に お い て も温度 が 上 昇 す る

こ と が わ か っ た.こ れ よ り,ピ ッ チ を 狭 くす る と,フ

ィ ン 問 に 十 分 な 空 気 が 流 れ ず,フ ィ ンの 風 上 位 置 に お

い て,す で に,フ ィ ン.上下 の 温 度 境 界 層 が 重 な り合 い,

フ ィ ン か ら の 放 熱 が 少 な くな っ た と考 え ら れ る.ピ ッ

チ が 大 き く な る に つ れ て,ま ず,風 上側 の温度が低 く

な り,そ れ か ら 風 下 側 の 温 度 が 下 が る.し か し,ピ ッ


Fig. 13 Effect of wind velocity on temperature
distribution チ15mmと20mmに つ い て は フ ィ ン間 温 度 に は ほ

と ん ど 差 が な か っ た.

内 の 蓄 熱 液 温 度 が 上昇 す る.フ ィ ン間温 度 は ピ ッチ を 図13は 風 速20km/hと60km/hに お け る ピ ッチ

狭 く し て,フ ィ ン枚 数 を 多 く す る と 上昇 す る.こ れは 10mmと20mmの フ ィ ン 間 温 度 分 布 を 示 し て い る.

ピ ッ チ8mmま で は ピ ッ チ を 狭 く し,フ ィ ン枚 数 を 多 こ こ で の 温 度 分 布 も フ ィ ン 問 温 度 か ら雰 囲 気 温 度 を差

くす る と,フ ィ ン表 面 積 が 増 大 し,シ リン ダか ら の放 引 い た 温 度 を 用 い た.風 速60km/hの 場 合,風 速20

熱 量 が 増 大 す る が,ピ ッ チ7mmま で 狭 くす る と フ ィ km/hの 場 合 よ りも フ ィ ン問 温度 が 全 体 的 に下 が って

ン 間 温 度 が 上 昇 し,フ ィ ン上 下 の 温 度 境 界層 が 重 な り い る.ま た,風 速60km/hの 場 合,ピ ッ チ10mmと

合 い,放 熱 量 が 低 下 した た め と 考 え られ る. 20mmの フ ィ ン 間 温 度 が ほ ぼ 同 じ で あ る.風 速60

図12は 各 ピッ チ に つ い て の フ ィ ン間 温 度 分 布 を 示 km/hで は ピ ッ チ を20mmか ら10mmと 狭 くして

117
2330 二 輪車 エ ン ジン にお ける フ ィンの空 冷 効果

も,空 気 が フ ィ ン間 に十 分 行 き渡 り,温 度 境 界 層 が 薄 よ り,フ ィ ンの 風 下 側 で フ ィ ン の 温 度 が 上 昇 す る.こ

く,フ ィ ンか らの 放 熱 に あ ま り差 が 見 られ な い.し た の よ うな局 所 的 な温 度 上 昇 は シ リンダ ボ ア変 形 を大 き

が っ て,図11の 風 速60km/hの ピ ッチ10mmと20 く し,シ リン ダ の焼 付 きや オ イ ル 消費 の増 大 に つ な が

mmと の シ リ ン ダ蓄 熱 液 の 温 度 差 は単 に フ ィ ン枚 数 る.

の 影響 に よ る もの とい え る. (3) 冷 却 効 果 の 大 きい 最適 な フ ィ ン ピ ッチ は停 車

3・4 フ ィ ン表 面 の 流 れ観 察 図14は 風 速60 時 で は20mm,走 行 時 で は8mmで あ る。

km/hに お け る フ ィ ン表 面 の流 れ の観 察 結 果 で あ る. (4) 車 速0∼60km/hに お い て,フ ィ ン か ら空 気

ピ ッチ を 広 くす る につ れ て,流 れ の は く離 と渦 の位 置 へ の 熱 伝 達 率 の 計 算 は 次 式 で 表 す こ とが で き る。

が 風 下側 へ移 っ て い る.こ の結 果 か ら,ピ ッチ を狭 く αavg=(2.47-2.55/p0.4)u0.9+0.0872p+4.31

しす ぎ る と,空 気 が フ ィ ンの 風 下 側 まで 流 れ ず,フ ィ
文 献
ンか らの放 熱 が少 な くな った とい え る.ま た,図9で,

風 上 方 向 よ り135°位 置 で 熱 伝 達 率 が 円 周 上 で 最 小 値 (1) Gibson, A. H., The Air Cooling of Petrol Engines, Proc.
Inst. Automobile Eng., XIV (1920), 243-275.
を と る こ と を示 したが,こ の 原 因 は流 れ の は く離 に よ
(2) Biermann, A. E. and Pinkel, B., Heat Transfer from
る もの と推測 す る. Finned Metal Cylinders in an Air Stream, NACA Rep.,
No. 488 (1935).
4. ま と め (3) Thornhill, D. and May, A., An Experimental Investiga-
tion into the Cooling of Finned Metal Cylinders, in a
空 冷 エ ン ジ ン を模 擬 した シ リ ンダ を製 作 し,シ リン Free Air Stream, SAE Paper, 1999-01-3307 (1999).
(4) Thornhill, D., Graham, A., Cunnigham, G., Troxler, P.
ダ の フ ィ ン枚 数,ピ ッチ お よ び風 速 が シ リ ン ダの 冷 却 and Meyer, R., Experimental Investigation into the
に どの程 度 影 響 す るの か を調 べ た.そ の 結 果 以下 の Free Air-Cooling of Air Cooled Cylinders, SAE Paper.
2003-32-0034 (2003).
こ とが 明 らか とな っ た.
(5) Pai, B., Samaga, B. and Mahadevan, K., Some Experi-
(1) シ リンダ の 冷 却 の た め に は,フ ィ ン枚 数 を 多 mental Studies of Heat Transfer from Finned Cylin-
ders of Air-Cooled I. C. Engines, Natl. Heat Mass
くす れ ば よい.し か し,フ ィ ン枚 数 を多 くす るた め,
Transf Conf, 4 (1977), 137-144.
ピ ッチ を狭 くしす ぎ る と ご く低 速 で,シ リン ダ冷 却 が (6) 鍋 本 暁 秀 ・千 葉 徳 男,横 フ ィ ン 付 管 の フ ィ ン表 面 の 流 れ,

か えっ て悪 くな る.こ れ は,空 気 が フ ィ ン間 を流 れ に 広 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告,33-2(1985),117-125.


(7) 鍋 本 暁 秀,横 フ ィ ン 付 管 の フ ィ ン の 熱 伝 達,広 島 大 学 工 学
く くな り,フ ィ ン の風 上位 置 か ら フ ィ ン上 下 の温 度 境 部 研 究 報 告,33-2(1985),127-136.

界 層 が重 な り合 っ て し ま うた め と推 測 す る. (8) 村 上 好 生 ・石 原 荘 一 ・石 川 勝 也,空 冷 二輪 車機 関 実験 用
風 洞 の 一 作 成,日 本 設 計 製 図 学 会 東 海 支 部 講 演 論 文 集,
(2) 低 速 時 に は フ ィ ン表 面 の 空気 流 れ の は く離 に
(1982-11),39-46.

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