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釧路レジデントデイ 抄読会

担当 瀬野尾智哉

【文献】Prednisolone treatment of respiratory syncytial virus infection: a randomized controlled trial


of 147 infants.Pediatrics 1999 Dec;104(6):e77

【この論文を選んだ背景】
市立病院小児科のカンファレンスの中で、小児入院患者の呼吸器感染に関してステロイドを入院後に投与してい
る症例が多いことが分かった。以前いた施設では使用していなかったので使用したほうがいいのか疑問に思って文
献にあたった。

【PECO】
P:呼吸器感染症をきたした小児の入院患者
E:ステロイドを点滴にて投与すると
C:しない場合に比べて
O:入院期間が短くなるのか、症状が改善するのか

【検索方法と採択基準】
Dynamed にて RS ウイルスで検索し、Treatment の項目で見つけた論文

【歩きながら読む法】
●研究方法は妥当か?
論文のPECO
P:RS ウイルス感染で入院した 2 歳以下の小児
E:ステロイドを全身投与すると
C:プラセボと比べて
O:入院期間、病悩期間が短くなるか
ランダム化かどうか
Abstract の Methods の項目にランダム化の記載あり。
ITT解析かどうか
ITT という記載はない。論文の中でフォローできなかったという記載もあるので ITT ではなさそう。

●結果は何か?
プレドニゾロンを投与した群とプラセボ群を比較して、入院期間に有意差はなかった。
1 ヶ月後フォローで、病悩期間に有意差はなかった。
1 年後フォローで罹患率に差はなかった。

【結論とディスカッション】
RS ウイルス感染に関してプレドニゾロンの治療はどの結果についても効果がないことが分かった 。このことから
RS ウイルス感染の治療において全身・吸入ステロイド投与はするべきでない
【要約】
[目的]
RS ウイルス感染で入院している2歳以下の小児に対して伝統的治療 (β刺激薬・呼吸サポート・補液)に加えてス
テロイド全身投与をすることの効果を評価する。

[研究デザイン]
RCT ・二重盲検試験。

[セッティング]
1995 年 11 月から 1996 年 4 月までにコペンハーゲン州とその隣りの州の小児科病棟3施設に入院した 2 歳以下の
小児 147 人。

[対象集団]
呼吸器感染で入院していて RS ウイルスの迅速キット(鼻咽頭から採取するもの。日本と同じか?感度・特異度は
80-90%)で陽性となっており、かつ 6 つの除外基準を満さない患者。
除外基準:1)ステロイド禁忌疾患を持つ、2)最後の 1 ヶ月以内にステロイド投与されている、
3)RSV 検体をとってから 48 時間以上経過している、4)在胎週数 40 週未満、5)伝達上の問題、6)担当医が不在で
アプローチできなかった。

[介入/要因]
ステロイド投与群とプラセボ群をランダムに割り付け、比較した。
ステロイド:経口→水溶性プレドニゾロン(2mg/kg/day)、
注射→メチルプレドニゾロン(1.5mg/kg/day) を 5 日間投与した。

[主要アウトカム]
入院期間・病悩期間

[統計手法]
ウイルコクソン検定は定量的変数、フィッシャー正確検定は質的変数で使用された。生存曲線はカプランマイヤー
法で、2 グループの比較はログランク検定またはオールハザードモデルで行われた 。ロジスティック回帰分析は 1 年後
の罹病率やプレドニゾロンの効果の正確性を見るのに使われた。

[結果]
入院期間・病悩期間・罹患率にステロイド投与群とプラセボ群で有意差はなかった。
人工呼吸器をつけないような患者で症状スコアが劇的にプレドニン投与群で下がったが 、平均入院期間については
効果がなかった。

[結論]
RS ウイルス感染の小児において、全身または吸入ステロイドは投与するべきではない。

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