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新入医師オリエンテーション

症例プレゼンテーション
~日々是プレゼンテーション~

2011/04/11

北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター(GPMEC)
勤医協中央病院 救急診療部・総合診療部

 
Twitter : Dr_kenta
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自己紹介
• 初対面でもわかりやすく

• 心をつかむように

• 1分で
プレゼンテーションとは
• 何かを誰かに提示すること

• プレゼンする場面
– チーム内での情報共有(回診、ホウ・レン・ソウ)
– 患者への病状説明
– 各種カンファレンス
– 専門科コンサルテーション
– 他院へ紹介
– 外来医・当直医との申し送り
プレゼンを成功させるコツ

• 「相手」に「伝えたい内容」を「正確に」表現する
1.誰に伝える内容なのかでやり方を変える
2.何を伝えたいのかを明確にしておく
3.無駄を省き、重要なポイントは強調する

• 才能やキャラクターではなく、純然たる技術
プレゼンテーション能力

医師としての能力を
   反映する!
今日の目標
• プレゼンの、非言語的なコツを体得する
(BPS)

• 医師としての電話コンサルテーションの際に
伝えるべき内容とその順番を説明できる
(MPS)
プレゼン、したことありますか?
• 自分なりのコツ

• 失敗談、成功体験

• 勉強したことは?
プレゼンの技術(presentation skills)

• BPS(Basic
Basic Presentation Skill
Skill)
– プレゼンする際に配慮するTPO
– 「心意気」と「型」について。
– 全てのプレゼンでベースとなる心得

• MPS Minimal Presentation Skill


MPS(Minimal Skill)
– 急いでいるとき。
– 電話や廊下での他科コンサルト、救急外来など。

• SPS Standard Presentation Skill


SPS(Standard Skill)
– 一般的なプレゼンテーションについて。
– 総合診療病棟での症例プレゼンを視野に。
BPS(Basic Presentation Skill)

7%

38% 55%
まずBPSをやってみよう
• 2-3人ずつ、4班に分かれて、
• 1人2分、3回やります。

• 自分の特技、趣味の良さを伝えて、今度の週
末「一緒にやりませんか?」と誘ってください

• 1ターン終わるごとにコツを説明していきます。
– 最初のほうがアドリブ要素高いが、後半はハード
ル上がります
BPS 心得1

立ち位置
自分の姿が聴き手から見えるように
姿勢
両足を肩幅の広さに。姿勢を正す。
目線は聞き手へ
ノートなどを見ない
反応を見ながら話す
BPS 練習1
• 自分の特技、趣味の良さを伝えて、今度の週
末「一緒にやりませんか?」と誘ってください

• 2分です

• 終わったら、まずプレゼンターが感想発表
• 次に聞いてた人からフィードバック
– 良かった点、改善したらもっと良い点
BPS 心得2
• 自信が無くても、はっきりと!
  「~だと思うんですけどぉ・・・」はダメ。
  「あのー」「ええとー」「そのー」も極力省く
  →「~です」「~ます」と言い切りましょう

• 最初と最後が肝心!
 いきなり始めない。なんとなく終わらない。
→「プレゼンを始めます。・・・以上です、お願いします」

• テンポが大切
途中で間違っても止まったり、謝る必要はない
はっきり、ゆっくり話す。
BPS 練習2
• 自分の特技、趣味の良さを伝えて、今度の週
末「一緒にやりませんか?」と誘ってください

• 2分です

• 終わったら、まずプレゼンターが感想発表
• 次に聞いてた人からフィードバック
– 良かった点、改善したらもっと良い点
BPS 心得3
• ゴールを明確にイメージする

• 聞きながら、聞き終えたときに
– とても楽しい気持ちになる
– 一緒に行動したくなる
– この人を支援したいと思いたくなる
– 明確な意見が浮かんで伝えたくなる
BPS 練習3
• 自分の特技、趣味の良さを伝えて、今度の週
末「一緒にやりませんか?」と誘ってください

• 2分です

• 終わったら、まずプレゼンターが感想発表
• 次に聞いてた人からフィードバック
– 良かった点、改善したらもっと良い点
振り返り
• 上手なプレゼンは、どこがよかったか?
– 共通点はありますか?
– 人によってやり方を変えたほうがいいことはあり
ますか?
– 状況や目的に応じて、強調すべきポイントが変
わってきませんか?
BPSのまとめ

聞き手の注意を引くためには、
態度・言葉遣いなどの
相手に与える印象が重要である
MPS
Minimal Presentation Skill
まずはやってみましょう
• 模擬面接をします
– 「昨夜からおなかの痛い、31歳男性」
– 代表者1名、サポート2名
– 出てきた情報はメモって下さい

• そのあと、各自で情報を整理

• プレゼンしましょう
了解を得る
• 今、あなたに相談していいか?
– 後で改めて?
– 他のDr?

「・・・という用件でお電話させていただいたのです
が、今先生に相談させていただいてよろしいで
しょうか?」
最初に要件を伝える
• どんな患者の

• どんな問題で

• 緊急度がどれくらいで
– 急ぎなのか、先方の時間のある時でいいのか

• あなたに何をしてほしいか
– 診察してほしい
– 意見がほしい
MPS 練習1
自分の意見は伝える
• 自分の見解を明確に伝えずに、指導医・専門
医の意見だけ伺うのは最も嫌われる
– 自分で考えろ!
– はっきりしないやつだな・・・
– 教えにくいなぁ

「ということで、私(当科)としては○○を疑って、
□□をしようと思うのですが、▽▽科としてのご意
見を頂きたくてご相談させていただきました」
MPS 練習2
詳細はAlways SOAP
• 順番がバラバラだと・・・
– 聞きにくい
– プレゼンしにくい

S :背景(既往・家族・内服) →経過→症状詳細
O :バイタル →身体所見
A :仮診断 →鑑別疾患 →根拠
P :仮診断の状態でのプラン(Dx→Tx)

Pertinentな(診断決定の上で意義のある)情報のみに絞る
不足点は相手が質問してくれる
MPS 練習3
全体通して質問は?
プレゼンの準備・実行・フィードバック
から学ぶもの
• 患者の病歴(主訴・現病歴・既往歴・家族歴)
から鑑別診断を想起する知識・技術

• 診断のために必要な問診の知識・技術(聞く
技術・重要な陽性症状・陰性症状の理解)

• 診断のために必要な身体所見の知識

• ただし診察技術は直接的には学べません。
今回のレクチャーで得たこと
• 日常診療・研修における症例プレゼンテー
ション(以下、プレゼンと略す)の役割を理解
した
• BPSのスキルを身につけた
• SPSの流れを理解した
• あとは日々是プレゼンであることを理解した
(?)
• 参考文献
– 「プレゼンテーションを学べ!!」
A.ブラッドバリー 著  Discover
– 「米国式 症例プレゼンテーションが劇的に上手く
なる方法」  岸本 暢将 著 羊土社

• いつでも相談に来て下さい
– PHS24時間対応☆
– プレゼンスキルでも、症例のことでも、進路のこと
でもなんでもよいですよヽ(´ー`)ノ
おまけ
• 資料だけお渡しします
SPS Standard Presentation Skill
SPS(Standard Skill)
プレゼン修行のコツ
• 自分の型を決めたら執拗に繰り返す
・Always SOAP and ABC (流れと重要度順)
 S(症状・経過+既往・家族・生活)
 O(身体所見+検査所見)
 A(プロブレムリスト →鑑別診断名、その根拠、今後の方針)
 P(具体的計画;Dx・Tx・Ex)

• 伝わらないプレゼンは、たとえ形式が整っていても
価値がない
・常にBPSは維持する
プレゼン修行のコツ
• 聴衆の脳裏に、ロコツに鑑別診断が浮かぶ
ように仕組む
・事前確率を上下させる情報を強調
・特徴的なキーワードをちりばめる

• 伝わるプレゼンでも、長いプレゼンはダメ
・飽きる、忙しいのに困る、イライラする
・30分→10分→5分→2分→1分→一言へ
実際のプレゼンの内容と順序
• Subjective(2-3分)
1.Opening Statement & 主訴
2.現病歴
3.既往歴・生活歴
• Objective(1-2分)
4.身体所見
5.初期検査
• Assessment&Plan(2-3分)
6.プロブレムリスト
7.アセスメント & プラン
1.Opening statement
• ID(氏名・年齢・性別)

• 主訴(医学用語に置き換える)

• 主訴に関係する既往歴(背景)もここに混ぜる!
⇒「△△さんは、来院2日前までは特に問題のない
健康な24歳の男性でしたが、一昨日の起床時に
突然の胸痛を自覚」

– このフレーズをいれるだけで、そのあと同じ話をしていて
も、聴衆の理解度が格段に良くなる。
2.現病歴
• chronological and pertinent

– 時間経過にそって
• 「日付」でなく、「受診何日前か」で表現
• 受療行動に触れるなら、その「効果・結果」も述べる

– 意味のある陽性/陰性所見を述べる
• 検査結果で異常所見だけ述べるのはだめ
意味のある所見とは
• 鑑別疾患を考える上で必要な情報のみを効率よく伝える
– Pertinent positive history/sign
 意味のある陽性症状/所見
– Pertinent negative history/sign
 意味のある陰性症状/所見 ≠意味のない症状/所見
→意味がないなら言わない
   
  <意味のある情報>
  聴衆に、具体的な鑑別疾患を想起させるキーワード
  その情報により、ある疾患の確立を左右する症状/所見
3.既往歴・生活歴など
• たくさんあり一番時間がとられる
→Pertinentなものに絞ろう!
• 既往歴
– 手術歴(±輸血歴)、アレルギー歴
– 内科疾患+薬剤歴
– 月経歴
– 感染症情報(シックコンタクト、ワクチン、性、動物、旅行)
• 家族歴
– 疾患歴
• 生活習慣病、悪性腫瘍・IHD・脳卒中、
• 患者の疾患と同じ臓器の病気、遺伝性疾患
– 家族構成
• 家系図、主な病名・年齢・居住地
• 生活歴
– 喫煙、飲酒 →全ての患者で必須
– 食事、運動 →生活習慣病とうつ病スクリーニング
– 睡眠・ストレス→うつ病、不安への配慮(をアピール)
– 職業 →暴露歴や生活スタイルへの影響大きい
4.身体所見
• 順番を守って、簡潔に
– general appearance:見た目の重症感)
– バイタルサイン、(身長体重)
– HEENT&neck
– 胸・背・腹部
– 四肢
– 神経系

– Pertinentなところは個別に述べるが、
項目内にPertinentな情報がなければ一括する
「頭頚部・四肢・神経系は異常ありません」
5.検査所見
• 順番を守って簡潔に
– 事前に提示するデータは並べておく
– オーダーした順番、結果を見た順番でなく、一定の順番で

1.検体検査 (採血、尿検査、その他)
2.生理検査 (ECG、エコー・スパイロ)
3.放射線   (単純X線、CT、MRI、シンチ)

– Pertinentを意識して
6.プロブレムリスト
• まず、全リストを列挙する
– 重要度順に(関心度、重症度、予後)
• 症例を把握する能力がロコツに現れる

– 自分が入院中に関与しないなら、重要な疾患でも
リストに挙げないこともある

– 医学的には重要でなくても患者の視点で重要なものは
含める
7.アセスメント & プラン
• 各プロブレムごとにA
A→P
Pの順に述べる
– まずは一番考えている疾患に関して簡潔に
診断名→その根拠→プラン((追加検査、治療方法))
「~~といった根拠から○○と診断しました。したがって治療は何々
を、追加検査としてこれを行います」

– 鑑別やその他詳細を述べる場合には、この後に追加
「鑑別としてA、Bを考えていますが、○○の根拠から否定的」
「診断基準を満たすのですが、少し非典型的な印象があり・・・」

– マイナープロブレムは扱いも軽く
「#5~8に関しては順次対応していきます」くらいでもよい
まとめ
• Opening statementを述べる努力を!

• アセスメントは自分の意見をしっかり述べ
る!

• 7分を目標に簡潔にまとめる!

• 総診以外で研修スタートの場合も、
各科の指導医にあわせて工夫してください!

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