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湯沢町保健医療センター
小林聡史
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用語
風疹
三日はしか
Rubella(Rub=赤 → 紅斑が発生する病気)
German measles(ドイツはしか)
measles=麻疹
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E7%96%B9 2018年9月5日閲覧
流行状況
アメリカ:
2015年に世界で初めて風疹の終息宣言。
アフリカや東南アジア:
ワクチン接種率低く、先天性風疹症候群の発症率も高い。
日本:
2013年にアウトブレイクあり。
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http://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/rubella 2018年9月5日閲覧
https://www.fnn.jp/posts/00400232CX 4
2018年9月5日アクセス
湯沢でもアウトブレイクが起きるかも・・・?
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概要
風疹ってどんな病気?
発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症。
症状は不顕性感染から、重篤な合併症併発まで幅広く、
臨床症状のみで風疹と診断することは困難。
風疹に感受性のある妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出
生児が先天性風疹症候群を発症する可能性がある。
上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫感染を起こす。
風疹の基本再生算数(R0)は5~7、麻疹(12~18)、流行
性耳下腺炎(4~7)、インフルエンザは2程度。
→感染力は麻疹より弱く、インフルより強い。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html 2018年9月5日アクセス
先天性風疹症候群 Congenital rubella syndrome
(CRS)
小頭症
髄膜脳炎
発達遅滞
緑内障
難聴
白内障
色素沈着性網膜症
先天性心疾患
動脈管開存症
肺動脈狭窄症
肝脾腫
黄疸 放射線透過性骨疾患
紫斑
血小板減少症
低出生体重
心疾患や眼疾患は妊娠8週以内までの発症で多い
難聴は妊娠18週以内までに多い
妊娠18-20週以降の感染ではCRSの発症は多くない
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Congenital rubella syndrome: Clinical features and diagnosis, UpToDate 2018年9月8日アクセス
ワクチンと疫学
ワクチンの歴史
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ワクチンコンシェルジュ
https://zexy.net/newlife/manual/ninshin/column01/yobou.html 2018年9月5日アクセス
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疫学@日本
疫学@日本
2013年のアウトブレイク時は
特に20-50代の男性に多かった。
平常時は小児~成人まで幅広く分布
し男女差もさほど目立たない。
60代以上の発症はかなり稀。
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https://www.niid.go.jp/niid/en/iasr-e/865-iasr/7944-457te.html 2018年9月5日アクセス
ここまでのまとめ(年齢はすべて2018年時点)
56歳以上の男女は予防接種を受けてないが、罹患数も高く
ない。→過去に罹患している可能性。
39~55歳の女性は1回予防接種を受けており、罹患数低め。
39~55歳の男性は予防接種を受けておらず、罹患数も高い。
18~39歳の男女は1回予防接種を受けているが、罹患数高め。
0~18歳の男女は2回予防接種を受けており、罹患数も低め。
*あくまで制度上の話であり、母子手帳等の記録を確認する
のが確実
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ざっくりいうと、特に注意すべき患者層は・・・
20~50代の、特に男性
60代以上は稀(特に70代以上はほぼなし)
20代未満はそこそこいる
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病歴と診察
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http://hospitalist.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-140526-iizuka.pdf 2018年9月6日アクセス
北海道の風疹症例の解析(N=150)
68%が男性。男性は40代、女性は20代が最多。
ワクチン接種者は11%。
発熱133例:88.7%
皮疹148例:98.7%
リンパ節腫脹90例:60%
発熱、皮疹、リンパ節腫脹の3徴ありは83例:55.3%
3徴いずれもなしは1例:0.01%
http://hospitalist.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-140526-iizuka.pdf 2018年9月6日アクセス
頸部リンパ節の解剖
〇印が風疹で触知しやすい
リンパ節
https://www.youtube.com/
watch?v=9q9-xuNOdGU
↑で動画が見られます
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ベイツ診察法 第2版
皮疹
典型的には癒合傾向の少ない淡い紅
斑が体幹を中心に多発
ただし癒合傾向や色素沈着を伴うこ
ともある
皮疹のみで確定や除外はできない!
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内科で出会う見た目で探す皮膚疾患
病歴診察まとめ
潜伏期間はおよそ2週間
リンパ節腫脹から始まり、その後発熱や皮疹
いずれも見られない症例は稀で、どれかがあれば鑑別に考慮すべき
皮疹出現後1週間程度は感染性があるとされる
リンパ節は特に後頚部リンパ節の腫脹が多い
耳後部、後頭、顎下リンパ節も確認
皮疹の性状で風疹の除外や確定はできない
癒合の少ない紅斑が典型的だが、癒合傾向や色素沈着を伴うこともある
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検査
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IgM
RT-PCR陽性例をGold Standardとすると陽性率63.3%
Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
偽陽性パターン
麻疹、EBV、CMV、パルボウイルスB19
リウマトイド因子陽性
サンプル内の交差反応性IgM(cross-reacting IgM)
http://www.who.int/immunization/monitoring_surveillance/burden/laboratory/Manual_l
ab_diagnosis_of_measles_rubella_virus_infection_ENG.pdf 2018年9月7日アクセス
偽陰性パターン
発疹出現後3日以内には陽性にならないことがある
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html 2018年9月7日
アクセス
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IgG
ペア血清で4倍以上の上昇があれば急性感染を示唆
最初のサンプルから7-21日程度空けて採取する
ルーチンで採取する必要はない
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Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
補足:EIA法とHI法
EIA:Enzyme ImmunoAssay(酵素免疫測定法)
ウイルス抗原と特異抗体を反応させ、酵素反応により検出。特異抗体に直接酵素を標
識して検出する直接法と二次抗体に酵素標識する間接法がある。
HI:Hemagglutination Inhibition(赤血球凝集抑制反応)
赤血球凝集能をもつウイルスの場合、その凝集を抑制する抗体を証明。
両者を比較した試験等はなさそう。換算式もない。
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https://www.srl.info/srlinfo/infection/feature/feature.html 2018年9月7日アクセス
RT-PCR(Reverse transcriptase-polymerase chain
reaction)
発症時から検出可能とされる
咽頭、鼻、血液、尿、髄液、白内障?(cataract
specimen)
咽頭ぬぐい液が最も成績が良いとされる
血清IgMと比して高い検出率
日本国内ではコマーシャルベースでは検査できない
保健所で検査ができる
保健所では咽頭ぬぐい液、尿、全血(血算)をセットで採る
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Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
ウイルス分離
ルーチンでは施行されないが、
風疹のサーベイランスやウイルス株同定に重要
咽頭スワブのサンプルを使用
血液、鼻腔スワブ、尿、髄液を使用することもある
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Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
検査まとめ
IgM陽性であれば風疹と扱うことが多い
特に発疹出現3日以内には偽陰性が問題になるため注意
IgGはペア血清が必要なので、使いにくい
風疹疑いの症例をもう一度病院に受診させるのか?
回復期にはすでに感染性は乏しいと言われている
PCRは高精度だがコマーシャルベースで検査できない
疑い例時点で保健所に連絡して検査できる体制になりました!
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対応
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対応の概要
対症療法で自然に良くなるが、稀に重篤な合併症あり
標準予防策+飛沫感染対策
先天性風疹症候群の児の場合には接触感染対策も検討する
保健所へ届け出
発疹が出てから7日間隔離
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Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
合併症:関節痛・関節炎以外は稀
関節痛、関節炎:特に成人女性に多い
血小板減少性紫斑病:3000人に1人程度で小児に多い
脳炎:6000人に1人程度で、成人の特に女性に多い
視神経炎
精巣上体炎
ギランバレー症候群
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Dynamed Rubella 2018年9月7日アクセス
標準予防策 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1797 2018年9月7日アクセス
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飛沫感染対策 http://www.iryou-anzen.jp/14707143537695 2018年9月7日アクセス
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届出は「直ちに」行う
症状や所見から風疹が疑われ、かつ
届出に必要な要件を満たすと診断した場合、
直ちに届出を行う。
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https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-14-02.html 2018年9月5日アクセス
患者説明例
基本的に自然に良くなる病気です。しかし妊婦さんに感染
すると胎児に障害を起こすことがあります。
発疹が出る前後1週間程度はうつりやすいと言われているの
で、できるだけ人との接触を避けてください。特に妊婦さ
んや若い女性との接触を避けてください。やむを得ず人前
に出るときは必ずマスクをつけてください。
法律で定められているため、確定診断がついた場合は
保健所に連絡をさせて頂くのでご了承ください。
もし体調が良くならなかったり症状の悪化があって
再度病院にかかりたい場合は、
必ず事前に電話連絡をお願いいたします。
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予防接種
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予防接種
生涯で2回接種が必要だが、前述のとおり接種歴が不足して
いる可能性の高い年代の人たちが存在する。
すべての成人が2回接種を受けることが望ましいが、
現状はなかなか難しい。
生ワクチンのため、妊娠中は接種できない。
また接種後は1-2か月の避妊が必要。
プライマリケアでできることとして、
妊婦や妊娠可能年齢の女性や挙児希望の女性や、
そのパートナー、同居家族の接種歴確認を積極的に行う。
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まとめ
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Take home message
関東を中心に風疹流行があり、湯沢でも2例発症あり。
(2018年9月12日時点)
20-50代の特に男性の発症が多い。
疑わしい場合は標準予防策+飛沫感染対策を!
妊婦や生殖可能年齢の女性、その周りの人に対して
接種歴を積極的に確認!
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http://ichikateiiryou.hatenablog.com/ 43